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Mon, 15 December 2025

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永住権・市民権取得後の家族の呼び寄せ

今回は、英国で永住権・市民権取得後に家族を呼び寄せる場合に、その家族が申請することができる滞在許可について紹介したいと思います。ただし、成人した被扶養家族を呼び寄せる場合に関しては、申請の許可が下りる可能性が事実上極めて稀であることをあらかじめご了承ください。

この滞在許可を申請するためには、申請者が欧州経済領域(EEA)加盟国及びスイス以外の出身であり、呼び寄せる者が英国の市民権、永住権または難民資格を持つことに加えて、以下の要項を証明する必要があります。

・申請者が18歳以上である(児童としての申請を除く)
・家族関係が英国において正当であると見なされるものである(婚姻関係が出身国で合法的と認められているなど)
・申請後に英国で家族や配偶者とともに暮らす意志がある
・申請者もしくは申請者の家族が英国滞在中に自身や扶養家族を世話できる。または経済的な要件を満たしている
・申請者とその家族が英国で暮らしていくに十分な場所を確保できる
・十分な英語の知識を持っている(18歳以上の場合。成人の被扶養親族として申請する場合を除く)

上記の点に加えて、呼び寄せを行う側となる英国在住者と滞在許可の申請者の関係によって、必要とされる証明内容が以下のように異なります。

● 呼び寄せる対象が配偶者である場合

・結婚または市民パートナーシップ関係にある
・2年間の同居経験がある
・結婚または市民パートナーシップ関係に向けての婚約関係にある
・経済的要件を満たしている
・以前に別の者と結んでいた関係がある場合はその関係が既に破綻している
・婚約関係にある場合は、渡英後6カ月以内に結婚または市民パートナーシップ締結を行う(婚約期間中は労働に携わることができない)
・子供を同伴させる場合は、その子供が18歳未満である

● 英国外に住む子供を英国に呼び寄せる場合

・申請者が18歳未満である
・親と同居する予定である
・申請者が未婚である
・公的補助を受けずに暮らしていくことができる。または経済的要件を満たしている

● 申請者が英国に在住する子供の面倒をみるために 英国に赴く場合

・子供が18歳未満である
・申請者が唯一の扶養家族であるか、または子供が英国人ないしは英国に永住する別の扶養家族と暮らしている

● 成人した被扶養親族として英国に赴く場合

・長期にわたり日々の世話を必要とする
・現在の在住国には世話をする親戚などが全くおらず、また必要とする世話を受けることができない
・英国で申請者の世話を行う者が、少なくとも5年間は公的補助を受けずに申請者を支援できる
・申請者が18歳以上である

* 前述したように、本カテゴリーにおいては申請の許可が下りる可能性が事実上極めて稀であることをあらかじめご了承ください。

いずれの事例においても、本滞在許可に関する申請内容は極めて複雑です。手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を始められることをお勧めします。

 

移民に関する法案

今回は、不法移民を取り締まることを目的として、政府が昨年に概要を発表した移民に関する法案(Immigration Bill)について解説します。同法案が成立すれば、政府は一連の改革を通じて不法移民をより容易かつ迅速に強制退去させることができるようになると謳っています。また同法案は、不法移民だけに留まらず、正規の入国手続きを経た移民にも少なからず影響を及ぼす可能性があります。私たち在英邦人も例外ではありません。今回は、今年1月に下院を通過し、現在は上院での審議の対象となっている同法案が、英国で暮らす外国人の生活にどのような影響を与え得るかについて説明致します。

●大家による入居者の滞在許可確認を義務付け

移民に関する法案について最も注目を集めている内容の一つが、英国内にある貸家の大家に、入居者が適切な滞在許可を所持しているか否かを確認することを義務付けるというものです。この内容が実際に法制化されれば、日本人を含む英国への移民は、ヒースロー空港などからの入国時や滞在許可の延長・変更の申請時に加えて、入居先においても定期的に滞在許可証の確認を受けなければならないことになります。この措置の可否をめぐってはいまだ議論が続けられている最中ですが、実施された場合、その影響は大家や入居者にとっての面倒が増えるということに留まりません。双方それぞれに本格的な対策が必要とされる可能性があります。

