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Mon, 15 December 2025

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プレミアム・サービスなどの利用について

今回は、滞在許可の延長を英国内で申請する際などに利用できる「プレミアム・サービス」と「法定代理人によるセイム・デー・サービス」について解説します。

● プレミアム・サービス

永住権の取得時やいわゆる学生ビザの延長時など、英国内に留まりながら新たな滞在許可を申請する際には、郵便やクーリエを使ってホーム・オフィスに必要書類を提出するという方法が最も一般的です。この方法であれば申請費が最も安く、また書類を提出するためにわざわざ会社や学校の休みを取らなくてもよいなどの利点があります。一方で、郵便やクーリエを利用して申請を行うと、ホーム・オフィスが滞在許可に関する決定を下すまでに申請者は最低でも数週間から数カ月間の待機を余儀なくされてしまうというのが難点です。

そこで、自身の滞在許可に関する決定が下されるまで不安な気持ちを抱えながら長期間を過ごすことは避けたいという人や、英国外への出張に頻繁に出掛けるために申請作業をできるだけ早く済ませたいという人にとって便利なのが、「プレミアム・サービス」と呼ばれる申請方法。割高の申請費の支払いと引き換えに、ホーム・オフィスを直接訪問して必要書類を提出することで、基本的には提出日当日に滞在許可に関する決定が下されます。

● 法定代理人によるセイム・デー・サービス

英国内で暮らす外国人からの滞在許可に関する問い合わせなどが現在殺到しているホーム・オフィスへの申請においては、プレミアム・サービスの予約を取ることが非常に難しくなっています。問い合わせてはみたものの、滞在許可期間中には予約を取ることはできないとホーム・オフィスから告げられてしまうことも珍しくありません。

そうした状況においても自身の申請作業を迅速に進めるためには、「法定代理人によるセイム・デー・サービス」の利用を検討しましょう。これは、ホーム・オフィス推奨のOISC公認機関となっている法定代理人を通じて、ホーム・オフィスとの面会の予約を取る仕組みです。これらの法定代理人はホーム・オフィスの予約システムを優先的に利用できるようになっているので、個々の申請者が自身で申請するよりも、迅速にそして確実に面会の予約を取ることができます。

● 国内からのTier4申請についての注意

ただ、法定代理人によるセイム・デー・サービスさえ利用すれば、どのような状況においても即日で滞在許可の決定が下されるというわけではないことに留意する必要があります。例えば欧州経済領域(EEA)以外の国から渡英する学生に発給する滞在許可であるTier4の申請を英国内から行う際には、現在、申請方法を問わずにまずはすべてオンラインにて申請フォームをホーム・オフィスに送信し、その後にそのほかの必要書類を郵送あるいはセイム・デー・サービスを利用して提出することが求められています。申請フォームを記入するためには、事前に「CASナンバー」と呼ばれる、ホーム・オフィスより各大学に対して発行された各学生の識別番号などの必要情報がすべてそろっていなければなりません。そのため、Tier4を申請する場合は仮に法定代理人に委託する場合でも、事前にきちんとした準備を行うことが大変重要になってきます。

既に英国で学業を始められるなどしており、学生ビザの延長を検討されている方は、たとえセイム・デー・サービスの利用を予定している場合でも、できるだけ早めに専門家にご相談ください。

 

滞在許可の申請に関する7月1日以降の変更点

今回は、7月1日に施行された、英国での滞在許可の申請に関するいくつかの変更点についてお伝えします。内務省はこのように滞在許可にまつわる制度の変更を頻繁に行っているため注意が必要です。常に新しい情報に目を配るようにしておきましょう。以下に今回の変更点の概要を記しますので、詳細については専門家までお問い合わせください。

● 英語力テストに関する必要書類の変更

英国への滞在許可を申請するためには、ケンブリッジ英語検定やIELTS、BULATS、TOEIC、TOEFLなどといった内務省が認定する英語試験を受けて、英国で生活するのに十分な英語力を有していることを証明することが求められます。この英語力テストに関する必要書類に関して、変更がなされました。十分な英語力を持っているにも関わらず、書類の不備などで申請が却下されることのないようにきちんとした準備を行うことが必要です。

