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第5回 付加価値税(VAT)
英国で新しく子会社を設立するのですが、VATの登録をする必要がありますか。
課税対象の供給を行う企業で、売上高がVAT登録の最低限度(現行では12カ月間に6万8000ポンド)を超える場合には、必ず登録して、取引でVATを明記しなければなりません。最低限度に達すると分かったら、すぐに登録する必要があります。登録が遅れると罰金を科せられる可能性があります。
「Taxable Supplies(課税対象の供給)」とは何ですか。
「供給」とはもともと、企業が提供する商品やサービスのことです。大部分の供給にはVATの標準税率(現行で17.5%)が適用されますが、軽減税率やゼロ税率のものもあります。また一部の供給についてはVATが免除されますし、VATの範囲外という取引もあります。
任意で登録することもできますか。
はい、できます。登録の最低限度を下回る場合、あるいは日本の親会社に支払う管理費のようにVATの範囲外の供給を行っている場合でも、VATの登録はできます。登録する利点は、商品やサービスの支払い時に一緒に払うVATを返還してもらえることです。
VATの登録前に取引を開始してもいいのですか。また登録手続きにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
登録の申請手続き中でも取引はできます。その間、顧客に請求書を発行できますが、そこにVATを記載することはできません。登録手続きが完了したら、VATを記載した請求書を再発行できます。
登録には、歳入関税庁(HMRC)がVAT番号を発行するまでに、数週間あるいは数カ月かかることもあります。
今年、英国のVAT制度で一部改正がありませんでしたか。
欧州全体で改正がありました。これは、基本的には顧客の所在地がある国のルールに従うというものです。例えば英国企業が日本の顧客にコンサルティング・サービスを提供する場合、サービスの提供場所が日本なので、英国のVATは徴収しません。
ただ、この基本ルールには例外がたくさんあります。VATに関するルールは非常に複雑なので、自社の供給に基づいたアドバイスを受ける必要がありますね。
ほかに提出が必要な書類はありますか。
EU内のほかの国の企業に商品やサービスを供給している場合には、「EC販売リスト」を作成してHMRCに取引の詳細を報告しなければなりません。普通は四半期(3カ月)ごとにリストを作成しますが、四半期に7万ポンド相当を超える商品を供給する場合には、毎月作成する必要があります。 また、年間の輸出入の最低限度額(現行では輸出が25万ポンド、輸入が60万ポンド)を超える場合には、イントラスタット申告(欧州内貿易統計申告)を提出しなければなりません。これは、EU加盟国間の輸出入の詳細な記録のことです。なおEU域内貿易の統計では、輸入には「arrivals(着荷)」、輸出には「dispatches(発送)」という言葉を使っています。
間違いがあったら罰金を科せられますか。
はい。罰金の金額は、どの程度の間違いか、また偶然か故意かによって課税金額の5〜100%の間で違ってきます。
いずれにしても非常に複雑なようですね。
ええ、そうですね。ですから少しでも分からないことがあれば、専門家のアドバイスを受けることを是非お勧めします。
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ポール・ブラッドリー
パートナー
VATパートナー。関税で17年の経験を積み、通算20年以上この分野の専門業務に携わる。グローバル企業の頭を悩ます複雑なVAT問題を鮮やかに解決。F1観戦が趣味で、マクラーレンのファン。 |
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