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Sun, 14 December 2025

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NHS利用料の徴収

英国では4月6日より、日本人を始めとする欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ移民に対して、国民医療制度(NHS)の利用料が課金されることになりました。今回は、多くの在英邦人に影響を与えることになるこの新制度について解説いたします。

年間200ポンドの課金

NHSはこれまで、英国民や永住権保持者を主な対象として、一部の例外を除き、無料で医療サービスを提供してきました。しかし、短期滞在者による同制度の乱用や財政状況の悪化などを受けて、英政府は近年、外国人を中心としたNHS利用者への対応の厳格化を検討。こうした動きの一環として、英国の内務省は、3月下旬、日本人を含むEEA圏外の国籍を持つ中長期滞在者から、NHSの利用料に相当する「ヘルス・サーチャージ」を徴収すると発表しました。2015年4月6日以降は一部の例外を除き、英国への滞在許可の新規取得及び延長を申請する人は、年間200ポンドの料金をヘルス・サーチャージとして支払うことが求められます。尚、一般的には学生ビザに位置付けられるTier4の申請者の料金は150ポンドです。

一括払いできなければ申請拒否

同制度では、滞在許可が定める滞在年数分の料金を前払いで一括して支払わなければなりません。例えば、いわゆる現地採用の在英邦人の方々が多く取得する5年間の労働許可「Tier2(General)」を取得する場合は、料金は200ポンド×5年分となる1000ポンド。加えて配偶者1人、子供3人とともに英国に滞在する場合の総額は、200ポンド×5年×5人=5000ポンドに達する可能性があります。内務省は、ヘルス・サーチャージの支払いが確認できなかった場合には、滞在許可の申請が拒否または無効になると述べているので注意が必要です。

多くの駐在員の方々が該当するTier2(Intra Company Transfer)保持者はこのヘルス・サーチャージを支払う必要がありません。しかしながら、同滞在許可の申請時に、ヘルス・サーチャージの支払いを行うための専用ウェブサイトで照会番号を取得する必要があります。

短期旅行者への影響

6カ月以内の旅行者に対しては、ヘルス・サーチャージの支払いが免除されています。ただし、旅行者のNHS利用についても対応を強化。4月より、EEA圏外の国籍を持つ旅行者がNHSで治療を受けた場合には、治療費の150%に相当する金額を請求することになりました。この支払いを履行できず、未払い額が1000ポンド以上に達すると、同料金の支払いが行われるまで英国への再入国または滞在が認められなくなります。

申請拒否の場合は返金に

滞在許可の申請自体が拒否された場合には、一度払い込んだヘルス・サーチャージは後ほど返金されます。しかしながら、滞在許可を取得しながらも来英しなかったり、英国滞在中に一度もNHS提供のサービスを利用しなかったなどの理由で、ヘルス・サーチャージが返金されることはありません。

このように、ヘルス・サーチャージの導入により、英国への滞在許可の申請手続きはさらに煩 瑣(はんさ)なものとなりました。既に英国の滞在許可申請は、申請者が一人で手続きの準備を進めることがほぼ不可能と言っていいほど複雑さを増しています。また英国の内務省による移民への取り締まりは引き続き厳格化されることが見込まれているので、申請者は相当な準備を行うことが求められるでしょう。滞在許可を取得するには、できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めることをお勧めします。

 

2月26日に発表された変更点について

英国の内務省は、2月26日、英国への移民に発給される滞在許可に関連した一連の変更措置を発表しました。発表内容には在英邦人にも影響を与え得る変更事項が多く含まれているので注意が必要です。今回はこれらの変更点の概要をお伝えいたします。

● 申請が拒否された場合のアピール

2015年4月6日以降は、英国への滞在許可の申請または延長が拒否された場合に、アピールを行うことができなくなりました。代わって、事務処理上の誤りを理由として申請が拒否された場合には、今後は不服審査(Administrative Review)と呼ばれる手続きを経る必要があります。また一部の事例については、司法審査において審査が行われます。

