年金自動加入制度:
拠出金の引き上げと検討事項
雇用主が負担する最低金額が変更されるようですね。
2018年4月6日から雇用主の年金拠出金負担は、年金受給基盤となる賃金額の最低2%となり、全体の拠出総額は最低5%となります。つまり雇用主が2%を負担するなら、従業員は3%を負担する必要があります。この最低拠出金の割合は、2019年4月には雇用主が3%、全体で8%に再び引き上げられます。年金の考慮と合わせ、確実に順守するための責任の所在を把握し、報告や通知・申告・提出・支払いを予定通り行うよう確認するのに良い機会となるでしょう。これらは通常、年金アドバイザーや給与計算提供会社が対応してくれることかもしれませんが、最終責任はすべて雇用主にあるため、どんなサービスを望んでいるのか再確認し、3者間で明らかにすることが重要です。また、年金プロバイダーにより対応方法もそれぞれ異なるため、責務の区分は複雑になる場合もあるでしょう。
では誰が、何を受け持つべきなのでしょうか。
下記に主な手続きと誰が何を取り扱うことが多いかの一例を記しています。
そのほか特に知っておくべき事項は何かありますか。
年金プロバイダーは、日常管理を専用のオンライン・システムで行うことが多く、その一部は複雑です。例えばあるプロバイダーでは、新規加入者の登録と審査は、拠出金額アップロードと同時に行わない限りできません。また、拠出金額アップロード時に自動引き落とし指示も自動的に行われるなど、別の手順が一体になり、分離できない場合もあります。
それ以外に何かアドバイスはありますか。
給与計算に正確を期すため、遅れの無い情報調整が非常に重要です。元来は雇用主が保持する上記の既述情報を、給与計算提供会社はもちろん、年金アドバイザーとの間でいち早い共有と確認を行うことが必要です。
それぞれの作業タイミングについてはどうですか。
年金プロバイダーへの拠出金額の報告と支払いの期限は、通常は給与計算報告書や明細書送付、税務当局への提出の期限より大幅に遅いため、変更がある場合、給与計算業務の期限に間に合わせるよう、十分に時間的な余裕を持つ必要があります。それが適わない場合は、給与計算金額と年金基金への提出金額に誤差が出ることがあり、また、これら変更が年金プロバイダーの記録に反映されるまでには時間がかかる場合があり、不一致が生じることがあります。
ジョン・フィッシャー
パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。