ロンドンに住み始めてから、美術館や博物館めぐりの楽しさに目覚めた人も多いことだろう。だが意外と見落とされがちなのが、これらの施設の多くが、実は素敵なカフェを持っているという事実。そこで本特集ではこれらのカフェに注目し、芸術の秋と食欲の秋を一遍に実現する方法を紹介します。(本誌編集部 : 長野雅俊)
破天荒な現代アートの思想がこの空間に凝縮ICA バー & カフェ
「Institute of Contemporary Arts(現代芸術協会)」を正式名称とする総合アート施設。バッキンガム宮殿とトラファルガー広場という2大観光名所をつなぐ大通りマルの間に位置している。ポップアート作品などを積極的に取り上げる、アバンギャルドなアート空間として人気を集める。
時に奇抜、時に過激なアートで、既存の美術界の権威に抗う独特のアート空間を作り出すICAならではのカフェ。一見すると学食と見紛うような気軽で簡素な作りの飲食スペースが、夜になると様変わり。日・月以外の夜は深夜1時までオープン、カクテル・メニューが用意され、DJすら登場するカフェをICA以外のアート施設で見かけることはまずないだろう。またあまり知られていないが、このカフェは今から10年以上前となる1994年に「インターネット・カフェ」としての運営を始めた、その世界の先駆者でもある。斬新そして破天荒なスタイルで独自のアート空間を切り開いていくICAの思想が、たっぷりと詰まった場所だ。
カフェの営業時間: 12:00-翌1:00 (月は23:00 まで、 日は22:30 まで)
The Mall SW1Y 5AH
Tel: 020 7930 3647
www.ica.org.uk
地下鉄: Charing Cross駅
![]()
Roberto Cuoghi: Šuillakku
イタリア人アーティストのロベルト・クオギが作り出す、音の芸術展。紀元前7世紀前後にメソポタミア文明を築いたアッシリア帝国の崩壊をテーマとしたという、ICAらしい一風変わった芸術作品は、11月23日まで公開。入場無料。
Roberto Cuoghi, Pazuzu, 2008, Courtesy Galleria Massimo De Carlo, Milano, Photo Paolo Pellion
コンラン卿プロデュースで食をアートへと変えるブループリント・カフェ
かつては船の波止場として賑わったが、他の交通手段の発達に伴い、戦後は閑散としていたロンドン東部バトラーズ・ワーフ。その再開発事業を手掛けたコンラン卿が、同地区に設立したのがこの博物館だった。車、電話、洗濯機といった20、21世紀のプロダクト・デザインを中心に扱っている。
レストラン経営やホテル建築、そしてプロダクト・デザインのプロデュースなどを手掛ける英国人デザイナーのテレンス・コンラン卿。「食とアートの融合」を掲げる彼が、デザイン・ミュージアム内に創設したのが「ブループリント・カフェ」だ。従来の「カフェ」という概念を超越するかのような高級感を漂わせた内装とサービスは、まさにコンラン卿プロデュースの真骨頂。お得意のモダン・ブリティッシュ料理に加えて、シンプルさを際立たせたインテリア、そして窓際からのぞくテムズ河岸の絶景など、「食とアートの融合」が体現されている。「美術館を訪れたついでに立ち寄る」といった気軽なスタンスで訪れるのが憚(はばか)れるぐらい、豪華な魅力に溢れたカフェである。
カフェの営業時間: 10:00 - 17:45
28 Shad Thames, Butlers Wharf SE1 2YD
Tel: 0870 833 9955
www.designmuseum.org
地下鉄: London Bridge / Tower Bridge駅
![]()
Alan Aldridge:
The Man with Kaleidoscope Eyes
英国人グラフィック・デザイナー、アラン・オルドリッチの特別展。サイケデリック・アートの草分けとして活躍した彼の英国での初の個展となる。2009年1月 25日まで公開。入場料£8.50(シニア£6.50、学生£5)。
Roberto Cuoghi, Pazuzu, 2008, Courtesy Galleria Massimo De Carlo, Milano, Photo Paolo Pellion
都会人のためのシックなバーテート・モダン・レストラン
テムズ河沿いに位置する、7階建ての巨大な現代美術館。かつて火力発電所として使用されていたという建物を改装し、2000年にオープンした。パブロ・ピカソやダミアン・ハーストといった現代アートの巨匠たちの作品を一目見ようと、同館を年間500万人もの鑑賞者が訪れるという。
巨大な現代美術館であるテート・モダンには全部で3つの飲食スペースが設けられているが、中でも特にお勧めなのが、最上階となる7階に位置するこのレストラン。まずテムズ河上で銀色に輝くミレニアム・ブリッジと荘厳なセントポール大聖堂の眺めを一望するだけでも行く価値あり。さらに料理も本格派で、サーモンやフィッシュ・パイ、ロケット・サラダ、ラムのステーキなどといったお馴染みのメニューには新鮮な食材が利用されており、まるで高級レストランにいるかのよう。またレストラン手前はバー・エリアとなっており、日暮れが早くなるこれからの季節に夜景を楽しむにもぴったり。金・土は夜10時まで開館しているので、仕事帰りの一杯にも活用できる。
