ニュースダイジェストの制作業務
Wed, 10 December 2025

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ハッカーも願った!?スト回避 from Germany

ハッカーも願った!?スト回避
いまや時の人、GDLのボス、マンフレッド・
シェル氏(左)。現在は保養休暇中。
長期戦と見たか……
もうそろそろ潮時でしょう。「こうなったら意地だ、とことんやってやる!」なんて勘弁して……。数カ月にわたり熱い火花が散っているドイツ鉄道、ドイチェ・バーン(DB)の労使交渉のことである。賃金引き上げなどをDB側に要求する機関士組合(GDL)は鉄道ストをドッカン、ドッカンと打ち上げ、威勢のいいことといったら花火並み。「すずめの涙ほどの給料で、こき使われてたまるか!」という気持ちはよく分かる。でも世の中、そんな物分かりの良い人ばかりではないのが現実で……。

10月半ば、一向に前進する気配のない交渉に、両者ともピリピリしていたある日のこと。GDLがその数日前に時限ストを実施し、次はでっかく終日といくか、とスト突入のタイミングを狙っていたまさにその時、当のGDLの公式ホームページに、こんな号外が発信されたのだ。「我々GDLはDB側と歩み寄り、ストを決行しないことにした」。

スト宣言や交渉の経過など、逐一ニュースが更新されるGDLのホームページは、恐らく今、全国で最もアクセスが多いサイトなのではないだろうか。あの日このニュースをチェックして、ホッと胸を撫で下ろした人もいただろう。でも実はこれ、真っ赤なウソ。なんとハッカーの仕業だったのだ。

あせったのはGDLである。ストだ!と気勢を上げていた時に、自分たちのホームページに寝耳に水のニュースが載ったのだから。GDLはハッカーの侵入発覚後、直ちにホームページへのアクセスを停止し、その偽情報を消去した。でもその間約1時間。地方のラジオ局などではこのニュースを放送してしまったところもあったという。

ハッカーが流したこのニュースは、こう続いていたらしい。「我々は、この『戦い』をエスカレートさせることで、一般利用者やDBに多大な損害を与えるわけにはいかない」。……結構しおらしい。もしかしたらこのハッカーも電車通勤者なのかもしれない。ストに見舞われ会社に遅れ、上司に嫌味を言われ……。

何はともあれ、気になるのは労使交渉の行方。願わくば、この記事が掲載される頃には合意に至っていてほしいものだが、無理か……。

「Die Welt」紙オンライン版 "Hacker schlichten Tarifstreit bei der Bahn" ほか



 

スレードさんにお屋敷あげます from UK

Ancestory.co.ukというウェブサイトをご存知だろうか。これは、自分の名字や生誕地などを入力して検索にかけると、血縁関係にある遠い遠い親戚に会えるかもしれないというサイトだ。この他にも、同種のウェブサイトがいくつかあり、家系図作りが趣味という英国人の間で密かなブームとなっている。

さてさて、そんな話題の血縁者探しだが、イングランド南西部のサマセット州に暮らす貴族、サー・ベンジャミン・スレード氏(59)の血縁者探しの目的は、18世紀から代々スレード家が所有してきたという750万ポンド(約20億円)相当のお屋敷相続のためだというから驚き。独身で身よりもない彼が、屋敷を相続してくれる親戚を大々的に探し始めたのは2005年のことだった。そしてこの度、米国のロック・バンド「ザ・フレイ」のヴォーカル、アイザック・スレード(26)との血縁関係が証明されたのだ。

捜索を始めてからというもの、1万5000通にも及ぶ手紙やメールを受け取ったというサー・ベンジャミンだが、スレード姓なら誰でも良いわけではなく、「男性でお金持ち」という条件は譲らなかった。しかも最後の手段としてDNA鑑定までする徹底ぶり。

アイザックの祖先は、スレード・アート・スクール(ロンドン大学スレード・アート・スクール)を立ち上げた後、米国に渡った人物で、昨年末のツアー中にサー・ベンジャミンの話を聞きつけたアイザックは、すぐに彼に連絡を取ったという。