● 英語能力証明テスト

英国での滞在許可を申請する上で一定の英語能力を持つことを証明するために求められる書類は、4月6日以降、①英語で履修した修士または博士課程の修了証、②正式に認可された会場で実施されたIELTSの試験結果、③英国内で実施された、試験機関「トリニティ・カレッジ・ロンドン」が管轄する英語試験の試験結果、のみに限定されます。上記3種類のいずれにも相当しないものの、従来は内務省によって証明手段として認められてきた試験を4月5日までに受けた場合には、11月5日までその試験結果を証明書類として使用できます。

● Tier1(起業家ビザ)

英国で起業することを計画している人々を対象として発給されるのが、「起業家ビザ」です。同ビザでは、①初回申請時、②延長または同カテゴリーを経由しての永住権申請時、のそれぞれに対して異なる変更が発表されました。

① 初回申請時

自己資金を申請時に至るまでの90日間以上維持できなかった場合、今後は申請者に対して資金を提供した第三者の身元を明らかにする必要があります。またこれまで必須ではありませんでしたが、事業計画書(ビジネス・プラン)の提出も義務付けられるようになりました。

② 延長または同カテゴリーを経由しての永住権申請時

これまで初回申請時のみを対象としていた、正真正銘の起業家であることを証明するテストが、延長または同カテゴリーを経由しての永住権申請時にも適用されることになりました。同テストにおいては、追加の書類提出また場合によっては面接などを通じて、申請者が起業家として活動してきたことを証明するよう求められます。

● Tier2

いわゆる就労ビザに相当するのが、Tier2というカテゴリーにおける滞在許可です。このカテゴリーでの申請に必須となるスポンサーシップ証明が4月6日以降に発行された場合、各サブカテゴリー(General、Intra-Company Transferほか)に設定された最低給与額が引き上げになると発表されました。またこれとは別に職種別の最低給与額も引き上げとなり、このうちどちらか金額の高い方が適用されるのでご注意ください。

今回発表された内容には、ほかにも細部にわたる様々な変更が記されています。滞在許可の取得及び延長を申請する際には、これらの変更内容を踏まえた上で資料をそろえたり、面接に向けての準備を行ったりする必要があります。せっかくの機会をふいにしないよう、できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めることをお勧めします。

 

 

Tier2(Intra-company Transfer) などについて

前回は、旧ワーク・パーミット(労働許可証)に相当するTier2の中でも、いわゆる現地採用の方々向けとなるGeneralの取得条件についてお話しました。今回は、駐在員に対して発給されるTier2のIntra-company Transferについて説明いたします。

● 4種類に分かれたカテゴリー

日本に親会社があり、英国の支店や子会社に出向する場合などに必要なビザが、Tier2(Intra-company Transfer)です。以下の4種類に分かれています。

・Long-term Staff
12カ月超の業務に対して発給されるビザです。取得に際しては、滞在期間が最長5年、年収は最低4万1000ポンドであることが求められます*。また親会社における12カ月以上の勤務経験が必要です。

・Short-term Staff
12カ月以内の業務に対して発給されるビザです。滞在期間は最長12カ月、年収は最低2万4500ポンド*、親会社における12カ月以上の勤務経験が求められます。

・Graduate Trainee
新卒の研修を目的とした業務に対して発給されるビザです。滞在期間は最長12カ月、年収は最低2万4500ポンド*、親会社における3カ月以上の勤務経験が求められます。

・Skills Transfer
特定の技術や知識を英国で得る、または英国の同僚に伝える必要がある場合に発給されるビザです。滞在期間は最長6カ月、年収は最低2万4500ポンド*、親会社における勤務経験は求められません。

*最低給与額については、各サブカテゴリーごとに設定されている金額と、職種(SOC)コードごとに設定されている金額のいずれか高い方が適用されます。

● Long-term Staffの滞在期間延長

Long-term Staffは、滞在期間を最長5年まで延長することが可能です(ただし、年収が15万3500ポンド以上の場合は最長9年まで延長可)。国内からオンラインまたは郵送で延長を申請することができますが、審査の結果が出るまでに数カ月もの時間を要する可能性があります。面会を通じての申請など、割高な料金を払って各種の特別サービスを利用すればこの期間を短縮することができるものの、こうしたサービスの利用者が多過ぎて申請のための面会の予約がなかなか取れなかったり、利用料が非常に高額であったりするというのが現状です。ただし、内務省の認可を受けた法律事務所やビザ・サポート会社であれば、あらかじめ面会の予約枠を確保しているので、即日で予約の取り付けから申請準備の代行業務を行ってくれる場合があります。

