今年も毎年恒例のロンドン・ジャズ・フェスティバルが開催される。
ロンドン各地の会場で多数の一流ミュージシャンたちが10日間にわたり演奏を披露するこのイベントは、今までジャズにあまり馴染みがなかったという人でも気軽に本物のジャズに触れることができる希少な機会だ。
そこで、ジャズ初心者向けのアドバイス付きで今年のフェスティバルにおける注目のラインナップを紹介する。
www.londonjazzfestival.org.uk
渋くて甘い歌声に酔いしれる
An Evening with Paolo Conte
11月16日(土)19:30 £10~40
イタリアの著名シンガー&ソング・ライターであることに加えて、ピアニスト、画家、弁護士としても活動するという特異な肩書きを持つパウロ・コンテ。古き良きイタリア映画のサウンドトラックとして流れてきそうな渋い歌声が特徴だ。甘美なメロディーに合わせて「ドゥ・ドゥ」とささやくスキャットが印象的な彼の「イッツ・ワンダフル」は不朽の名曲。
Royal Festival Hall
Southbank Centre, Belvedere Road
London SE1 8XX Waterloo駅
Tel: 020 7960 4200
www.southbankcentre.co.uk
「ひょうたんから駒」のようなスキャット唱法
スキャット唱法は、20世紀を代表するジャズ・ミュージシャンのルイ・アームストロングが発明したとされている。レコーディングの最中に譜面を台から落としてしまった彼は、歌詞を覚えていなかったことから適当な歌詞とリズムで録音を続行。これが後にスキャット唱法として広まったという。
ブラス・バンドの演奏で盛り上がろう
Riot Jazz + The Comet is Coming
11月17日(日)20:00 £15
プランBやディジー・ラスカルなどといった英ヒップホップ界のアーティストたちとも数多くの共演を果たしているライオット・ジャズ・ブラス・バンド。マンチェスター出身のメンバーが編成するこのブラス・バンドが、ファンク、ソウル、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにした音楽で盛り上げる。クラリネット奏者のシャバカ・ハッチングスが前座として登場。
XOYO
32-37 Cowper Street, London EC2A 4AW
Old Street駅
Tel: 020 7354 9993
www.xoyo.co.uk
ジャズ独特のノリは「スウィング」と呼ぶ
1930~40 年に流行した、主に白人を中心に編成された大人数のバンドで演奏するジャズの形態が「スウィング・ジャズ」だ。またジャズ特有のいわゆるノリを「スウィング」と呼ぶ。ジャズの演奏中に身体が思わず動いてしまうようなリズムを感じたら、それがまさしく「スウィング」の正体だ。
グラミー賞3度受賞したベーシスト
Christian McBride
11月18日(月)・19日 19:15 £25~40
世界で最も権威ある音楽賞とされるグラミー賞を3回も受賞した超一流のベーシストが、クリスチャン・マクブライドだ。音楽の名門校ジュリアード学院を卒業し、40歳の時点で既に300以上の録音に参加、「最も多くの録音を行ったジャズ・ミュージシャン」との称号を得た売れっ子ミュージシャンの演奏を生で観賞することができる稀有な機会。
Ronnie Scott's
47 Frith Street, London W1D 4HT
Tottenham Court Road駅
Tel: 020 7439 0747
www.ronniescotts.co.uk
ジャズを聴くならロニー・スコッツ
ロンドンで最も評判の高いジャズ・バーの一つが「ロニー・スコッツ」だ。1959 年に同名のテナーサックス奏者がつくったジャズ・バーで、一年を通して世界中からジャズ好きがこの場所を訪れる。高級感たっぷりの内装と考え抜かれた抜群の音楽環境は、ジャズ初心者の心を即座につかんでしまうはず。
英国ジャズ界の若手ホープ
Reuben James
11月19日(火)22:00 £12
バーミンガム出身、弱冠20歳のルーベン・ジェームズは、英国のジャズ界で神童扱いを受けている若手ピアニスト。ジャズ、ゴスペル、ヒップホップ、クラシック音楽を取り混ぜた独創的な演奏で知られる。海外での注目も高まっていることから、「606クラブ」のような小規模のジャズ・バーで彼の姿を見られるのも今後は少なくなっていくかもしれない。
606 Club
90 Lots Road, London SW10 0QD
Fulham Broadway駅
Tel: 020 7352 5953
www.606club.co.uk
ジャズなら遅くからでも遊べる
ロンドンで夜に行われるエンターテイメントは、開始時間が6、7時というものが珍しくない。会社勤めをしている人が週日に遊ぼうとすると、ほぼ定時にオフィスを飛び出すことになる。一方でジャズ・バーは深夜まで営業している場所が多い。残業後や食事後に遊びに出掛けたいという人にもお勧め。
制約なしのアドリブによる競演
Brad Mehldau and Mark Guiliana:
Mehliana + Sons of Kemet
11月21日(木)19:30 £10~25
米ピアニストのブラッド・メルドーが、ドラム奏者のマーク・ジュリアナとコラボを行う。予め決められたルールなしに、アドリブを果てしなく続けるという形式で演奏を披露。ジャズをジャズたらしめているアドリブの魅力を十分に堪能できるパフォーマンスとなるはず。アフリカ・南米系の音楽を組み合わせた「サンズ・オブ・ケメット」とのダブル・ビル。
Barbican
Silk Street, London EC2Y 8DS
Barbican駅
Tel: 020 7638 8891
www.barbican.org.uk
ジャズの魅力はやっぱりアドリブ
ジャズを特徴付けているのがアドリブ。予め決められた譜面に従って演奏するクラシック音楽とは違って、一定のルールに従いながら即興で作曲と演奏を同時に行う、というスタイルだ。アドリブが終わったら、たとえ演奏中でも拍手をしたり「イエー」と快哉を叫んだりするのがお決まりのパターン。
「プロムス」出演歴もある異才
Gwilym Simcock's Eurozonee
11月22日(金)・23日(土)19:30 £15
24日(日)20:00 £20
ロンドンで毎年夏に開催される音楽の祭典「プロムス」にも出演歴のあるウェールズ出身のピアニスト、グウィリム・シムコックが登場。大手ピザ・チェーン店「ピザ・エクスプレス」が所有するジャズ・バーで演奏を繰り広げる。複雑かつ高度な音楽理論を駆使して奏でられる彼のメロディーが、ピザが行き来する少々猥雑な会場に響きわたる、異色の音楽空間となるはず。
PizzaExpress Jazz Club
10 Dean Street, London W1D 3RW
Tottenham Court Road駅
Tel: 0845 602 7017
www.pizzaexpresslive.com
ジャズはお酒や食事との相性がいい
クラシック音楽や演劇などにおいては、パフォーマンスの最中に物音を立てるのはご法度。だがジャズ・バーでは、飲食や、状況によっては談笑までもが奨励される。演奏中に自然発生的に生まれる拍手の音や、グラスにお酒が注がれる音までもがバック・ミュージックとなるのがジャズの魅力だ。
摩訶不思議な「禅ファンク」を奏でる
Nik Baertsch: Ronin + Trio Red
11月23日(土)20:00 £14.50~29.50
「浪人」という日本語を名とするこのバンドは、過去に「乱取り」「非思量」といったタイトルのアルバムを発表し、CDのジャケットには葛飾北斎の浮世絵を使用するなど日本文化から多大な影響を受けているのだという。自らの音楽ジャンルを「禅ファンク」と表現する、摩訶不思議なバンドが今年のロンドン・ジャズ・フェスティバルに参加する。
Kings Place (Hall One)
90 York Way, London N1 9AG
Kings Cross & St Pancras駅
Tel: 020 7520 1490
www.kingsplace.co.uk
ジャズは日本人の心性に合う
日本人のジャズ好きはつとに有名。ジャズの本場である米国のニューオリンズのジャズ・バーへ赴くと日本人ばかりだった、といった逸話はよく聞かれる。また世界のジャズ界において、日本市場が占める割合はかなり大きいのだとか。ジャズは日本人の心性に合う、ということなのかもしれない。