● Tier 2 Generalの定員外となる研究者のための労働市場テスト免除への調整

技能移民に対して発給される滞在許可である「Tier2」の申請においては通常「人材不足職業リスト(The Shortage Occupation List)」を参照することで募集職が英国内で人材不足に陥っていると見なされているものであることを確認してから、英国内で人材募集の広告を出稿するなどして英国内居住者の中から適切な人材がいないかどうかを調べる必要があります。この募集手続きを「The Resident Labour Market Test」と呼び、もしこの手続きを経ても適切な人材が見つからない場合には、その職に関する最低賃金や必要とされる技能を定めた規定(Codes of Practice)を順守した上で、日本を含む、欧州経済領域(EEA)以外の国の国籍を持つ者を採用することができます。7月1日に発表された変更においては、この労働市場テストについて、Tier2の定員外となる研究者に対する免除措置に関しての詳細が定められています。

● 宗教関係者(Tier 5)による滞在許可の延長申請時における労働市場テストを廃止

一般に「ワーキングホリデー・ビザ」と呼ばれる「ユース・モビリティー・スキーム」における滞在許可の取得者やプロのスポーツ選手、コンサート・ミュージシャンなどのエンターテインメント関係者を含む一時的雇用者が分類されている「Tier5」カテゴリーにおいて、宗教関係者が滞在許可の延長を行う際の労働市場テストが廃止されることになりました。

● Tier4に設けられている、学習期間の上限が適用されない法学コースの対象を拡大

EEA以外の国から渡英する学生に発給する滞在許可「Tier4」においては通常、学業に携わることのできる年数の上限が定められています。しかしながら、法学コースに関しては、この上限が適用されないとの例外的な措置が取られてきました。この法学コースの対象範囲が、7月1日よりさらに拡大されます。

これらの変更点の詳細は複雑を極めるものであり、それぞれ繊細な対応が必要とされます。特にこれから7~8月は学生ビザの申請が込み合ってきます。学生ビザの延長でPremium Serviceでの申請を考えている方は早めのアポイントメントのアレンジと申請準備でスムーズに新学期を迎えられるよう、ぜひ専門家にご相談ください。

 

英国国境庁の廃止

今回は、英国への移民に対する滞在許可証の発給などをこれまで管轄してきた英国国境庁が、4月1日付で廃止された件について解説致します。英国の政府は、この動きについて、不法移民の締め出しなどを徹底するための改革の一環であると述べていますが、英国における入国管理の現状がうかがえる一件として、私たち在英邦人が注目すべきニュースと言えます。

● 英国国境庁廃止に至る背景

去る3月26日、メイ内相は、2008年に創設された英国国境庁を廃止するとの意向を述べました。その理由として、滞在許可証の発給業務において何十万単位での未処理案件が山積していることや、不法移民の取り締まりが十分に行われていないことなどの事例を挙げて、同庁の仕組みが然るべき形で機能していなかったと指摘しています。

これらの問題を解決するため、4月1日から、英国国境庁の業務は内務省内の2部門に分化され、これまで同庁が管轄していた「滞在許可証の発給サービス」と「不法移民の取り締まり」がそれぞれ別々の部署で執り行われることになりました。

● 移民管理をめぐってトラブルが頻発

BBCは、英国国境庁の管轄下における国内の移民管理について、これまで以下のような問題が頻発していたと伝えています。

・ 少なくとも31万2000件あると見込まれている未処理案件の山積
・ ロンドン郊外クロイドンにある本部におけるシステム・ダウンによる業務の遅滞
・ パスポートを含む、滞在許可証申請者の関連書類の喪失トラブル

実際のところ、滞在許可証の申請をめぐるトラブルに遭遇した経験のある在英邦人は決して少なくないでしょう。読者の皆様も、英国在住の知人から「滞在許可証の関連書類を提出したもののしばらく音沙汰がなく、パスポートが返却される見通しもないので、英国を出国することができない」「英国国境庁から、一度提出した資料を再提出するよう求められた」といった事例を耳にした経験があるのではないでしょうか。

● 早い段階で専門家に相談を

BBCは、英国国境庁の廃止に伴う一連の改革を経ても、英国における移民管理に関する混乱は容易には収拾できないのではないかと示唆する見解を示しています。先に紹介したようなトラブルが発生した際に、当局に対して説明や交渉など行うのは、非常に難しい作業になるということをあらかじめ理解しておきましょう。

