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「おばさん」と呼ばないで

「どうして私のアンティ(おば)ではないのに、くみこは自分のことを『おばちゃん』って呼ぶの?」。娘が幼いころ、日本から我が家に友人が遊びに来てくれて、少しの間、子どもたちと遊んでもらったことがありました。そのとき、遊び終わった後の娘からの質問が上記のものでした。
日本でなら、友人の子どもに向かって話しかけるとき、自分のことを「おじちゃん」「おばちゃん」と呼ぶ人は少なくありません。友人も多分、無意識にそう言ったのだと思います。ただ、英国で育っている娘には、「おばちゃん」という日本語は分かっても、それは私の姉のことであって、母親の友人が「おばちゃん」と自分自身を呼ぶことの意味が分からなかったようでした。さらにいえば、たとえ実際のおばである私の姉についても、子どもたちはいつもファースト・ネームで呼んでいて、「アンティ」と呼ぶことはありません。なので、余計に混乱してしまったようです。
考えてみると、私たち日本人は自分のことを「おじさん、おばさん」呼ばわりすることがよくあるのに気づきます。また、先日もあるインタビューの記事で「こんなおばさんでも頑張っているんだから、若い人ももっと頑張って」ということを言っている有名人の方の言葉を見かけました。
一方、英国では自分のことを「おじさん」「おばさん」と呼ぶことはほとんどありません。実の姪や甥に話しかけるときなら普通は「I」(私)を使います。
これはたとえば、子どもたちの友人と話すときでも同様です。日本でなら自分の子どもの友達からは「○○ちゃんのお母さん」または「おばちゃん」と呼ばれることが多いでしょう。でも、ここではみんなファースト・ネームで呼ばれます。我が家の双子が英国で幼稚園に行くようになり、子どもたちの友だちから「マミ」と呼び捨てにされたとき、最初はびっくりしたのを思い出します。一つ付け加えると、英国では子どもが幼いときにはお母さんのことを「マミィ」と呼ぶことが多いので、子どもの友人たちを混乱させないよう「私は○○のマミィで、名前がマミだよ」と、毎回最初に説明を付け加えていました。
子どもがティーンエイジャーとなった今では、ファースト・ネームで呼ばれることにもすっかり慣れ、むしろ子どもたちの友だちとも、まるで友だち気分で付き合うことができています。
なぜ日本人は自分をおじさん・おばさん呼ばわりするのかを論考するには紙幅が足りませんが、思い起こすと私自身は、現在30数歳になる日本の甥っ子には、初めからファースト・ネームで「マミちゃん」と呼んでもらっていました。それを考えると、私は日本にいるときから知らずに英国式を実践していたことになります。



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