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Wed, 10 December 2025

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歯医者不足の解決策は「スーパー」!? from UK

歯医者不足の解決策は「スーパー」!?
レジでお会計を済ませたら
歯医者へ直行!?
歯医者不足が社会問題となっている英国。歯医者に問い合わせても、次の予約は1カ月後、なんて言われることもざらにある。そもそも歯医者を好きな人などいないわけで、予約をする段には「これ以上は我慢できない!」というところまで痛みを堪えているパターンがほとんど。とても1カ月など待ってはいられない。そのため近年では、海外へ行き虫歯治療をする人も増えてきた。2006年には、なんと3万5000人もの人々が歯科治療をするためだけにはるばるハンガリーやクロアチアに赴いたという。さらにはペンチを使って「自己治療」する人も増えているというから、いかにこの歯医者不足が英国内で深刻な問題となっているのか伺い知れるというものだ。そんな悲惨な状況を改善すべく動き始めたのが、 なんと「スーパー」だった。

英国小売大手の「セインズベリーズ」はつい先日、イングランド北西部マンチェスター近くの町の店舗で、国内初となる「スーパー内歯科医院」を開院した。治療は予約制だが、それと同時に早く来院した人から順に治療する「早い者勝ち」システムも併用。とにかく予約ゲットまでに長い道程を要する英国では、なんとも嬉しい話である。サービスの提供者 は、同地域で「Ultimate Smile Spa(究極の笑顔スパ)」という、実に強烈な名前の歯科医院を経営するランス・ナイト氏。モデルのカプリスや、サッカー・チーム、マンチェスター・シティの選手などを顧客に持つ「セレブ歯科医」として知られる存在である。セレブ歯科医と聞いて気になるのはお値段だが、1回の検診は16ポンド(約3200円)からと、保険の利かないプライベート歯科医院としては、 かなり良心的な価格設定と言える。

「Try something new today(今日、何か新しいことにチャレンジしよう)」というスローガンのもと、さまざまな分野に進出しているセインズベリーズ。歯科医院オープンに先駆けて、今年初めには時間外診療を行う一般医(GP)のオフィスを同地域の店舗内に開設、大きな話題を呼んだ。食品の価格が軒並み値上がりし、景気後退も囁かれる昨今、生き残りをかけたスーパーの戦いは、小売という枠を超えて激しさを増している。

「The Times」紙 “Six fillings or fewer? Dentist to open at supermarket checkout”



 

モード界の巨匠ラガーフェルドは一体何歳? from Germany

モード界の巨匠ラガーフェルドは一体何歳?
ラガーフェルド×シュタイフは
限定2500体、1体1000ユーロ
MARGARETE STEIFF GmbH /
KARL LAGERFELD © 2008
世界を代表するファッション・デザイナー、カール・ラガーフェルド氏は今年で70歳……とはいってもこれは「自称」。本人が公表している生年は「1938年」だが、最近では5歳サバを読んでおり、本当は75歳だという説が有力になっている。世紀の変わり目には、約1年で40キロ近くのダイエットに成功。長い白髪を後ろに束ねて細身の白いシャツと黒いスーツに身を包み、黒いネクタイとサングラスでアクセントをつけるのがトレードマークになっているラガーフェルド氏。そんな年齢不詳の彼の実年齢は果たして何歳なのか。

ラガーフェルド氏がデザイナーを務めているシャネルは、もちろん「1938年生まれ」を主張。しかし、同氏が子ども時代を過ごしたシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州バート・ブラムシュテットの旧友という人物がメディアに登場し「1938年生まれ」を否定したことから、同氏の年齢をめぐる憶測合戦が白熱してきた。

そしてこの度、「フランクフルター・アルゲマイネ」紙が再度この旧友にインタビューを試み、「1933年生まれの75歳」と発表。旧友の話からほかにも、「戦後にもかかわらず一人スーツを着ていた」「アウトサイダーではなかった」「平凡を毛嫌いするような子でもなかった」「踊りは全然ダメで、パートナーの足を踏んでばかりいた」という、今のラガーフェルド氏からは想像もできないような過去が暴露されたという。

