今年の干支は丑年!そこで英国、フランス、ドイツで展開するニュースダイジェスト編集部が、各国を代表する牛と乳製品をピックアップ。3国それぞれがイチオシする、栄養たっぷり、おいしさ満点の乳製品を食べれば、2009年がモ~っと良い年になるはず!

ジャージー牛乳が生んだ
クロテッド・クリーム
くるりと大きな眼に、ふさふさの長いまつげ̶̶そんな愛らしい容姿が印象的な、英国領ジャージー島生まれの乳牛、ジャージー種。実は同種から採れる牛乳が、英国の「午後のひと時」には欠かせない存在だということはご存知だろうか。2009年がもっと豊かになる、ジャージー牛乳の恵みをご紹介しよう。
ジャージー牛乳は「量より質」
「ジャージー牛乳」と言えば、濃厚な味で日本でも人気が高い牛乳の1つ。とはいえ、このジャージー種の原産地が英国だということは、意外と知られていないのでは。ジャージー種の飼育が英仏海峡に浮かぶ英国領ジャージー島で始まったのは、1700年ごろからとされている。赤茶色の毛と大きな眼が特徴で、乳牛の中では最も小さく、性格は人懐っこくておとなしい。ホルスタイン種と比べると約半分程度しか産乳量がないものの、乳脂肪分が高いミルクにはコクがあり、バターなどの乳製品を作るのに適している。
そしてその味と性質を生かして作られるのが、英国人に愛されて止まない乳製品「クロテッド・クリーム」だ。クロテッド・クリームの乳脂肪分は55~63パーセントで、バター(約83パーセント)と生クリーム(約45パーセント)の中間ぐらいに当たる。ねっとりとしたクリームは口に入れるととろりと溶け、コクはあるのにしつこさが無いのが人気の秘密だ。そして原材料はミルクのみ。そう、クロテッド・クリームはジャージー牛乳の旨みと特徴を最大限に引き出した、魔法のような食べものなのだ。
「神様の食べもの」の秘密
ウィリアム・グラッドストン元英国首相に「神さまの食べもの」と称されたクロテッド・クリーム。その歴史は長く、紀元前500年ごろにレバノンからフランス北西部の地域に製造方法が伝えられ、その後、この食文化はイングランド南西部に位置するデボン州とコーンウォール州に定着した。英国のほかの地域と比べ、比較的温暖で日照率が高い両州は肥沃な土地にも恵まれ、クリームの製造に欠かせないジャージー種が多く飼育されていたことから、クロテッド・クリームはこの2つの州の特産物になったという。それぞれ「デボンシャー・クリーム」と「コーニッシュ・クリーム」と呼ばれ、現在「本物」のクロテッド・クリームが製造されているのは両州とレバノンだけだと言われている。
ジャージー牛乳は糖分が高いため、生産工程の途中でクリームの表面が凝固し「クラスト」と呼ばれるハチミツ色の膜が出来るが、この膜こそが本物のクロテッド・クリームの証とされている。クロテッドとは「固まった」という意味で、これが名前の由来でもある。製造方法はいたってシンプルで、脂肪分が高い牛乳を弱火で煮詰め、時間を掛けて水分を飛ばしたものを一晩おき、表面に固まった脂肪分を集めるだけ。仕上がりの味を決めるのは素材と製法のみで、それゆえにごまかしが利かない。肥沃な土に育った牧草を食べて育ったジャージー種から採れたミルクだからこその旨みが、クロテッド・クリームには凝縮されているのだ。
ジャージー牛とお茶をどうぞ
「ご飯がまずい」という不名誉な認識が定着している英国だが、観光客の多くが、紅茶とスコーンとクロテッド・クリームをセットにしていただく「クリーム・ティー」や、さらにサンドイッチなどが加わった「アフタヌーン・ティー」に憧れるのもまた事実。そしてこの伝統的なお茶の習慣にも、クロテッド・クリームは欠かせない存在だ。カップにミルクとお湯のどちらを先に入れるかについて討論してしまうほど紅茶好きな英国人だが、実は、スコーンにクロテッド・クリームを先に塗るか、ジャムを先に塗るかでも真剣に悩んでしまうほどこだわりがあるのだとか。とはいえ、最近では割高な本物のクロテッド・クリームを出すお店は少なく、代わりに乳脂肪分が高いダブル・クリームをホイップしたものが出されることが多いという。
120年の伝統の味をご家庭で