サー・ベンジャミンは「ザ・フレイ」の存在さえ知らなかったが、知人に勧められるまま、彼らのコンサートに赴き、その場で大ファンになったとか。「屋敷の管理には莫大な費用がかかるんだが、彼が屋敷の庭でコンサートでもすれば、すぐにそんなものは稼ぎ出せるし、なんたって、彼はロック・バンドをやってるのに、酒もドラッグもやらないんだから」とは、サー・ベンジャミンの弁。アイザックがこの屋敷を相続することは間違いないと見られている。

こんな夢のような話が転がってこないかなぁと、指を加えているそこのアナタ! 早速、遠い親戚を探し始めてみては?

「BBC Online News」紙ほか
“Rock star could be baronet's heir”



 

マイ皮ズボンよ、いずこへ from Germany

マイ皮ズボンよ、いずこへ
探しています!
世界中からビール好きが集う、ミュンヘンのオクトーバーフェストのドレスコードと言えば、女性は大きく胸を開いたディアンデル、そして男性は膝丈のレダーホーゼ(皮ズボン)。サッカー、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンに今シーズンから加わったルカ・トニだって、早速おニューの皮ズボンでオクトーバーフェスト・デビューを果たしたし、民族衣装専門店にとってはまさに1年に1回のかきいれどき。のはずなのに、あるトルコ人店主(40)は商売熱心で、自ら履いていた皮ズボンを売ってしまったがために大損する羽目に陥ってしまった。

悲劇があったのは宴もたけなわの10月1日。この日、2組の米国人カップルが店を訪れ、あれやこれやと商品を物色していた。そしてその内の1組がいたく気に入ったのは、店頭にあった商品ではなくて、店主の履いていた皮ズボン。最初はもったいぶって渋っていたものの、若干値段を吊り上げて商談はめでたく成立。カップルは店を立ち去り、残るのは えびす顔の主人……となるはずだった。

ところがこの皮ズボンの尻ポケットに、その日の全売り上げ2000ユーロ(約33万円)をしまっていたから、さあ大変。主人はあわててこのカップルを追いかけたものの、600万人が来場する一大イベントだけに、わらに落ちた針を探すようなもの。通報を受けた警察も、テロ防止のパトロールや飲んだくれ同士のケンカの仲裁で忙しく、「皮ズボンの大捜索網を張ってくれ」という店主の涙ながらの要望など取り合ってはくれない。とは言え、気の毒な店主のために「指名手配」のチラシだけは印刷してくれた。

なんでもこの店主、警察の力を当てにできないのならば、この指名手配のチラシを使って自力ででも探すと決意しているのだとか。それにしても300ユーロ(約4万9500円)そこらの皮ズボンが引き起こしたこの事件。店主も欲の皮を突っ張らせて、しまったと悔やんでいることだろう。

ドイツ語では「失敗に終わった」ことを「in die Hose gehen(ズボンまでいく)」と表現するが、これはまさに文字通りの出来事だと言えよう。

「Stern」オンライン版 "Verkäufer vergisst 2000 Euro in der Gesäßtasche"



 

国防省、トム・クルーズ新作の撮影拒否 from Germany

ビクトリア・ベッカムの新しいお友達となった若奥様ケイティー・ホームズと1歳になった娘のスーリちゃん。「両手に花」を抱え、良きパパぶりをアピールするのに忙しそうなこの頃のトム・クルーズ。でもそんな充実したプライベートとは打って変わり、本業である俳優のお仕事の方は今一パッとしていないようだ。新作「Valkyrie(原題)」のクランクインを間近に控え、雲行きの怪しいニュースがマスコミを賑わせている。

