バナー
Mon, 24 September 2018

英国発ニュース

英EU離脱派、北アイルランド問題で提案-楽観的な見通し

 (ロンドン 9月13日 時事)英国の欧州連合(EU)離脱交渉をめぐり、EUとの協調路線を鮮明にしたメイ政権に批判的な与党・保守党内のEU懐疑派は12日、離脱交渉で最大の懸案となっている英領北アイルランド問題の解決に向けた提案を発表した。貿易の世界で既に運用されている技術や仕組みを組み合わせて対応すれば、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に税関などの国境設備「ハード・ボーダー」を復活させなくて済むと主張、極めて楽観的な見通しを示している。

 与党の懐疑派の牙城「ヨーロピアン・リサーチ・グループ(ERG)」が記者会見。ERGを率いるジェーコブ・リースモグ下院議員のほか、デービス前EU離脱担当相や、1998年の北アイルランド和平合意に携わりノーベル平和賞を受賞したデービッド・トリンブル元北アイルランド自治政府首相らが同席した。

 この中でERGは、北アイルランドとアイルランドの間には「現時点で国境が存在する」とアピール。離脱交渉の目的は、関税や物流に関する双方の仕組みを完全に一致させることではなく、違いを前提にして協力し合い、ハード・ボーダーを回避することだと強調した。

 その上で、英国が離脱に伴ってEUの関税同盟と単一市場から脱退すると、北アイルランドとアイルランドの間の物流には①税関申告、②原産地証明、③製品の規格基準検査、④動植物の検疫-などが必要になると指摘。①は事前の電子申告で済ませ、②はEU加盟国が途上国から輸入を行う際の原産地証明に利用する業者登録の「REXシステム」を流用し、③は規制調和でクリアし、④は相互認証と国境から離れた場所での検査実施で対応できるとした。

 EUのバルニエ首席交渉官も、税関検査を遠隔地で行う可能性を検討。「テクノロジーを活用し、簡素化できるかもしれない」などと述べており、懐疑派の提案はあながち一蹴できない。

 ただ問題も残る。懐疑派は「離脱しても、英EUの規制は最初は全く同じだ」と繰り返したが、いずれ米国などと自由貿易協定(FTA)を締結し、EU禁止しているホルモン牛肉や塩素消毒チキンの流通を受け入れる可能性がある。その場合、これらの食品がアイルランドに持ち込まれるのをどうやって防ぐかについては明確な説明がなかった。

 また、懐疑派はEUと関税ゼロ、数量制限ゼロのFTAが締結されることを前提に主張を展開している。仮にFTAがまとまらなかった場合の保険(バックストップ)については一切言及がなかった。ところが、実際の交渉では、このバックストップが最大の懸案として残っており、双方の合意を阻んでいる。会見ではこの点に質問が及んだが、懐疑派は回答を避けた。

 会見ではトリンブル氏が「(万一の場合は北アイルランドをEUの単一市場に残留させることをうたったEUの)離脱協定案は、(将来の帰属問題に関しては北アイルランド住民の)同意を原則とすることを明記した北アイルランド和平合意に明確に抵触する」と述べ、バルニエ氏を強く批判した。

 しかし、2016年6月の英国民投票は、北アイルランド地域に限れば離脱票は44.2%と半数に届かず、残留票が55.8%と多数を占めた。住民の意思を最優先するなら、投票結果に従って北アイルランドをEUに残留させることになってもおかしくない。
 
  • Facebook

バナー
キャリアコネクションズ 習い事&スクールガイド
バナー バナー

ロンドン・レストランガイド
ブログ 暮らしの手引き ゲンダイゲストハウス

UK便利ガイド検索

カテゴリ選択
City / County
エリア