そして本人の反応は……と言えば、ラガーフェルド氏は現在、自伝を執筆中。本当の年齢は自伝の中で明らかにされるのではというメディアの期待にも、「さあ、どうかな」と余裕しゃくしゃく。「自伝が出るまでお楽しみに」というセールストークまで披露しているから、真相を暴くのはそう簡単にはいかなさそうだ。

さて、そんなラガーフェルド氏が新たに取り組んだプロジェクトが、テディベアのデザイン。名門シュタイフ社とのコラボレーションで、「ラガーフェルド・ベア」が誕生した。モデルはもちろん「自分」。「自分と鏡に映った自分にしか興味がない」ときっぱり言い放つラガーフェルト氏。この「自分好き」が、5歳もサバを読める若さの秘訣に違いない。

netzeitung.de“<<FAZ>> macht Lagerfeld fünf Jahre älter”



 

パリの工事はいつ終わる? from France

パリの工事はいつ終わる?
網に覆われたパンテオンの裏側
パリの景観の美しさは誰もが認めるところで、古今東西、多くの作家や詩人が自作のなかでその美を謳ってきた。ところがこの頃は、その定説に突っ込みを入れてしまいたくなることがしばしば。というのも、パリが誇るいくつかの歴史的建造物の周辺に、醜いプレハブが立ちはだかっているのだ。

世界有数の美術館であるルーブル美術館の北の正面に最近新しく出没したのは、工事用に建てられた巨大な物置小屋。この小屋はルーブル宮殿の外堀内に設置されており、美術館入場ポーチをくぐる際には嫌でも目に入ってきてしまう。今後行なわれる工事では、このスペースをイスラム美術の展示場にする予定だというが、工期である2年で終わるかどうかは怪しいところだ。「景観が台無し!」と不満を唱えるパリ市民に、文化相は「このプレハブは新しいので醜くない」と空しく応戦しているとか。

パリの中心地1区にそびえたつゴシック様式のサント・シャペル教会も、そんな悲惨な目に遭っている例の一つ。この荘厳な礼拝堂の隣には、パリ裁判所がある。この裁判所は現在、修復工事期間中で、「仮の」スペースとして、全長60メートルもの味気ないプレハブ小屋が建っているのだが、そのせいで肝心の美しい建築がその影に隠れてしまっているのだ。しかもこの状態が既に10年も続いているというのだから、文化遺産を守るための活動家でなくても「何て長く続く『仮』なのか」と呆れてしまう。なんでも裁判所自体が引越しするまではこの状態が続くそうで、それがいつになるかのめどは立っていないというから恐れ入る。また、歴史上の偉人たちが眠る万神殿、パンテオンの裏にも、網に覆われたスペースがあり不評を買っている。古びた外観を一新すべく工事が行われるが、こちらも何年かかるかは未定だとか。

シャンゼリゼ通りにあるルイ・ヴィトン本店は、改装工事期間中、ショップ全体を覆う工事シートを、隣接する建物の景観そっくりに模写し、好評を博した。遊び心のあるフランス人のこと、工事用のプレハブ小屋も「さすが、おフランス!」と人をうならせるようなつくりにして欲しいものだ。

「Le Parisien」紙
"Vue gâchée sur les monuments"



 

暴行事件の凶器はミニ・ソーセージ!? from UK

暴行事件の凶器はミニ・ソーセージ!?
凶器は小指の先ほどのミニ・ソーセージ!?
日本で少し前に話題になった「ネコ裁判」をご存知だろうか。駐車場に停めておいた車にネコが傷を付けたということで飼い主を訴えたという、実際に起きた裁判である。訴えられた飼い主(実はノラ猫だったらしいが)が裁判の経過をブログで書き始め、ついには書籍化にまで発展してしまったこの事件、最終的には被告にとって夢の印税生活も目の前というラッキーな結果に終わったわけだが、法の最後の砦であるはずの裁判所に「え、なんでそんなことで……」と言いたくなるような訴訟が持ち込まれるケースが近年、世界中で増えている。