例えば現在、英国において日本人を始めとする非欧州連合(EU)国籍の外国人労働者を雇用する場合、雇用者は「スポンサー・ライセンス」と呼ばれる資格を内務省へ申請し、取得することが義務付けられています。煩瑣(はんさ)な手続きを要 するため、多くの企業がスポンサー・ライセンスの取得や更新にはビザの専門家に相談を行っているというのが現状です。そして、移民に関する法案が成立した暁には、規定に反した場合の罰金措置などを回避するために、貸家の大家も同様にビザの専門家に相談することが必要となるかもしれません。

また英国在住者であれば、友人や家族を自宅に呼び寄せて短期的に共同生活を送ることもあるでしょう。こうしたことが気軽に行うことができなくなる可能性もあります。

●短期滞在者によるNHS費用の負担

移民に関する法案の内容でもう一つ話題となっているのが、英国に短期間のみ滞在する移民が国民医療制度(NHS)を利用した場合には、費用の負担を求めるというものです。現在のところ、外国人であってもNHSへの加入が認められた場合は原則的に診察時に支払いをする必要はありません。また緊急治療の大部分は、たとえ短期旅行者であったとしても、国籍や滞在期間を問わず費用は無料というのが通例となっています。しかし、移民に関する法案では、短期滞在者によるNHS利用に際しては、今後は利用者本人または出身国の政府に金銭的負担を求めるという方針が示されています。この方針についても実施すべきか否かをめ ぐっては現在も議論が行われている最中です。

このように、政府は移民の締め付けを強めていく一方です。こうした状況下においては、滞在許可証の取得に際してのちょっとしたミスが命取りとなりかねません。滞在許可の取得・更新・変更などにおいて、今後はこれまで以上に専門家の力が必要となるでしょう。英国への滞在許可証を確実に取得するためにも、手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を開始することをお勧めします。

 

3月13日に発表された Tier 1、Tier 2、Tier 4の変更点について

英国の内務省は、3月13日、英国への移民に発給される滞在許可に関連した変更措置を発表しました。発表内容には、在英邦人にも影響を与え得る変更事項が多く含まれています。今回はこれらの変更点の概要をお伝え致します。

● Tier 1(高度技能労働者ビザ)

高度技能労働者を対象に発給される Tier 1 においては、以下の変更措置が発表されました。

・「Exceptional Talent」の適用範囲を拡大
芸術、科学、人文科学、工学の分野において世界的に認められた、あるいはその可能性のある人を対象に発給される Tier 1 の「Exceptional Talent」のカテゴリーに、3月13日よりデジタル・テクノロジーの分野が含まれることになりました。
・「General」の滞在許可延長措置が終了
「General」のカテゴリーにおいてはこれまで回数の制限なく滞在許可を更新することが可能でしたが、2015年5月を最終期限として更新ができなくなります。
・「General」からの永住権への申請措置が終了
このカテゴリーから永住権の申請を行う場合は、2018年4月5日が最終期限となります。同日までに必要とされる資格を満たさない場合は、同ルートから永住権を申請することはできません。

● Tier 2(就労ビザ)

欧州経済領域国(EEA)の出身でない、日本人を始めとする移民が、英国での就労を目的に入国または滞在する際に必要となるTier 2においても変更があります。

・取得可能期間が拡大
4月6日より、これまで3年と定められていた取得可能期間が5年へと拡大されました。ただし、延長を行うことができるのは、予め定められた条件を満たした方のみです。
・最低給与が引き上げ
4月6日より、「General」のカテゴリーにおける最低給与が2万300ポンド(約343万円)から2万500ポンドへと引き上げとなりました。ただし、それぞれの職業別に定められた最低給与の金額がより高く設定されている場合は、高い方の金額が適用されることにご注意下さい。また「Intra Company Transfer」のカテゴリーにおいては、各種類によって最低給与の設定金額が異なります。

● Tier1、2、 4、 5(就労、学生、被扶養家族など)

滞在許可の発給を請け負うスポンサーシップの獲得など滞在許可の取得に必要な各条件が点数化された「ポイント・ベース」制度の対象となっているTier1、2、4、5においては、事前に十分な資金を用意していると証明することが求められます。この資金の必要額が引き上げとなる旨が発表されました。また学生やその扶養家族に関しては、居住地がロンドン市内かそれ以外の地域であるかによってこの金額が変わることに注意する必要があります。