カフェの営業時間: 10:00-18:00 (金土は22:00 まで)
Bankside SE1 9TG
Tel: 020 7887 8000
www.tate.org.uk/modern
地下鉄: Southwark駅
![]()
Cildo Meireles
最近のコンセプチュアル・アート界を牽引するブラジ ル人アーティスト、スィウド・メイレリスの特別展。日常生活で手にする事物を使いながら、観る者に驚きや困惑を与えてしまうような、不思議な作品世界を作り上げる。2009年1月11日まで。入場料£8。
Daros-Latinamerica ©Cildo Meireles
待ち合わせにも最適ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ・レストラン
著名な画家や建築家を中心とする80人の協会員が所属する芸術機関。展示会などの売上を通して、大学院を運営している。協会員を務めるのは、古くは19世紀の風景画家ジョン・コンスターブル、最近ではハイテク建築で知られるノーマン・フォスター卿といった英国アート界の権威ばかり。
1階にも小さなカフェが設置されているが、よりお勧めなのが地下にあるレストラン。以前は格式ある豪邸といった雰囲気を醸し出していたこの空間は、ロンドン在住の建築家MUMAによって最近になって改装され、モダンな空気を入れ込むことでイメージを刷新することに成功した。壁にかけられた絵はライトアップされていて、さすがは美術館のレストランと思わず頷いてしまうはず。またレストランに行くだけなら入場料は発生しないので、たとえ館内で展示された作品を見学せずとも、気軽に立ち寄れるところが嬉しい。絶えず混雑しているピカデリー・サーカス駅付近で待ち合わせすることが多い在英邦人の方々にとっては、利用価値大だろう。
カフェの営業時間: 10:00-18:00 (金は22:00 まで)
Burlington House, Piccadilly W1J 0BD
Tel: 020 7300 8000
www.royalacademy.org.uk
地下鉄: Green Park / Piccadilly Circus駅
![]()
John Madejski Fine Rooms
多角ビジネスを手掛ける英国人企業家ジョン・マデイスキーからの300万ポンド(約6億円)の寄付によって建築された展示スペース。数年ごとに展示内容を変更しながら、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのコレクションを公開している。入場無料。
Francis Ware 2003 © Royal Academy of Arts London
ロンドン中心部の隠れ家的名所ポートレート・レストラン
世界でも数少ない肖像画だけに特化した美術館。離婚問題をきっかけとして英国国教会を創設したヘンリー8世や大英帝国の権勢を欲しいままにしたヴィクトリア女王、さらにはビートルズや人気サッカー選手のデービッド・ベッカムといった、英国の歴史を築いた偉人たちの顔がずらりと揃っている。
ナショナル・ポートレート・ギャラリーを内包する建物の最上階に位置しているため、国会議事堂、ロンドン・アイといったロンドン中心部の観光名所を眺めながら優雅に食事できるレストラン。その立地の良さから、界隈のオフィスで働くビジネスマンが、ランチ会食を催す場としても頻繁に利用されているという。グルメの王道であるモダン・ブリティッシュに加えて、忙しい夕刻時に劇場へ出掛ける人を想定して作られた、手際良いサービスを良心的な価格で提供するプレ・シアター・メニューも木・金に限り用意している。また同館では、自然光が入り込む半地下のカフェもかなりの人気を集めている。意外な場所に、ロンドンのグルメたちは集まるものである。
カフェの営業時間: 土~水11:45-14:45 (木金は17:30-20:30 も営業)
St Martin's Place WC2H 0HE
Tel: 020 7321 2463
www.npg.org.uk
地下鉄: Leicester Square / Charing Cross駅
![]()
シェイクスピアの肖像画
ナショナル・ポートレート・ギャラリーの最初の所蔵品になったのが、文豪ウィリアム・シェイクスピアの肖像画だった。ただ同館でもこれがシェイクスピアを描いたものであるかどうかを断定できない、いまだ多くの謎に包まれた作品なのだという。
©National Portrait Gallery, London
新古典主義の庭で優雅なお茶を嗜むサマセット・ハウスのデリ
