ニュースダイジェストの制作業務
Wed, 10 December 2025

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スーパーサイズでファッション・ショー from Germany

スーパーサイズでファッション・ショー
 おしゃれは体形に関係ない!
ミニ・スカートにボーダー・シャツ。やせている人には似合うだろうけれど、私にはちょっと……なんて躊躇している時代ではありません。「大きなサイズ」を超えた「スーパーサイズ」の開拓が、モード界で重要視されているようです。

肥満はドイツに限らず、いわゆる現代病としていまや世界中が抱える大きな問題。実際、女性の4分の1がいわゆる「大きなサイズ」を着ているといい、その需要は増える一方だという。このようななか、ドイツ西部デュッセルドルフで「スーパーサイズ」の見本市が開催され、大きな体型をカバーしながらも、おしゃれを意識してデザインされた衣服が多数発表された。

「スーパーサイズ」の服を使ってファッション・ショーを開催する、というのがまず画期的。女性服などに馴染みのない人のためにちょっと説明すると、たいていのブティックには「大きなサイズ・コーナー」が設けられているが、これは通常、欧州サイズで「46」から「48」までを指す。

それより大きな「スーパーサイズ」になると、ただすべての部分を大きく作ればいいというわけではなく、お尻が大きい人、ももが大きい人、腕が大きい人、と個人個人の体型に大きな差が出てくるため、既製服として扱うには、様々な問題を伴う。だから「スーパーサイズのデザイナーはマジシャン」と言われるぐらい、大きな体を持つ女性はおしゃれに悩んでいるのだ。

また「普通サイズ」ではかわいいデザインも、「大きなサイズ」になるとそうでもなくなるということもよくある。色、柄、布の種類なども同様で、「大きなサイズ」と「普通サイズ」では、作り手にとっては作業が一から異なるという。

残念ながら現代では、「きれい=やせている」という概念が定着してしまっているので、摂食障害に悩む人まで多くなってきている。だからこそ、太っていてもおしゃれを楽しむことを教えてくれる「スーパーサイズのファッション・ショー」が注目を集めるというわけ。結局、おしゃれってその気になれば、誰でもできるってことなんだろう。

参考: sueddeutsche.de
"Supersize-Modenschauen in Düsseldorf"



 

タバコの煙は恋の予感!? from France

タバコの煙は恋の予感!?
 テラスは愛煙家に残された
 最後のパラダイス
フランスでは昨年2月以降、職場や公共施設における喫煙が禁じられていたが、今年の1月からバーやレストランの店内でも禁煙となった。批判精神旺盛なフランス国民のこと、規則がきちんと守られるかどうか半信半疑だったが、意外や意外、大半のフランス人はこの新しい法律に順応しているようだ。顧客の確保のために、喫煙が認められているテラスを大幅に改造して新年を迎えたバーやカフェも多かったためか、今のところ、大きな混乱もなくこの新法は受け入れられている。

フランスは伝統的に個人の自由が優先されてきた国だ。だが近年では女性誌などの影響で心身の健康に気を使う人が増えており、そんなことも今回の法律が認められていることの一因のよう。2000年にも飲酒運転を厳罰化する新交通法が定められたが、この頃からフランス人は「安全」や「長寿」のために「自由」を手放す覚悟が出来てきたのかもしれない。

そんな中、唯一抗議の声を上げているのが、一部のタバコ屋の経営者たち。彼らは06年に当時内務大臣だったサルコジ大統領が「タバコを販売している場所で喫煙を禁止するというのは、おかしなことだ」と発言したことを利用しようとしていたが、やはり時代の波には勝てない。新たに飲み物の自動販売機を設けたり、サンドイッチを販売したりと、生き残りをかけて懸命に新たなサービスに取り組み始めている。