カテゴリーによって異なる金額が設定されているので、詳しくは内務省のウェブサイトを参照するか、または専門家までご相談ください。

英国における滞在許可をめぐる事情は目まぐるしく変更を繰り返しており、滞在許可の取得及び延長を申請する際には、これらの変更内容を踏まえた上で資料をそろえる必要があります。せっかくの機会をふいにしないよう、できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めることをお勧めします。

 

投資家ビザに関する変更案について

今回は「投資家ビザ」についてと、最近になって発表された同ビザに関する変更案について説明致します。

● 「投資家」ビザとは

英国では、「投資(Invest)」する人々を対象に滞在を許可するビザが発給されています。これが一般的に「投資家ビザ」と呼ばれているもので、最近では日本人でもこの投資家ビザ申請の条件を満たす方が増えてきました。このビザを申請するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

① 計100万ポンド(約1億7000万円)の現金のうち、少なくとも75万ポンドを英国の株や国債などに投資し、 残りを英国の不動産投資に使うことができる。
② 既に不動産など200万ポンド相当以上の資産を持ち、そのうち100万ポンドを英国で管理・投資することができる(ローンによる投資も可)。

移民法上、投資対象については様々な制限が設けられています。また税務手続きなどが煩雑なため、ビザに関するコンサルティングを行う会社だけではなく、金融関係に詳しい専門家の力を借りて計画を進めていく必要があるでしょう。

このビザで英国内に5年以上滞在した方には、永住権を申請する権利が認められています。さらに、永住権の申請までに必要な滞在期間は投資額が500万ポンド以上であれば3年、1000万ポンド以上であれば2年へと短縮されます。ただし、この短縮措置は投資家ビザ保持者の扶養家族には適用されませんのでご注意ください。

尚、投資家ビザから永住権への切り替えを申請する場合、投資家ビザ保持者としての滞在期間内に英国外で過ごすことができるのは一年につき180日までと定められています。また投資家ビザを申請する際には英語力を問われることはありませんが、永住権への切り替えを行う際には英語試験を受けるなどして十分な英語力を持っていることを証明する必要があります。

● 投資家ビザについての変更案

移民政策に関して政府に対する提言を行う移民諮問委員会(MAC)は2月25日、この投資家ビザについての課題と改善案を示した報告書を発表しました。同報告書は、多くの投資家ビザの保有者たちは投資額の大部分を国債の購入費用に充てており、永住権を得た時点で国債を換金してしまうため、英国経済への貢献という投資家ビザの本来の目的を果たすことができていないと指摘。最低投資額を200万ポンドへと倍増するとともに、国債購入を制限または禁止し、ベンチャー企業向けの投資を増やすべきという提案を行いました。

さらに同書は、一定数のビザを一種のオークションにかけることを提案。最低競売価格を250万ポンドと設定した上で、最も高値で競り落とした移民にビザを発給し、そのうち200万ポンドを英国内に投資、残りの金額を病院や大学などの機関向けの資金とするなどの案を出しました。この提案には、永住権の申請までに必要な滞在年数を2年と短縮し、このうち英国外での滞在を一年につき9カ月まで認めるなどの特別措置も盛り込まれています。

上記で説明したような動きを鑑みて、投資家ビザに関する諸条件は、今後大きく変更されることが予想されます。投資家ビザの申請を検討されている方は、できるだけ早い段階で専門家に相談することを強くお勧め致します。

 

雇用主へのコンプライアンスの強化

英国の政府が過去数年で移民制限を強めていることに伴い、英国への移住を希望する本人が様々な条件を満たすよう求められるだけではなく、そうした移民を雇用する企業や商店へのコンプライアンスも強化されています。今回は、雇用者が注意すべき移民法関連のコンプライアンスについて解説します。

● 英各地で不法移民を逮捕

内務省は1月28日、ロンドン東部ベックトンの工場で、11人のインド国籍を持つ不法移民を逮捕したと発表しました。そのほか、同省のウェブサイトでは、不法労働者の摘発に関する情報を頻繁に更新しており、最近ではスコットランド南部のノース・エアーシアや北アイルランド中部のカウンティ・ダウンでも同様の事例があったと報告しています。内務省は、英国の納税者、正規の手順を踏んで求人及び求職活動を行う雇用者や求職者の権利を守るために必要な措置であると説明。今後も不法移民の取り締まりに注力していく考えを示しています。

