イギリス的出会い系広告批評2011 ~イントロダクション編~

By 編集部員(籠)

キーン、コーン、カーン、コーン。皆様、こんにちは。イギリス的出会い系広告批評のパイオニア、(籠)です。今年も本講座にご参加いただきありがとうございます。

「出会い系広告を推奨するのはいかがなものか」「広告批評の執筆を口実にして仕事中に正々堂々と出会い系サイトを閲覧しないでほしい」「親戚の人たちもお前の文章を読んでいるんだぞ」といった各方面からの厳しいご意見を乗り越えて、今年も「イギリス的出会い系広告批評」の講座が開講されることになりました。

初めて受講される方はですね、昨年開いた講座内容を簡単に復習しといてくださいね。

イギリス的出会い系広告批評 ~イントロダクション編~
イギリス的出会い系広告批評 ~蓼食う虫も好き好き編~
イギリス的出会い系広告批評 ~最終回~

今年度は、全国紙「ガーディアン」紙が毎週土曜日に発行している別冊「guide」に掲載の「soulmates」をテキストとして扱いたいと思います。

soulmates

テキストとして使う「soulmates」は「guide」に掲載されています

しかし、出会い系のページのタイトルが「soulmates=心の友」とはこりゃ大きく出たね。先生、参っちゃったな。えっ? なんで参っちゃったのって? だって、その「心の友」欄には、こんな広告が掲載されているんですよ。

Wanted: 36-45 year old, very successful, gentleman, by a beautiful, 5’7-8, centrefold/hourglass figured Eastern European princess
(求む、36~45歳の成功した男性。170センチぐらいの、砂時計のようにくびれた体型をした、東欧のお姫様があなたを待ってます、ウフン)

「ガーディアン」紙って、日本では「高級紙」と呼ばれている新聞ですよね。「英国人の良心」が体現されているリベラル紙ですよね。いくらなんでもリベラルが過ぎているんじゃなかろうか。

ここで、私がなぜこのような講座を開くに至ったのかについて、改めてお伝えしておきましょう。何度でも繰り返しますが、出会い系広告欄では、「まだ見ぬ相手に求愛を行う」という意味において、人間にとっての究極の愛の姿を見て取ることができます。

一方で、どんな人が出会い系広告を出しているのか、読み手は全く分かりません。この点がミソです。ここテストに出るのできちんとノート取っておくように。上で紹介したウフンな女性だって、その正体は、女装趣味のある毛深いおっさんだったり、お腹引っ込める芸を持つベテランの女性奇術師だったり、「ガーディアン」紙の編集部員がサクラになって載せたりしている可能性が大いにあり得ます。「自分の年齢を書いてないのがちょっと怪しいな」ということぐらい、ピンと来なければなりません。

「モデル体型をした、東欧出身の美女」を期待して会いに出掛けたのに、その正体が「おっさん体型で、気色悪い一発芸をひけらかす、毛深い編集部員」だったらショックでしょ? 皆さんがそんな目に遭わないようように、これまで同様の痛い思いを散々してきた、じゃなかった、研究活動に勤しんできた私がその経験を生かして、ここでイギリス的出会い系広告のメディア・リテラシーをお伝えしたいのです。

それでは、来週から、本格的に授業を始めたいと思います。キーン、コーン、カーン、コーン。(続く)

実践で使える! イギリス的出会い系広告の言葉

GSOH=Good Sense of Humour
日本語訳: 「ユーモアのセンスがある」。外見、経済力、清潔感、教養などが一定レベルに達している上での条件なので、失業したまま風呂にも入らず、ひたすら一発ギャグに磨きをかけることに注力しないよう気をつけましょう。

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