一方、賛成派のあるバーの経営者は「もう灰皿を集めたり洗ったりしなくてすむし、床に落ちた吸殻を掃く手間も省ける」という現実的な理由でニンマリ。そのほか、いかにもフランス人らしいロマンチックな意見も。あるパリジェンヌは「私はタバコを吸って彼氏をつくるわ」とウインク。なんでもバーなどを出て歩道でタバコを吸っていると、同じ境遇の愛煙家の男性に声をかけられるパターンが多いらしい。また、とあるレストランの経営者に言わせると、「タバコがなくなったおかげで、女性が入ってくるときにほのかに漂う香水の匂いが戻ってきた」のだとか。喫煙者の自由を妨げる禁煙法。だがほんのちょっと見方を変えれば、別の一面が見えてくるのかもしれない。

「Le Parisien」紙 "La fin de la cigarette" ほか



 

ドイツ最後のプレイボーイが結婚!の行方は? from Germany

ドイツ最後のプレイボーイが結婚
「死が2人を分かつまで、
貞節を守ることを誓いますか?」
「セックスで死なせてくれた女に、財産をやる」。こう2002年に公言し、紙面を賑わした男を覚えているだろうか。「ベルリンのカサノバ」「ドイツ最後のプレイボーイ」などの異名を持つロルフ・エデン氏、77歳。そんな彼が昨年12月20日に結婚した。さてさて、遺産はもちろんのこと、セックスで死なせてくれた「お礼」も、この妻がゲットすることになるのだろうか……。

エデン氏は、ドイツで初めてディスコを開いたと言われている人物。1950~60年代にベルリンで「エデン(楽園)」の名を冠したクラブを次々にオープン、ストリップを目玉に大成功し、巨額の富を築いた。本人曰く、これまでに3000人の女性とベッドをともにしたのだとか。その結果、7人の女性との間に7人の子供がいるエデン氏だが、結婚は今回が初めて。そんな彼が定義するプレイボーイとは、2カ国語以上を操ること、船舶免許を持っていること、ダンスができること、格好良いこと、そして独身であること、だった。

そんなエデン氏に結婚を決意させた女性は、孫ほども年が離れているブリギッテさん(27)。仏女優ブリジット(ドイツ語読みでブリギッテ)・バルドーさんに似て、絵のように美しいうえ、料理や裁縫、マネジメントも上手にこなし、「すべてにおいて役に立つ人」なのだとか。

なかでも、医学をかじっていて注射もできるという点が、「この歳になって何が起こるか分からない」エデン氏の奥さん選びの決め手になったらしい。ということは、彼女と末永く暮らすためにも、もう「腹上死」を願ったりはしていないということか。

エデン氏にはブリギッテさんのほかにもステディな恋人が5人おり、その5人との関係は結婚してからも変わらないという。ブリギッテさんもこれに合意しているというから、結婚したからといってプレイボーイの座を捨てる気はさらさらないようだ。

となると最初の質問に戻るのだが……。「腹上死」のお礼はいったい誰に行くのだろう?おめでたいニュースなのに下世話な話で申し訳ないが、どうしても気になってしまう。スミマセン……。ともあれ、どうぞお幸せに!

「Die Welt」紙オンライン版 "Die Welt des Playboys Rolf Eden bleibt blond"



 

さらば、ヒトラーの「ヒンデンブルク」学校 from Germany

さらば、ヒトラーの「ヒンデンブルク」学校
 1936年のライヒスマルク硬貨。表には
 ヒンデンブルクの肖像が
 (C)www.pixelio.de
第一次大戦直後のドイツで成立したワイマール共和国の第2代大統領、パウル・フォン・ヒンデンブルクの名前を冠した学校が相次いで「消え」ようとしている。なぜなら、ヒンデンブルクはアドルフ・ヒトラーを首相に指名し、ナチス政権樹立への道を開いた人だから。ナチス・ドイツが犯した罪の責任を負うドイツで今、同氏の名が付いた学校名を変えようとする動きが高まっている。

ドイツで最も古い歴史を誇る都市トリーアにあるヒンデンブルク・ギムナジウム(日本の中・高等学校に相当)もその一つ。同校は1916年、タンネンベルクの戦いでロシアを破った功績を認められたヒンデンブルクにちなみ、「ヒンデンブルク学校」と改名された。