● 不法移民が発覚すれば罰則措置

内務省では、英国内の企業や商店などによるコンプライアンスの確認を目的とした査察を実施しています。この査察時に雇用者が不法移民を雇用しているとの疑いが持たれた際には、雇用者が提出した資料に対する審査を実施。雇用者側の過失が認められた場合には、不法移民一人につき最高1万ポンド(約170万円)の罰金などが科されます(最長2年の禁固刑が科される場合もあります)。その後、雇用者は28日以内での罰金の一括払い、分割払いでの支払い許可の申請、罰則措置への異議の申し立てなどの対応を取ることになります。

● 雇用者側の責任とは

雇用者側には、被雇用者が労働に従事する資格があることを証明する資料の原本のコピーを取ることが求められます。また学生など、被雇用者の就労時間に制限が設けられている場合は、最低でも12カ月ごとに書類を再確認することが必要です。これらの措置を実施しないままに不法移民を雇用していることが発覚した際には、上記の罰則措置が科されます。

● スポンサー・ライセンスの取得

英国において企業や商店が雇用するに当たって必要なのは、被雇用者が持つ滞在許可の確認だけではありません。日本人を始めとする非EU国籍の外国人労働者の雇用を希望する雇用者は、「スポンサー・ライセンス」と呼ばれる資格を申請し、取得する必要があるのです。また被雇用者の業務関連の登録証明書など一連の人事ファイルを保持し、内務省に求められた際に提出できるようにしなければなりません。ライセンスを保持するスポンサーには、事前通知の有無や定期・不定期に関わらず、コンプライアンス状況のチェックのために立ち入り監査を実施。移民法を含め、法を遵守していないと見なされた場合は、程度によっては厳罰が下されます。

このように、渡英して英国内で働くことを希望する移民だけではなく、移民を受け入れる雇用者側も、被雇用者が持つ滞在許可の内容をきちんと把握し、また管理する必要があります。関連書類の不備が会社に大きな影響を与えるといった事態に陥らないよう、社員の滞在許可をめぐる問題について少しでも不安などがある場合は、できるだけ早い段階で専門家に相談することを強くお勧め致します。

 

ますます厳しくなる移民制限

今回は、2014年1月1日からルーマニア、ブルガリアからの移民に対する就労制限が撤廃されたことを受けて、英国において移民制限を求める声がこれまで以上に高まりつつある現状を説明致します。

● EUの就労制限緩和が話題に

英国では、今年1月1日より、ルーマニア、ブルガリアからの移民に対する就労制限が緩和されました。2007年に欧州連合(EU)に加盟した両国の国民に対しては、低賃金の労働力が国内に流入するのを防ぐなどの理由によって、加盟後7年間は英国での就労制限が課されていました。この緩和措置は、現在、国内で最も注目されている話題の一つであり、昨年末から英国内の一部メディアは、両国からの移民がこれから英国に殺到するのではないかとの懸念を盛んに報じています。

こうした社会的風潮を受けて、EUからの離脱と移民制限の厳格化を掲げる英国独立党(UKIP)が国内の支持を拡大。また有力シンクタンクである英国公共政策研究所も、移民増に備えて、住宅、学校、そして警察による取り締まり活動のための資金を増加させるべきとの見解を発表しています。

● 経済成長より移民制限との声も

これまで、英国の寛容な移民政策は、文化的な多様性や活気とともに、同国に著しい経済成長をもたらしたとして高く評価されてきました。とりわけ低賃金で労働意欲の高い東欧からの移民が英国の経済活動に貢献したとの見方が強く、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンが昨年11月に行った調査は、2000~11年にかけて、移民は英国経済に対して250億ポンド(4兆2500億円)もの貢献を果たしたと見積もっています。

一方で、UKIPのファラージュ党首などは、たとえ経済成長を鈍化させることになるとしても、移民数を減らし、英国の若者の就職機会を確保することが重要であるとの考えを示しています。