「我こそがクロテッド・クリームの本家本元なり!」とそれぞれが主張しているコーンウォール州とデボン州。両州に数あるクリーム製造所の中でも、1890年にコーンウォー ル州で創立されて以来、一家でコーニッシュ・クリームの伝統的な味を守り続けている「ロッダ」社は、英国民の誰もがその名を知る存在だ。金色のクラストとシルクのような舌触りが特徴で、生前のエリザベス王太妃もファンだっ たという。
5代目オーナーであるフィリップ・ロッダさんは歴代のオーナーたちと同様、同州の牧場から毎朝届く新鮮なジャージー牛乳を使用する一方で、積極的に最新の機械類を使い、保存料なしでも日持ちする製品を作ることを可能にしたという。英国の「おいしい」伝統を守り進化させていくロッダ社のクロテッド・クリームは、オンライン・ショップのほか英国内の各大手スーパー・マーケットで販売中。本物の伝統の味を手に入れて、おいしい 2009年を迎えよう!
Rodda’s Cornish Clotted Cream
Tel: +44(0)120 982 3300
www.roddas.co.uk
クロテッド・クリーム取扱店
Devon Cheese Ltd.
East-the-water, Bideford, Devon EX39 4QY
Tel: +44(0)123 742 2800
www.devoncheese.com
Johns Supermarket & Delicatessen
Instow, North Devon EX39 4HY
Tel: +44(0)127 186 0310
www.johnsofinstow.co.uk
The Devon Cream Company
1 Ingoldmells Court, Wiltshire SN13 9N
Tel: +44(0)122 581 2712
www.coombecastle.co.uk
Jersey Cow Farm Shop
5 Belle Vue, Bude, Cornwall PL32 9SP
Tel: +44(0)128 835 5650
www.jersey-cow.co.uk

無敵のヴォージュ種と
極上の乳製品
フランス北東部、ドイツ国境近くのアルザス地方は、フランスでも有数の農業地域。なんでも同地方には、ミルクから食用肉としてまで活用出来るオールマイティーな牛、ヴォージュ種がいるという。そしてそのミルクから作られた乳製品は、まさに絶品。極上のチーズとバターを食べて、仏流に丑年を満喫してみては。
オールマイティーな牛、ヴォージュ種
頭から背中にかけ、一直線に伸びる白毛が特徴のヴォージュ種は、フランス北東部アルザス地方のヴォージュ山脈を中心に生息する牛。この種は、17世紀に迎えた30年戦争時代(1618~48)にスウェーデン人がフランスに持ち込んだものが起源とされている。ヴォージュ山脈の気候が寒さの厳しい北欧諸国の気候に酷似していることから同種はめきめきと増殖し、20世紀初めには12万頭を超えた。
乳牛としてだけではなく食用肉としても活用出来ることから、第一次、第二次世界大戦時にはフランス軍に強制徴収されるほどの人気を見せたヴォージュ種。だがその需要と供給のバランスが崩れ、1970年初頭には3000頭にまで激減してしまう。その後、農林水産省からの通達で種の保存が計画され、77年には8500頭にまで増殖し、現在では1万頭超を保っているという。1メートル30センチ前後と小さめの体にも関わらず、体重は600キロ前後とどっしりした体型で、乳牛1頭につき、年間およそ4400トンのミルクを生産する。
こだわりの郷土チーズ、マンステール
世界有数のチーズ生産国であるフランスでは、数千種類にも上るチーズが作られていると言われている。ここで紹介したいのは、アルザス地方やスイスとの国境に位置するフランシュ=コンテ地域圏、ヴォージュ山脈付近のヴォージュ県などを代表する、ヴォージュ種のミルクを使用して作られたチーズ、「マンステール」。マンステールは、フランス製のワインやチーズなどに対して与えられる認証「AOC」を持つ、アルザス地方唯一のチーズとしても有名だ。