それから十数年後。世界恐慌の最中に台頭したのがナチスだった。ヒンデンブルクもその勢力を抑えることはできず、1933年、ヒトラーを首相に指名した。ヒンデンブルクの死後は、ヒトラーが大統領の座も得て総統に。独裁権を掌握したその後は、皆さんもご存じの通り。

第一次大戦の英雄としてあがめられたヒンデンブルクが、ナチス・ドイツの「生みの親」となるのは、なんとも皮肉なことだが、実は75年も前から改名が検討されていたのだという。ではいったい、何という名前に変えたらよいのだろうか。

同市には「資本論」を著したカール・マルクスの生家があるので、「カール・マルクス・ギムナジウム」というのはどうだろう。いや、地元トリーア大学を「トリーア・カール・マルクス大学」と名付けようとする動きがあることから却下。それではルクセンブルク、フランスに近いという場所柄、独仏のバイリンガル教育に重点を置いている同校の方針から、両国で功績を挙げた人物にちなむというのは?そう、ルクセンブルク生まれのフランス人にして、ドイツで教育を受けた政治家、ロベール・シューマンが最適では。否、これも近くに同名の学校があるのでNG……。

「ヒンデンブルク学校」の改名案が、ここにきてようやく現実味を帯びてきたというのに、今度は命名問題が浮上。新校名が決定するまでには、まだまだ長い月日がかかりそうだ。

「Süddeutsche Zeitung Online」 "Nie wieder Hindenburg-Gymnasium"



 

農家の嫁探し番組が大人気 from Germany

農家の嫁探し番組が大人気
 期待を胸に農家の独身男性が勢揃い ©RTL
クイズやドラマ、過激なショー。ありとあらゆる番組がひしめくドイツのテレビ事情。もううんざりだとドイツ人が思っているのかどうかは定かでないが、そんな飽和状態となっているドイツのお茶の間を釘付けにする番組が登場した。そのタイトルは、ズバリ「農家の嫁探し」。2005年の第1シリーズからぐんぐんと視聴率を伸ばし、今秋スタートした第3シリーズで、とうとう月曜日の21時15分という超ゴールデンタイムに進出した。

この番組ではまず、「女性と知り合う機会がない」「付き合った女性にはことごとく農家の生活にしり込みをされた」などという女運にからきし恵まれない農家の独身男性が、番組で「ヨメに来ませんか」と呼びかける。応募してきた女性がその男性の家で実験的に農家の暮らしを体験するなかで、互いに相性を確かめていくというものだ。

30歳過ぎても女性(母親除く)の手を握るどころか、近くにすら寄ったことがないという「心優しいフルティ」や、2人の女性から求愛される「モテモテ酪農家のミヒャエル」「がさつなベルンハルト」「愛すべきバイエルン男のブルーノ」など、あらゆるタイプの「役者」が勢揃いして番組を盛り上げている。番組の司会者インカさんは「どう行動しろとか、ましてや誰と恋愛しろなど、テレビ局は一切の演出をしていません。彼らのありのままの姿を映し出しているだけです」と強調する。

既にこの番組で誕生した2組のカップルが、めでたくゴールインした。その一方で、のんびりとした田舎暮らしどころではなく、朝早く起きて牛や豚の糞にまみれる現実に幻滅して、ほうほうのていで逃げ出す女性がいたり、思いを寄せた女性に果敢にアタックするもあえなく振られ、わびしい独り身の生活に戻っていく男性の悲哀も存分に映し出される。

なんでも20%を超えるこの番組の高視聴率を支えているのは、旧東ドイツ地域の農村部なのだそう。場所を問わずパートナー探しは人生の一大イベント、ましてや農家の嫁不足は深刻な問題だが、明日はわが身、あるいはわが息子の身と思う人たちが農夫の果敢なチャレンジぶりを祈る思いで見守っているのかもしれない。