● 現在でも複数の改革案が協議中

2010年4月6日以降にTier2のIntra-company Transferを取得した方には、永住権への切り替えや同権の取得が認められていません。また前述した最低給与額の設定も頻繁に変更されており、さらには滞在の延長期間も本ビザの取得時期によって細かく異なるため、細心の注意が必要となります。

Tier2については複数の改革案が協議中であるため、今後さらなる変更が実施されていく予定です。申請資料の用意を始めてからその資料を提出するまでの間に、移民・入国管理法が変更されるという事態もあり得ます。申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めるようにしましょう。

 

 

Tier2(General)について

英政府による移民制限が年々強まるにつれて、日本人を含む、欧州経済地域(EEA)以外の国籍を持つ人材が英国内で就労するのが大変難しくなってきています。日本人が英国にある企業に就職する場合、大多数がかつてのワーク・パーミット(労働許可証)に相当するTier2の取得を求められることになりますが、この申請手続きが困難を極めているためです。そこで今回は、このTier2について改めて概要を振り返ってみたいと思います。Tier2は主にいわゆる現地採用の方々が取得するGeneralと、駐在員に対して発給されるIntra-company Transferの2種類に大別できますが、今回は前者について説明いたします。

● 雇用主側の準備

企業がTier2(General)において人材を確保するためには、「スポンサーシップ証明」と呼ばれる許可証を取得しなければなりません。これは逆に求職者の観点から言えば、現時点で就労を許可するそのほかの形態のビザを持っていない場合、スポンサーシップ証明を取得できない企業には就職できないことを意味します。

スポンサーシップ証明の取得以外にも、企業には様々な条件が課せられています。例えば、企業は日本人を雇用することを検討する前に、英国内に求人広告を出稿することで広く人材を募集しなければなりません(一部の例外を除く)。それでも適切な人材が見つからなかった場合のみ、応募者の中から日本人を含むEEA以外の国籍を持つ人材を採用することが可能になるのです。

さらに、Tier2を取得するためには、仕事の内容が国家職業資格(NVQ)のレベル6(管理職または専門技能を必要とする職種に相当)以上でなければならないと定められています。また一部の例外を除き、年収は最低2万500ポンド(約364万円)、職種によってはさらに高い最低給与額が設定されています。

● 被雇用者側の準備

雇用者だけではなく、Tier2の申請者となる被雇用者にも様々な条件が課せられています。まず生計を立てる能力を証明するために、原則的に最低945ポンドの貯金を有していなければなりません。さらに家族を同伴して英国に滞在する場合は、家族一人につき別途630ポンドの資金を用意する必要があります。また政府が認定した英語テストの成績や、英語で授業が実施された高等教育機関の卒業証明などを通じて英語力を証明することも求められます。

これら一連の条件を整えた上で、初めて申請することが可能となるのです。尚、申請は英国外から行うことが求められます(延長の際には英国内から申請可)。

● 給与、学歴、英語力なども問われる

ここまでの条件をすべてそろえたとしても、必ず申請が許可されるというわけではありません。一部の例外を除き、EEA以外の国籍を持つ人材を対象としたTier2(General)の年間発給数はあらかじめ定められているため、見込み給料、学歴、英語力などを得点化した上で総合点が高い申請者から優先的に発給していくという仕組みになっているからです。

このように、Tier2(General)の申請手続きは複雑であるため、専門家のアドバイスなしで進めるのが非常に難しくなっています。できるだけ早い段階で準備を開始し、専門家と二人三脚で申請手続きを着実に進めるようにしましょう。

 

2014年に実施された移民・入国管理法の変更点

本連載も、今年最後の回を迎えました。過去数年と同じく、今年も英国における移民の締め付けはますます加速していった一年となりました。今回は、2014年に実施された移民・入国管理法に関する数々の変更点を改めて振り返ってみたいと思います。