そして、できればトラブルを未然に防ぎ、また万が一トラブルが発生した際にも慌てることのないよう、早い段階で専門家の力に頼るのが賢明です。外国での生活において滞在許可に関する不安を覚えてしまうと、精神的なストレスとなって勉強や仕事が手につかなくなり、せっかくの渡英経験を十分に生かせなくなってしまいます。また残念ながら今回実施された組織変更に伴う新たな混乱も予想されるので、注意が必要です。安心して充実した英国での生活を楽しめるようにするためにも、手続きは専門家と二人三脚で、ビザ取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。

 

2013年4月6日以降のいくつかの変更

今回は、4月6日に施行された、英国の滞在許可への申請に関するいくつかの変更点についてお伝えします。英国では現在、国内の移民数を制限するための施策を随時検討または実施しており、内務省は国内の滞在許可に関連する制度の変更を頻繁に行っているため注意が必要です。あとになって思わぬ変更に気が付いて慌てることのないように、常に新しい情報に目を通しておきましょう。

Tier1

Tier1の「Graduate Entrepreneur(世界的な基準において革新的なアイデアに取り組む起業家志望の学生が対象)」枠内に、英国の高等教育機関で経営学修士(MBA)を取得した才能ある学生を対象とした追加枠が設けられました。

また同じくTier1の「Exceptional Talent(科学、人文科学、技術などの分野において既に功績を残しているまたは将来有望な人材)」枠への申請手続きが分割化されます。この変更により、申請者は事前に申請費の全額を支払う必要がなくなりました。また同枠申請においては、審査が行われている間に当局にパスポートを預けておくということも現在では必要ありません。審査が長引いた場合に、長期にわたり英国内に留まることを余儀なくされていた申請者の不便が軽減される見込みです。

Tier2

欧州連合(EU)または欧州経済地域(European Economic Area: EEA)加盟国の国民でない者の多くが、英国で就労する際に必要とする滞在許可がTier2です。

このTier2の申請においては、「人材不足職業リスト(The Shortage Occupation List)」を参照することで募集職が内務省によって英国内で人材不足に陥っていると見なされているものであるかを確認し、また英国内で人材募集の広告を出稿するなどして英国内居住者の中から適切な人材がいないかを調べる必要があります(この募集手続きを「The Resident Labour Market Test」と呼びます)。もしこの手続きを経ても適切な人材が見つからない場合には、その職に関する最低賃金や必要とされる技能を定めた規定(Codes of Practice)を順守した上で日本などの国籍を持つ者を採用することができるのです。このTier2における「人材募集手続き」と「人材不足職業リスト」そして関連する「採用規定」の内容も4月6日付で変更されました。

また大多数の日本人駐在員の方々にとっての関心事であるTier2の「Intra-Company Transfer(企業内での異動として英国で働く出向者が対象)」枠についても変更点があります。企業内での移動をより柔軟に行えるようにとの目的から実施される措置ではあるものの、この変更をめぐっても繊細な対応が求められるので、専門家の助言が必要になるでしょう。

Tier4

Tier4において、博士号取得者は求職または起業の準備期間として博士課程修了後に1年間の滞在延長ができるようになりました。

滞在許可の申請についての度重なる変更によって、英国におけるビザ関連規定は複雑さを増すばかりであり、専門家の助言なくしてビザの申請を行うのはかなり困難であるというのが実情です。確実なビザ取得のためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。

 

10月1日以降のいくつかの変更

今回は、10月1日に施行された、ビザの申請に関するいくつかの変更点についてお伝えします。英国国境庁はこのように常にビザにまつわる制度の変更を頻繁に行っているため注意が必要です。あとになって思わぬ変更に気が付いて慌てることのないように、常に新しい情報に目を通しておきましょう。

● ビザ申請用紙の変更

ポイント・ベース制を使いビザの申請をする場合(Tier1: Exceptional talent/Investor/Graduate entrepreneur/Entrepreneur/General、Tier2、Tier4: Child/General、Tier5: Temporary worker)の申請用紙が、10月1日以降変更されています。以前の申請用紙を使った申し込みは、10月22日までは受け付けられますが、以降は不可となるのでご注意ください。更に、扶養家族ビザ(PBS Dependants)の申請は、これまでは1種類しかありませんでしたが、現在はTier1、2、5の被扶養者共通のものと、Tier4の被扶養者専用に分けられています。