サマセット・ハウス内にある、主にフランス印象派絵画を集めた美術館。20世紀前半の資産家サミュエル・コートールドが設立した、美術史を専門とする高等教育機関のコレクションとなっている。ポール・セザンヌ、エドガー・ドガといった日本でも有名な代表的な印象派画家の作品が並ぶ。
コートールド美術館やギルバート・コレクションといったアート施設を内包するサマセット・ハウス。この建物のテムズ河側に面した部分に隠れるようにして、名もなきデリがある。それでもこの場所を訪れる人がいるのは、彼らが美しき新古典主義建築の庭でゆっくりとランチを食べる贅沢の味を知っているから。カフェを出てすぐ右側にある、テムズ河より一段高い場所に設けられたスペースか、もしくは55基の噴水が取り付けられた中庭の椅子に腰を下ろした途端に、優雅な気分になってしまうから不思議だ。サンドイッチ、スープといった簡易メニューとしては若干の割高感があるが、ただその分、大手スーパーとは一味違った、色濃い新鮮な野菜を使ったメニューが揃う。
デリの営業時間: 8:30-18:00 (日は10:00 から営業)
Somerset House, Strand WC2R 0RN
Tel: 020 7848 2526
www.courtauld.ac.uk/gallery
地下鉄: Charing Cross / Temple駅
![]()
A Bar at the Folies-Bergère
19世紀のフランス画家エドゥアール・マネが死の直前に完成させたという「フォリ・ベルジェールの酒場」(右写真)は必見。コートールド美術館への入場は£5(60歳以上、学生は£4、月は14:00まで無料)。
©The Samuel Courtauld Trust, Courtauld Institute of Art Gallery, London
破天荒な現代アートの思想が凝縮フォトグラファーズ・ギャラリー・カフェ
主に写真に関する個展を開催しているギャラリー。写真アートに特別興味を持たない人までもが気軽に訪れることができるような、親しみやすいアート空間となっている。12月初旬にオックスフォード・サーカス駅付近に場所を移してリニューアルするため、現在の形での開館は11月16日まで。
ロンドン随一の繁華街レスター・スクエアの一角に位置する建物、フォトグラファーズ・ギャラリーの東側にある展示室には、驚くほど簡素な作りのカフェが設置されている。この場所の最もユニークな点は、展示スペースとカフェが一体化しているということ。展示室の中央に食卓テーブルが置いてあり、同室の角にあるレジで飲み物やお菓子を買えば、そこで飲んだり食べたりしながら写真をのんびりと鑑賞できるのである。またこのスペースは、たとえドリンクを購入しなくても、足に疲れを感じた人たちが腰を下ろすための、気軽に利用できる休憩所としても機能している。そんな敷居の低さにこそ、このギャラリーが愛される理由があるのだろう。
カフェの営業時間: 月-土11:00-17:30 (日は12:00 から営業)
5 Great Newport Street WC2H 7HY
Tel: 020 7831 1772
www.photonet.org.uk
地下鉄: Leicester Square駅
![]()
Dryden Goodwin: Cast
ロンドンの劇場街ウエスト・エンドを舞台とした、写真と絵画を融合させた展示。11月16日まで。入場無料。
©Dryden Goodwin / Courtesy of the artist and Stephen Friedman Gallery (London)
異なるアートにはおあつらえのカフェをグリーン・フォーチュンほか
まだ10月にオープンしたばかりのクラシック音楽や講演会、そしてもちろん美術展も行う総合アート施設。リージェンツ運河の上に浮かぶように建つ近代的な建物をその舞台としている。今月初旬には5日間で100のコンサートを開催するなどして、オープン直後から話題を呼んでいる。
キングス・プレイス館内には、カフェとレストランに加えてバーが2カ所。まずは1階にある「ロタンダ・レストラン」とその併設バーでは、リージェンツ運河の河岸に立つキングス・プレイスの立地を生かした、抜群の眺めを楽しむことができる。建物の中央に位置するグリーン&フォーチューン(写真)は、館内での待ち合わせや時間つぶしのために気楽に利用できるカフェ。さらに上階には、コンサートの合い間に聴衆が喉を潤すためのバーも設置されている。総合アート施設と銘打っているだけあって、各用途に則した飲食スペースが用意されているのだ。カフェ一つをとっても鑑賞者の行動を計算して設計されたことが分かる、非常に機能的なアート施設。
カフェの営業時間: 8:00-23:00
90 York Way N1 9AG
Tel: 0844 264 0321
www.kingsplace.co.uk
地下鉄: King's Cross駅
![]()
Kings Place Gallery
ノルウェー人彫刻家ニコラス・ウィダーベルグの作品展を開催中。入場料は無料。また異なるジャンルの音楽を融合させる「This is Tuesday」など、様々な形態のアートをテーマとしたイベントを行っている。
