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アッパーク・ハウス
Uppark House
アッパーク・ハウス
~大火災から蘇ったマナー・ハウス~

ロンドンから車でおよそ1時間半、ウエスト・サセックスにあるアッパークは、17世紀に建造されたマナー・ハウスです。実はこのプロパティ、ほかのナショナル・トラストでは絶対にお目にかかれない、とても興味深い常設展を行っています。駐車場からすぐのところにあるドームがその展示会場です。

アッパーク・ハウスは1989年8月30日、大火災に見舞われました。開園時間中に起きた惨事でしたが、幸い負傷者はなく、ビジターやスタッフによって、さまざまな記録が残されています。なかでも興味深いのが、出火直後から鎮火までの様子を収めたビデオ映像です。

消防署への通報から、消防隊の到着までおよそ30分。じわじわと炎に包まれていく、歴史的建造物。屋内の貴重な文化財を外に運び出すスタッフたち。そして、その様子を(なんと!)ピクニックでも楽しんでいるように、のんびりと芝生に座って眺めるビジターたち。そのあまりにも「英国らしい」光景には、思わず笑みがこぼれますが、建物を包んだ火の勢いは止まず、午後3時半頃に出火した火が鎮火したのは翌朝6時過ぎのことでした。屋根も床も焼け落ち、レンガの壁だけが残った無惨な姿。しかし、アッパークをめぐるナショナル・トラストのドラマは、まさにこの瞬間から始まりました。

1995年のナショナル・トラスト創立100周年に向け、このアッパークの大修復事業が開始されたのです。失われた歴史的建造物の修復、消失した数々の文化財の再生。気の遠くなるような膨大な作業を、次々と行ったその経験は、ナショナル・トラストに大きな自信を与えたともいわれています。その一つひとつの作業が、実によく分かる常設展。見事に蘇ったハウスと共に楽しんでください。(文責・小野まり)


Uppark House


Uppark House アッパーク・ハウス
住所 South Harting, Petersfield West Sussex GU31 5QRmap
Tel 01730 825857 (Infoline)
行き方 車で/ B2146道路沿い。Petersfieldの南東約8キロ。
South Hartingから南へ約2.3キロ。
開園日時 開園日時: 10月30日迄の金・土を除く毎日12:30~16:30
(ガーデンは11:30~17:00)。
Web www.nationaltrust.org.uk
ハードウィック・ホール
Hardwick Hall
ハードウィック・ホール
~チューダー王朝の宝~

イースト・ミッドランドと呼ばれるイングランド中東部には、荘厳なカントリー・ハウスが点在しています。なかでも、日本人にはほとんど知られていませんが、英国ではとても有名なのが、このハードウィック・ホールです。

ダービシャー北部、マンスフィールドを望む丘の上に建つこの邸宅は、1590年から97年にかけて建造されたもの。当時、エリザベス1世に次いで英国で2番目に強い権力と資産を持っている女性として知られた「ハードウィックのベス」のために建てられました。豪華な内装のグレイト・ホールやロング・ギャラリー、そして見事なタペストリーの数々に、彼女の力の強大さを垣間見ることができます。

歴史好きの英国人にとって、歴史上の有名人のお宅拝見は、休暇旅行の格好のお楽しみです。そのため、子どもから大人まで、すべての訪問客が楽しめるよう、色々な工夫が凝らされています。例えば、子ども用には見学コースに合わせたクイズ用紙を用意。部屋ごとに簡単なクイズが出され、子どもたちは一生懸命部屋を見渡し、クイズの回答を捜します。分からない時には、部屋にいるボランティア・ガイドの人が、優しくヒントを教えてくれます。

遍路展の展覧会中も、ナショナル・トラストのプロパティによっては、見学コースのひと部屋が会場になることがあり、会期中、子どもたちやガイドさんのやりとりを微笑ましく眺めることもしばしばあります。