ここ英国では、昨年11月に、67歳の男性が自身の出した雑誌の恋人募集広告に応えた女性に対し、広告掲載費用1200ポンド(約27万7000円)を要求する訴えを起こし、今年4月には、離婚した元妻に2通の手紙をしたためた男性が、その元妻からハラスメントの罪で訴えられるという事件が起きている。これらの訴訟で裁判官は、「法的に重要な問題でない限り、プライベートないざこざが法廷の場に持ち込まれるべきではない」との判断を下したのだが、今回また耳を疑いたくなるような訴訟が、マンチェスターの少年裁判所に提起された。

原告は12歳の少年に襲われたと主張する老人。訴状の内容は、少年が老人を「ソーセージで」襲ったというもの。老人の訴えによると、ある日パブからの帰り道に少年に遭遇し、些細な事から口論に発展。怒った少年が老人の肩にミニ・ソーセージを投げつけたというのだが、この老人の訴えに裁判官は呆れ顔。「Just William」という、いたずらっ子が登場する古き良き時代の少年向け本シリーズの話を持ち出し、「本件はこのシリーズを思い起こさせる。いかにも12歳の子供がやりそうなことであり、それらをすべて裁判沙汰にすべきではない」と老人を諭した。

今回はまともな裁判官に当たったから良かったようなものの、最近ではズボンを紛失したクリーニング店の店長に78億円を請求した米国判事の例もある。12歳の少年の人生を救った常識的な裁判官に、とりあえず乾杯。

「Times」紙 "'Just Wiliam jape' lands boy, 12, in court for attack with sausage"



 

北極グマも嫌がる寒中水泳を敢行 from UK

北極グマも嫌がる寒中水泳を敢行
北極グマも顔負け!? ルイス・ピュー氏
北極と聞いて誰もが想像するのが、氷山や厚い氷の広がる光景。クリスマス時期に行われるロンドン、ハイド・パークでの寒中水泳に毎年参加している表皮の厚い男たちの中でも、この地球上でおそらく最も寒い極寒の地に水泳を楽しみに行こうと決断する人はそうそういないだろう。

ところが、上には上がいるのが世の常。世界中の冷海で泳ぐことに挑戦する英国人弁護士のルイス・ピュー氏(37)が7月15日、北極地点付近で1キロを約19分間で泳ぎ切ることに成功したのだ。ピュー氏は、この直前にもノルウェーのネーロイ・フィヨルドが世界遺産に登録されたことを記念し、当地で17キロを7時間28分かけて泳ぎ切ったばかり。

夏とはいえ、当日の水温はもちろん真冬並みのマイナス1.8度。この水温は北極海近辺の海水が氷となる温度に限りなく近く、北極グマですら泳ぐのを嫌がる低温だという。そしてこの日、ピュー氏が身につけていたのは、スイミング・キャップと「スピード」(注:競泳用の水着ブランド)の小ぶりな水着のみ。

パフォーマンスを終えた同氏は「水が真っ黒でブラック・ホールに飛び込むみたいだったね。海水の冷たさで全身がしびれ、身体中にやけどを負ったように感じたほどさ。低温水泳には慣れてるけど、今までで一番辛い水泳だったよ」と感想を語った。

一般の人は、こんなに冷たい水の中で泳ごうものなら、寒さで筋肉が委縮し、数分で溺れてしまう。しかし、水温マイナス1.8度だろうと、彼の身体は体温がぐいーと上がり寒中水泳が実現できるのだ。この現象は他の人には見られないとか。

ピュー氏は、この日のパフォーマンスの最後に「北極点で泳げるということは悲劇でもあることを忘れないで欲しい」と強調した。彼の泳いだ地点は、通常ならば夏でも氷が全体に張り、泳げるような場所ではない。水温が上昇して氷が溶けてしまうほど、地球温暖化が進んでいることを訴えたかったのだ。