「スーパーマン・リターンズ」などのヒット作で知られるブライアン・シンガー監督によるこの作品は、ヒトラーの暗殺計画「ヴァルキュー(Walküre)作戦」を描いたもので、トム・クルーズはこの中で主役のクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐を演じる。大佐は作戦の首謀者で、1944年7月20日にブリーフケースに爆弾を隠し暗殺を試みたが失敗し、その後処刑された人物だ。撮影はベルリンにある現国防省の軍事施設内、一連の出来事が実際に起きたベンドラーブロック(Bendlerblock)で行われる予定だった。だがユング国防相はこのたび、施設での撮影を認めないと発表したのだ。理由は、トム・クルーズがサイエントロジーの信者だということ。ドイツ政府はサイエントロジーを、宗教団体を装い資金集めをするカルト集団と位置付けている。

これに追い討ちをかけるのが、シュタウフェンベルク大佐の息子であるベルトホールド・フォン・シュタウフェンベルク氏。「これまでも父を題材にしたドラマはあったが、どれも事実に色づけしたものばかり。トム・クルーズが父を演じたら、どんな低俗な作品に仕上がることか…」

思えばトム・クルーズは、これまでもベルリンとは縁がなかった。前作「ミッション・インポッシブル3」でも、当初は国会議事堂などを舞台に撮影される予定だったが、あっさり拒否され撤退した経緯がある。

先月中ごろには、ケイティーとスーリちゃんを伴いベルリン入りしたトム。撮影スケジュールが組まれている11月までの仮の宿として、撮影スタジオに近いヴァン湖畔の豪邸も購入したとかで、本人はやる気満々の様子なんだけど。オスカーを狙うとも言ってるらしいし…。

「DER TAGESSPIEGEL」紙ほか
“Berliner Gegenwind für Tom Cruise”



 

生徒が「先生の成績表」をネットで公開 from Germany

生徒が「先生の成績表」をネットで公開
シュピックミッヒのホームページ
www.spickmich.de
「夏休みはいいね~。その前にはガツンとやられたけど」。え、何のことって?アレですアレ。いらないっていうのに学期末には必ずやって来る成績通知表です。「成績だけが人生じゃない!」なんていじけてる生徒諸君も多いかと思うけれど、溜まりに溜まったそのうっぷんをカラっと晴らすチャンスがあることを知っていた?そこでため息をついてる君は、いますぐウェブサイト「シュピックミッヒ(Spickmich)」にアクセスだ!

「シュピックミッヒ」は簡単に言えば、生徒による先生たちの通知表。いつもは先生に評価される立場にいる生徒たちが、逆に先生の「成績」をネット上で評価しちゃおうという大胆な企画だ。サイトを立ち上げたのは、ケルンの大学生ティノ・ケラーさんと2人の仲間。今年1月末に開始して以来、半年で全国の約15万人の生徒がメンバーに加わるまでに浸透した。

「シュピックミッヒ」への参加は無料。自分の名前や学校名、クラスなどを入力したら登録は完了だ。先生の「成績」は1~6までの段階評価に加え、「授業に熱心」「テストが簡単」「クール」「セクシー」なんてコメントまである。でも汚い言葉を使ったり、先生を中傷するような表現はもちろんご法度だ。またこのほか、好きな教科や苦手な教科、趣味なんかを書いて「自己紹介」もできるから、ほかの学校に通う生徒と情報交換したり、新しい友達を作ったりと、自由なコミュニケーションの場としても活用可能だ。

一方こんなサイトが広まって、当の先生たちが指をくわえて黙っているわけがない。先頃にはある女性教師が「生徒が先生に点数をつけるなんて、言語道断です!」とばかりに (さぞかし、ひどい評価だったんだろう…)、 ケルンの裁判所に訴え出た。しかし判決では、「生徒からの公平なフィードバックが期待でき、学校組織の透明化にもつながる」と、残念ながら一蹴されてしまった。

でもめげないで、先生。こうなったら「先生登録」して、自分が生徒たちにどう見られているのか、勇気を振り絞ってチェックするしかないでしょう。あ、でも、生徒名はもちろん匿名です、念のため。