ウォッシュ・タイプと呼ばれるこのチーズは、表皮を塩水で何度も洗うことで菌を繁殖させ、外側から熟成させるという独特の手法で作られている。熟成が進むと表皮はオレンジ色に変色し、かなりクセの強い臭いを放つ。とはいえ、口に入れるとまろやかで、口いっぱいに広がる濃厚な牛乳の甘さに驚くはずだ。マンステールは乳牛の食生活や生活風土などで味が大きく変わることから「フロマージュ・ド・テロワール(郷土チーズ)」と呼ばれており、アルザス地方では茹でたジャガイモと一緒に食べるのが通例となっている。もちろん、ワインのつまみやデザートにも最適だ。
フランス料理には欠かせないバター
世界三大料理の一つにも数えられるフランス料理だが、それに欠かせない食材の一つがバターである。マンステール・チーズに比べると生産量は少ないものの、アルザス地方ではバターも生産されていて、中でも南部に位置するリンタル村で作られるものが有名だ。豊かな自然に囲まれ、高山の牧草を食みながらスクスク育ったヴォージュ種のミルクから作られたバターには、ほかにはない自然の味わいがある。目印は、表面に付いたかわいい牛のマーク。このバターがアルザス料理に合うのは言うまでもない。
マンステール・チーズのタルト
タルト型: 直径30センチ(6人前)
| 卵 | 200g(およそ6個) |
| フレッシュクリーム | 150g |
| 塩 | 0.5g |
| コショウ | 0.5g |
| 小麦粉 | 15g |
| バター | 20g |
| パイシート | 205g |
| マンステール・チーズ | 110g |
| 1. | ボウルに卵、クリーム、塩、コショウ、小麦粉を入れハンド・ ミキサーでよく混ぜる。 |
| 2. | タルト型にまんべんなくバターを塗り、パイ生地を型に敷き、フォークで適当に穴を空ける。 |
| 3. | マンステール・チーズを小さなサイの目に切り、パイ生地の上に並べる。 |
| 4. | パイ生地の上に1で作ったタネを流し入れ、200度のオーブンで40分間焼いて出来あがり。 |
チーズとバターの入手方法
Klei Belcha
21, Grand Rue 68140 Munster
Tel: +33(0)3 89 77 20 57
9:30-12:00 14:00-18:30 無休
Fromagerie: Ferme Roess
4, Oberer Geisberg 68140 Soultzeren
Tel: +33(0)3 89 77 13 72
www.chezchantaletdany.fr
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
Auberge et Ferme du Ried
Le Ried 68140 Luttenbach près Munster
Tel: +33(0)3 89 77 36 63
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
Fromagerie: Ferme du Saesserle
155 Ferme du Saesserle 68380
Breitenbach Haut Rhin
TEL: +33(0)3 89 77 49 46
年中無休
写真©OTVM

女王ホルスタイン種の
安心・安全ビオ牛乳
白と黒のブチがトレード・マークの牛、ホルスタイン種。同種の原産地であり、古くから牛乳産業が盛んなドイツは、世界第4位、EU第1位の牛乳生産量を誇る酪農大国である。そんなドイツで近年注目されているのが「ビオ牛乳」という存在だ。同じホルスタイン種のミルクでも、飼育法が違うだけでなぜ味も栄養価も違うのか、その秘密に迫る。
乳牛の女王、ホルスタイン種
世界で最も有名な牛の品種といっても過言ではない、ホル スタイン種。同種の原産地は、ライン川河口の低湿地であるオランダのフリーネ地方と、ドイツ北部のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州に当たる地域である。あまり知られていないが、この品種を立派な乳牛に育て上げたこの2つの地方の名を冠した「ホルスタイン・フリーシアン」というのが正式名称だ。