● EUの就労制限緩和

今年1月1日より、ルーマニア、ブルガリアからの移民に対する就労制限が緩和されました。2007年に欧州連合(EU)に加盟した両国の国民に対しては、これまで低賃金の労働力が国内に流入するのを防ぐなどの理由によって、加盟後7年間は英国での就労制限が課されていました。この緩和措置の実施後、国内の一部では、移民流入に対する反発が高まっています。

● Tier1(投資家、高度技能労働者など)

・「Investor」の最低投資額倍増に向けた動き
英国の移民諮問委員会は今年2月、「Investor」のカテゴリーで滞在許可取得に必要な最低投資額を200万ポンドへと倍増すべきという提案を行いました。

・「Exceptional Talent」の適用範囲を拡大
芸術や科学などの分野にて世界的に認められた、あるいはその可能性のある人を対象に発給される Tier1 の「Exceptional Talent」のカテゴリーに、3月13日よりデジタル・テクノロジーの分野が含まれることになりました。

・「General」の滞在許可延長措置が終了
「General」のカテゴリーにおいてはこれまで回数の制限なく滞在許可を更新することが可能でしたが、2015年5月を最終期限として更新ができなくなります。

・「General」からの永住権への申請措置が終了
このカテゴリーから永住権の申請を行う場合は、2018年4月5日が最終期限となります。同日までに必要とされる資格を満たさない場合は、同ルートから永住権を申請することはできません。

● Tier2(就労)

・取得可能期間が拡大
4月6日より、これまで3年と定められていた取得可能期間が5年へと拡大されました。

・最低給与が引き上げ
4月6日より、「General」のカテゴリーにおける最低給与が2万300ポンド(約383万円)から2万500ポンドへと引き上げとなりました。ただし、それぞれの職業別に定められた最低給与の金額がより高く設定されている場合は、高い方の金額が適用されます。

● Tier1、2、4、5(就労、学生、被扶養家族など)

スポンサーシップの獲得など滞在許可の取得に必要な各条件が点数化された「ポイント・ベース」制度の対象となっているTier1、2、4、5においては、事前に十分な資金を用意していると証明することが求められます。この資金の必要額が引き上げとなりました。 このように、今年一年の間だけでも、英国における移民・入国管理法と、同国における滞在許可をめぐる事情は目まぐるしく変更を繰り返しています。申請資料の用意を始めてからその資料を提出するまでの間に、移民・入国管理法が変更されてしまったなどといった、まるで冗談のような出来事がいつでも起こり得るのが現在の状況です。できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めるようにしましょう。

 

スポンサー・ライセンス

● スポンサー・ライセンスとは

英国において、日本人を始めとする欧州連合(EU)以外の国籍を持つ外国人労働者を雇用する場合、雇用者は「スポンサー・ライセンス」と呼ばれる資格を内務省へと申請し、これを取得する必要があります。このライセンスを申請するに当たっては、税務に関する申告書の提出や、取得したライセンスを管理する担当者の決定など、様々な要件を満たさなければなりません。

● ライセンス取得後の管理

スポンサー・ライセンスは、一度取得してしまえば終わりではありません。むしろ、ライセンス取得後の管理の方が重要と言っても過言ではないでしょう。スポンサー・ライセンスの有効期間は4年間。その間は、内務省による監査の対象となります。近年では当局による取り締まりが強化されており、ライセンスを取得した企業や商店への監査がいつ入るかといった情報は直前まで通知されることはありません。場合によっては、事前連絡が一切ないままに、いきなり監査が入るということも決して珍しくないのです。このとき、適切な管理が行われていなければ、ライセンスはただちに剥奪されます。

そこで雇用者側は、急に監査が入ったときでも落ち着いて対応できるよう普段から必要書類の整備をしておくことが大切です。必要書類は、パスポートやビザ関連を始め、雇用契約書、勤怠及び給与支払い、受け取り情報など多岐に渡ります。また監査の際には監査官が任意に選んだ被雇用者と面接を行うことがあるので、普段から模擬面接などを行うなどの準備も必要です。

● 監視や取り締まりの強化

近年では内務省による監視や取り締まりが強化されており、法律を遵守していないと見なされた企業には、理由の如何を問わず、厳罰を科すようになってきました。また駐在員として日本から英国へと派遣された方々の多くが、Tier2と呼ばれる滞在許可証を取得しているかと思います。10月16日に発表された移民法の変更では、このTier2で充当される職の正当性を今後は一層厳しい目で確認する旨が定められています。