そんな時に感心するのは、ご両親を始めとするまわりの大人たちが、実に根気よく丁寧に、小さな子どもたちに説明してあげている姿勢です。これはナショナル・トラストに限らず、ロンドンの博物館などでもよく目にする光景です。

そんな英国で400年以上も大切に守られてきたチューダー王朝の宝。機会がありましたら、歴史の勉強がてらご訪問ください。(文責・小野まり)


Hardwick Hall


Hardwick Hall ハードウィック・ホール
住所 Doe Lea, Chesterfield, Derbyshire S44 5QJmap
Tel 01246 850430
行き方 車で/ A6175経由でM1の出口29を降り、すぐ右折(看板あり)。
電車で/ Chesterfieldから約12.8キロ。
開園日時 11月2日迄の月・火・金を除く毎日12:00~16:30
(12月中は週末のみ)。ガーデンは11:00~17:30。
Web www.nationaltrust.org.uk
ハッチランズ・パーク
Hatchlands Park
ハッチランズ・パーク
~秘密の花園~

ロンドンへの通勤圏でもあるサリー州。大都市のお隣とは思えないほどの風光明美なカントリーサイドです。

今回ご紹介するハッチランズは、サリーの中心都市ギルドフォードのすぐそばにあります。外観はジョージアン様式のカントリー・ハウス。内部は英国で最も有名な18世紀の建築家、ロバート・アダムの作品で、特に客間や図書室の天井装飾はアダムの特徴をよく表しています。

ハッチランズは、ナショナル・トラストの創立者ともゆかりの深かったコビー一族と契約を交わし、彼らのコレクションを公開していることでも知られています。その代表的なものが、世界最大級の規模を誇る鍵盤楽器の数々。1750年代から1840年代のハープシコードやピアノと出会える貴重な場所です。そしてそれらを使ってリサイタルが行われたり、毎週水曜日の昼にはコンサートが開催されるなど、音楽好きの方にはたまらないプロパティとなっています。

このプロパティは数年前まで一般公開されていませんでした。1945年に当時のオーナー、グッドハート=レンデルによってナショナル・トラストに寄贈されましたが、彼が亡くなる1959年まではその住居として使われ、限られた音楽家だけが建物の使用を許されていました。

実を言うと、私たちはこのハッチランズに滞在したことがあります。数年前、すぐ近くのクランドン・パークで遍路展を開催した時、宿泊場所として提供されたのです。

初夏、ハウスを囲む広大なパークはポピーで真っ赤な絨毯を敷き詰めたようになります。そして、こじんまりとしたガーデンには、まるで秘密の花園のように、満開の花々が静かに咲き乱れていました。(文責・小野まり)


2 Erddig


Hatchlands Park ハッチランズ・パーク
住所 East Clandon, Guildford, Surrey GU4 7RTmap
Tel 01483 222482
行き方 車で/ A3を南下、A247からA246を東へ。
電車で/ Clandonから約3.2キロ, Horsleyから約4キロ。
開園日時 4月1日から10月28日までの月・金・土を除く
毎日14:00~17:30。
パークは同期間中の毎日11:00~18:00。
Web www.nationaltrust.org.uk
ダナム・マーシー
Dunham Massey
ダナム・マーシー
~鹿と一緒にピクニック~

寒かったイースターも終わり、ようやく春らしい気候になってきました。お金をかけずに日々の生活を楽しむことが上手な英国人は、家族でナショナル・トラストのメンバーになって、天気の良い休日はピクニックがてら、近隣のナショナル・トラスト地へ向かいます。英国流の休日の過ごし方を体験するには、ナショナル・トラストは最適な場所です。

英北西部チェシャーにあるダナム・マーシーも、そんな市民の憩いの場として愛されている場所の一つです。大都市マンチェスターの市内からさほど離れていないため、毎日の散歩コースにしている地元の人たちも多くいます。