● オーバーステイとビザ更新について

7月にお知らせしました通り、オーバーステイ(ビザで定められた在留期限の終了後も、出国せずに英国に滞在すること)に関する法律が10月1日より変更になりました。これまではオーバーステイをしながらビザの申請をしても、審査をしてルールに則っていると判断されれば許可が下りる場合がありました。しかし、改正後は、ビザの期限が切れてから28日を超えて英国内から提出された申請を一切受け付けません(ただし申請をビザの期限が切れる以前に行い、申請を却下された時点でアピールした場合を除く。オーバーステイの詳細についてはケースによって多岐にわたりますので専門家にご相談ください)。もしもオーバーステイをして自主的に出国をしない場合は、英国国境局に強制的に退去を命じられます。そうした場合は英国への再入国が難しくなると、英国国境局は明言しています。

● Tier1(Exceptional talent)に関して

昨年7月に政府が新たに開設した、Tier1(Exceptional talent)の定義の一部に変更があります。Exceptional talentは、科学、人文科学、技術、芸術の分野における優れた人材を受け入れるためのルートですが、各分野において既に功績を残している人材だけでなく、これからの活躍が期待できる将来有望な人材にも開かれています。今回の変更点は、“exceptional promise”(将来有望)という見地は芸術の分野でビザを取得しようとする場合には適用されなくなったということです。同ビザの支給に伴う候補者選定は、The Royal Society(王立協会)、Arts Council England(英国アーツ・カウンシル)、The Royal Academy of Engineering(英国王立工学アカデミー)、The British Academy(英国アカデミー)という、各分野における英国内の権威ある学術団体が監督し、最も優れた人材と見なされた申請者を推薦する形で、英国国境局にアドバイスを行いますが、いずれにせよ、ほかのルートより判断基準がはっきりしていないこともあり、提出書類も多岐にわたっているため、申請を考えている場合は、自己判断のみで済ませようとせずに、まずは専門家のアドバイスを受け、慎重に手続きをすることが必要です。

ここ数年、移民法案は改正を繰り返しています。英国国境局によって現在も大小の様々な変更がなされており、EEA以外の国籍を持つ人にとっては厳しい状況であるといえるでしょう。確実なビザ取得のためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。

 

通っている学校がスポンサーシップを剥奪されたら

8月に発表された、ロンドン・メトロポリタン大学が欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ留学生を受け入れるスポンサー資格を剥奪されたという報道にショックを受けた方も多いと思います。当初、すべての学生は、代替となるほかの大学へ新たな手続きをして入学しなおさなければいけないとされていましたが、先月21日の高等法院の判決で、現在同大学で学ぶ在学生(既に入学が決定している新入生も含む)に限り、そのままロンドン・メトロポリタン大学で勉強を続けて良いことになりました(ただし英国国境庁が不適切と判断した学生は除く)。今回は、この学校に限らず、在籍中の学校がスポンサー資格を失った場合、学生はどのような手続きを取るよう指示されるのか、当初予定されていたロンドン・メトロポリタン大学の場合を基に紹介していきます。影響を受ける学生・受験生のすべてに、英国国境庁からの通知が送付されますが、下記ではその通知を受け取ったあと必要となる事項を述べます。

● スポンサー資格を剥奪された学校に在籍中の学生の場合

・ 引き続き英国で学びたい場合、改めて別の学校に申し込みをし、Tier4を申請し直さなければいけません。英国国境庁から送られた通知に記載されている日付から60日以内に、英国国境庁と教育機関の推薦する代替の学校へ入学申し込みをします。入学が許可され、Confirmation of Acceptance for Studies(CAS)を受け取ったら、Tier4の申請に必要な書類を改めて英国国境庁に提出。必要とされる英語能力の基準が昨年から変わるなど、Tier4申請項目に変更があるため、現在のTier4申請に則した書類をそろえるようご注意ください。

・ もしも勤務先を見つけた場合は、Tier2としてビザを申請することが可能です。その場合も、通知に記載されている日付から60日以内に、スポンサーを見つけることが必須です。

・ Tier2・Tier4ともに、60日以内にスポンサーが見つからない場合は、英国から退去しなくてはいけません。

● スポンサー資格を剥奪された学校からのCASを持ち、 Tier4申請中または申請予定の学生の場合

・在学生同様に英国国境庁から通知が行きますので、そこに記載されている日付から60日以内に、英国国境庁と教育機関の推薦する代替の学校へ入学を申し込みます。スポンサーシップを剥奪された学校が発行したCASは無効です。また、入学を予定していたものの、現在まだ母国にいて英国国境庁からの連絡を受けていない場合は、学校に直接問い合わせてみましょう。Tier4を取得済みだからと今から渡英しても、CASが無効となっているので入国はできません。