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こぢんまりとした建物と建物の間に、きゅっとむりやり押し込められたかのように納まるさらに小さい真っ赤な家。ここコンウィには、英国で一番小さいといわれる家がある。ギネスブックにも載っているというこの家、間口約1.8メートル、高さ約3メートルという極小サイズ。2階建てで、1階のキッチン & ダイニングには小さなテーブルとイスが2脚にコンロ、2階にはベッドが一つ、窮屈そうに置かれている。閉所恐怖症ならばとても住めないような圧迫感を覚えるが、この家に最後に住んでいた人物は、何と190メートルを超える大男の漁師だったというから驚きだ。


西ヨーロッパにおける最も高いビルとして、2012年のオープン時には大きく話題を集め、新しくロンドンの観光名所の一つに仲間入りした高層ビル「ザ・シャード」。イタリアの著名建築家レンゾ・ピアノが設計した高さ310メートルの建物における事実上の最上階となる72階から、ロンドンの眺めを一望することができる。通常ならば入場に際して24.95ポンドという決して安くない料金を払わなければならないが、オープン・ハウスでは特別に無料。ただしこの特典を得られるのは、先に紹介した首相官邸と同じく抽選の当選者のみ。興味のある人は9月13日の締切日までに、公式ウェブサイトから申し込みを。