「Focus」紙 "Manner im Streichel-Zoo" ほか



 

働かなくても大金が手に? from Germany

働かなくても大金が手に?
 働かなくても大金が手に?
無職でも月額4492ユーロ(約72万円)の手取り収入! なんと夢のような話だろう。いや、これが驚くことに現実なのだ。それも支払者は、連邦雇用庁。ベルリンに住む40代前半の男性の口座には、2005年以来毎月、失業手当として上記額が振り込まれていたのである。

4492ユーロの内訳はというと、家賃と光熱費が1300ユーロ、夫妻の生活費として624ユーロ、15歳未満の子ども1人あたりに208ユーロ、15歳以上の子ども1人あたりに278ユーロなど……。これがなぜ約4500ユーロもの高額になるのだろうか。実はこの男性には子どもが11人いるというのが「からくり」。15歳未満が7人、15歳以上が4人で、締めて4492ユーロになるという寸法だ。

この男性家族のほかにも、9人の子どもを持つ、とある男性の家族は月に約3846ユーロを受給、子どもが10人いる別の家族には、月額平均3533ユーロが給付されるなど、国内には子だくさんの「高額収入失業者」が大勢いるという。

ちなみに、定職に就くベルリン市民の平均月収は2549ユーロ。しかも注意していただきたいのはこの金額、手取りではなく税込みだという点だ。ドイツでは所得の実に52%が税金、社会保険料で消えてしまうから、手元に残るのはスズメの涙……。子どもがいる場合は、児童手当(最高25歳になるまで月額154ユーロ)を受けられるが、これを加味しても、なんとも報われないではないか。

雇用庁のヴァイゼ長官も、「コツコツ働くよりも、失業者でいるほうが魅力的な場合もある」と認めざるを得ない状況。さすがは福祉大国ドイツ! なんて、感心してはいられない。まじめに働いて、税金を払って、少ない手取りでやりくりしている人が、ばかを見るというのだろうか!?

とはいえ、現実はそれほど甘くはない。改善の兆しが見えつつあるとはいえ、まだまだ厳しいドイツの雇用状況。前述の9人の父親は先日、見事に再就職を果たしたとか。収入は減ることになったかもしれないが、失業中のほうがいいなんて言ってはいられないのが、ドイツの現実だ。

「Bild.de」
"Berliner hält Hartz-IV-Rekord!"



 

スーパー、ハイディ!! from Germany

スーパー、ハイディ!!
「Max」12月号、表紙を飾るのは
もちろんハイディ
うわー、奇麗すぎる……。ファッション誌「Max」を見て目がくぎ付けになった。そこに写っているのは、ドイツが誇るトップモデルのハイディ・クルム。透き通るような、いや本当にスケスケに透き通ったなめらかな布のみをゴージャズな肢体にさらりとまとい、こちらをぐっと見据えている。念のため言っておけば彼女は34歳、しかも3人の子持ち。

昨今、そんなハイディの快進撃が止まらない。テレビやファッション誌で彼女の姿を見ない日はないほどだ。そしてこのほど、これでもかとばかりにその磨きのかかった抜群のプロポーションを改めて見せつけ、メディアを沸かせたのが「Max」である。

撮影が行われたのは米リゾート地のマリブ、撮影者は英人気フォトグラファーのランキン氏だ。テーマは「現代版マリリン・モンロー」。1950年代のセックス・シンボルであるモンロー最後のシューティングと言われるフォト・シリーズ「Last Sitting」の中で、彼女が取っていたポーズにインスピレーションを受けて生まれた企画だという。全11ページにわたり、ほぼ何も身に付けていないハイディのカットが掲載されたが、そのうち8ページはほとんど写真のみと、扱いもゴージャスだ。とは言え、当の本人はあっけらかんとしたもの。「ほとんど何も着なかったから楽チンだったわ!」なんて、余裕である。