● そのほか

・ もしも学生が家族を伴って来ていて、その家族が家族ビザ(dependants)を所持していた場合は、当人のTier4が無効になった時点で自動的に家族ビザの有効期限も終了します。

・ スポンサー資格を剥奪された学校に卒論(dissertation)を提出、またはこれから提出しようとしていた大学院生(Post Graduate)は、学校側がその卒論をきちんと審査するので、論文が基準を満たしていれば、通常通り卒業証明書が発行され、学位も授与されます。

今回、英国国境庁の決定を高等法院が覆すなど、ロンドン・メトロポリタン大学の学生は予測不可能な状況に陥っています。この学校に限らず、そのような立場になってしまった学生は、慣れない自己処理、準備不足や理解不足で将来のチャンスをふいにすることがないよう、専門家のアドバイスを受けながら、ビザの更新・取得を着実に進めていきましょう。

 

ビザの申請が拒否されたら

8月31日、ロンドン・メトロポリタン大学が欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ留学生を受け入れるスポンサー資格を剥奪されたという報道は、ご存知の方も多いことでしょう。学生ビザで入国してから英国で違法に就労しようとする人々の「受け皿」となる学校を取り締まる措置の一環と言われていますが、学生のみならず、外国人全般の締め出しを方針とする、英国政府の強硬な姿勢が改めて浮き彫りとなった形です。EEA以外の国籍を持つ人々に対するビザ申請の条件も年々厳しくなっているわけですが、ビザの申請が却下されてしまった場合はどうしたら良いか、改めてお伝えしましょう。

再申請する

申請が却下されるには様々な理由がありますが、最も多いと言われているのが、申請の条件は満たしているのに、それを証明する書類のすべてが提出されていないという、いわゆる「書類漏れ」のパターンです。提出書類にわずかでも間違いや不備があった場合には申請が受理されることはなく、後から不足している書類を追加提出することも不可とされています。この場合には、申請の条件自体には問題がないわけですから、新しく書類を作成し直して再申請しましょう。また、却下の通知が送られてきた際に、その理由が記載されているはずです。再申請の時点で理由となった問題箇所が修正されていない(状況が変化していないなど)場合は、再び却下される可能性がありますので、原因となったポイントをすべて確実にクリアにすることが必須となります。

アピールする

ホーム・オフィスによって下されたビザの申請却下の判断に対して、不服を申し立てる(アピール)ことができる場合もあります。その場合はホーム・オフィスではなく、第一段階審判所(移民・難民)(First-tier Tribunal (Asylum and Immigration Chamber) of HM Courts and Tribunals Service)に直接申し立てを行います。アピールを申請すると審判所から出廷日に関する詳細が知らされますので、指示に従いましょう。法廷にはホーム・オフィス側も出席し、審査官が申請者とホーム・オフィス双方の言い分を聞いた上で、最終的な判断を下すことになります。アピール時には、却下された書類の不備を見直し、正しい書類を準備すること、また法廷において自分の言い分をはっきりと裁判所側に伝えることが必要となります。

昨年の12月19日までは無料で行うことが可能だったアピールが、現在有料化(一部例外あり)されており、書面での手続きに80ポンド、口頭での申し立てには140ポンドが課されます。本人か代理人によるカード支払いのみが有効となっており、現金及び小切手などは一切受け付けていません。また、この料金は1人分のアピール額であり、家族4人の場合は4倍の料金が掛かるので、注意が必要です。

ファミリービジター・ビザに、アピールの権利を認めない(ごく限られた場合を除く)とする新たな法律案が成立しており、2014年度から施行予定であるなど、アピールに関しての細かい制度変更が行われています。申請したビザが却下された場合、そのビザがアピールの権利を持つカテゴリーにあるのか、また、「再申請」と「アピール」どちらが適しているのかなど、分からない場合は自分一人で思い悩まず、早めに専門家に相談することをお勧めします。確実なビザ取得、そして英国滞在のためにも、手続きは専門家と二人三脚で、計画を立てて着実に進めていきましょう。

 

外国人に対するビザ関連詐欺が多発

英国国境局の発表によると、英国内に滞在する外国人を標的としたビザ絡みの詐欺事件が多発しています。英国国境局との繋がりをうたったウェブサイトや、同局のスタッフを名乗る人物による電話詐欺などが相次いで報告されており、日本人を含む外国人滞在者は厳重な注意が必要です。