毎晩、周辺にまで立ち飲み客が溢れ出る人気店。同店が立つロンドン中心部ホルボーン地区にはかつて「ウィペット犬」と呼ばれる狩猟犬が出場するドッグ・レースの競技場があり、周囲に立ち並ぶインディペンデント系の各店が街の賑わいを支えていたことから、当時の活況を蘇らせたいとの思いを込めて「ホルボーン・ウィペット」という店名が付けられた。小学校の校庭にある水飲み場のように並んだ小さな蛇口から注がれるビールは多種多様で、しかも来店する度にその種類が変わる。最近のお勧めは、バナナのようなほどよい甘味と、清涼感を含み込んだ「ロートハウス・ヴァイスビア」。フルーツ風味のこのビールと、ハーブ入りの挽きの細かいビーフを挟んだ「ブルームズベリー・バーガー」の組み合わせは、パブでの食事とはにわかには信じられないほどに爽やかな口当たりをもたらす。割高な傾向のあるクラフト・ビール店で、食事付きで15ポンド以内に収まるお得な料金設定もうれしい。
週日は露店が軒を連ねるレザー・レーンの北側に位置するパブ。何の変哲もないその外観は、英国中で見かけるそのほかの一般的なパブとさして変わりないが、店内に入ってカウンターの隅から隅まで並べられたビール・サーバーの数を見れば違いは一目瞭然。それぞれのポンプに貼られた目新しいラベルの数々には思わず見入ってしまうはずだ。スナック以外に食事は提供していないが、その代わりメニュー表にはビールの銘柄がずらり。英国人が大好きな樽内熟成の「リアル・エール」から、喉越しの良い味となる傾向の強いケグ式、さらには瓶詰めされたビールまで何でもそろっている。思わず興味をそそられるのが「エレクトリック・ナース」。直訳すると「電撃的な看護婦」となるその不思議な名前が暗示するかのように、キレとほのかな甘みが共存する個性派ビールだ。ロンドン南部ブリクストンや同北部イズリントンにも支店があり、またオンラインでも各種ビールを購入可。

2007年にスコットランド北東部アバディーン出身の20代の若者たちによって設立された醸造所「ブリュー・ドッグ」が運営するパブ。露店として始まり、今や日本を含む世界中に展開するその急成長ぶりは、ビール好きの間では伝説のようにして語られている。ロンドン東部ショーディッチほか各地に店舗を構えているが、スタッフの顔と名前を店内の壁に落書き風に書き出して紹介するファンキーなスタイルは、ロックの聖地と言われるカムデン地区の雰囲気にぴったり。スタッフが「バノフィー・パイ(バナナやキャラメルが入った英国のお菓子)の味に最も近いビール」と独特の表現で勧めてくれたのが「アブストラクトAB:14」。また注文する際に少し照れてしまう名前の「ハロー・マイ・ネイム・イズ・イングリッド」は、飲んだ瞬間にホロムイイチゴの味が口の中全体に広がる。グレープフルーツ、ライム、バジルなどを混ぜ合わせて透明感を際立たせたビールのカクテルもある。

金融街シティからアクセス抜群で、その名の通り赤い牛の絵が店内に飾られたこの店は、仕事帰りの銀行員らしき人々や近隣のオフィスに勤めているのであろう若い女性たちで賑わう。お勧めはドイツ産の「シュレンケルラ・ラオホビア」。ダークな色合いのこのビールを一口飲むと、滑らかな舌触りに加え、ベーコンのような風味にびっくり。ブナの木を燃やした薫煙で乾燥させた麦芽である「スモークド・モルト」を使用しているだけあって、まるで煙を飲んでいるかのような独特の味わいがクセになる。チーズの盛り合わせと一緒に飲めば、より一層深いコクが口の中に広がり、思わずもう一杯頼みたくなること間違いなし。歯ごたえのあるお肉と酸味の利いたソースの相性が絶妙のカモのステーキや、辛味のあるソースととろけるチーズがかかったイカの小皿など料理のメニューも充実。週によって仕入れる種類がガラリと変わるビールについての情報はウェブサイトに随時アップされている。

ロンドン屈指の食物市場であるバラ・マーケット。このマーケットの北側出口付近に設置されたビールの露店を訪れたことがある人は少なくないはずだ。ビール好きなら、実に700種類もの瓶ビールが一堂に並べられた棚を物色するだけで時間が飛ぶように過ぎていく。さて、この露店の運営元はパブの経営も行っている。そのパブの名が「ザ・レイク」であり、立地は何とバラ・マーケットの駐車場内にあるトイレの裏。店内も小部屋のようなスペースしかない、まさに知る人ぞ知る隠れ家的な名店となっている。ほぼ日替わりのような頻度で変わる約10のビール・サーバーが注ぎ出す生ビールも魅力的だが、やはり目玉は130種類にも及ぶ瓶ビール。カウンターのすぐ脇から出入りできる地下の貯蔵室に保管されている種類も多くあるという。露店ではお土産や自宅への持ち帰り用に購入、パブでは買い物の休憩と試し飲みを兼ねての一杯と、ビール党にたくさんの楽しみを与えてくれる店だ。







