ウィーンやザルツブルクだけじゃない 音楽の都オーストリアで楽しむ野外コンサート
音楽の都オーストリア。その名を聞いて思い浮かぶのは、ウィーンの国立歌劇場やザルツブルク音楽祭だろう。しかし、この国の音楽はホールの中だけにとどまらない。中世の城の敷地内にある野外ステージ、湖上に浮かぶ舞台、ローマ時代の採石場を舞台にしたオペラなどさまざまな顔がある。本特集ではニュースダイジェスト編集部員が、ウィーン近郊のニーダーエスタライヒ州からブルゲンラント州を縦断し、知られざるオーストリアの音楽文化を体験。コンサート・ホールとは一味違う、この国の夏の楽しみ方をご紹介する。 (文:英国ニュースダイジェスト、取材協力: オーストリア大使館観光部)
オーストリアの地図

首都ウィーンを取り囲むように広がるのが、オーストリア最大の州・ニーダーエスタライヒ州。「低地オーストリア」を意味し、国内では比較的標高の低い地域が広がる。一方、ブルゲンラント州はその東に位置し、ハンガリーと国境を接するオーストリア最東端の州。広大な平原やブドウ畑、湿地や湖沼地帯が広がる。どちらの州もウィーンから鉄道で約30分~1時間半とアクセスしやすい。
アクセス:ロンドンからウィーンへ直行便で約2時間半。ウィーンを起点に、ニーダーエスタライヒ州、ブルゲンラント州へは鉄道や車で約30分~1時間半。
ニーダーエスタライヒ州
お城の敷地内で開かれる
グラーフェネック音楽祭
2026年8月14日(金)~9月6日(日)
www.grafenegg.com
ウィーンのフランツ・ジョセフ(Franz Josefs)駅から約1時間。ニーダーエスタライヒ州の北西の町グラーフェネック(Grafenegg)に、歴史的なグラーフェネック城❶❷がある。15世紀に築城された後、幾度かの変遷を経て現在は英国チューダー様式の意匠を取り入れた優美なネオゴシック建築として知られる。敷地内の広大な庭園には現代的だが自然と調和した野外ステージ「雲の塔」(Wolkenturm)❸があり、夏の間はコンサートが開かれる。中でも毎年8~9月に開催されるグラーフェネック音楽祭は、ザルツブルク音楽祭に次ぐ質の高い演奏で国内の音楽ファンを魅了。今年は第20回を迎え、芸術監督を務めてきたピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーが退任する節目の年でもある。
❶ 音楽祭の舞台としても知られる古城、グラーフェネック