ホルスタイン種は年間6000~8000キロと、乳牛の中では最大の産乳能力を誇り、黄色味の薄い美しい乳白色のミルクを出すこと、そして世界で一番多く飼育されていること から「乳牛の女王」の地位を不動のものとしている。ちなみに、日本で飼育されている乳牛の99パーセントを占めるのも同種だ。そんな大活躍を見せるホルスタイン種だが、ドイツで今、その飼育法とミルクに大きな変化が起こりつつある。オーガニックな飼育と搾乳を実現した「ビオ牛乳」が登場したのだ。
健康で美味しいビオ牛乳
最近、ドイツのあらゆるスーパー・マーケットで見かけるのが、緑の六角形の「ビオ・マーク(Bio-Siegel)」が目印のビオ食品。これは規格認証制度として、有機農業の生産から流通、販売、品質管理にいたるまで、徹底した品質管理が行われているオーガニック食品のことだ。誕生したのは2001年、ドイツで狂牛病(BSE)の感染が確認され、食品に対する不安が急激に高まった時期だった。
現在、パンや野菜、肉にフルーツなど、ありとあらゆるものが登場しているビオ食品。中でもビオ牛乳は人気で、消費者への定着度も高い。初めて飲む人は、同じホルスタイン種から採れたミルクでも、普通のものとビオ牛乳の美味しさと栄養価の違いに驚くはずだ。もちろん品質の面でも安心でき、普通の牛乳との価格差があまりないことも人気の理由だ。
健康と幸せの法則
消費者が、いつもの牛乳からビオ牛乳へと切り替えるのは簡単なこと。だが農家にとって、その変化は一体どんな形で現れるのだろう。ドイツ北西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州で酪農を営むユリアン・トーレンさんは「ビオ牛乳作りが難しいのは事実。でも、私は消費者の人生を『食』の面から応援していきたい」とその情熱を語る。
ホルスタイン種を飼育するトーレンさんは、それまでの一 般的な牛乳の製法からビオ牛乳の製法へと6年前に切り替えた。ビオ牛乳作りには、農場の設備から乳牛の飼育方法まで、あらゆる面で変更が必要で費用がかさむ。実際、ビオ牛乳作りへの転換を考えても、コストと採算を天秤にかけてあきらめてしまう酪農家は少なくないと言われている。
トーレンさんがビオ牛乳作りへと切り替えるきっかけとなったのは、彼の父親の病気だった。食事に特に神経質にな らなければいけない種の病気であったため、食の安全について、彼自身も敏感にならざるを得なくなったという。それを機に、本当に体に良いものを作らなくてはいけない、という信念を持つようになったトーレンさん。ビオ牛乳を作るために手間が倍増する反面、収益は大きな伸びを期待出来ないのが現状だ。しかしそんなジレンマを抱えながらも、消費者の人生を「食」の面から応援したいという情熱が彼を支えた。
普通の牛乳と比べ、栄養価の面でも味の面でも勝っているビオ牛乳だが、それは飼育方法に秘密があるようだ。トーレンさんによれば、乳牛が緑の草を食べれば食べるほど、乳の色がより白く、美しく変わるという。「生まれてすぐの仔牛は母牛の母乳で育て、十分な敷地の中で放牧し、無理のない搾乳サイクルを組むことで、牛自身の体力が付いてくる。すると、その牛から取れる牛乳にはたくさんの栄養が含まれ、風味も豊かになるのです」。
良いミルクは良い牛人生、ということだろうか。酪農家の想いと牛のパワーがたっぷりと詰まったビオ牛乳を飲んで、これまで以上に健康的な1年にしてみてはいかがだろう。
牛をもっと身近な存在に
Upländer Milchmuhseum
Korbacher Str.6, 34508 Willingen - Usseln
+49(0)563-2922222
www.muhseum.de
Dresdner Molkerei Gebrüder Pfund
Bautzner Str.79, 01099 Dresden
+49(0)351-808080
www.pfunds.de
www.bauernhofurlaub.de
www.milka.de



パン柄トートバック販売中






ジョセフ・マーカムさん















Arran Brewery
Eynon’s
Pieminister
James White
House of Cheese