現在報告されている犯罪手口

● 英国内の偽求人情報を掲載するウェブサイト

外国籍を持つ応募者が同サイトを通して申し込むと、「採用が決定した」という主旨のメッセージとともに、英国国境局の偽ウェブサイトへのリンクが送られてきます。リンク先に飛ぶとTier1、Tier2、Work permit といった就労ビザ取得のための料金が提示され、その場での決済が求められます。

撃退ワンポイント
英国国境局など政府関連組織のURL は、「.gov.uk」という文字で終わります。毎回必ず確認するようにしましょう。

● 英国内で就学中の外国人留学生を標的とした電話詐欺

移民局のスタッフを名乗る人物から、電話が掛かってきます。その人物は、電話を受けた学生が所持しているビザのステイタスに重大な問題があることを伝え、強制送還の可能性があることを示唆。これを防ぐためとして、金銭を要求します。

撃退ワンポイント
個人情報に関する質問には一切答えずに、相手が残す電話番号を書き取り、当局や専門家に確認を取りましょう。

● 渡英直後の外国人を標的とした電話詐欺

渡英直後の外国人のもとに、移民局のスタッフを名乗る人物から電話が掛かってきます。電話口の人物は、「英国内での初任給を受け取るまでの期間、自立して暮らしていくための十分な資金があることを証明するため」として、デポジットを要求してきます。

撃退ワンポイント
当局が唐突に金銭を要求してくることはあり得ません。金銭の要求には断固として応じないようにしましょう。


英国国境局は、上記のほかにもまだ把握できていない手口が存在する可能性があるとし、広く注意を呼び掛けています。思い当たる節や不安があれば、速やかに専門家に相談するのが賢明です。

ビザ取得に絡んだ詐欺が発生するのには、外国人に対する政府の締め付けが年々厳しくなり、藁にもすがる思いの外国人が増えているのが関係していると言えるでしょう。

また英会話が比較的不得意で、資金を豊富に所持していると思われがちな日本人は、こういった犯罪の格好の標的とも考えられます。気付かないうちに犯罪者の餌食となり、煩雑な手続きを経たあげくに資金を失っただけ、などということがないよう、ビザの取得手続きは正規ルートで慎重に進める必要があります。ビザの取得後に関しても、現実的にどういった事態の発生があり得るかなどについてあらかじめプロの助言を得ておくことが、英国で安心して滞在するのに大いに役立つはずです。

英国滞在の機会を確実に得るため、そして貴重な滞在期間を安心して過ごすために、ビザ取得に関する手続きは専門家と二人三脚で行うことをお勧めします。

 

一部地域のTier4申請条件に「面接」が追加

5月10日付の本コラム内でご紹介しましたが、内務省は昨年から、学生ビザ(Tier4)の悪用をこれまで以上に厳しく取り締まる目的で、世界各地で実験的にある計画を実施してきました。その計画とは、学生ビザの申請者を対象とし、英語力や渡英目的の真意を問う面接を行うことです。

申請者の「実際の」英語力や渡英目的を見極めるために実施されたこの面接は、インド、中国、パキスタン、カナダといった国々の計13カ所で、2300人以上の申請者を対象に行われました。そしてその結果、実にその17%の申請者が、不正の可能性ありとして申請を却下されたのです。

そしてこの結果を受け、内務省は先月9日、同面接を本格的に実施していくと発表しました。計画はこの夏から実施され、以降12カ月の間に最高で1万4000人の申請者に面接が課される見込みです。

発表によると、現時点では、学生ビザの悪用という点において「ハイリスク」とされているインドやパキスタンといった国々においてのみ、この面接が行われるとされています。しかし、カナダなど通常「ローリスク」と分類されている国々でも試験的に実施されたことを鑑みれば、同じく「ローリスク」とされている日本にもいつ火の粉が降りかからないとも限りません。

面接では、申請条件とされている「英語力」に加え、「真剣に学業に従事するつもりなのか」「これまで受けてきた教育との関連性」など渡航理由について英語で詳細に問われます。この際、通訳が必要な場合は無論、またこれに流暢に受け答えできない場合、また渡航理由に不審な点がみられる場合には、申請を棄却される可能性があります。