写真上)©Nicolaus Widerberg
写真下)©Nicolaus Widerberg
甘いお菓子とともにみっちりとお勉強ペイトン & バイン
米国人化学者ヘンリー・ウェルカムの名を取り設立された財団が運営する博物館。人体と科学、そしてアートの融合を目的としている。肥満や遺伝子といった現代的なテーマから、フランス皇帝ナポレオンが使用した歯ブラシといった歴史的な物までを扱った、幅広い展示が用意されている。
訪問者を甘いお菓子で誘惑するかのように、ウェルカム・コレクションの入り口付近に設置されているのがこのカフェ。しかも英国のカリスマ・パティシエ、ロジャー・ピジーの手作りケーキで人気を集めるペイトン&バインの2号店というのだから、味も折り紙付き。抑制の利いた甘さとほのかなリキュールの風味で、上品な味に仕上がったケーキは確かに美味。さらには英国人たちがこよなく愛するスコーンも置いてあるので、甘党にはたまらない場所だろう。白を基調とした開放感溢れる内装にも好感を覚えるはず。また電源があるので、パソコンで作業を行うにもぴったり。実際、ここでは小奇麗な服装をした学生が静かに勉強している姿をよく見かける。
カフェの営業時間: 月~土10:00-18:00
(木は22:00 まで、日は11:00 から営業)
183 Euston Road NW1 2BE
Tel: 020 7611 2222
www.wellcomecollection.org
地下鉄: Euston駅
![]()
Transparent Woman
常設展の中にある人体の展示。体の部位を意味する英単語を押すと、その部位が光る仕組みになっている。「胃」、「肝臓」といった初歩的なものから「膀胱」といった単語の復習に便利。ウェルカム・コレクションの常設展への入場は無料。
世界で初めてのミュージアム・カフェV & A カフェ
科学博物館、自然史博物館などといった大型施設が並ぶ、サウス・ケンジントン地区に建つ博物館。正式名称の頭文字をとった「V & A」の愛称で親しまれている。1851年に開催されたロンドン万国博覧会で展示された作品を中心として、主にインダストリアル・デザインに関する展示品400万点が145部屋にわたって展示されている。
V & A の巨大な敷地内にある3部屋をスペースとして活用した、見た目から非常に豪華なカフェ。「モダン・デザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリスがデザインした「モリス・ルーム」、19世紀後半の産業企業家ジェームズ・ギャンブルによる新古典主義建築が高級感を醸し出す「ギャンブル・ルーム」、同じく19世紀後半を生きた英国人画家エドワード・ポインターが設計を手掛けた青と白の組み合わせが印象的な「ポインター・ルーム」と、設計者の名前がそれぞれつけられた部屋は、デザインをテーマとした同博物館の展示品の一つとしても機能しているという。料理も豊富に取り揃えられているので、何度訪れても飽きることはないだろう。
開館時間: 10:00-17:45 (金は22:00 まで)
Cromwell Road SW7 2RL
Tel: 020 7942 2000
www.vam.ac.uk
地下鉄: South Kensington駅
![]()
Cold War Modern: Design 1945-1970
第二次世界大戦とデザインの関係を考察する特別展。とりわけ米国と旧ソビエト連邦の宇宙開発の競争について取り扱っている。入場料は£6~ 9。
©V & A images
英国貴族が嗜んだお茶の時間を追体験カフェ・バガテル
かつて貴族の屋敷として使われていた邸宅を利用した美術館。4代にわたるハートフォード侯爵、さらにその子孫であり、館名にもなったリチャード・ウォレス卿が蒐集した絵画や家具が集められている。フランドル絵画と呼ばれる、15世紀に欧州大陸で流行した作品のコレクションは見事。
ウォレス・コレクションの開館時間となる午前10時から訪れる客を見かけるほどの、ロンドン市民の間でも抜群の人気を誇るカフェ。透明なガラス天井から入り込む自然光と、シュロと呼ばれるヤシ科の常緑木が植えられた鉢、さらには噴水まで設置されていて、室内庭園さながらの趣をなしている。かつて貴族の邸宅として使われていた歴史を持つという、その優雅な空気に満ちたカフェであれば、大英帝国としての繁栄を謳歌したヴィクトリア朝からエドワード朝時代の英国貴族が堪能した、至高の贅沢を追体験することができるだろう。結婚式を執り行う人も多くいるというその華美な空間は、アフタヌーン・ティーを嗜(たしな)むための恰好の場所となるはず。
カフェの営業時間: 10:00-17:00 (日は12:00 から営業)
Hertford House, Manchester Square WIU 3BN
Tel: 020 7563 9500
www.wallacecollection.org
地下鉄: Bond Street / Baker Street駅
![]()
The Laughing Cavalier