Dee Fish
Royal Mile Whiskies
Abel and Cole
House of Fraser
Marks & Spencer
John Lewis
Debenhams
The Chocolate Fondue Company
Serenataflowers.com
Thorntons
So Organic
Oxfam Unwrapped
Practical Action
Natural Collection
inthepaper.co.uk
Universal Star Listing
Lastminute.com
Extreme Element
日本でディスプレイ制作会社に6年勤務した後、来英。語学学校に通っている間にElemental Designにパート・タイマーとして採用され、2006年に労働ビザを取得。以来、同社にてディーゼルやラコステ、スワロフスキー、ルイ・ヴィトンなど、有名ブランド店のディスプレイ・デザインを手掛けている。
Elemental Design






































ポールによる下絵をもとに、ポップ・アーティストのピーター・ブレイク卿がデザイン。4人の背後には彼らがヒーローと崇める歴代の著名人たちが勢揃いしている。当初、ジョンはヒトラーも候補に挙げていたが、撮影当日に却下されることとなった。(写真提供:Toot'n Reg)
60年代にサイケデリック・アートの一時代を築いたオー ストラリア人アーティスト、マーティン・シャープの傑作。ビクトリア時代の版画も取り入れた絢爛(けんらん)なデザインだ。シャープは収録曲「Tales of Brave Ulysses」で歌詞も提供している。(写真提供:Toot'n Reg)
クリムゾン作品の歌詞を担当していたピート・シンフィー ルドの友人で、コンピューター・プログラマーのバリー・ゴドバーが自画像として描いた作品。ゴドバーは本作リリース直後の1970年に、心臓発作により24歳の若さで急逝している。(写真提供:Russell Taylor)
1969年8月8月、レコーディ ングを行った「EMI」のアビー・ ロード・スタジオ前で撮影され た、あまりにも有名な1枚。こ ちらもポールによるスケッチが 原案。フォトグラファーのイア ン・マクミランが撮影にかけた 時間はたった10分だという。(写真提供:Satori K)
ベーシストのロニー・レーンが、当時マリファナ入れとしてよく使われていたタバコ缶に着想を得て、ビクトリアン・デザインのパッケージで有名なタバコ会社「オグデンズ」に協力を仰ぎ制作。12インチのオリジナル盤は見開き5面の円形ジャケット。(写真提供:Toot'n Reg)
The Whoの3作目となる、ラジオ局とCMをテーマにしたコンセプト・アルバム。ジャケットも商品広告を意識しており、前後面をそれぞれパネル状に2分割し、各メンバーが巨大化された食品や日用品を手にしているというポップなデザイン。(写真提供:Nick Collins)
デザイン・グループ「ヒプノシス」のストーム・ソーガソンがタイトルとアートワークを担当。シド・バレット脱退後ともあって「不在」をテーマにしており、炎に包まれ燃えている男が握手しているイメージは、初対面の際に本心を明かすことを嫌う人間心理を象徴しているとされる。(写真提供:Nick Collins)
本物のジッパーが付いた斬新なカバーは、アンディ・ウォーホルの発案。ジッパーを下ろすと、後にバンドのロゴとなるベロ出しリップ柄を施したブリーフのカードボードが現れる。同作は猥褻との理由で物議を醸し、スペイン盤は別デザインに変更された。※ 写真は一部破損(写真提供:Nick Collins)
ストーム・ソーガソンのデザイン。巨大なブタの風船をロンドンのバタシー発電所上空に飛ばし、3日間かけて撮影。途中、風船が空高く飛んで行ってしまい、一時は警察も出動する騒ぎとなったが、最終的にケント州の農場にほぼ無傷で着地したのだとか。(写真提供:Nick Collins)
