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Sat, 30 May 2026

メイド・イン・ブリテン Made in Britain 英国ブランドの物語

#59ロシア貴族が求めた香りが、庶民派の石けんに

Imperial Leather / Original Bar Soap Imperial Leather / Original Bar Soap

インペリアル・レザー / オリジナル・バー・ソープ
Imperial Leather / Original Bar Soap

£2.95(90g x 4)
www.imperialleather.com/uk

金を縁取った黒のラベル。石けんの中央に鎮座するそのエンブレムは、インペリアル・レザーのオリジナル・バー・ソープのトレードマークだ。手に取ると、日本の「牛乳石鹸」にも通じる、どこか懐かしい香りが広がる。花とスパイスの華やかさに、ほのかに革を思わせる深みが重なり、クラシックな石けんならではの趣を感じさせる。

欧州では古くから、革製品に香水を染み込ませる文化があり、その複雑な香りは富と洗練の象徴とされてきた。「インペリアル・レザー」(帝国の革)という名が、このブランドの香りの世界観を物語っている。その香りの起源は1768年のロシア宮廷にさかのぼる。ロシア皇帝に仕えた貴族グリゴリー・オルロフ伯爵が、ロンドンのボンド・ストリートにあった香水店「ベイリーズ」(Bayleys)にロシア革を思わせる香りを依頼したことが始まりだとされている。こうして誕生した「オー・ドゥ・コローニュ・アンペリアル・リュス」(帝国のロシア革)という香りは、その後1世紀半以上にわたり受け継がれた。

1921年、英北部マンチェスターの石けんメーカー、カッソンズ(Cussons Sons & Co)がベイリーズを買収。この由緒ある香りをもとに石けんとして製品化し、1938年に「インペリアル・レザー」として発売。以来、英国を代表するバス・ブランドの一つとして親しまれてきた。

第2次世界大戦中、英国では石けんも配給制となった。そのような時代でも同社は「ほかの石けんより長持ちするから、配給クーポンをより有効に使える」と広告し、品質への自信を打ち出した。石けん中央のラベルも、発売当初から「石けんを長持ちさせる工夫」としての役割がうたわれてきた。ラベル面を下にして置くことで水切れが良くなり、溶けにくくなるという発想から生まれた中央のラベルは、現在もブランドの象徴として受け継がれている。

現在はPZカッソンズのブランドとして、シャワー・ジェルやハンド・ウォッシュ、入浴剤など幅広いラインナップを展開している。それでも、中央にラベルを配した固形石けんは今なお定番であり、ブーツやスーパードラッグなどで手頃な値段で購入できる。

 
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