先日はランジェリー・ブランド「Victoria's Secret」が誕生25周年を迎え、米ハリウッドのコダック・シアターにトップモデルが集結、カメラマンのフラッシュを浴びていたが、ハイディの立ち位置はもちろん真ん中だった。世代交代がどの業界よりも早そうなモデルの世界で、ハイディはもはやお局、いやイコン的存在に達したのか。まあ、そうは言っても我らがハイディ、もとはケルン近郊のベルギッシュ・グラッドバッハと、かなり渋い地方の出身なのはドイツでは周知の事実。カーニバルでは旦那の英国人ミュージシャン、シールと一緒にまた山車に乗るのかな。そんな庶民的なところが憎めないのよね、ハイディって。

「Focus」紙 "Auf den Spuren der Monroe"



 

シロクマ・ブームの裏に潜む金銭争い from Germany

シロクマ・ブームの裏に潜む金銭争い
 シュタイフ社からもクヌートのぬいぐるみ
 が限定発売された
その愛らしさで万人を魅了し、ドイツだけでなく日本にまでシロクマ・ブームをもたらしたベルリン動物園の「クヌート」。今や立派に成長して「愛らしい」面影はなくなってしまったうえ、ニュルンベルク動物園とシュトゥットガルト動物園で昨年末、「フロッケ」と「ヴィルベア」という若き強力なライバルが誕生したが、なんのその。ドイツではドキュメンタリー映画「クヌートとその友達(Knut und seine Freunde)」が封切られるなど、元祖の人気は今も健在だ。でもこの裏で、金銭をめぐるドロドロの争いが繰り広げられていようとは……。

事態の全貌を掴むには、まずクヌートの生い立ちから。クヌートは2006年12月、ベルリン動物園内で父親ラースと母親トスカの間に生まれた。同園でシロクマの赤ちゃんが誕生したのはなんと33年ぶり。そして母トスカが育児を放棄、飼育係のトーマス・デルフラインさんが育てることになったことも相まって、世界中から注目を浴びることになった。

クヌートの愛らしさに惹かれて殺到した来園者は、これまでに約300万人。入場料のほか、キャラクター・グッズの販売などでクヌートが稼いだ金額は、ざっと500万ユーロ(約7億9000万円)にもなるというから恐れ入る。

そして時をさかのぼること1999年、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ノイミュンスター。当地の動物園がベルリン動物園に雄のシロクマを貸し出した。雄のシロクマはそこで運命の相手に出会い、子どもに恵まれる……。

もうお分かりだろう。雄のシロクマはラース、そう、クヌートの父親だったのだ。そこでノイミュンスター動物園が、同園もクヌートの所有者であると主張。クヌートの稼ぎの一部を得る権利があるとして、分け前を要求しているというわけだ。

これだけの大金を前に欲が出てしまうのは人間の性……と言いたいところだが、愛らしい子グマの笑顔も台無しとなってしまう、なんとも醜い争い。ドキュメンタリー映画のヒットは確実。そして4月にはクヌートの記念切手も発売されるという。さらなる利益をもたらすこと必至なクヌートをめぐる争いは、ブームとともに続いてしまいそうだ。

「SPIEGEL ONLINE」
"NEUMÜNSTER VS. BERLIN Millionenstreit um Eisbär Knut geht weiter"



 

おばあちゃんのついた嘘 from France

おばあちゃんのついた嘘
 嘘と分かった後も人気の「少女ミーシャの旅」
 ©BAC FILM / Vera Belmont
「実話を基にしている」が売りだったフランス映画「少女ミーシャの旅」の原作者ミーシャ・デフォンスカさんがこの度、なんとこの話が作り話だったことを白状した。原作によると、少女ミーシャは第二次大戦時にユダヤ人の両親の下に誕生。強制収容所に送られた両親を探すため、彼女は狼と共同生活をしながら、徒歩で東欧を旅する……。