ピンク・フロイド創始者の一人、シド・バレットのソロ2作目にして最後のスタジオ・アルバム。もともと画家志望でアート・スクール出身のバレットが自ら描いた昆虫の絵に、絶妙なタイポグラフィによるタイトルが添えられた、儚さが漂う美しい1枚。(写真提供:Nick Collins)
ハリウッド女優たちとバンドのメンバーが交互に配された内ジャケットの写真が、外ジャケットの切り抜かれた顔部分からのぞくという凝った仕様。レーベル側が女優たちに正式に許可を取らなかったことから、後に裁判沙汰に発展した。(写真提供:Satori K)
バンド・メンバーの50'sスタイルへの愛好を反映したデザインは、その後ロキシー・ミュージックのアートワークを数多く手掛けたニック・ドヴィルが担当。カバー・ガールは、後にミック・ジャガーの弟、クリス・ジャガーと結婚した、カリ=アン・ミュラー。(写真提供:Toot'n Reg)
通算6作目となる2枚組アルバムで、ニューヨークの4階建てフラットの写真を使用。内ジャケットに描かれた人物写真や絵が、外ジャケットのくり貫かれた窓部分から見える仕掛け。1976年のグラミー賞でベスト・アルバム・カバー賞に選出されている。(写真提供:Toot'n Reg)
スイス人画家でデザイナーのH・R・ギーガーによる原画を採用。表面は2枚仕立てで、観音開きのトップ面を開くと女性像が現れる。後に映画「エイリアン」のデザインを手がけて世界的に人気を博したギーガーの、初の公式作品としても有名。(写真提供:Nick Collins)
アート・スクール出身のイアン・デューリーも絶賛のグラフィック・アーティスト、バーニー・バブルズがデザインしたバンド2作目のアルバム。背景に使われているのは壁紙のサンプルで、12以上のパターンが制作された。バブルズは1983年に自殺。(写真提供:Nick Collins)
セックス・ピストルズのアートワークといえば、ジェイミー・リード。どぎつい色にランダムなレタリングを配した、シンプルながら強烈なデザイン。これ以上ないほどの粗さとインパクトの強さが、バンドのイメージに完全マッチ。(写真提供:Kaz)
「ヒプノシス」による高いデザイン・コンセプトをもつ1枚。「This is a RECORD COVER」から始まって、機械的で皮肉めいた解説が続き、読んでいるとまるでロボットが喋るのを聞いているような感覚に陥る。音もジャケットに違わず斬新で前衛的。(写真提供:Nick Collins)
グラフィック・デザイナーのピーター・サヴィルは、もう一人のメンバーと言っても過言ではないほど、デザイン面でバンドと密接に関わってきた。フロント・カバーの人物は意外な抜擢、ドラムのステファン・モリス。トレーシング・ペーパーの効果が生きたクリアでミニマルなデザイン。(写真提供:M.E)
性的な歌詞が問題になり放送禁止となった大ヒット作「Relax」 や、米ソ冷戦を批判した「Two Tribes」等で一世を風靡したFGTHのデビュー作。このカバー絵は、当時アート・スクールを出たばかりだったロ・コール作。(写真提供:M.E)
ニルヴァーナやレディオヘッドなどにも多大な影響を与えた米国出身の彼らは、デモテープを英レー ベル「4AD」に気に入られて英国からデビュー。アートワークはヴォーガン・オリバーが一貫して 担当しており、サウンドに合ったシュールで退廃的なイメージ。(写真提供:Nick Collins)
20年代のドイツの芸術活動「バウハウス」に名を借りた彼らは、ゴシックの元祖。ライブでは常に黒い衣装を身にまとい、ストロボ・ライトの閃光による演出のもと、ダークで激しい音を鳴らしていた。これはそんな彼らの表現活動をビジュアル化したような1枚。(写真提供:Nick Collins)
菜食主義を声高に訴えた名作。スミスのカバーのほとんどはモリッシーが選んだ古い映画や写真のイメージだが、本作では1968年のドキュメンタリー映画「亥年」のカットを採用。ヘルメットに書かれていたオリジナルのスローガンは「Make War Not Love」。(写真提供:Kaz)
伝説のクラブ、「ハシエンダ」で見出されてファクトリー・レコードと契約。後に全盛となるマッドチェスター・ムーブメントの先駆けとなった1枚で、同ムーブメント関連のアートワークの担い手だった「セントラル・ステーション・デザイン」がカバーを担当。(写真提供:M.E)
