PSCルールの改正
マネーロンダリングの規則が改正され、これにより私が働く英国企業が会社登記所(Companies House)に報告すべき内容に影響が出ると聞きました。これについて教えていただけますか。
欧州連合(EU)の第4次マネーロンダリング指令(4MLD:Fourth Money Laundering Directive)の実施法である英国の法規が今年の6月26日に施行されました。これにより変わったのは、企業に対する支配権を持つ個人や事業体(PSC: Persons with Significant Control)を、企業が会社登記所に報告する方法や頻度です。
詳しくはどんな改正でしょうか。
以前は、年に一回「確認報告書(Confirmation statement)」 を提出する時点で、会社登記所にPSCに関する情報を報告する必要がありました。現在ではPSC名簿が「適切で正確かつ最新」であるという4MLDの要件を満たすために、各社はPSCの情報に変更があった時点で、会社登記所へこれを報告する必要があります。それに加え、各社は従来通り、PSC名簿の管理をしなければなりません。
常に情報を見直し、必要なら更新し、PSCを追跡するとともに、会社登記所に義務付けられている報告書をすぐに提出する必要があるわけですね。これは、どのような変更時に適用されますか。
各社が会社登記所に直ちに報告するほかに、PSC情報の更新が必要となる一般的な変更点には、次のようなものがあります。
そうするとPSCの要件は、企業の執行役員に対する既存の規則にかなり似たものになりますね。当社も取締役やカンパニー・セクレタリーの詳細に関する変更点は、年に1回ではなく変更が発生した時点で提出しています。
その通りです。各社は、所定の様々な報告書が企業の実態通りになるように提示する必要があります。これが最も関係するのは、企業がPSCを明確にしてその詳細の入手を進めている状態の場合、あるいは企業に対する多大な支配権を持つ人がいないと見なされる正当な理由がある場合です。
これにより記載するフォームも新しくなりますか。
はい、変更点の報告には、「PSC01」から「PSC09」までのフォームを使う必要があります。リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(LLP: limited liability partnership)の場合は、これに相当する「LLPSC01」から「LLPSC09」までのフォームとなります。
ジョン・フィッシャー
パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。