Mr.Cityの世界経済
バックナンバー
第55回 「だいたい」と「いいかげん」

| 第55回 「だいたい」と「いいかげん」 |
|
7月が来るたびに また7月7日がやって来る。ロンドンの地下鉄駅を中心に同時多発テロが発生した日だ。2年前のあの日、あの時間には、キングス・クロス駅の手前で止まったノーザン・ラインに乗っていた。その後長い1日になったが、いろいろなことを学んだ。地下鉄もバスも止まり、黙々と歩いて帰宅する英国人。パニックもなく、翌日からbusiness as usualで仕事は普段とほとんど何も変わらなかった。そして、監視カメラの多さと犯罪捜査におけるその威力。1週間後、シティの路上において正午から皆が路上で黙祷する姿は、忘れえぬ光景となった。 英国の大義とは テロは犯罪、というのが大義である。テロを相手にせず、テロに屈せず、徹底的に叩いて、英国人の生命財産の保護を最優先に考える。その際、監視カメラによる人権やプライバシー侵害という議論は吹っ飛ぶ。二次災害を防ぐためには、交通機関を全面停止にすることも大義のためにやむを得ない。当然駅員に文句を言う人はおらず(というか、駅員がそもそもおらず)、遅延損害や交通費の弁償を要求する人も恐らくいなかったであろう。そしてテロに屈しないために、日常生活を絶対に変えない。さらにロンドン警視庁はアルカイダ予備軍へのおとり捜査を行い、1週間後には摘発した。成文憲法がないため、人権についてもマグナカルタや権利章典などの総体や慣習法としてしか、規定がない。英国人自身の常識やバランス感覚があらゆる事態への優越を意味しており、いざとなれば、政府は英国と英国人を守るためには何でもする。 日本はどうなのか 東京は北朝鮮によるスパイのテロ活動にはほとんど無防備。ミサイル防衛すら自力でなく米国に依存している。第一、日本人はテロや戦争の覚悟などまったくできていない。エリートは役人、官僚であって、リスクを取らないことと同義。官庁間の調整による災害救助の初動の遅さも、つとに指摘されている。その上マスコミ、特にテレビは単なるやじ馬ときている。一方で情報公開、個人情報保護法、入札、コンプライアンス、日本版SOX法など現場の生産性を奪うような、重箱の隅をつつくような規則の増加ばかりの日本企業、官庁。だいたい(in principle)にすることができず、それをいいかげん(fudge up)と見て、細部へ分け入る日本人。 |
|
筆者プロフィール
Mr. City:金融界で活躍する経済スペシャリスト。各国ビジネスマンとの交流を通して、世界の今を読み解く。 |



GBP 