こうした素晴らしい理念に基づき地球温暖化防止に協力するのは良しとしても、「北極グマ」の心臓を持たない一般人は決して真似をしないように。

「The Times」紙 “19 mins, -1.8C: the first swim at the North Pole”



 

ビクトリア時代の子供は働きバチだった from UK

暴行事件の凶器はミニ・ソーセージ!?
「オリバー・ツイスト」の世界は誇張ではなかった!
「クリスマス・キャロル」「オリバー・ツイ スト」を世に送り出したビクトリア時代の文豪といえば、チャールズ・ディケンズ。 彼の作品には、貧困や搾取をテーマにしたものが多いが、この度、ビクトリア時代の子供像について述べられた900ページにも及ぶ書類がインターネット上に掲載され、ディケンズの描くビクトリア時代の貧困がまさに現実 そのものであったことが証明された。 話題になっている書類は、1841年に児童労働委員会に提出された繊維業における労働条件に関するもの。当時の労働環境や労働者の権利についての争いなどが綴ってある。

その資料には、児童労働の様子が事細かに記されている。24時間シフトで寝る暇もなく働く9歳の少女は、衣服を乾燥させるために高温の工場を裸足で駆け回り、別の10歳の少 女に至っては、朝から晩まで裸足で工場を駆けずり回って働いていたにもかかわらず、わずかな賃金を親にピンはねされ、自分の給与額を知らないと言った始末。報告書をまとめた人物は、これらの状況改善を訴え、10歳未満の児童の雇用禁止、週58時間以上の労働の禁止といった法律の施行を目指したが、雇用者側からの猛反対を受け、児童の24時間連続労働は月1回に限るという、現状を鑑みると なんとも情けない約束を取り付けるのみという結果に終わったようだ。

今の世の中なら、大問題に発展するのが間違いなしの最悪な労働条件だが、ビクトリア時代の人々にはこれが普通だった模様。同資料内には、未成年労働者への聞き取り調査の結果も記されているが、朝7時から深夜まで 働きづめの少女は「仕事は大好き。疲れることもないわ」と答え、くだんの「ピンはね」 少女までそれに同意している。また驚くべき ことに、彼ら児童労働者は、当時仕事を持っ ていなかった少年少女に比べ、健康であると いう結果まで報告されているのだ。 刑務所や地下鉄など、様々な場所で働く 人々が、労働条件を不服としてストを起こしている昨今。ビクトリア時代の子供たちのように働けとは言わないまでも、現代に生きる幸せを少しは感じてほしいものだ。

「インディペンデント」紙 "Back-breaking work, 17-hour days, minimal pay: a glimpse inside the factories of Victorian Britain"



 

「人食いザメ」ニュースの意外なてんまつ from UK

「人食いザメ」ニュースの意外なてんまつ
人食いザメに一杯食わされた!?
去る数週間前、「英国南部に人食いザメ現る」という見出しが新聞紙上を賑わした。コーンウォール州のケビン・キーブルさんが、ニューキー近辺で釣りをしていたところ、乗っていたボートのすぐそば で「ジョーズ」ことホホジロザメを目撃したという話だ。

このニュースは、国内きってのタブロイド紙「ザ・サン」に写真付きで大々的に掲載され、世界中を駆け巡った。熱帯の海に生息する人食いザメ「ジョーズ」が英国沿岸で目撃されたことで、もっともらしく地球温暖化の弊害を説く専門家がいたかどうかは定かではないが、英国サーフィンのメッカ、ニューキーからサーファーの数が激減したことは想像に難くない。

ところがこの度、この報道自体が真っ赤な嘘であることが判明した。と言っても嘘をついたのはマスコミではない。そう、報道関係者が一般読者であるケビン・キーブルさんのガセネタにまんまと一杯食わされてしまったのだ。

