仰げば尊し~後編~

2008年11月25日 By 編集部員(籠)

先週に続いて、卒業式の話です。

パートタイムで通っていた大学院では、ジャーナリズムを専攻していました。前回もお伝えしたように、僕はあんまり出来の良い生徒ではありませんでした。指導教授となったアラン先生には「お前はまだ冠詞の用法を間違えるのか(だって日本語には冠詞がないんだもん)」とか「関係代名詞のthatとwhichを混同するなとあれほど言っただろう。thatは定義する際に用いて、whichは叙述するときに使うのだ(ごめんなさい。実はこの違いがいまだきちんと理解できていません)」とよく怒られていたっけ。

でもそんな苦労があったからこそ、僕の目には、卒業式の舞台が一層輝かしいものとして映りました。

会場に入った瞬間は、カラフルなガウンに身を包んだ関係者たちを「仮装大会みたいだな」なんて茶化していましたが、いざ式が始まってみると気持ちが引き締まってくるのだから不思議なものです。学長のスピーチが終わると、誘導員が側にやってきて、会場前方に来るように、と呼びかけてくれました。こうして卒業生は1人1人名前を呼ばれて壇上に上がり、学長と握手するのです。いわば、卒業式のクライマックスですな。

壇上で名前を呼ばれる直前

壇上で名前を呼ばれる直前。右端で姿勢悪くして立っているのが僕です

ただこの儀式そのものには、正直なところ拍子抜けしました。壇上を歩いている時間なんて、ものの5秒。この日が初対面となる学長さん(=仮装した中年のおじさん)と握手したからって特別な感慨を抱く方がおかしい。なんて少し興ざめしてしまった僕が中央のステージから下りようとすると、なぜか保護者用の席に座っていた例のアラン先生の姿が目に飛び込んできました。

先生は、それこそシンバルでも叩くかのように、腕を大きく動かしながら手を叩いて、僕の卒業を祝ってくれていたのです。指導教授なのに、なんで保護者席に座っていたのか訳が分からないのだけれど、ともかく嬉しくて涙が出そうになっちゃったじゃないか。

アラン先生

駄目な生徒だった僕をあきらめず、厳しく指導してくれたアラン先生(中央のサンタクロースみたいな人です)。

この一瞬ですっかり感極まってしまった僕は、卒業式終了後に開かれた簡単な祝賀パーティーで、ここぞとばかりシャンパンをごくごく飲んでしまったのでした。

シャンパン

シャンパンは無料サービスとのことだったので、見事な一気飲みを披露

シャンパン

2杯目飲んだ直後。最近お酒に弱くなった気がします


シャンパン

3杯目ぐらいですかね。この後の出来事は記憶にございません

最後に、卒業が決まった日、オフィスでお祝いのパーティーを開いてくれた英国ニュースダイジェストのスタッフの皆様に、編集日記の場を借りて感謝申し上げます。また英国の教育機関で勉学に励んでいらっしゃる本誌読者の皆様が、やがて良き卒業の日を迎えることができるよう、心より願っております。

英国ニュースダイジェストは、関係代名詞whichとthatの違いの理解に苦しむ日本人留学生を応援します。(籠)

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