スポンサー・ライセンス制度が開始された直後には、各企業の管理職が、新社員の採用の検討を始めた段階から日常業務の空き時間を使って関連書類の用意を始め、ライセンスを申請して無事に取得したという例が多くありました。ただ雇用主に対する監視の強化が本格化している現在では、普段から万全の準備をせずにライセンスを取得または維持できない状況となっています。監査で提出を求められる書類は何か。被雇用者に関する情報はどのように保管そして更新すべきなのか。面接ではどんな質問をされ、どういった回答をすべきか。こうした一連の確認作業を、ほかにも大量に日常業務を抱える従業員が片手間で行うのはもはや不可能です。

スポンサー・ライセンスを失った企業は、英国において日本人を始めとする非EU国籍者を雇用できなくなり、その後の事業計画に大きな影響を与えます。また被雇用者の不安を増大させれば社内の士気が下がり、業績の悪化にもつながりかねません。UKビザでは監査立ち会いのサービスなども提供しています。スポンサー・ライセンスを申請する際には専門家と二人三脚で、できるだけ早い段階から準備を始めることをお勧めします。

 

 

支社設立代表者ビザ

今回は、日本にある本社の意向を受けて英国で新たに支社を設立したいと考えていらっしゃる方向けに、「支社設立代表者ビザ(Sole Representative)」についてご紹介いたします。

● 支社設立代表者ビザとは

日本に本社(本店)がある企業が英国に支社(支店)を出す計画中で、立ち上げのために本社の社員が英国に派遣される場合、「支社設立代表者ビザ」と呼ばれる代表者用のビザを申請することができます。申請が許可された場合、通常は3年間有効のビザが発給されます。また3年間の滞在を経た後にビジネスの状況次第で同ビザを延長することも可能(期間は2年間)ですが、ビジネスが順調であることを証明できない場合、許可が下りないこともありますのでご注意ください。延長後、滞在期間が5年に達した時点で永住権の申請が可能になります。。

● 申請者の資格と申請条件

申請者は以下のどちらかである必要があります。

・英国に支社(支店)や子会社を設立しようと計画している、英国外にある親会社の代表者である。
・英国外の新聞社や通信社、放送機関から派遣され、英国に長期滞在する予定の社員である。

同ビザの申請条件は以下の通りです。

・欧州経済領域(EEA)またはスイス以外の国の出身者である。
・公的資金の援助なしで滞在できるだけの十分な生活資金を有している。
・必要とされる英語力を保持している。

また、申請者は親会社の重役の職に就いている必要がある一方で、大株主であってはならないなど、詳細にわたる条件が設定されています。

● 申請時期、申請料、禁止事項など

そのほか、支社設立代表者ビザに関する主な内容は以下の通りです。

申請時期: 渡英日の3カ月前より申請可
申請料: 514ポンド

本ビザにおいて許可されていること

・雇用主の下でのフルタイム勤務
・扶養家族を同伴させての滞在
・複数回にわたる本ビザの延長
・英国への滞在期間が5年を経過した後での永住権申請
・英国への滞在期間が2年を経過した後で、自身の上司に当たる職が新設されるなど会社の体制が変わっても英国に留まり続けること

本ビザにおける禁止事項

・自営業を営んだり、申請内容とは異なる事業に従事したりすること
・雇用主より支社設立代表者としての契約が打ち切られた後も英国に留まること
・ほかの滞在許可から本ビザへの切り替え
・公的資金を受け取ること

支社設立代表者ビザは、非常に詳細な条件が設定されていると同時に、場合によっては条件自体が変更されることもあります。本ビザの申請に支障が出た場合には、会社の事業計画そのものにも大きな影響を与えかねません。申請の際には専門家と二人三脚で、できるだけ早い段階から準備を始めることをお勧めします。

 

起業家ビザ

今回は、英国でビジネスを始めたい、または新たに会社を興したいと考えていらっしゃる方向けの「起業家ビザ(Tier1 Entrepreneur)」についてご紹介いたします。