ARDオンライン版 “Alkoholisierte Lehrer sind nicht sexy”



 

ナンバー・プレートでお国自慢する人たち from France

ナンバー・プレートでお国自慢する人たち
 上は政府案、下は県番号を追加表示
 する地方議員案 (Wikipedia/JFZ)
現在フランスを騒がせているのが、来年から採用される予定の車の新ナンバー・プレート制度である。

政府は2008年初頭、急増する自動車登録手続きの効率を上げるために、登録県ごとに固有の番号を用いたナンバー・プレートを廃止し、今後は全国共通の通し番号を使用すると発表した。これにより、これまで車が登録された県を示していた下2桁の番号が、ナンバー・プレートから姿を消すことになる。ところが国民はこれに大きく反発。あるアンケート調査によると、実に71%のフランス人が現行制度の維持を支持しているという。

例えば「123‐AAA‐75」というナンバー・プレートの場合、「75」はパリで登録された車であることを意味していた。これが新制度下では、下2桁の部分にも適当なアルファベットが割り当てられることになる。これではどの場所で登録された車か分からなくなるではないか、というのが反対者の主だった趣旨だ。

確かに日本でも「練馬」と「品川」とでは、同じ東京の車でもステータス感が違うし、神奈川県でも「湘南」ナンバーが誕生したときは、わざわざ車の登録のためだけに管轄の地区にアパートを借りた人がいた。この2桁の数字に、こだわりを持ちたくなる気持ちは分からなくもない。しかも全国に約100の県があるというフランスでは、それぞれの地域に対する地元民の愛着には並々ならぬものがあるからなおさらだ。

そもそもフランスでは自分の出身県を答えるときに、県名ではなくこの2桁の数字を挙げることが多い。例えば有名どころでは、若者の暴動の舞台となったパリ郊外のセーヌ・サン・ドニの住民は、居住地を「93」と答える。世界的な観光都市ニースやカンヌがあるアルプ・マリティーム県は「06」、仏大統領のお膝元オー・ド・セーヌ県は「92」。スポーツ選手にとっての背番号のように、県番号はもはや地域と一心同体と言っていいほどの存在価値を持っているのだろう。

たかが2桁、されど2桁。ナンバー・プレートの通し番号をめぐる論争は、いつまで続く のやら。

「Le Figaro」紙 "La ≪guerre≫ des plaques d'immatriculation continue"



 

謎のグラフィティ・アーティスト、激写される! from UK

謎のグラフィティ・アーティスト、激写される!
タワー・ハムレット地区に描かれた
バンクシーの最新作
ロンドンの路地で、風刺の利いたグラフィティを描き続けているアーティスト、バンクシー。その素顔は謎とされ、本名も年齢も不明という彼が最近、ロンドン東部のタワー・ハムレット地区で制作中のところを、なんと通行人に携帯電話のカメラで激写されてしまった。

写真に写っているのは、バンクシーらしきアーティストが道路に敷かれた黄色の通行線をペンキで延長し、壁に大きな花を描いている様子。花の横には、ペンキ缶に腰を下ろしローラーを手にした男性のステンシル画が描かれている。バンクシーを撮影したとされる写真はこれまでにも存在しているが、制作中の姿を写したものは今回が初めて。バンクシーのスポークスマンは、作品が本物であることを認める一方で、写真の人物がバンクシー本人かどうかについてはノー・コメントを通している。実はスポークスマン自身も、バンクシーに会ったことがないのだそう。

バンクシーといえば、その作風のみならず、人々の度肝を抜くようなゲリラ制作/展示から、アート・テロリストとも呼ばれる人物。分離の象徴であるパレスチナの壁に、穴の向こうに青い空が広がっている絵を描き、子供たちの楽園であるディズニーランドには、テロ容疑者が多く収容されているグアンタナモ米軍基地の囚人を模した人形を設置した。原始人がショッピング・カートを引いている絵を勝手に大英博物館に展示した際には、博物館側が気付くのに8日かかったという。