90年代のマッドチェスター全盛期を代表するアルバム。音、アートワークともに当時のドラッグ文化の影響をモロに反映。前面にタイトルなどが一切入っていないにもかかわらず、バンドおよびEカルチャーの出現を象徴する1枚として広く認知された。(写真提供:Satori K)
メンバーのカール・ハイドとリック・スミスが所属するデザイン集団、「トマト」の作品。混迷するラインと文字を配した過不足のないデザインは、エレクトロニック・ビートとカットアップの美学を見事に反映。ダンス・アルバムのデザインにおける新基準となった。(写真提供:Satori K)
メンバーの1人でデザイナーの3Dは、自然史博物館のために昆虫の写真撮影をしていた経験もあるファッション写真家、ニック・ナイトの作品を起用。南米産の珍種カブト虫の頭部写真に特殊加工を施し、シャープで危険、かつ力強いイメージを完成させた。(写真提供:Satori K)
今や飛ぶ鳥落とす勢いの、グラスゴー出身の4人組。全員アート・スクール出で、ビジュアル・イメージも自ら手がける多才ぶり。2作目となる本作では、ロシア構成主義を代表する前衛芸術家、アレキサンダー・ロドチェンコの作品をモチーフにしている。(写真提供:Satori K)
1994年以降、バンドの全作品のアートワークを担当しているスタンリー・ドンウッドが本作で描いているのは、熱と冷気が一度に迫ってくるような、山脈を中心とする風景。ドイツの画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒなどからの影響も見て取れる。(写真提供:Satori K)
通算8作目となる本作では、2作目以降、全作品のカバー・デザインを担当してきたピート・ファウラーに代わって、日本人アーティストの田名網敬一を起用。バンド・メンバーが来日時に田名網氏の作品を見て「ブッ飛んだ!」ことから採用が決まったという。(写真提供:Chinami)



Superfuzz Bigmuff
Long Island (single)
Jesus Meets The Stupids
Up All Night! 30 'Northern Soul Classics'
In The Land Of
Plastic Ashtray (Single)
Inside In / Inside Out
Cosmic Slop
Radiator
6 For A Fiver 
*英国人コメディアンのラッセル・ブランド、テレビ司会者ジョナサン・ロスが、BBCのラジオ番組内で、コメディ俳優アンドリュー・サックス氏の孫娘と性的関係を持ったとする内容を同氏の留守番電話に残すという悪ふざけを行った。これが聴取者などからの抗議を呼び、後日発表した声明の中で、両者は共に謝罪した。





ちょっととっつきにくそうな店員さんも、車や鉄道の話になるや、物静かな口調ながら次から次へとお勧めの本を語り出す。こんな本屋では、本を購入するだけでなく、いかにも英国らしい、ちょっとシャイで頑固な店員との会話を楽しみたい。
ジョンさん一押し。現在はロンドン交通局が所有するグレート・ウェスタン鉄道のタンク式蒸気機関車の物語。実はジョンさんの共著本だ
2007年度「ガーディアン」紙が選ぶ「世界で最も優れた本屋」において、英国内の本屋で唯一トップ10にランク・インしたのがこの「Hatchards」。創業1797年、3つの王室御用達の称号を持つこの書店にはかつて、オスカー・ワイルドやバイロン卿も通ったとか。
美しい装丁が魅力の教会ねずみシ リーズ絵本。クリスマス・プレゼ ントにもぴったり
ロマンスも扱っているのは、「もちろん、私がロマンス本も書いているからさ(笑)」。マニア向けと思いきや、マキシムさんの個性が反映された、ちょっぴりお茶目な本屋だった。
ホームズの物語に詳しい注釈を付けた研究者向けの本。著者は弁護士でシャーロキアン
そしてもう一点、特筆すべきなのが本の配列。旅行書のみならず、小説などすべての書籍が国ごとにまとめられているのだ。本棚を眺めただけで、それぞれの国の文化や歴史まで見えてくるような、時間や空間を超える広がりを持つ本屋である。