欧州経済領域(EEA)またはスイス以外の国の出身者が英国で起業する場合には、「起業家ビザ(Tier1 Entrepreneur)」を申請する必要があります。申請が許可された場合、通常は3年間有効なビザが発給されます。滞在後、英国で同ビザを延長することも可能(2年間)ですが、ビジネスが順調であることを証明できない場合、許可が下りないケースもみられますのでご注意ください。延長後、滞在期間が5年に達した時点で永住権の申請が可能になります。また、別の同ビザ申請者とともに資金を共同で調達・負担することも可能です。同ビザの申請条件は以下の通りです。

・5万ポンド以上の資金を有している。
・資金を一つ以上の認可された金融機関に預けている。
・ポイント・ベース・システムで計95ポイント以上を獲得している。
・16歳以上である。
・必要とされる英語力を保持している。
・英国で生活するのに十分な資金を有している。

保有する資金額に応じて、その他の条件が変わります。

● 5万ポンドの資金を有し、かつ英国内で投資できる場合

以下のうち一つを満たせば同ビザの申請が可能です。

・Tier 1 (Graduate Entrepreneur)保持者である。
・資金が以下の組織から提供されている(Tier 1(Post-Study Worker)保持者除く)。
-金融行動監督機構(FCA)に登録されているベンチャー投資会社。
-英国貿易投資総省(UKTI)に認可されている英国起業資金調達競争(UK entrepreneurial seed funding competition)。
-英国での起業及びビジネス拡大目的で利用可能な資金を提供する英国の省庁。

・Tier 1(Post-Study Worker)保持者で、以下の条件を満たしている。
-申請3カ月前までに企業の重役または自営業者として登録されている。
-職業リストに全国資格フレームワーク(NQF)のレベル4以上で記載されている職に就いている。

なお、自身の資金及びベンチャー投資会社の資金を利用して同ビザを申請する場合には、2014年7月11日以前から英国におけるビジネスに関わっている必要があります。

・論文執筆中などの学生ビザ(Tier 4)保持者で、UKTIまたは英国の省庁から資金が提供されている。

● 20万ポンドの資金を有し、かつ英国内で投資できる場合

資金が以下のうちのどれかであることを証明できれば同ビザの申請が可能です。

・自身の資金である。
・夫や妻、パートナー、投資家などの第三者が保持している資金を利用することができる。
・企業家ビザを申請していない配偶者やパートナーとの共同口座に資金がある。

起業家ビザは複雑な条件が設定されていると同時に、条件自体が変更されることもありますので、申請準備は専門家と二人三脚で、早い段階から始めることをお勧めします。

 

投資家ビザの変更案についての最新状況

今回は、投資家ビザの変更案についての最新状況をお伝え致します。本誌では英国の移民諮問委員会(MAC)が変更案を発表した直後となる今年3月にもその概要をお伝えしました。最近になって、この変更案が実施されることを見越した具体的な動きが見られるようになってきましたので、今回は最新の状況を含めて再度説明します。

● 投資家ビザとは

英国では、投資をする人々を対象に滞在を許可する「投資家ビザ」が発給されています。主な条件は、以下の通りです。

① 計100万ポンド(約1億7000万円)の現金のうち、少なくとも75万ポンドを英国の株や国債などに投資し、 残りを英国の不動産投資に使うことができる。
② 既に不動産など200万ポンド相当以上の資産を持ち、そのうち100万ポンドを英国で管理・投資することができる(ローンによる投資も可)。

2013年9月までの1年間で、560人に対して投資家ビザの申請が許可されました。その多くをロシア、中国、米国出身者が占めていたようです。また本カテゴリーにおいて1030人の被扶養者ビザが発給されています。

日本人にとっては、日本で事業を成功させた後に英国への移住を検討されている方にとってはもちろん、日本人駐在員として英国支社の要職などを経験した後に、会社から独立した上で英国に留まり続けるための一つの方法としても人気を集めています。

● 投資家ビザについての論点と変更案

移民政策に関して政府に対する提言を行うMACは今年2月、この投資家ビザの変更案を記した100ページに及ぶ報告書を発表しました。同報告書は、多くの投資家ビザの保有者たちが投資額の大部分を国債の購入費用に充てており、永住権を得た時点で国債を換金してしまうため、英国経済への貢献という投資家ビザの本来の目的を果たすことができていないとの問題点を指摘。この課題を解決することを目的として、最低投資額を200万ポンドへと倍増すべきという提案を行いました。