ところが現実は、彼女の両親はレジスタンスではあったがユダヤ人ではないし、彼女の名前も偽名だったというからビックリ。狼との共同生活についても、動物好きな彼女の空想上の話に過ぎなかった。しかし時既に遅し。この話を基にした本は、世界8カ国で翻訳出版。フランス国内でも本の出版に続き、今年1月に映画が公開になり、観客動員数は60万人を突破した。この話に涙を流した読者、観客は数知れず。

「少女ミーシャの旅」を監督したフランス人のヴェラ・ベルモントさんも、この騒動にびっくり仰天。「ミーシャに出会ったとき、彼女は本の内容は全て事実だと断言しました。そればかりか、アウシュビッツの強制収容所に送還された彼女の両親の足跡をたどるために、戸籍調査までさせられたのです」と怒りを隠せない様子。

現在、米国のボストンで暮らしている74歳の原作者は、「裏切られたと感じている人がいたら申し訳ない」と謝罪をする一方で、「この本、この話は私のもの。事実に基づいてはいないけれど、私にとっての現実なのです」と、釈明とも開き直りともとれる発言もしている。幼少の頃に両親と別れ、親戚の家で不幸な少女時代を送ったミーシャさんは、自らをユダヤ人の姿に重ね合わせていたとも。また、彼女の弁護士によると、この話を全くの実話として発表しようとしたのは、この本を出版した米国人女性編集者だったらしい。

面白いのは、この騒動の後でもパリでは本作の映画人気が続いていることだ。騒動の責任の所在がどこにあるのかは気になるところだが、嘘と分かっていても人々を惹きつけてやまないこの作品、やっぱり感動を呼ぶ傑作といえるのかも!?

「Parisien」紙
"C'est bien une supercherie Hubert Lizé" ほか



 

孤独な警察官が詐欺で御用! from France

孤独な警察官が詐欺で御用!
 いつの時代も女性は占いが大好き
 ©Photo.com
ブティックやお洒落なカフェで賑わうパリ5区、カルチエ・ラタンで、警察官として働く女性が詐欺で捕まった。勤務中に取り締まった被疑者たちのカード番号を控えておき、それを使ってインターネット有料サイトのネット・サーフィンや電話を楽しんでいたのだというからなんとも大胆不敵。少なくとも3万ユーロ(約483万円)を浪費していたというこの犯人は、その大金の大部分をネットの占いサイトに費やしていたという。今から約1年前に海外県アンティル諸島から都会のパリにやってきた35歳のこの女性、どうやら慣れない都会暮らしに戸惑い気味だったよう。心の平安を求めて占い中毒になったのだろう、とは同僚の弁だが、いったい何をそんなに占っていたのだろうか……。

そもそも人間は、古代より占いという存在に頼らずにはいられない生き物であった。見えない未来を予測するために、我々は太陽や月、はたまた動物の内臓を使うなど、さまざまな手段で未来を予知する方法を編み出してきた。時代は変わって21世紀になっても、占い熱は衰えを見せるどころか、さらに勢いを増している。フランスもその例外ではなく、現在国内には約10万人もの占い師がおり、フランス人女性の約2割は占い師に鑑定を頼んだことがあるという。国内で占いに費やされる金額たるや、年間約30億ユーロ(約4831億円)に上るとも言われているのだから、件の女性が横領した3万ユーロも、それに比べれば微々たるものに思えなくもない。

今回の詐欺事件、警官が他人のお金を使って占いに興じていたというだけでも驚きなのだが、さらに衝撃の事実がある。被害者の1人が、不審な引き落としに気付いて警察署に届けを出したことから事件が発覚したのだが、初めに対応したのがこの詐欺犯本人だったというのだ。その時は淡々と被害届に情報を入力し、後になって消去したというが、その心中やいかに……。待てど暮らせど調査が進まないのに業を煮やした被害者の再三の催促によって事態が明るみになったが、どんなに霊感の鋭い占い師であっても、さすがにこんな珍事は予想できなかったことだろう。

「Le Parisien」紙ほか "La policiere arnaquait... les gardes a vue Benoit Hasse"



 
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