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Tue, 25 July 2017

Lifetime ISAについて

若い世代の貯蓄オプションとして待望の「Lifetime ISA」(LISA)が4月より開始されました。今回はこのスキームを理解し、有利な点と不利な点を心得た上で、ファイナンシャル・プランニングに取り入れる検討をしてみましょう。

LISAの仕組みを教えてください。

18歳から40歳未満向けの非課税貯蓄・投資口座で、積み立てられた金額の25%までのボーナスが政府から口座に支給されます。例えば1000ポンドを積み立てるとボーナスは250ポンドで、合計残高は1250ポンドに。ボーナスは2018年4月まで1年毎に、それ以降は月ごとに加えられます。限度額は1税年度4000ポンドですので、ボーナス支給限度額は1000ポンド、1年で5000ポンドまでの積み立てが可能。口座開設は40歳未満ですが、積み立ては50歳まで継続可能ですので、最長投資期間は18歳から50歳までの32年間、ボーナスは最高で3万2000ポンドとなります。

ISA同様、口座内で発生する金利・配当・売却益は非課税で複利運用されていきますが、LISAには資金使途に条件が付いています。①初めて居住用不動産を購入、②定年用として60歳以降に引き出し、これ以外の目的で引き出す場合にはペナルティーが科せられます。

ペナルティーはいくらですか。

引き出し金額の25%です。例えば、前述の例で全額1250ポンドを引き出す場合は、1250X25%=312.50ポンドのペナルティーとなります。

不動産購入の条件は何でしょう。

投資用ではなく、居住用であること、また「ファーストタイム・バイヤー」(生涯で初めて不動産を購入する方)であることが条件で、「初めて購入」の定義には、海外で保有していた不動産も含まれますので、日本などで不動産を保有していた方はLISAを利用できません。購入不動産価格の上限は45万ポンドで、購入に当たっては居住用不動産ローンを利用する必要があります。なお、夫婦などで共同購入する場合でも、それぞれのLISAファンドを頭金として充てることが可能です。ただし2人分のLISA資金を使用できても、不動産価値は45万ポンドまでで、450,000X2=900,000でないことをご留意ください。

 共同購入の場合

LISAを使った不動産購入の際の、資金の流れを教えてください。

購入の際は、LISA運営会社にその旨を報告し、LISA運営会社が不動産購入を司る弁護士に直接資金を振り込みます(本人の口座には振り込まれません)。万が一不動産購入が遂行されない場合、LISAファンドは同じISA運営会社に返金されます。

素晴らしい! では不利な点は何でしょう。

せっかくLISAで貯蓄をしてきても、購入不動産価値が45万ポンドを超えてしまう場合、ペナルティーを払って引き出すか、60歳まで資金にアクセスができなくなってしまうことだと思います。何年後に不動産を購入するのか、ターゲットの不動産価値のそれまでの上昇率なども考慮し、検討されることをお勧めします。

両親の資金補助で初めて不動産を購入する予定なのですが、LISAは使えますか。

LISA資金を利用した不動産の購入は住宅ローンを借りる条件付きなので、キャッシュのみにて購入する場合はペナルティーが科せられてしまいます。ご両親の援助とローン両方を利用するのであればもちろんLISAを利用することができます。

LISAを提供している金融機関はどこですか。

法制や規制の設定が遅れたようで、大手銀行はまだ提供していないようです。預金用LISAはSkipton Building Societyが6月から実施するということです。投資用LISAはいくつかの金融機関が提供しています。下記をご参照ください。

控除額と所得税率(勤労所得)
金融機関種類ウェブサイト
Skipton Building Society* Cash /bank deposits
(預金用)
www.skipton.co.uk/savings/isas
Hargreaves Lansdown Stock & Shares
(投資用)
www.hl.co.uk/investment-services/lifetime-isa
Nutmeg Stock & Shares
(投資用)
www.nutmeg.com/lifetime-isa
The Share Centre Ltd. Stock & Shares
(投資用)
www.share.com/accounts/isa/ready-made-lifetime-isa/account-overview
* 2017年6月から

定年用の資金としての利用条件は何ですか。

60歳以降であれば資金使途が何であれ、全額または部分的に資金引き出しが可能です(ボーナスを含む)。引き出しは非課税、引き出し以外のLISAファンドも継続して非課税で運用することができます。

会社で企業年金(Workplace Pension) に拠出しているのですが、定年用の蓄えには、LISAと年金とどちらが得なのでしょうか。

年金の本人の拠出金支払いには、基礎税額控除が適用されるので、拠出金の25%が年金口座に付け加えられるという点ではLISAと変わりありませんし、運用益が非課税であることも同様です。LISAの有利な点は、引き出し金額に課税されないということでしょう。年金は年金原資の25%までは非課税ですが、それ以外は本人の税率にて課税されます。年金の利点は、受け取り年齢が55歳から(LISAは60歳)、雇用者の払う拠出金、また高所得者(40~45%の税率)の税額控除が40~45%であるということだと思われます。

※ 次回のマネー教室は8月17に掲載致します。
※ 本コラムのバックナンバーにつきましてはこちらをご参照ください。なるほどマネー教室バックナンバー
※ 当コラムは2017年5月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。

 
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和枝ドゥルーリー APFS© 和枝ドゥルーリー APFS
日本人ファイナンシャルアドバイザー(CFP)。十数年間の米英系投資銀行勤務を経て、FAとして独立。日英両方の資格を有する。大手独立系FA会社に所属。
E-mail: info@kazuedrury-ifa.co.uk
Web: www.kazuedrury-ifa.co.uk

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