● 具体的な移民制限策を次々と発表

移民制限に関して、キャメロン首相は既に様々な具体的施策を打ち出しています。今年初めには、EU域内からの移住者に対して入国後3カ月間は失業手当を支給しないとの新ルールを施行。また昨年には、英国に短期間のみ滞在する移民が国民医療制度(NHS)を利用した場合には費用の負担を求めていくための法整備を行うことを提案しています。さらに、移民管理を管轄する内務省のウェブサイトでは、不法移民の逮捕を報じるニュースが頻繁に掲載されています。過去数年にわたり、いわゆる学生ビザや就労ビザの条件が厳しくなる中でも門戸が開放されていた投資家ビザに関しても、政府は抜本的な見直しを図ることを検討中です。

● 滞在許可の申請には細心の注意を

このように、英国では移民制限が国内の主要な政治的課題の一つとなっており、今後も移民に関する監視や締め付けは強まっていくことが予想されます。今後も移民規制に関するルールの変更は頻繁に行われることが見込まれており、またそれらの変更は、通達されてから短期間での実施というのがもはや通例となっています。

内務省が次々と発表するこうした変更内容の中から必要な情報を得てきちんと理解するのは非常に困難です。英国への滞在許可の申請を行う際には、できるだけ早い段階で準備を始め、また専門家に相談することを強くお勧め致します。

 

2013年に発表された移民関連規則の主な変更点

2013年も残りわずかとなりました。今回は、私たち在英邦人を含む英国への移民の滞在許可に関連した、2013年の主な変更点を振り返ってみたいと思います。

●英国国境庁の廃止

英国への移民の管理に関連した業務を行ってきた英国国境庁が、4月に廃止されました。同庁が管轄していた「滞在許可証の発給サービス」と「不法移民の取り締まり」は、現在は内務省内の別々の部署で執り行われています。またこの変更に際して、英国国境庁において以下のような様々な問題が発生していたことが改めて明らかになりました。
・少なくとも31万2000件あると見込まれている未処理案件の山積
・ロンドン郊外クロイドンにある本部でのシステム・ダウンによる業務の遅滞
・滞在許可証申請者の関連書類の喪失トラブル

組織改編後も移行作業に際しての混乱などで同様のトラブルが発生している可能性があり、滞在許可証の申請を行う際などには、引き続き細心の注意が求められます。

●永住権・市民権の申請方法の変更

永住権・市民権の申請方法が、10月から変更されました。これまで永住権または市民権の申請に際しては、「Life in the UK」テストに合格する(一定のレベルの英語力を保持しているか、技能または高技能移民として英国に滞在している場合)か、英語と市民権に関するコースを受講し、合格する(英語力がない場合)か、いずれかの方法を選ぶことができました。しかし、現在ではLife in the UKテストと内務省が指定する英語力テストの両方を受験し、定められた条件を満たすことが求められています。

また永住権に関しては、これまで「Tier2」(就労ビザ)を保持し5年間英国に滞在した場合に認められていた永住権への切り替えを、2016年4月以降は一部の例外を除いて受け付けないとの方針が既に発表されています。

●移民・入国管理法の改定

10月より、移民・入国管理法が改定されました。この改定により、就労または学生ビザの申請者が純粋に就労または学業目的でビザ取得を目指しているかどうかを当局が確認する過程が強化されています。特に英国に留学する日本人学生にとっては、「Tier4」(学生ビザ)の延長を求める申請者の英語力が十分ではないと見なされた場合、当局はビザ延長を拒否することができるようになった点について注意が必要です。

不法移民を取り締まる法案の導入

さらに政府は10月、移民に関する新たな法案を導入すると発表しました。同法案が成立すれば、政府は不法移民をより容易かつ迅速に強制退去させることができるようになります。

これらの例から明らかなように、英国の政府は移民の取り締まりを一層強化する方針を掲げており、この傾向は来年も維持またはさらに強まる見込みです。滞在許可の申請に際してはこれまで以上に細心の注意が求められることになるでしょう。また移民規制に関する法改正は来年も引き続き頻繁に行われることが予想されます。英国への滞在許可の申請に関しては、できるだけ早い段階で準備を始め、専門家に相談することを強くお勧め致します。

 

厳しさが増す移民の取り締まり

今回は、英国で年々厳しさを増している移民の取り締まりについての現状を説明致します。最近になって、政府が不法移民の取り締まりを強化していることを示す出来事が現地メディアによって数多く報じられました。それらの中から特に目立ったものを紹介致します。