フランドル絵画の代表作として知られる、17世紀のオランダ人画家フランス・ハルスが描いた傑作。入場無料の常設展に飾られている。
©By Kind Permission of the Trustees of the Wallace Collection
都会の喧騒から逃れるための隠された屋外庭園RIBA カフェ
王立英国建築協会(Royal Institute of British Architects)の略称。英国にある公共施設や住宅といったあらゆる建物の建築デザインの向上を図る目的の下に発足した。ショップに並べられた建築関係の本のコレクションの豊富さは見事。フロアごとにテーマの異なる特別展を行っている。
王立英国建築協会(RIBA)のビル2階奥にあるカフェ。建物内に入ってすぐの場所にもカフェが設置されているが、そこで止まらずに階段を上ってさらに奥へと進むと、このガーデン・カフェへと行き着く。買い物客で常に騒がしいオックスフォード・サーカス付近にあるというのが信じられないほど、カフェ内には独特の落ち着いた静かな空気が流れている。デザイン性に溢れた縦長の窓も、まさにRIBAならではのアール・デコな空間作りに一役買っている。ガーデン手前にある大ホールや1階と2階を結ぶ階段脇などにも椅子とテーブルが置かれていて、辺りをよく見回してみると、実はこのビルはカフェ・スペースばかりということが分かるはず。
カフェの営業時間: 8:00-18:00(土は9:00-16:00)
66 Portland Place, W1B 1AD
Tel: 020 7631 0467
www.architecture.com
地下鉄: Regent's Park/ Great Portland Street駅
![]()
RIBA の内装
建築界の権威なだけに、RIBA は建物そのものがアート。入り口からの階段、床、柱、側壁にそれぞれ異なる大理石が用いられるなど、あらゆる場所に趣向 が凝らされている。
*本記事で記されている各アート施設のカフェの営業時間はあくまで目安です。当日の店の込み具合やイベントの有無などによって、変更される場合があることを予めご了承ください。

カフェがギャラリーを作った
The Parlour@Sketch
営業時間: 月~金8:00-23:00 (土は10:00 から営業)
9 Conduit Street W1S 2XG
Tel: 0870 777 4488
www.sketch.uk.com
音楽の神童と共にコーヒーを味わう
Café Mozart
営業時間: 8:00-22:00 (土日は9:00 から営業)
17 Swains Lane N6 6QX
Tel: 020 8348 1384
文学もこれまたアートなり
Poetry Place
営業時間:月-金 12:00-23:00 (土は19:00 から営業)
22 Betterton Street WC2H 9BX
Tel: 020 7420 9887
読書の秋を楽しもう
5th view@Waterstone's
営業時間:10:00-22:00 (日は12:00-18:00)
203-206 Piccadilly W1J 9HA
Tel: 020 7851 2400
カフェがギャラリーを作った
Books for Cooks
営業時間: 10:00-18:00
4 Blenheim Crescent W11 1NN
Tel: 020 7221 1992
www.booksforcooks.com



パン柄トートバック販売中






























Melissa
英国出身のシューズ・デザイナー、トーマス・マーフィー。一見、地味であるが、ディテールを見ると実に面白い。例えば金色に輝くコッパー(銅)製のヒールは、年月を経につれダークな茶に変化していくという過程を楽しみながら履くことが出来る。素材は木や金属に皮など、自然の素材を使用。メンズ靴の思考を取り入れ、長く履き込むと味が出るよう計算されている。
ありそうでなかった、雑誌を丸めたようなクラッチ・バッグ。伊勢丹のバイヤーがサンプルを購入したというから、日本上陸も近いかも。雑誌「バニティ・フェア」の表紙デザインでの特注オーダーも入ったのだとか。
プリントからデザインするというケイトのバッグは、ブロードウェイ・マーケットやスピタルフィールズ・マーケットで買うこともできる。カンバス素材のでかバッグは軽くてお手頃価格、普段使いに愛せるタイプだ。プリントものが旬なこのシーズンに、個性を出せる。
シルクのフリル・バッグに革のヒップ・バッグもフリルと、甘くなりそうなデザインなのになぜか辛口なのは、ブラジルとスウェーデンのデザイナーという対極コンビの賜物かも。ベルトも静かなシャープさで、かっこいい印象。日本では「ビームス」などで取り扱っている。
旬のモデル、アギネス・ディーンが雑誌の表紙で被り、一躍注目が集まったベレー帽は、PVC製でどことなくコミック的かわいさがある。長いリボンとメッシュが新感覚のサンバイザーなど、不思議なデザインを涼しい顔で着こなして、目指せ、お洒落の達人!