しかし、誰もが彼の作品を「芸術」と見なしているわけではない。ロンドン東部の地区では町の「落書き」をすべて洗い流す決定を下しており、当局は「地元住民はグラフィティを、町の景観を汚すものと考えている」と語っている。そもそも今回の作品は、そんな当局の決定に対する仕返しなのだとか。

いずれにしても、誰が描いたのか分からないという謎の一面がバンクシー作品人気の一翼を担っていたことは確か。今回、(もし本物ならば)こんな形で一般市民によって素顔を明らかにされてしまったバンクシー。彼の作品の評価が、この一件をきっかけに変わる可能性もあるかもしれない。

「タイムズ」紙 "Banksy, the celebrated graffiti artist, is caught in the act for first time"



 

100年をかけた無罪証明 from UK

100年をかけた無罪証明
クリッペン逮捕のニュースは欧州中を駆けめぐった
もしあなたが冤罪に問われ絞首刑となり、その100年後に無罪が証明されたとしたら……。こんなSF映画のような出来事が、科学の進歩のおかげで現実のものとなりそうだ。

事件が起きたのは、97年前の1910年。後に、英国史上最も悪名高いと言われることになる事件がロンドンで発生した。ある医師が踊り子だった妻を毒殺し、その死体をバラバラにして自宅の床下に埋めたのだ。罪に問われた医師の名は、ホーリー・クリッペン。クリッペンは、妻コーラが行方不明になったと皆に告げた後、男性に変装させた若い愛人とともに大西洋上を逃避行中に、目ざとい船長に身元確認され逮捕された。その後の裁判で、有罪が確定するまでに費やされた時間はたったの27分。クリッペンは、絞首刑を受ける直前まで無罪を訴えていたという。

この事件に着目したのが、米国の科学捜査チーム。毒殺で遺体を解体するのは珍しいという理由から、大規模な捜査を開始した。まずは7年の歳月をかけて、米カリフォルニアやプエルト・リコで暮らすコーラの子孫の行方を突き止めた。そしてロンドン王立病院の書庫に眠るコーラの遺体サンプルから取り出したミトコンドリアDNAと子孫のそれを比較したところ、コーラのものだと思われていた遺体は全くの別人のものだということが発覚したのだ。

「ミトコンドリアDNAは、母親から子へと受け継がれるもので、ほとんど変化を受けないという特徴があるのです」とはチーム・メンバーの医師の弁。そして、ミトコンドリアDNAが合致しないということは、ほとんど100%の確率で別人であることが証明されるそうだ。現在このチームはDNA鑑定の結果を基に、クリッペン医師の大赦を求めている。

絞首刑の2週間前に「私は無罪だ。いつか必ず私の無罪を証明する証拠が出てくるだろう」と書き残したというクリッペン医師。今頃は天国で安堵の息をついているだろうか。

しかし、クリッペン医師の自宅の床下で発見された死体が、コーラのものではないと分かった今でも、行方不明となった彼女の行方や、発見死体の身元は謎に包まれたままである……。

「ガーディアン」紙 "100 years on, DNA casts doubt on Crippen case"



 

女性飛行のパイオニア、100歳に from Germany

母は決して有名になりたかったわけではない。ただ、いつも何か新しいことを発見するのが大好きだったんです」。現在69歳になる息子のベルント・ローゼマイヤーさんがこう語る女性の名は、エリー・バインホルンさん。女性飛行士として初めて世界一周を成し遂げた人物だ。偉大なる歴史を築いたそのバインホルンさんがこのたび、めでたく100歳の誕生日を迎えた。

1907年5月30日、ハノーファー生まれ。父親が一流会社に勤める裕福な家庭で、一人娘として大事に育てられた。後に回想録「Alleinflug(単独飛行)」でも語っているように、子どもの頃から大の旅行好きで、いつも未知の世界を夢見る少女だったという。