● 不法移民を取り締まるための法案の導入

「政府は去る10月10日、移民に関する法案(Immigration Bill)を導入することを発表しました。同法案が成立すれば、政府は一連の改革を通じて不法移民をより容易かつ迅速に強制退去させることができるようになります。また不法移民が英国内の公共サービスを利用したり、国内の労働市場において就職活動を行ったりすることがさらに困難になる見込みです。

● 短期滞在者によるNHS費用負担を検討

エリザベス女王は5月8日、政府の施政方針演説を行い、その中で英国に短期間のみ滞在する移民が国民医療制度(NHS)を利用した場合には、費用の負担を求めるとの方針を発表しました。現在のところ、外国人であってもNHSへの加入が認められた者は原則的に診察時などに支払いをする必要はなく、また緊急治療の大部分は国籍や滞在期間を問わず費用は無料です。しかし、短期滞在者によるNHS利用に際しては、今後は利用者本人または出身国の政府に金銭的負担を求める方針が示されました。現在、この方針を実施すべきか否かについて、国内では様々な議論がなされている最中です。

● 出国を促すテキスト送信

英国への移民に対する滞在許可証の発給などを管轄する英国国境庁(UKBA)が、適切な滞在許可を持たない英国在住者に対して「滞在許可がないので英国を出国するように」と要請するテキスト・メッセージを送信していたとの事実が最近明らかになりました。またこのメッセージは、適切な滞在許可の保持者にも誤って送信されていたことが分かっています。

● 大学での授業の出欠に指紋確認

イングランド北東部のサンダーランド大学や北アイルランドのアルスター大学が、授業の出欠確認に利用するための指紋認証システムを外国人学生に対してのみ導入していたことが発覚し、話題を呼びました。この動きに対しては、各大学の学生組織や教育関係者から大きな反発が寄せられています。

● 大家による入居者の滞在許可確認

政府は、国内にある貸家の大家に、入居者が適切な滞在許可を所持しているか否かを適宜確認するよう義務付けることを提案しています。もし法制化されれば、日本人を含む英国への移民は、入国時や滞在許可の延長・変更の申請時に加えて、定期的に入居先で滞在許可証の確認を受けることになります。

こうした状況下においては、滞在許可証の取得に際してのちょっとしたミスが英国での暮らしに大きな影響を及ぼす可能性があります。滞在許可の取得・更新・変更などにおいて、今後はこれまで以上に専門家の力が必要となるでしょう。英国への滞在許可証を確実に取得するためにも、手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を開始することをお勧めします。

 

永住権・市民権の取得申請時の変更

今回は、永住権・市民権の取得に向けて申請を行う際の変更事項について説明致します。英国で仕事を持っている人であれば、旧労働ビザに相当するポイント・ベース制Tier2で定められた英国滞在期間が満了するのを控えて、永住権または市民権の取得を検討している方は少なくないでしょう。この申請方法が、10月28日から変更されます。

これまで、永住権または市民権の取得の申請に際しては、「Life in the UK」に合格する(一定のレベルの英語力を保持しているか、技能または高技能移民として英国に滞在している場合)か、英語と市民権に関するコースを受講し、合格する(英語力がない場合)か、いずれかの方法を選ぶことができました。しかし10月28日以降はLife in the UKテストと内務省が指定する英語力テストの両方を受験し、定められた条件を満たす必要があります。そこで、各々のテストの内容について改めて簡単に振り返ってみましょう。

● Life in the UK

「Life in the UK」は、飲酒年齢や一般車道における自動車の法定速度など、英国で暮らす上で必要とされる基礎的な一般常識を問うテストです。永住権または市民権の取得の申請を行う多くの在英邦人が過去にこのテストを受験しています。設問は公認ハンドブックから出題される問題に対し、二択あるいは四択で解答するスタイル。すべての質問項目の75%に正解すれば合格ですが、このテストへの合格が永住権または市民権の取得を意味するわけではなく、あくまでもそれぞれ申請するための権利の一部が得られるということなのでご注意ください。