ステートメント・ジュエリーは素敵だけど、1日着けると重さで意外に疲れを感じるもの。それを意識し、軽い素材で作られた大ぶりのアクセサリーがこちら。果物の木を彫った黒花モチーフなど、見かけによらない軽さにびっくりだ。
こちらのブランドでも、レディースではミニ・サイズの帽子が目立つ。リアルなイチゴがついたカクテル・ハットは、「主役は私」を目指したい日のコーディネートにぴったり。アクリルの蛍光色が近未来的なキャスケットは、冒険好きなメンズへの提案だ。






















低所得層の居住区に低予算で建てられた保育園だが、国内では他に類を見ない衝撃吸収効果のあるゴム材を用いた屋上の遊び場を持つユニーク設計で、2007年のRIBA(王立英国建築家協会)アワードを始め数多くの賞を受賞。館内のフロアもスライディング・パネルの仕切りによって50パターンの使い方ができるなど、フレキシブルでアイデア満載のつくりになっている。
閉鎖されたショーディッチの鉄道高架に廃棄処分の地下鉄車両を搬入し、アーティストのスタジオとして再利用。内装に持続可能な建築材を用いるなど、環境保護に十分配慮した設計だ。夏場にはライブやアウトドア・シネマなどのイベントが行われるほか、高架下のウェアハウスでは常時クラブ・イベントやファッション・ショーなどを開催している。
生後6カ月から5歳までの幼児や児童のために開かれた複合施設。幼稚園、レセプション、養護学校を併設しており、各種アクティビティや母親のためのコースも充実している。異素材を効果的に配した有機的なデザインで、自然光の取り入れ方も見事。子どもたちの発想力を高めてくれそうな空間が実現している。
2006年新設の、生徒数1175人の中等学校で、校舎は翌07年に完成。緑が基調の鮮やかな配色が目を引く建物の内外には、環境汚染の原因となるストームウォーター軽減機能や、自然換気による温度調節を実現するコンクリート材の利用など、数多くのエコ機能が搭載されている。2008年RIBAアワード受賞。
ノーマン・フォスター卿設計のロンドン市庁舎。この、卵とも筍とも見紛う不思議なフォルムが、実は自然の断熱や換気を可能にしている。加えて、コンピューターや照明器具の使用から生じる熱の再利用などで温度調節を図っているほか、節水機能や太陽光発電装置も備えるなど、隅々までエコ・フレンドリー。環境保護対策を公約に掲げている市長も満足に違いない。
1861年に創設されたドイツ体操協会の本拠地で、世界で最も古い近代オリンピックの一つとして数えられる1866年大会では、ほとんどの体操競技がここで行われた。木の合板を用いたアーチ状の梁は、キングス・クロス駅の設計の原型として知られる。現在はビジター・センターとして機能しているが、開発が進む周辺地区のなかで、やや異色の存在感を放っている。
1930年代に次々と建造された映画興行チェーン、「グラナダ・シネマ」は、伝統的な装飾をふんだんに施した壮麗なインテリアで知られる。1937年建造のこの建物もその一つで、超豪華シネマ、トゥーティングのグラナダと同様、ロシア人の舞台監督兼デザイナー、セオドア・コミサルジェフスキーが館内装飾を手掛けている。現在は娯楽産業チェーン、「ガラ・ビンゴ・クラブ」のホールとして営業中。
ラッセル・スクエア駅からすぐの裏通りに佇む1797年建造の小さな古びた馬小屋は、なんと国内外のアンダーグラウ ンド・カルチャーを発信する、会員制のアート・ヴェニューだった。レアでアヴァンギャルドな映画や音楽、アート関連のイベントを定期的に開催。ヴィンテージ服の宝庫でもあり、膨大なストリート・ファッションのコレクションを誇っている。
優れた建築に与えられる評価基準の一つ、「グレードⅡ」に認定されている、優美なアールデコ建築の元映画館は、現在、ゾロアスター教の欧州本部センターとなっている。ゾロアスター教とは古代ペルシアで発祥し、世界三大宗教にも影響を与えたとされる、世界最古の宗教の一つ。そう聞くと、アールデコの幾何学的なデザインがどことなく神秘的に見えてくるような……。

貧乏学生だ、まとまった休みが取れない、寒い……。そんな寂しい想いで夏を過ごしている人は多いはず。とはいえ、年に一度しか来ない太陽の季節を満喫するためには、「でも」なんて問答無用。そこで今回は、「キング・オブ・夏の楽園」であるハワイへ読者の皆さんをご招待。ロンドンにあるバーチャル・ハワイをご堪能あれ! (本誌編集部: 國近絵美)