ダナム・マーシーはジョージアン様式のエレガントな邸宅。なかでも銀食器のコレクションは有名なので、邸内の見学には時間をたっぷり使うことをお勧めします。

そして、邸内見学の後はオランジェリー(温室)のある本邸のガーデンへ。ふかふかの絨毯のような芝生では、赤ちゃん連れのママも安心してくつろぐことができます。あまりの居心地の良さに、主人が隣でスケッチを描きあげている間、こちらはうとうと……。私ばかりでなく、ここを訪れた人は、のんびり横になったり、絵を描いたりと、思い思いに素敵な午後を過ごしていました。

このプロパティにはたくさんの鹿が放たれた、広大なパークもあります。管理されているガーデン内でお弁当を広げることはできませんが、パーク内ではOK。一瞬、奈良の公園かと思ってしまうほどの鹿の数ですが、人工的な餌付けはされていませんので、適度な距離で、安心してピクニックを楽しむことができます。

また、納屋を改造したティー・ルームでは、丸い小窓が素敵な空間を演出しています。有名なクリーム・ティーを味わうことができますので、時間があれば立ち寄ってみてください。(文責・小野まり)


Dunham Massey


Dunham Massey ダナム・マーシー
住所 Altrincham, Cheshire WA14 4SJmap
Tel 0161 941 1025
行き方 車で/ M6の第19出口からA56へ。Altrinchamの南西、約4.8キロ。
電車で/ Altrinchamから約4.8キロ。
開園日時 11月2日までの木・金を除く毎日12:00~17:00。
パークは年中無休。
Web www.nationaltrust.org.uk
アーシィグ
Erddig
アーシィグ
~ウェールズに残る18世紀のガーデン~

観光地としても有名なチェスターから車で30分ほどの距離。風光明美なウェールズにある、素敵なプロパティを紹介しましょう。一見、何と読んでいいか迷ってしまう「Erdding」ですが、地元ウェールズでは「アーシィグ」と発音します。

1687年に建築家トーマス・ウェッブによって設計された邸宅は、大法官庁の要職に就いていたジョン・メラーへと1718年に売却されました。メラーによって大きく増築された邸宅は彼の甥であるサイモン・ヨーク1世に引き継がれ、以来1973年にナショナル・トラストへ寄贈されるまでヨーク家の邸宅として使われていました。

このアーシィグには、18~19世紀にカントリー・ハウスで働いていた使用人たちの姿が生き生きと残っています。当時の使用人たちの肖像画や写真も1人1人確認できるほど鮮明に残っており、制服や生活雑貨なども信じられないほど多く展示されています。また邸宅内の家具や調度品の保存状態も良くて、ヴィクトリア時代のカントリー・ハウスの生活様式が手に取るように分かります。

古い歴史の跡が残っているのは邸宅内ばかりではありません。邸宅の西に広がるのが、18世紀初期のフォーマル・ガーデン。英国では、歴史的庭園としては最も貴重なガーデンの1つと言われています。大きなウォール・ガーデンと見事なヴィクトリア様式の花壇。巨大なカナル(人工運河)を中心に配したシンメトリーなデザインは、とても印象的です。

花壇に咲く花々も素晴らしいですが、壁に伝わる洋梨の木々やナショナル・コレクションに指定されているアイヴィー(蔦)も必見です。また地所のまわりを馬車で案内してくれるサービスもあり、そのロケーションの素晴らしさと馬車の揺れ心地は、まさにヴィクトリア時代にタイム・トリップしたような素敵な体験となるでしょう。(文責・小野まり)


2 Erddig


Erddig アーシィグ
住所 Wrexham LL13 0YTmap
Tel 01978 315151 (Infoline)
行き方 車で/ ChesterからA483を南下。Wrexham から南へ3.2キロ。
電車で/ Wrexham Centralから3.2キロ。Wrexham Generalから1.5キロ。
開園日時 11月2日迄の木・金を除く毎日12:00~17:00
(但し7、8月は金曜のみ休。ガーデンは11:00~18:00)
Web www.nationaltrust.org.uk
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