多くの移民関連の法律が改正されているのと同様に、「Life in the UK」テストの制度自体にも数々の変更がなされています。またテストを受けたものの結果が不合格となり、再試験が必要となった場合には、前回受験したときから少なくとも7日間が経過していなければならないなど留意すべき点が多くありますので、申請の時期を考慮した上で受験の計画を立てましょう。

● 外国人を対象とした英語テスト

永住権または市民権を取得するためには、さらにケンブリッジ英検、IELTS、TOEIC、TOEFLなど、内務省が指定する、外国人を対象とした英語テストを受験しなければなりません。10月28日以降に申請を行う場合は、これらのいずれかのテストのスピーキング試験とリスニング試験において、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)と呼ばれるガイドラインが定めるレベルB1以上の内容を持つ試験に合格またはB1以上にあると見なされるだけの点数を取る必要があります。この英語力テストに関しても、永住権または市民権の取得に向けての申請を行うために定められた条件の一つに過ぎないことをあらかじめご理解ください。

尚、英国の政府は、これまでTier2を保持し5年間英国に滞在した場合に認められていた永住権への切り替えを、2016年4月以降は一部の例外を除いて受け付けないとの方針を既に発表しています。日本人に限らず、欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ人にとっては厳しい時期であると言えるでしょう。市民権の申請についても今後更なる変更が加わることは十分に考えられますので、申請をお考えの方にとって今回の変更前のタイミングは申請上の大きなポイントとなります。英国への滞在許可を確実に取得するためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。また一連の手続きには一定の時間を要するので、滞在許可に関する案件については早い段階で検討を開始しましょう。

 

移民・入国管理法の改定

今月6日、ホーム・オフィスが移民・入国管理法の改定を発表しました。改定は今年10月1日から施行されることになっています。今回は、この改正でどのような変更がなされるのかを具体的にご説明したいと思います。

● 企業及び被雇用者が、より柔軟性をもつことができるようになる変更点

  • 英国に進出している日本企業の英国支店や子会社で駐在員として働く場合に必要となる
    「Tier2 ICT(Intra- Company Transfers)」(企業内出向者ビザ)を申請する際、これまで要求されてきた英語力の証明が必要なくなります。
  • MBA取得者または認定機関から適切な事業案を持つと認定された学生を対象とした
    「Tier1 Graduate Entrepreneur」保持者による「Tier2」(就労ビザ)へのビザ・ステータスの変更が容易になります。
  • 一部の重役の株所有制限が撤廃されます。
  • 英国内における政府公認の教育
  • 研究機関において1年または2年間学ぶことのできる「Tier 5 Government Authorised Exchange Scheme」(政府認可交換スキーム・ビザ)保持者の一部が、インターンとして就労できるようになります。
など

● 観光旅行客及び商用訪問者にとって有益となる変更点

  • 観光旅行客または商用訪問者が、主目的ではない場合に限り、英国滞在中にある程度の学業に携わることができるようになります。
  • 商用訪問者(ビジネス・ビジター)が英国滞在中に許可される活動範囲が拡大します。
など

● そのほかの変更点

  • 就労または学生ビザの申請者が純粋に就労または学業目的でビザ取得を目指しているかどうかを当局が確認するチェック過程が強化されます。
  • 「Tier4」(学生ビザ)の延長を求める申請者の英語力が十分ではないとみなされた場合、当局はビザ延長を拒否することができるようになります。
  • 「Tier5 Youth Mobility Scheme」(ワーキング・ホリデー・ビザ)の2014年度の割り当てが新たに設定されます。
  • 芸術分野で将来有望な卓越した才能を持つ人たちが「Tier1 Exceptional Talent」(例外的技能者ビザ)に申請できるようになります。
  • 前科のある難民申請者の認定手続きが変更されます。また、当局は複数の罪を犯した犯罪者または凶悪犯の英国滞在の権利をはく奪する権限をもつようになります。
など

これらの変更以外にも、既に発表されているように10月28日からは、永住権または市民権の申請方法も変更されます。近年では、これまでにも増して頻繁に移民・入国管理法の改正が行われています。ビザ取得、また延長の申請時には、わずかな見落としが大きな問題につながる可能性もありますので、手続きは専門家とともにタイミングを計りつつ確実に行うことをお勧めします。また一定の時間を要するものもあるので早い段階で専門家に相談し検討を開始しましょう。

 
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