「ティキ」とは、ハワイの原住民であるポリネシアの神話に登場する、人類を創造した神たちのこと。木や石で造られたティキ像はお守りとして身に付けられているほか、置物やマグカップなどのデザインにも登場し、世界中にコレクターがいる。また、英国や米国では「ハワイアンの」という形容詞として、よく「ティキ」が使われる。例えば「ティキ・カクテル」と言えばハワイアン・カクテルのことだ。
英国で一番楽園に近い場所
ティキ・スピリット満載のセレブ御用達クラブ
抜いたパイナップルにサーブされ、ほかにもフローズン・ココナッツに入った「ココナッツ手榴弾」や、24金の飾りが付けられた宝箱に好きなシャンペンを入れて注文できる 「Armada宝箱」など、容器も中身も凝ったカクテルが勢揃い。1人用はもちろん、8人用の巨大カクテルも用意されているので、カップルでもグループでも楽しめる。
ハワイでエルビスに遭遇?!
世界各国のラム酒がずらり
心と体のコリを芯までほぐそう
癒しの極意を体と心で味わう
フラ初心者も安心のダンス・イベント
思わず呪文を唱えたくなるような怪しいゴージャスさを持つ「アブラカダブラ・レストラン」は、マハラジャ気分で豪華な食事を楽しみたい人にぴったりだ。ブースはそれぞれ異なるテーマで飾られていて、「自分好み」にするために、テレビ画面やCDが用意されている。ほかにも、ブースが置かれた床が回転する「回転テーブル」や、個室の1つ1つにテレビ画面が設置されている女子トイレなど、仕掛けがいっぱいだ。
大のオペラ好きというオーナーが、長年の夢と情熱をそのまま実現させたのがこのレストラン。オペラ劇場とアラビアン・テイストがミックスされた店内には、舞台の小道具や骨董品が至るところに並んでいる。店名の「ザラストロ」は、店長が特にお気に入りという、モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」のキャラクターに由来。劇場ならではのボックス席も再現されていて、まるで観劇しているような気分で食事が楽しめる。
「多島海(たとうかい)」と称されたレストランの内装は、金色に輝く仏陀やヤシの木などに囲まれたエキゾチックなもの。そしてこの異国情緒溢れる店内で挑戦できるのは、普段は目にすることすら稀な、いわゆる「ゲテモノ」食材だ。ワニやクジャク、カンガルーの肉は初心者向け、そして「心臓に毛が生えてます」という人にはイナゴのチリ&ガーリック炒めやサソリのチョコレート掛けなどのメニューをぜひ味わって欲しい。
「暗闇」という店名の通り、完全な暗闇の中で食事ができる。視覚障害者を支援するためのチャリティー団体が始めた同店は、現在では欧州3カ国で展開する人気ぶりだ。注文を決めたら、前の人の肩につかまって、真っ暗なレストランにいざ入室。後は目の不自由なウェイターがガイドしてくれるのに身を任せよう。ぜひ試して欲しいのはサプライズ・メニュー。味だけで何を食べているか当てるのが、実は意外と難しいことに気付くはず。
かつてはロンドンの「顔」として、観光客にも地元っ子にも愛されてきた2階建てバス「ルートマスター」。残念ながら05年に運行が中止されたこの人気者が、なんとベジタリアン・レストランに大変身した。メニューは新鮮なキノコや野菜、チーズなどを使った前菜に、野菜の天ぷらなど。25~30人の団体であれば、食事代+貸し切り代100ポンドで、気軽にパーティー用として貸し切ることができる。
どうせ冷夏を嘆くなら、思い切って氷点下の世界を体験してみては?マイナス5度に保たれた店内は、壁や椅子からグラスに至るまですべて氷で出来ている。欧州3カ国に加え、東京でも展開している人気店だ。また、年に2回がらりと内装が変わるというのも、氷という素材ならでは。現在のバーは、シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドのもとでジュエリー・デザインをしていた「デービッド&マーティン」が担当した。