ダミアン・グリーン移民担当閣外相は、この計画について以下のように述べました。
「現行の制度では、申請者の意図が疑わしい場合でも、英国国境局職員が申請を却下できないケースがあります。制度をもっと厳格化することで、本当に優秀な学生だけが、英国の卓越した教育部門において益を得られるように計らいたいと考えます。
英国は、優秀な移民には開かれた国です。しかし、もし誰かが虚偽の申請を行ったり、真の渡英目的を隠ぺいしたりした場合、その行為は露見し、申請は棄却されるでしょう」

そもそもTier4の申請は、詳細にわたる記述を要求される申請書に加え、受け入れ側のスポンサー証明、英語力、そして経済状況の証明など、その手続きは煩雑を極めます。
また、学生ビザ悪用の取り締まりが一段と厳格化し、不当な目的で申請している可能性が認められた者にはいつ面接が行われてもおかしくない、といった状況下では、提出書類に不備がないか、不要な記入漏れがないか、また拙い表現によって図らずも無気力な印象を与えてしまわないかといった点に注意しながら、慎重に手続きを進める必要があります。

政府の移民政策が本格化し、欧州経済領域(EEA)以外の出身者に対する締め付けがますます厳しくなってきている今、専門家と二人三脚で着実に手続きを進めることがこれまで以上に重要になっています。せっかくの渡英の機会をふいにしないために、そして英国滞在の一歩を気持ちよく踏み出すために、専門家のアドバイスに耳を傾け、申請には万全を期すことをお勧めします。

 

Tier4スポンサーシップに対する査察

内務省は先月23日、私立学校が海外からの留学生を受け入れる際に必要な、スポンサーシップに対する査察の強化と見直しを盛り込んだ方針を発表しました。現在、海外からの留学生を受け入れるすべての学校は、政府が認定した「信頼度の高いスポンサー(Highly Trusted Sponsor)」であることが要求されていますが、今回の発表では、語学学校などの私立の学術機関は、きちんとした学校運営がなされているかを4年に1回、公的機関から査察(Full Assessment)を受けることを義務付けられるなど、今まで以上に厳しい内容となっています。これは、学生ビザで入国してから英国で違法に就労しようとする人々の受け皿として存在する学校を取り締まり、英国中に数多くある私立学校の質を向上させるための措置とみて良いでしょう。これからスポンサーシップ取得を考えている学校は、取得の条件としてまず査察をクリアしなければならず、また、既にスポンサーシップを取得している私立学校も、同様に査察を受ける必要があります。以下にこの査察に関する重要点をあげます。

● 4年に1回のフル・アセスメントは必須となります。

● 既にスポンサーシップを取得している私立学校は、査察に合格した場合でも翌年には「ヘルス・チェック」と称する簡易アセスメントを受けることが義務付けられており、運営状態などをチェックされます。

● ヘルス・チェックで最優良の結果を出した学校は、翌年のチェックはなし。それ以外の結果を出した学校、または運営などに大幅な変更があった学校は、フル・アセスメントまで毎年ヘルス・チェックが繰り返されます。

もしもヘルス・チェックで不良の認定を受けた場合、学校側が学生に発行する入学許可証(Confirmation of Acceptance for Studies, CAS)の割り当てが内務省から一時凍結され、学校側は海外からの学生を迎えられなくなります。その場合、学校側は、認定後30日以内に改善のための実行計画書を提出しなければならず、これを怠った場合はスポンサーシップを剥奪されてしまいます。また、スポンサーシップを再申請するには認定後3カ月が経過していなければならないなど、学校側にとって大変厳しい方針となっています。

在学中の学校が監査基準を満たさず不良の認定を受けてしまった場合、学生はその時点で在籍しているコースを続けることは可能です。ただし、学校側はCASを発行することができないため、ビザの更新や延長を同校で行うことができなくなります。こうした場合には、速やかに専門家に相談することが得策です。基本的に学生の「学ぶ権利」は守られていますが、学生側にとっては予測不可能な事態に、慣れない自己処理をして進級に差し支えては大変です。

自分の落ち度でもないのに学生としての立場を危うくしないように、専門家のアドバイスを受けながらビザの更新を進めていきましょう。このような点からも、最初の学校選びは慎重にし、評判や経歴などを良く調べるなど、準備初期の段階での情報収集は大切だと思われます。

ここ数年、移民関連法は改正を繰り返しています。英国国境局によって現在も大小の様々な変更がなされており、欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ人にとっては厳しい時期であるといえるでしょう。確実なビザ取得、そして英国滞在のためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めていきましょう。

 
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