|
10月初旬に提出された来年度税制案は在英外国人への課税を厳しくしたもので、私たち日本人の生活にも大きな影響を与えることになりそうです。
そこで今回は、2008年4月6日から実施が予定さ
れている新税制とその対策についてお話します。
 |
私たちに影響を与える新税制の内容を教えてください。 |
私たち在英外国人は通常Non-Domicile(定住する意図のない人)と税制上区分されます。従来は英国以外で生じ
た所得に対しては英国へ送金しない限り非課税でした。
来年の4月6日からは、英国に7年間以上滞在しているNon-Domicile 居住者は①全世界の所得を毎年提出するTax Return(所得申告)に含め、申告・納税をする②年間3万ポンド(約705万円)の税金を所得額の規模にかか
わらず払う、のいずれかを選択しなければなりません。税率に関しては下記の表をご覧ください。

 |
それでは英国の会社、または英国に拠点を置く日系会社からのみ給与を得ている在英邦人に対しては、従来通りと考えてよいのでしょうか。 |
はい。今回の税制変更は、特に在英外国人で海外に所得のある人に該当するものです。もし、英国内のみの所得の場合は従来通りの税制に準拠します。来年度からの税率や基礎控除額などは、新年度になりましてからまたお知らせする予定です。
 |
私は日本で不動産を貸しているのですが、ここから発生する収入にも課税されるということになりますか。 |
基本的には英国でも課税されますが、租税条約の取り決めがあるので両国で課税されることはありません。日本で家賃収入に対し所得税を支払っていれば、英国で支払う税額から控除されることになります。しかし、家賃所得の申告は英国にて行うことになります。
 |
でも申告しなくても、税務当局は外国にある資産なんて調べられませんよね。 |
所得を隠すということには賛成しかねます。税収不足を補うため税務調査は毎年厳しくなってきています。もし、脱税と判断されたら罰金や追徴金だけでなく、禁固刑となる場合もあります。また、EU Savings法により、ジャージー島などのオフショア・タックス・ヘイブンにある銀行は、英国を含めたEU諸国の税務当局から要請されたら顧客情報をすべて提出する義務があります。
 |
節税対策のために既にジャージー島の銀行にまとまった預金があるのですが、何か良い方法はありませんか。 |
様々なプランがありますが、オフショアで設定される
Investment Bond(ボンド)を利用するのが妥当かもしれません。英国の大手保険会社にて管理運営されている一
括投資プランで、日本の終身変額保険に近いと思います。
このプランの中で、HSBC、Barclays、Halifaxなどの大手銀行のオフショア預金をいろいろ組み合わせて運用します。当プランは保険契約なので、受け取った預金利子はプランを解約するまで課税されることなく複利運用されていきます。加えまして、投資元本の年間5%までは課税なしにて毎年引き出し、英国にある銀行口座への自動振込みが可能です。またこの権利は留保することができます。例えば当初5年間何も引き出しがなかった場合、5年後には25%まで(5%×5年)課税なしで引き出すことができるというわけです。このようなボンドの税的特典は英国政府により公認されています。

 |
解約した場合の課税はどうなりますか。 |
前述5%超の引き出し(解約)をした場合や全解約をした場合、英国居住者にはその方の税率にて利益に対して所得税が課せられます。一方、解約の際に非居住者であれば非課税です。
 |
例えばこのプランで毎年5%だけを引き出して、解約の際に英国を離れれば非課税ということですね。 |
はい、税制下ではそうです。しかし、その後居住される国で課税されるかもしれません。預金を含めまして投資というものは税金だけでなく、金利、運用利回りやコストなども重要な判断要素です。また個人の状況によりどのプランが適しているかも様々ですので、ご検討の際には必ず中立的な(銀行などの一定の金融機関寄りでない)専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
 |
キャピタルゲイン税も変わるようですね。 |
株式や不動産などの売却益に対する税金(キャピタルゲ
イン税・CGT)は従来個人の税率にのっとり決定されてい
ました。例えば、所得が約4万ポンド(約940万円)以上
ある方は税率40%なので、CGTも40%でした。来年4月
からはこれが一律18%になる予定です。
 |
税金が安くなるということですね。 |
ケース・バイ・ケースです。税務当局は税率を安くす
ると同時に、長期保有の場合のインフレーションを考慮
した控除(Taper Relief, Indexation)を一切廃止してしま
う予定です。例えば、投資用不動産を10年間保有していますとインフレーションの上昇分を加味して従来は利益
の60%に対してのみ課税されましたが、新税制下では何年間保有していても利益の100%に対して課税されるようになります。
 |
私は小さい会社を経営していますが、もっと会社を大きくし、最終的には売却する計画です。私の場合は新税制下では有利ですか。 |
残念ながら不利と言わざるを得ないと思います。未上場株式は従来「Business Asset 」と定義されていまして、
特別な控除(Business Asset Taper Relief)が適用され、
2年以上株式を保有していれば売却益の25%に対してのみ課税されていました。所得税率が40%としますと、10%(25%x40%)の税率だったということです。新税制下では、この控除が廃止になりますので、税率は18%
となってしまいます。
当コラムは2007年10月時点の法制と税制に基づき、一般的
なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深め
るために内容を簡素化してある場合もあります。ご自身のファ
イナンシャル・プラニングに関しましては、必ず専門家にご相談ください。
|