作家エマニュエル・リトビノフが、ロンドンのイーストエンドで暮らした自身の少年時代を振り返る
「普通の本屋だったら、本が一番大切でしょう。でも私たちにとって何より大切なのは人との関係なのです」。顧客はほとんどがコレクター。彼らとのコネクションを通して、本を購入し、販売する。長年培ってきた彼らとの関係性を守り続けること、そして「あまり欲深くならないこと」、こうした姿勢を貫くことで、「Gekoski」は希少本の世界における確固たる地位を保ち続けている。
グラハムには珍しいこの詩集は、現在では世界に数冊しか残っていない貴重なもの。何とグラハム本人から購入したという本の最後には、直筆の詩も書き加えられている
ヨーロッパ最大の独立系本屋と言われるドイツのWalther Koenig Books。そのロンドン支店としては、ケンジントン・ガーデン内のサーペンタイン・ギャラリー店が知られているが、チャリング・クロス・ロードにも今秋、新たな店舗がオープンした。黒で統一されたシンプル&シックな店内はさほど大きくないが、アートや建築、写真の分野では定評のある書店の支店だけあって、選び抜かれた本はどれも店のセンスがキラリと光るものばかり。また、店独自で出版しているものもあるので要チェックだ。人気の現代作家のアート本や写真集が置かれた1階をゆっくり楽しんだ後は、ぜひ地下へ。分野を問わず、さまざまな本が大幅に値下げされていて、思わず目移りしてしまう。
スーパーのチラシから電話ボックスに貼られた女性のヌード写真まで、さまざまなチラシをユニークなアレンジでまとめたスクラップ写真集

ロンドンの街を網羅した詳細な地図を時代別にまとめたシリーズの1冊
本屋という枠組みを超え、新しい文化の発祥地として若者を中心に絶大な人気を誇るショップ。本のみならず、Tシャツやキャラクター・グッズ、文房具などが販売されている店内には、混沌としながらもどこか統一感を覚えさせる不思議な空気が漂う。ありとあらゆる分野の人々がドアを開けて店内に入り、何かを求めるという行為はとても人間的に豊かなこと、とはオーナーの弁。客からのフィードバックを大切にし、そのアイデアを取り入れることで進化し続ける空間に、今後も目が離せない。
「MI5の職員をスパイせよ」などユニークな指示が挿入されたダイアリー・シリーズの2009年版
じっと留まっていなければならないこの仕事は、かなりの重労働に違いない。それでも彼らが毎日、本を売り続けていられるのは、「本が好きで、このエリアが好きだから」。時には馴染み客が本を売りにやって来ることもあるという。本を好きな人と人が集まれば、そこにはもう、「本屋」という空間が存在しているのかもしれない。










国際的に活躍するビジュアル・アーティストとリバプール近郊の3都市が協力し合い、それぞれの街にパビリオンが作成された今年。中でもリバプールの北に位置するカークデールでは、「見捨てられた土地をコミュニティー・ガーデンにしたい」という街の要望にアーティストが応えた。このパビリオンは2つのエリアに分かれており、1つは城のような、そしてもう片方は「バー・コード」というガーデンとなっている。これは一見すると「一体、どこがガーデン?」と思ってしまうような代物だが、中に入ると、壁の内部が植物で覆われていることが分かるという仕組みになっている。グリーン思想とアート、そして地元の人々の生活が一体となった作品だ。
建築分野でのキャリアも持つ米国人アーティスト、サラ・ジーは、細部まで細かい趣向を凝らしつつも、奔放な雰囲気が漂うインスタレーションを制作することで知られている。今回、展示場である階段横の吹き抜けを最大限に利用したサイト・スペシフィックな作品を発表したジーは、「これは1つの風景というよりも、ある風景のなかで起こっている動きの連続」であると語る。インテリア用品のサンプルやレンガ、建築の材料にコケなどが配置されているのだが、これらの作品の1つ1つが「次の動作」に移ろうとする瞬間で「一時停止」されているのだ。そしてそれらのオブジェは構成されたというよりも、それぞれが生命体として意思を持っているかのように力強い。








