ニュースダイジェストの制作業務
Sat, 20 April 2024
18 April 2024 vol.1649

英国への不法入国者の数、今年最多に
ルワンダ移送法案をめぐる論争続く

フランス側から小型ボートで英国へ渡ると思われる人々フランス側から小型ボートで英国へ渡ると思われる人々。簡易な救命胴衣を身に着けただけの心許ない格好だ(2023年8月29日撮影)

内務省の統計によると、14日に英仏海峡を小型ボートで渡り英国への不法入国を試みた人が534人に達し、今年最多の人数となった。ニュース専門局「スカイ・ニューズ」(電子版)が伝えた。同日、約10隻の小型ボートが確認されたが、1隻に対し約53人が乗り込んでいた計算になる。今年の小型ボートによる累計入港数はすでに6265件に上り、昨年の同時期より28パーセント、2022年より7パーセントも多い。

英政府はこの記録的な数字を「容認できない」ものとして、現在物議を醸しているルワンダ強制送還計画の必要性を改めて訴えた。

不法入国者を強制的にルワンダに移送する計画、通称ルワンダ法案(Rwanda Bill)は、英国に不法な入国を試みる者への抑止力として機能することを目的に、2022年4月、ボリス・ジョンソン首相(当時)によって導入されたもの。不法入国者のなかには命の危険から逃れてきた亡命者も存在し、法案が成立することで母国へ強制送還され人権侵害にさらされる危険性があると、発表以来異議申し立てが行われてきた。

15日下院では、国内法および国際法への「十分な配慮」を確保する条項を含む法的保護措置の追加を求める上院議員が提出した、ルワンダ安全法案(Safety of Rwanda (Asylum and Immigration) Bill)の修正案の検討を開始。この法案は、最高裁判所が昨年11月にルワンダ法案を違憲と判断したことを受け、「移送先としてのルワンダは第三国として安全な国」であると法的に宣言し、ルワンダ法案を復活させることを目的としている。これまで同法案をめぐる論争は続いてきたが、仮に今回の法案が下院で可決されたとしても上院から修正を求められれば再び下院に戻されるため、成立までのプロセスが長引くことが予想されている。

ジョンソン元首相がこの計画を発表して4月で2年を迎え、すでに2億4000万ポンド(約457億円)が投じられてきたが、ルワンダへの移民の送還は2024年4月現在まで行われていない。政府は移送の飛行機がいつ離陸するかは「春に」とだけ述べ、具体的な日付は明らかにしていないものの、スナク首相は年内に予想されている総選挙に向け、移送を開始するよう党内から圧力をかけられている状況だ。

なお、政府の内部文書によると、英政府はコスタリカやアルメニアなどの他国へも、同様の法案を成立させるためのアプローチをすでに行なっている。政府の報道官は「世界的な不法移民問題に取り組むため、数ある国際的なパートナーと協力している」と述べた。

 
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