アクセサリー・デザイナー兼オーナーのフィオナさんが05年にオープンさせた、アクセサリーとヴィンテージ・ドレスを扱うお店。ハワイアンな内装の店内は、50’sの匂いが漂う品揃え。レトロで上品なコルセットや帽子、そしてロカビリー・ファンには堪らない小物やアクセサリーは、ファッション雑誌でも度々取り上げられるほどの人気ぶりだ。オンラインでも注文できるので、こまめに新作アイテムをチェックしよう。
こちらも50’sがテーマとなったボーリング場。当店自慢のカクテルと軽食を楽しみながらプレーできるのが人気の秘密だ。また、「キングピン・スイート」というプライベートのイベント・スペースも隣接していて、貸し切りでパーティーを行うこともできる。40~250人収容可能というこのスペースでは、ラスベガス・スタイルのゴージャスな内装にレーンが5つ完備されている。専用のカクテル・バー2つやカラオケにDJブース、卓球やスヌーカーなどをプレーすることが出来るゲーム・ルームやケータリングも行っているという。







このエス・トレンクに一番近い街が、コロニア・サン・ ホルディ(Colonia de Sant Jordi)。この小さな街にはホテルが多く、ヨット・ハー バーや海に面したプロムナードにはのんびりとした雰囲気が漂っていて、太陽と海を満喫したい人には最適だ。ハーバー近辺にはレストランやタパス・バーなどが軒を連ねているが、ここで試していただきたいのは、やはり本場のパエリアである。



国枝選手が出場した試合には、1回戦から多数のギャラリーが詰め掛けていた
アテネのパラリンピックでは、斉田選手(写真左)と組んだダブルスで金メダルを獲得した©共同
全英オープンで優勝し、トロフィーを掲げる
国枝選手が全幅の信頼を寄せるという、丸山コーチ
世界一の速さを生み出す、抜群のチェアワーク
試合後、観客の声援に笑顔で応える


「ドライ・ストーン・ウォール」とは、自然の形のままの石を計算しながら積み上げていき、壁の外側の重量バランスを中心部に傾けることで、モルタルを一切使用せずに強度を保つという手法で造られた壁のこと。さらに、年月とともに隙間に苔が発生し強度が増すという、まさに人間の知恵と自然の合理が一体となった伝統技術だ。湖水地方では家や塀の建設にも多用されていて、ウォーキング・パスに沿ってどこまでも続く石塀には、旅情をかきたてるなんとも温かな趣がある。
一般にジンジャー・ブレッドといえば、人形のかたちをしたサクサクのクッキーを想像しがちだが、湖水地方のそれは味も 姿も似つかぬもの。体がすぐに温まる強いしょうがの味と、ねっとりとした食感が特徴だ。
丘で良く見かけるこのハードウィックという種類の羊は、赤ちゃんの時は真っ黒の毛で生まれ、次に茶色、そして灰色へと、成長とともにお色直しするとても珍しい品種だ。かつては絶滅寸前だったが、絵本「ピーター・ラビットのおはなし」の作者、ビアトリクス・ポターが保護に努めたことでも知られる。雨や厳しい寒さに強く、他種の羊が生息できないような高地でも放牧できるという、湖水地方の環境で飼育するには最適なハードウィック。また、一般の羊肉よりも割高だが、濃厚な味わいは一度食べたら病みつきになるはずだ。
ケンダルという町が発祥地の、ミント風味の砂糖水を棒状に固めたお菓子。ケーキとは名だけで、口に入れるとゆっくり溶ける「砂糖の塊」といった方が近い。ミントがリフレッシュ効果抜群、かつエネルギー補給として最適なので、ウォーキングなどのお供として重宝される。
また、外食に疲れた、あるいは節約したいという時に自炊できるのも、コテージ利用の大きな魅力だ。というわけで、最終日の夕食は、ユー・トゥリー・ファームで購入したハードウィック・ラムのローストに、地元で採れたポテトとブロッコリーの付け合わせに挑戦。自宅と変わらない環境で料理できることに感動しつつ、ラム肉の芳香に、隣のコテージの宿泊客が「今晩の夕飯はなに?」と聞きに来るという、ほのぼのとした土産話までできてしまった。「冬は地元食材をたっぷり入れた鍋を囲んで、夏は庭でバーベキュー……。」あまりの居心地の良さに、誰しもが次の旅計画に思いを馳せてしまうに違いない。
④ The Pennington Hotel
⑤ Brantwood
⑥Yew Tree Farm
Ruskin Museum
Steam Yacht Gondola