● 投資家ビザ変更案の見通し

MACの報告書に法的拘束力はありません。しかしながら、政府は過去に同委員会からの提案の多くを受け入れてきたという実績があります。また一部の銀行では、今年10月よりこの変更案が実施される可能性があるとのアドバイスを既に投資家向けに始めているようです。

仮にこの変更案が施行されるとなると、投資家ビザの取得を検討している人にとっては投資金額が倍増することになります。このため、マネー・プランの見直しを図る必要が出てくる方もいるかもしれません。

ただ200万ポンドの投資が難しいという場合でも、起業家ビザを申請する選択肢が残されている可能性があります。この点については詳細にわたる確認が必要となるので、検討される際には必ず専門家にご相談ください。

投資家ビザに関する状況は、今後大きく変更される可能性があります。このため、同ビザの取得を検討されている方は、ご自身の経済状況や申請時期によって、申請条件の変更への対応を余儀なくされる場合もあるでしょう。手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を始めることをお勧めします。

 

結婚ビザに関する問題点

今回は、移民への締め付けが強化されていく一方の英国において、とりわけその影響が顕著に見られる結婚ビザの取得に関する問題点について説明したいと思います。英国では現在、欧州経済領域(EEA)以外の国の出身者が滞在許可を取得するのが非常に難しい状況にあります。その結果、外国人配偶者がいる家族が、離ればなれの暮らしを余儀なくされるという事態を生み出しているのです。

英国では2012年7月に、英国人とEEA以外の国の出身者が結婚する場合に必要となる結婚ビザについての新規則が導入されました。この新規則とは、外国人配偶者を持つ英国人が一定の経済的条件を満たさなければ、その外国人配偶者に対する英国での滞在許可が下りないという非常に厳しいものです。具体的には、申請時から過去6カ月の間に、年収1万8600ポンド(約323万円)に相当する給与を受け取っていることを証明する必要があります。この額は、子供がいる家族に対しては同2万2400ポンドに引き上げとなり、2人以上の子供がいる場合は一人につき2400ポンドがさらに課されます。

現在6.31ポンドに設定されている英国の最低賃金でフルタイム勤務した際に受け取ることができる給与よりはるかに高額であるため、この経済的条件を満たすことができず、滞在許可を取得できない外国人配偶者が多くいると伝えられています。オックスフォード大学の調査機関の調べによると、英国で働く女性の61%、男性の32%が、外国人配偶者や子供を英国に連れてくることができない状況に置かれていることになります。

こうした現状から、英国内ではこの経済的条件をめぐる法的妥当性をめぐって様々な議論が交わされてきました。2013年7月には、高等法院が経済的条件が厳しすぎるとの判断を発表。しかし、英国の控訴院は7月11日付でこの判断を覆し、同条件の法的妥当性を認めました。移民とその家族は、英国民による税負担に頼ることなく生活を送るべきというのがその理由です。この決定を受けて、7月28日より、これまで保留扱いとなっていた4000件に上る関連の申請案件に決定が下される見込みです。

結婚ビザの問題点は、経済的要件に関するものだけに留まりません。当局による杜撰(ずさん)な対応や、偽装結婚の取り締まり強化に伴い、正式な手続きを経て結婚した夫婦までもが警察による捜査の対象になるなどの事例が次々と報告されているのです。

「イブニング・スタンダード」紙によると、昨年11月にロンドンのカムデン地区で行われたイタリア人男性と中国人女性の結婚式に、偽装結婚との疑いを持った警察が突入するという事件が発生。しかもこの2人は偽装結婚ではなかったことが判明したため、この事件は大きな注目を集めました。

このように、現在、日本人を始めとするEEA以外の国の出身者が英国での滞在許可を取得するのは非常に困難な状況となっています。これまで比較的容易に取得することができるとされてきた英国人との結婚に伴う結婚ビザについても例外ではありません。適切な申請作業を行わなければ、配偶者や子供たちと長期にわたり離ればなれになってしまう場合もあります。家族との生活を守るためにも、手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を始めることをお勧めします。

 
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