キーブルさんは、ニューキーのナイトクラブに勤める男性。南アフリカでのフィッシング旅行中に撮影した「ジョーズ」の写真を「冗談のつもり」で地元紙「ニューキー・ガーディアン」(発行部数7000部)に提供し、こんな馬鹿げた話をまともに受ける記者はいないだろうと「ニューキー沖で人食いザメを発見した」と、うその証言した。ところが、このニュースを嗅ぎつけたサン紙の記者が記事を採用し、今回の騒動に繋がったというわけだ。

「お金ももらってないし、まったくの冗談のつもりだった」とはキーブルさんの弁。サン紙は今回の騒動に対しノーコメントを通しているが、ある筋によると、このニュースを掲載した号は「飛ぶように売れた」そうだ。また、地元観光局はこのガセネタに対し、観光客が減ったと怒るどころか「ニューキーの知名度アップに繋がった」と大喜びしているという。

なんともお騒がせなガセネタだが、ガセとは言え、経済効果は高かったようだ。

「Guardian」紙 “I can't believe the story went so big. I didn't even get any money out of it”



 

パスワードをめぐる不毛な戦い from UK

パスワードをめぐる不毛な戦い
ロンドン市内に建つロイズ銀行の支店
渡英したばかりの日本人が、まず驚くのが英国の顧客サービスの悪さだ。特に銀行、電話、水道といった日常生活の基盤となるサービスを手掛ける会社のいい加減さといったらありゃしない。「間違った請求書が届いた」「注文の対応が数カ月遅れた」といった話はザラである。そもそも、客を客として扱う気など端からないのではないか、と思ってしまうほどだ。

イングランド中部シュルーズベリー出身のスティーブ・ジェトリーさんは先日、英銀大手ロイズ銀行のテレホン・バンキング口座を開設した。ところが、口座開設と共にパッケージになって付いてきた旅行保険の詳細をめぐって、同銀行とのトラブルを経験。平均的な英国人であればここで長々しい抗議文を送るのだが、スティーブさんは腹いせにこの口座のパスワードを「Lloyds is pants(ロイズのバカ)」と設定した。

少し陰湿にも思えるスティーブさんのいたずらも、この時点で終われば笑い話として済んでいたであろう。ところがロイズ銀行のスタッフは、無断でこのパスワードを「No it's not(ロイズはバカではない)」に変更。これが戦闘開始のゴングとなった。

「なかなか気の利いた切り返しだと思った」というスティーブさんは、今度はパスワードを「Lloyds is rubbish(ロイズのアホ)」と再変更するよう要請。ところが銀行側から「不適切な用語が含まれている」として却下される。それならば、と競合するバークレイズ銀行の名を出して、「Barclays is better(バークレイズの方が良い)」へと変更依頼すれば「規定によりパスワードは一単語のみ受け付けております」、「では『Censorship(検閲)』に」と言えば「6文字未満じゃないとダメ」と、ありもしないルールを持ち出してはことごとく拒否されたという。

ちなみにこの一連のやり取りについてロイズ銀行は事実と認め、「利用者はパスワードを自由に設定できる権利を持っている」と既に謝罪の意を示している。件(くだん)の担当者は、既に退職したとのこと。スティーブさんの現在のパスワードが何なのかが、ちょっと気になるところだ。

「BBC Online News」 "Man's 'pants' password is changed"



 

フランスの朝食が変わる from France

フランスの朝食が変わる
手軽に食べられる
栄養バランスのとれたシリアル
フランスの朝食といえば、大きめのカフェボウルに入ったカフェオレに、クロワッサンやフランスパンを半分に切ってバターやジャムをぬったタルティーヌを浸して食べるのが通例。しかし、そんなフランスの朝食風景が変わりつつある。

9月といえば新学期。親は子供の新しい教科書やノートの買い出しに連日てんやわんやだ。そんな中、もっとも頭を悩ませているのが朝の食事。以前までは、子供が朝、パン屋 にクロワッサンとフランスパンを買いに行き、その間に親がカフェオレかショコラを用意しておくのが朝の日常だった。