❷ 光の入り方が印象的な城の内部
❸ 会場の外ではピクニックもできる
取材では、夏の訪れを告げる「真夏の夜のガラ・コンサート」❹を鑑賞。演奏はニーダーエスタライヒ州を本拠とするトーンキュンストラー管弦楽団が担当し、フランス出身の指揮者ファビアン・ガベルがタクトを振った。地元の人々が体を揺らしながら気軽に音楽を楽しむ姿に、クラシック・コンサートにありがちな堅苦しさはない。
❹ 真夏の夜のガラ・コンサート
ベートーヴェン没後200周年にあたる来年、2月13日にはグラフェネックにて名誉指揮者の佐渡裕さんがトーンキュンストラ―管弦楽団を指揮する。
グラーフェネック城の敷地内にはミシュランのビブグルマンに選出された「モルヴァルド・グラーフェネック・レストラン」(Mörwald Grafenegg Restaurant)があるほか、16棟のコテージ❺も用意されている。コンサートの後に慌ただしく帰るのではなく、テラスでワインを片手にプライベートな夜を過ごし、そのまま宿泊できる空間だ。翌朝は、32ヘクタールの敷地内をのんびりと散策。芝生で思い思いに過ごす人々の姿も印象的で、肩ひじ張らずに欧州の夏を満喫できる。コンサート開催日ならウィーンから片道50分のシャトルバスも運行され、音楽と建築、ワイン、グルメを一度に楽しめるのが魅力だ。
❺ ゆっくり滞在できるコテージ。早朝には窓の外に野ウサギの姿も
ブルゲンラント州
湖の風に吹かれながら
メルビッシュ湖上音楽祭
2026年7月16日(木)〜8月22日(土)
www.seefestspiele-moerbisch.at
ブルゲンラント州の魅力は、ハンガリー国境近くの町、メルビッシュのノイジードラー湖(Neusiedler See)にある。ヨシ原に囲まれた浅い湖❻で、ウィーンから車で約1時間と、手軽に行けることから「ウィーンっ子の海」とも呼ばれる。豊かな自然が広がり、ラムサール条約の登録湿地にも数えられている。その水上に、欧州最大級の野外舞台が現れるのが、メルビッシュ湖上音楽祭(Seefestspiele Mörbisch)だ。
❻ 周囲にはヨシの草原が続く
毎年夏、湖面に張り出した特設ステージでオペレッタやミュージカルが上演される。これまでにも「ウエストサイド・ストーリー」「王様と私」といった作品がかけられてきたが、今年の演目は日本でもたびたび上演されているミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」(La Cage aux Folles)❼。ゲイのカップルを主人公に、あるがままの姿を受け入れることの素晴らしさをコメディー・タッチで描いた作品だ。取材では、芸術監督で主演の一人でもあるアルフォンス・ハイダー氏の案内で、バックステージツアーに参加した❽。同氏は本作のテーマについて、「寛容、平等、そして自由への賛歌」であると語る。同性愛嫌悪や排除の動きが再び勢いを増す今の世界で、オープンであること、自分らしくあることの力を示す物語だという。象徴的なテーマ曲は「私は私」(I Am What I Am)。
❼ ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」(La Cage aux Folles)
❽ 取材陣を案内するアルフォンス・ハイダー氏(写真右)
南仏リヴィエラのナイトクラブが舞台❾のため、幅60メートル、総延長1000メートルの大階段、中央には直径10メートルの回り舞台が設置されている。手動で動かす金色のケージや、鮮やかなムービング・ライトも配置され、舞台に躍動感が生み出されるデザインだ。湖面に浮かぶ巨大な舞台装置と6000人規模の客席が一体となるスケール感が、この湖上音楽祭の最大の魅力の一つといえる。また、客席上部まで上がると、湖の向こうにはハンガリーの景色が広がる❿。湖一つ隔てて隣国と向き合うこの眺めは、八つの国と国境を接するオーストリアならではのものだ。
❾ 取材当日は舞台でリハーサルが行われていた
❿ 湖の向こう岸はハンガリー
ブルゲンラント州
圧巻の舞台セット
ザンクト・マルガレーテン音楽祭
2026年7月15日(水)〜8月22日(土)
www.operimsteinbruch.at
ブルゲンラント州の二つめの音楽祭は、ウィーンから70キロほど離れたザンクト・マルガレーテンの採石場(Oper im Steinbruch Sankt Margarethen)⓫が舞台だ。ローマ時代から切り出されてきた石灰岩の岩壁を、そのまま天然の音響装置に見立てた野外オペラが、毎年夏に上演される。きっかけは1991年、この地で開かれたロシア民謡合唱団のコンサートだったという。教会音楽にも通じる歌声が岩壁に響き渡る様子に感銘を受けた地元関係者が、本格的なオペラ上演を思いついたのが始まり。96年、ヴェルディの「ナブッコ」で始まったこのオペラ祭は、初年度は観客数1万1000人だったが、2025年には8万人を超える規模に成長した。
⓫ 採石場という立地をぞんぶんに活用した会場
今年の演目はプッチーニの「トスカ」⓬。実際に足を運んで驚いたのは、舞台セットの規模だ⓭。岩壁を背景に組み上げられたセットは、コンサート・ホールでは決して見られないスケール感で、オペラに詳しくなくても、その迫力だけで十分に楽しめる。ローマのサンタンドレア・デッラ・ヴァッレ聖堂、ファルネーゼ宮殿、サンタンジェロ城などが再現され、芸術監督のダニエル・セラフィン氏の話を聞いていると、玄人がじっくり音楽に向き合う場というより、誰もが気軽に「すごい」を体験できる、間口の広いエンターテインメントを目指しているようだ。ちなみに、セラフィン氏は、先に挙げたメルビッシュ湖上音楽祭の芸術監督を長年務めたハラルト・セラフィン氏の息子でもあり、2019年にこの採石場オペラの芸術監督に就任している。メルビッシュ湖上音楽祭同様、夏の野外で涼しく音楽鑑賞するにはぴったりの場所だ。
⓬ 今年の演目はプッチーニの悲劇「トスカ」
⓭ 採石場を利用した印象的な舞台セット
観客席は4670席
ローマのバロック様式をイメージしたステージ・デザイン
第1幕のクライマックス、「テ・デウム」のシーンで使われるコスチューム
出番を静かに待つ仮面たち。大聖堂を舞台にした第1幕のフィナーレに登場する
また、この採石場から切り出された石は、ウィーンのシュテファン大聖堂やリンク通りの建物にも使われてきた。運営は、ハプスブルク家に仕えた名門貴族の流れを継ぐエスターハージー財団。同財団はワイン醸造も手がけており、幕間に振る舞われるワインも名物の一つ。
ブルゲンラント州
クラシックだけじゃない
ノヴァ・ロック・フェスティバル
ノヴァ・ロック・フェスティバル(Nova Rock Festival)⓮は、ブルゲンラント州の東部に位置するニッケルスドルフ(Nickelsdorf)で、毎年6月に開催されている野外フェス。2005年のスタート以来、ハード・ロックやヘヴィ・メタル、パンク・ロックがメインだが、親子で来ている観客も多く、オーストリアで愛されているフェスの一つであることが伺える。地元の食材やメニューにこだわった屋台が立ち並ぶほか、バンジーやローラー・ディスコを始めとしたアトラクションも数多く、移動式遊園地、バーベキュー・エリア、ノイジードラー湖畔にある美しい町ポダースドルフ(Podersdorf am See)へのシャトルバスなどが出ている。フェスの合間に湖で泳いでリフレッシュすることも可能だ。
⓮ 暗くなればなるほど盛り上がる会場

