初めての漆塗り体験 in ロンドン

by 編集部員(翔)

みなさんこんにちは。2月の中旬からカメラマンとして働いている(翔)です。嘘です。編集部でインターンとして働いています。今まで携帯ですら全く写真を撮らなかった自分が、まさかこんなに写真を撮るとは思ってもみなかった。人生の一生分ぐらい写真撮ったんじゃないかなーって思うぐらいです(笑)。

さて、今回はロンドンのメイフェアのギャラリーでやっていた漆塗り体験について書きたいと思います。

つい先日、美BEAUTY OF JAPANという日本の伝統工芸の職人やアーティストとヨーロッパを繋ぐ架け橋になり、ヨーロッパを中心に日本文化の普及活動をしている会社が開催していた漆塗り体験に参加してきました。内容はというと、日本から来た漆塗り職人さんと一緒に、ちっちゃなお椀に漆塗りで自分のイニシャルを一文字描いてみよう ! というもの。

会場へ到着し、早速漆塗り体験へ。本当は参加者2、3人に対し漆塗り職人の方が漆塗りを教えるというものだったのだけど、なんと自分のときはマンツーマン ! そのおかげで職人さんを独り占めできました。が、自分のあとにやっている人たちを見たらまあびっくり。皆さくっと終わらせていく。それに対して、自分は職人さんに質問をしまくり、試し描きしまくり、さらには6、7回も茶碗に描き直しをさせてもらいました。(普通は2回ぐらいまでらしいです)。ごめんなさい。本当に楽しくてのめり込んでしまいました。それにも関わらず、作品の出来の方はというと……会社の人に「そんなもんなんだね」と言われました(笑)。

初めての漆塗り体験 in ロンドン

職人さんによるデモンストレーション。これぞ職人芸

体験はというと、まずは筆使いを学ぶために大きいお皿に試し描き。大小の様々なはけがあって、今回はとっても持ち手が細くて小さいはけを使用。自分は書道を習っていたこともあって、簡単にできるっしょ ! なんて思っていたら大間違い。漆塗りのコツは、漆をはけにつけ過ぎてはいけず、はけの毛先約2ミリ程度だけを使用して力を入れずに線を描いていくこと。力を入れてしまうと、べたっと漆がついてしまい、奇麗な線のかすれ具合が出ない。その力加減がとても難しくてまあ大変。手がプルプル震えてうまく描けません!ははは~なんて職人さんと話したり。

試し描きが終わったところでさあ次は本番へ。自分のイニシャルはNとS。どちらが描きやすいか聞いたところ、Nの方が簡単だよ、ということでNに。お椀の側面の膨らんでいるところに描くときは、直線ではなくてNを少し崩した感じの波線を描くといいよとアドバイスをもらい、いざチャレンジ。が、一回やってみたところですぐに分かった。自分にはセンスがない ! 何回か描き直しをさせてもらったものの、うまくいかず。しかし、6、7回目の挑戦で奇跡が起きました。なんと、手の震えがピタリと止まり、はけが自分の手の一部となったかのような感覚。はけがしっかりと茶碗を捉え、そこそこ奇麗な線を描き出していくではありませんか。職人さんにも、「いいじゃないですか。これなら値段も変わりますよ」なーんて言われ、ほっと一息。

これで終わりではなく、次に描いたイニシャルがいい感じに乾いたところで金粉を線の上に塗っていきます。今回使用したのは、金色とエメラルド・グリーンの2種類の色の金粉で、ポンポンみたいなものに金粉を付け、円を描くように塗っていく。この円を描くように、というのがものすごく重要で、単純に上下左右に動かして塗るだけだとムラができてしまうそう。そこで、どう金粉を付けたらいいかと職人さんに尋ねたところ、アクセントとしてNの右下の角と左上の角のところにグリーンの金粉を付けるといいかもしれませんね、ということでその通りに。そのほかのところには金色のものを。最後に、職人さんがどっぷり付いていた金粉を適度に拭き取ってくださり、ついに完成。いやー、本当に楽しいひとときでした。体験中ずっと正座をしていたもので、終わって立ったはいいものの、足が痺れ過ぎて悶絶していたのは秘密です(笑)。

初めての漆塗り体験 in ロンドン

完成品。一生の宝物です

小さいお子さんから外人の方まで様々な人が体験を楽しんでいました。僕の後にやっていた外人の男性は、はけ使いに悪戦苦闘。思うように描けずに苦笑いしてました(笑)。まさかロンドンで日本の伝統文化を初体験するなんて思いもよらず。日本へ帰ったら日本についてもっと学ばなきゃなと思った一日でした。

前の記事:
次の記事: