第194回
英国の2025年秋季予算
法人税率に大きな変更はありましたか。
法人税の基本税率は25パーセントのままで、小規模利益税率も19パーセントに維持されます。この継続性は今後の見通しの面では好材料ですが、コンプライアンスと罰則の強化が見込まれます。関連当事者取引に関する新たな開示規則も導入されます。
設備投資に対する新たな優遇措置はありますか。
2026年1月1日より、これまで全額償却の対象外だったリース用資産を含め、ほとんどの設備・機械に40パーセントの初年度一括償却(First-year Allowance=FYA)が適用されます。ただし26年4月から定率法償却率が18パーセントから14パーセントに引き下げられるため、既存の古い資産プールは償却期間が長くなります。英国子会社が大型設備の購入を計画している場合、FYAの恩恵を受けるために購入の前倒しを検討してください。
国際税務で新たな動きはありますか。
政府は、迂回利益税(Diverted Profits Tax=DPT)を法人税制度内の新たな課税規定に置き換える方向です。移転価格(TP)と恒久的施設(PE)の規則に関する改正案には、英国法人間の移転価格の撤廃、英国の「PE」の定義を最新の国際的合意に整合させることなどがあります。また、新たな国際統制取引スケジュール(International Controlled Transactions Schedule=ICTS)により、27年からは国境を越えた関連当事者取引の詳細な報告を義務付けるとともに、Pillar 2(グローバル・ミニマム課税)の追加課税の仕組み導入に向けた動きが続きます。
研究開発(R&D)や特許ボックスの制度には何か変更がありますか。
英国は、研究開発集約型企業への強化支援を含めた統合研究開発税制を維持し、控除率にも変更はありません。ただ、申告前の確実性を高めるため、26年春に中小企業向けに事前承認制度(Advance Assurance)を試験的に導入します。こうした安定した税制環境は、大規模な申請者にとって引き続き実質的なメリットをもたらす特許ボックス制度によって補完されています。
資金調達や人材の獲得、定着促進についてはどうですか。
今回の予算では、英国市場に新規上場する企業の株式譲渡に対して3年間の印紙保留税(SDRT)の免除が導入されます。これは25年11月27日に発効します。EISとVCTの投資の上限は26年4月から引き上げられますが、VCTの所得税控除率は20パーセントに引き下げられます。中小成長企業の税制優遇付きストックオプションであるEMI制度は拡充され、従業員数の適用上限の引き上げ、資産上限額の拡大、オプション有効期間の延長が行われます。
この戦略は、日英関係にどのような意義を持ちますか。
八つの主要セクターは、長年にわたる日英の貿易・投資分野の歴史と密接に関連しています。広島アコードや英国のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)加盟などの最近の動きと合わせて、この戦略が二国間の経済協力と相互利益を強化することを示唆しています。
日英のビジネス関係にはどのような影響がありますか。
英国は継続性を示し、投資やイノベーションの促進、国際税制規範との整合化を続けています。日本企業にとっては、特に先端製造業、グリーンテック、共同R&Dの投資で予期せぬ事態が減り、機会が増えることになります。SDRTの軽減措置やベンチャー支援策は、日本の投資家による英国拠点の資金調達を促進する可能性があります。以下が主なポイントになります。
- 設備投資を早期に計画し、定率法償却率(WDA)が低下する前に40パーセントのFYAを確保する
- TPとPEの枠組みを更新し、OECDのルールへの準拠とICTSの報告に対応する
- 研究開発(R&D)と特許ボックスを活用する
- 英国での上場(IPO)やEMIのストックオプション制度を活用し、成長支援と人材定着を進める
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
ジョン・フィッシャー監査・会計 パートナー Ernst & Young、野村證券を経て現職へ。高度な会計技術に加え、ビジネス日本語も得意とする。社内のみならず日系顧客からも高い信頼を寄せられている。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。



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