今年のヘッドライナーは、北欧のメタル・バンド、ヴォルビート(Vol beat )、英国のベテランであるザ・キュア(The Cure)とアイアン・メイデン(Iron Maiden)、同じく英国からオルタナティブ・メタルのブリング・ミー・ザ・ホライズン(BMTH)が出演した。2027年は、6月10日(木)〜12日(土)に開催予定。出演者の詳細は、順次ウェブサイトで発表されるので確認しよう。
米バンドのジ・オフスプリングが登場
コウノトリの飛来地 ルストの魅力

ノイジードラー湖の西岸、メルビッシュから北へ車で15分ほどの場所に、ルスト(Rust)という小さな町がある。人口はわずか2000人足らず。かつてハプスブルク帝国最大の地主といわれたハンガリー貴族エスターハージー家が治め、同家のもとでワイン醸造が盛んに行われてきた。ウィーンからは電車とバスを乗り継いで約40分〜1時間半ほどで到着できる。
歩いてすぐに回れるほどのコンパクトな旧市街には、グレーをまぶしたパステル・カラーの壁に、切妻屋根を載せた家々が軒を連ねる⓯。ハンガリー風といわれる家々が立ち並ぶ旧市街には、ワインを楽しめるレストランや直売店⓰が点在し、町全体がワイナリーのような雰囲気。昼食には、ミシュラン・ビブグルマンの食堂「キルヒェンヴィルト・ルスト」(Kirchenwirt Rust)⓱へ。地元産の赤ワインが名物なので、ぜひ一杯試してみていただきたい。
⓯ コンパクトな旧市街
⓰ ワインの直売所 ⓱ 食堂「キルヒェンヴィルト・ルスト」(右写真)
白アスパラガス(シュパーゲル)の旬は4~6月中旬
もう一つの名物は屋根の上の住人、コウノトリ⓲だ。春になると、煙突や煙突近くの台座に次々と巣がかけられる。2024年には86羽のヒナがここで誕生し、130羽近いコウノトリがルストの旧市街の屋根の上を飛び交ったという。童話の世界のようにかわいらしい街並みと、空を見上げれば必ず一羽は目に入るコウノトリ。ワインと鳥、両方を楽しみに、気軽に立ち寄ってみたい町だ。
⓲ 屋根の上の住人、コウノトリ



