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水はタダじゃない⁉︎

前回のコラムでご紹介した、ロンドン大相撲観戦に出かけたとき、英国人の友人たちとレストランに行きました。このコラムのネタ集めにぴったりの機会だと思い、日本に行ったことがある2人に「英国と日本とのギャップ」について質問しました。ちょうどレストランにいたこともあってか、ドリンクと料理の注文を終えてすぐ、Jが「日本のレストランやお寿司屋さんでは、席についた瞬間に冷たいお水や温かいお茶が無料で出てきて、最初はどうして注文する前に飲み物が出てくるのか理解できなかった」と言いました。
確かに日本では、スタッフがテーブルまでサービスをしてくれるほとんどのカフェやレストランでなら、客が頼まなくても水やお茶を無料で運んできてもらえます。もう一人の友人Tも、「そういえばお寿司屋さんに行ったらポットに入った温かいお茶が飲み放題だった。ロンドンでは日本食レストランでお茶を頼むとグリーン・ティーが1杯4〜5ポンドするから、日本ではタダというのにびっくりしたよ」と日本での経験を話してくれました。
思い起こせば、私が英国に来てすぐ、貧乏学生をしていたころ、語学学校の友人たちとカフェやパブに行くと、みんなミネラルウォーターを注文するので、この国ではレストランで水を飲みたかったら、注文してお金を払わなければいけないと思い込んでいました。ところがあるとき、友人が「タップ・ウォーターをちょうだい」とウェイトレスさんに言い、するとスタッフがグラスに入ったお水を持ってきてくれました。当時の私には友人の「タップ・ウォーター」の発音が聞き取れなかったのですが、私よりかなり長くロンドンに暮らしている友人が、「これは水道水だからお金は払わなくていいんだよ」と教えてくれました。
それ以来、私もタップ・ウォーターを頼めるようになりました。それから20年以上経った今、カフェなどではカウンターの近くにセルフ・サービス用のグラスと水の入ったジャグが置いてある場所は多いですが、客が頼む前に水を自動的に出してくれるレストランが増えているようには感じません。
法律では、イングランドとウェールズの「酒類を提供する免許を持つ施設」(Licensed Premises)では、客からの要請があれば無料の飲料水を提供しなければならない、とされています。なのでタップ・ウォーターを頼めば、ほとんどのお店で無料の水を提供してもらえるでしょう。とはいえ、Jによれば「誰もが水を必要としているわけではないので、日本のように自動的に全員に水を出さなくても、僕はいいと思う」とのこと。なるほど、「なくて当たり前」の視点からだとそう考えるのだな、と感じたレストランでのひと時でした。



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マクギネス真美






