すべては劇場で起こっている!?

2006年8月8日 By 編集部員(月)

私のロンドン生活は極めてシンプル。「働く、食べる、寝る、観る」。これで私の全生活はほぼすべて網羅です。

「観る」。地味に日々を過ごす私にとって、唯一の愉しみ、というか、世間との唯一の接点、とも言えるのが舞台観賞。これがあるからロンドンにいるといっても過言ではありません。お芝居自体を楽しむのはもちろんのこと、有名人遭遇率は100%劇場内(これまでに遭遇した有名人はエルトン・ジョン、イアン・マッケラン、ジャック・ニコルソンなど。なかなかでしょう?)、24時間日本語環境にいる私が、日本人以外の友人と初めて出会ったのもほぼ100%劇場内(劇場で知り合うのは、お金と暇を持て余しているご年配の男性が圧倒的多数というのがちょっとひっかかるところではありますが……)と、私のプライベートはまさに劇場で構築されているのです。

これまでロンドンで観たものの一部を挙げると、「レ・ミゼラブル」、「ビリー・エリオット」、「メリー・ポピンズ」、「ザ・プロデューサーズ」、「ブラッド・ブラザーズ」、「シカゴ」、「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」などなど。これにストレート・プレイや小規模のフリンジなどのお芝居がプラスされます。中には両手(プラス両足?)では数えられないほど観ているものも。……もうほとんどバカです

毎月送られてくる銀行明細はすごいことになっています。ATM引き落としとスーパー以外はほぼ「Theatre」。時には数枚にわたって「シアター、シアター、シアター……」と続きます。……本当にバカです。恐いので実際にいくらのお金が舞台に流れているのかは計算しないことにしています。以前は日本で作ったファミリーのクレジット・カードを使っていたので、驚愕した親から「何だかシアターっていうのがずらっとあるけど何なの!?」と連絡が入ったものでした。総数が尋常じゃないのに加え、同じ劇場名があまりに何度も出てくるので、引き落としミスだと思ったみたいです。友達の分も買ったからだよ、と言い訳をしましたが、実は全部自分1人のチケット代でした。嘘をついてごめんなさい(ちなみに支払いは自分ですよ、念のため)。

現在、ロンドンでは刺激的な舞台がいくつも上演されています。1年ほど前には「ビリー・エリオット」や「メリー・ポピンズ」など、英国発の作品が注目を集めましたが、今年は秋頃からNYはブロードウェイから、続々と人気作品がやってきます。オープンして間もない「アベニューQ」は皆さんご存知「セサミストリート」の大人版(!?)。そして「オズの魔法使い」のパロディとも言える「ウィキッド」や、英国の人気コメディ、「モンティ・パイソン」の舞台版「スパマロット」など、ワクワクするようなラインナップです。

英国ものでは、最近ヒット作に恵まれていないミュージカルの大御所、アンドリュー・ロイド・ウェーバーが「サウンド・オブ・ミュージック」のミュージカル化を発表、何と主役のマリア役はテレビのリアリティ番組内で選ぶと宣言しました。話題集めには良いのかもしれませんが、果たして結果はどう出るのでしょうか。「ビッグ・ブラザー」のシャンテルや「アパレンティス」のミシェルみたいなのが、ウエスト・エンドの大舞台で可憐なマリアを演じることになるのか……一舞台ファンとしては一抹の不安を禁じ得ません。

嬉し楽しいシアター・ライフを送るため、今日も働け労働者、とばかりに地味に働き続ける私。さあ、今週末は何を観ようかな……。(月)

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