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1877年、ロンドンの貝売り。牡蠣やツブ貝などの貝類は、安くて栄養のある庶民の味として人気を集めた
戦後のベルリンで温かい食事を求めて集まる人々。荒廃した都市では、移動販売や簡易食堂が人々の空腹を満たす貴重な存在だった
ポーランドに残る伝統的なミルク・バー。共産主義時代、安価な大衆食堂は欠かせない食の場だった
英国 

スペイン 
ハンガリー
フランス
ドイツ

オーストリア
オランダ
ベルギー
ポーランド
エイヴォン川から見るウォーリック城
スコットランドのアバディーンシャーにあるクレイギーヴァー城(Craigievar Castle)。ピンク色のメルヘンな外壁はディズニーの作品作りにも影響を与えたといわれている
英北部ヨークにあるクリフォーズ・タワー(Clifford's Tower)は、1068年に木造の天守閣が造られ、13世紀に現在の石造りのものになった
現在のイングランド東部のノリッジ城(Norwich Castle)の天守閣は1094〜1121年に建造。近年の調査で、アングロサクソン人の墓の上にベイリーが造られたことが分かった
ウェールズのケルフィリー城(Caerphilly Castle)は、エドワード1世ではなく同地一体の領主であったノルマン人のギルバート・ド・クレアによって築城された














11ベッドルーム、12バスルームで300万ポンド(約6億4000万円)で売られている城の広告
ロンドン東部ハックニー区長選挙でゾーイ・ガーベット氏が当選し、同氏の両親と喜びを分かち合う、ポランスキー党首(写真中央左)
ポランスキー党首(写真左)、与党労働党のスターマー党首(同中央)、リフォームUKのファラージ党首(同右)。5月7日の地方選で議席が大変動した
ザック・ポランスキー党首

スコットランド緑の党(Scottish Greens)
新しくスコットランド議会議員となったメンバーたち
ウェールズ緑の党(Wales Green Party)
党首のアンソニー・スローター氏
ドイツ
オーストリア
フランス
デンマーク
ノルウェー

竹永浩之さん 






























(写真左))中古で買ってもらったランドセルを背負って登校!

1953年、ウェストミンスター寺院での戴冠式の様子
エリザベス女王の戴冠を祝う、記念のマグカップ
2012年のダイヤモンド・ジュビリーで英国各地を訪問したエリザベス女王
2022年のプラチナ・ジュビリーに、バッキンガム宮殿のバルコニーに現れたエリザベス女王
ウェストミンスター寺院
聖ポール大聖堂の内部
ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚を記念したグッズ
ロウナー・ロンドンのバッグはエリザベス女王が愛用した
左)男性のグルーミング商品から始まったフローリスのトワレ
Netflix制作のドラマ・シリーズ「ザ・クラウン」(2016年)の一場面。クレア・フォイ演じるエリザベス女王の戴冠式


世代交代を続けながら、これからも英国の象徴として存在するのか
春の日が差すストラトフォード・アポン・エイボンにあるシェイクスピアの生家
春になり多くの花が満開のときを迎えたロンドンのキュー・ガーデンズ
湖水地方の玄関口にあたる、カンブリア地方のウィンダミア湖を望む
エアシャー東部にあるルードン・ヒル
バッキンガム宮殿近くのセント・ジェームズ・パークは、春には一斉にその景色を変える
サリーの国立自然保護区で春を告げるカッコウ
英南西部ドーセットの緑の草に覆われた丘陵地帯
英北部ハルの大聖堂。ラーキンは同地で図書館長として暮らした
T.S エリオットが妻と過ごしたマーゲイトのノースダウン・パークには、紫色の花が咲く
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ベルによる電信装置の特許出願図面
1875 年に初めて音声を送信した、ベルの電話の複製
晩年のグレアム・ベル(写真左)と、妻のメイベル(同右)。メイベルはベルの研究に協力を惜しまなかった
Hello Girls 第1次世界大戦中の女性交換手たち
簡易図書館になったウェールズの赤電話ボックス
