21歳の時に航空学校の門を叩く。「しばらくは泣いてばかりいた」母親を始めとする周囲の反対を押し切り訓練を開始したバインホルンさんはそれから半年後、操縦席でハンドルを握り、初めて大空に飛び立った。

1931年12月4日、午前9時。エレガントな革のスーツにスレンダーな身を包み、本人いわく「小さなサンタクロースのような」いでたちでベルリンの空港に姿を現したバインホルンさんは、スーツケースに帽子用ケース、それに蓄音機まで機内いっぱいに詰め込んで、世界一周飛行に挑戦する。ヒマラヤ山脈を越え、カルカッタ、バンコクを経てオーストラリアのバースへ。そしてブエノスアイレスなど中南米を回って翌年の7月26日、ベルリンに無事帰ってきた。25歳の快挙だった。

一躍時の人となったバインホルンさんの冒険は、その後数年間、大西洋横断、米国、インド、アフリカと、とどまることがなかった。自動車のレーサーだったローゼマイヤーさんと知り合い、結婚したのもその頃だ。ローゼマイヤーさんは数年後に不慮の事故で亡くなるが、女性飛行のパイオニアと有名レーサーのロマンスは当時、「夢のカップル誕生」と国中が注目した。

現在バインホルンさんは、ミュンヘン近郊の高齢者施設で余生を過ごしている。車椅子での生活だが、「まだまだ若い女の子のように元気だ」と息子のベルントさん。「午後にたしなむ一服のたばこが、何より楽しみのようです?

「Süddeutsche Zeitung」紙ほか
“Das fliegende Mädchen”



 

客引きしたら、罰金3750ユーロ!! from France

客引きしたら、罰金3750ユーロ!!
セックス・ワーカーの悩みは
尽きない
先日、パリの売春婦(夫)たちがエイズ撲滅運動協会、公衆衛生委員会、外国人の権利を守る会、ソーシャルワーカーなどのメンバーと一緒に赤い傘をかざしながら、パリの元老院(上院)前で「客引きに関する刑罰」に反対するデモを行った。

この刑罰は、サルコジ大統領が内相時代の2003年に制定された「国内治安法」によって定められたもので、これ以降「客引きをすると禁固2カ月、罰金3750ユーロ(約61万円)」の刑罰が科されることになった。これを受けて、この法律の施行前はパリの大通りで客引きをやっていた「セックス・ワーカー」たちは検挙を恐れてパリの郊外へと移動。その結果、売春婦(夫)たちのサポートをするソーシャルワーカーが立ち会う機会も減ってしまい、彼ら売春婦(夫)たちの立場はより脆弱なものになってしまった。

今回デモに参加した売春婦(夫)たちは「問題なのは売春ではなく、その条件だ。私たちは奴隷になるのなんかゴメン。私たちの仕事について知ってもらい、労働条件を高めるために戦っている」と言う。売春を斡旋する業者や、売春婦(夫)を買う客に対して罰則を定めることなく、一番弱い立場であるセックス・ワーカーたちだけを攻めるのはいかがなものか。

フランスでは第二次大戦後に売春宿は禁止されたものの、03年まではさまざまな理由から売春は認められていた。街娼が職業として成り立っていた背景を省みずに刑罰を科したところで問題は解決しない。それにしても、「客引きをすると禁固2カ月、罰金3750ユーロ」とはなんともはや。よっぽどの高級娼婦でない限り、いくら働いても赤字続きになってしまう。「人生最古の職業」とされる売春業だけれど、売春婦(夫)の皆さんも、このままだと商売あがったりだ。

法律を制定した張本人であるサルコジ大統領は、元妻のセシリアさんに離婚の慰謝料を払うためか、最近「英独首相並みに」と給料倍増を要求したばかり。給料アップもいいけれど、大統領、並びに元老院の先生方には是非、頑張って日夜働く国民の声に耳を傾ける時間をとり、すみやかに善処して欲しいものだ。

「Parisien」紙 "Les prostituees ≪racolent≫ les senateurs"



 
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