しかし、生活環境研究センター(Crédoc) によれば、ここ10年フランスの子供たちは英米式の朝食、シリアルなどを好んで食べるようになったという。13歳以下の子供でフランス式朝食を摂取しているのはわずか15%だ。「パリジャン」紙のインタビューで、6歳と11歳の子供2人のお母さんはシリアルの朝食に変えた理由をこう答えた。「最初はタルティーヌと牛乳を子供たちに与えていたのですが、必ずと言っていいほど子供たちは食べ残していました。しかし、子供たちの好きなアニメ・キャラクターのおもちゃが入った、ケロッグやアクティメルなどのシリアルに変えた 途端、ちゃんと食べるようになったのです」

もちろん、付録のおもちゃ目当てに子供がシリアルを朝食に選ぶというのも理由の一つだが、健康食品が注目される現在、栄養バランスのとれた食事を摂取できるという理由で、 親も子供たちにシリアルを与えている。

簡単お手軽なシリアルのおかげで、以前は忙しい朝のドタバタで結局何も準備できず、通学途中のパン屋で急いでクロワッサンを買い与えている親の姿もあったが、最近はそん な光景も見なくなった。

栄養学的に見ても、朝の食事は重要であるというのが最近の常識。フランス式の朝食がなくなってしまうのは残念だが、健康維持には変えられない。しかし、世界に食文化を誇る日本やフランスを抑え、英米の朝食が世界のスタンダードになりつつあるとは、何ともはや……。

「Le Parisien」紙 “Fini, la tartine trempée dans le bol”



 

刑務所からの絵本 from Germany

刑務所からの絵本
刑務所ってどんなところ?
© www.pixelio.de
どうしてパパは刑務所に入らなければならないの?なんでお家に帰ってこられないの?パパと一緒にいられないのだったら、僕がここに残るよ──。ザクセン州ライプツィヒ刑務所の面会室。子どもは面会時間が終わっても、なかなか帰りたがらない。こんな時、親はなんて答えたら、どう対応したらいいのだろうか。そんな悩みを抱える受刑者7人が集まり、自分の息子、娘に送る絵本を描いた。塀の中にいるパパでも、愛して欲しいという願いを込めて。

絵本製作に参加したKさん(39)は、暴行罪で服役中。入所前は修理工として働いており「ここ20年、文字なんて書いたことがない」という男性だ。しかもKさんはトルコ出身。母国語ではないドイツ語で何かを書くという作業は普通ならお手上げといったところだが、それでも所内の掲示板を見て、すぐさまこの企画への応募を決意した。

物語の主人公は、アレッサちゃん。幼稚園から戻ると、パパとママの様子がなんだか変。パパは大きなかばんを背負い、ママは悲しそうに「パパは刑務所にいかなくちゃいけないの」と伝える、という筋書きになっている。

絵本製作を思い付いたのは、同刑務所で心理学者として働くボルヒャートさん(29)だった。親との面会のために、刑務所に来る子どもが多いことに気付いたのがきっかけになったという。ボルヒャートさん自身の5歳になる娘も、幼稚園で友達と一緒に描いた絵を提供、こうして絵本「夢で会おうね──刑務所にいるパパの物語(Wir treffen uns im Traum - Eine Geschichte über Papa im Gefängnis)」 が完成した。

この絵本の初版は300部で、ザクセン州にある刑務所10カ所の面会室に置かれている。今後はさらに増版し、ほかの州の刑務所や児童福祉局、そしていずれは本屋にも並べることができれば、とボルヒャートさん。また何よりも本の製作を通して、囚人たちの心に落ち着きが見られるようになったことが嬉しい、との言葉を寄せている。

受刑者が絵本を描くという独自の試みは、確実に実を結んでいるようだ。

「Der Spiegel」誌
"Dein Papa muss ins Gefängnis"



 
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