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Wed, 12 August 2020

Carrington / キャリントン

映画の舞台裏を捜査する!特捜シネマ刑事
第102回

Carrington
キャリントン(1995 / 英・仏)

英国の女流画家、ドーラ・キャリントンの半生を綴った伝記映画。作家で批評家のリットン・ストレイチーとの関係を主に描く。

今週のロケ地

監督 Christopher Hampton
出演 Emma Thompson, Jonathan Pryce, Steven Waddington ほか
ロケ地 Robin Hood's Bay
アクセス London・King's Cross駅からWhitby駅まで列車で約5時間

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  • 本気で好きになった人が同性愛者だった……。そんなとき、どうします?
  • 残念だけど、あきらめるしかないでしょうね。友達ではいたいと思うけど。
  • ふむふむ。さて今週は、英国の女流画家ドーラ・キャリントンの半生を追った実話に基づく物語なんですが、この原作となっているのは、彼女と深い絆で結ばれていた作家で批評家のリットン・ストレイチーの伝記なんですね。
  • リットン・ストレイチーは、1905年に英国の芸術家や学者によって結成された「ブルームズベリー・グループ」のメンバーでした。これはヴァネッサ・ベル、ヴァージニア・ウルフ姉妹ほか2人のケンブリッジ大学生の会合に端を発した組織で、経済学者のケインズや作家のE・M・フォスター、またノーベル文学賞を受賞している論理学者で哲学者のバートランド・ラッセルなども一員だったと言われています。
  • そして彼、リットン・ストレイチーは同性愛者だった。同性愛を禁ずるヴィクトリア朝時代の文学や思想を批判して、新しい伝記文学のスタイルを築いたの。そんな彼がキャリントンと出会うのは、本作によれば第一次大戦中の1915年。田舎にあるヴァネッサ・ベル夫妻の家を訪ねたときね。
  • 全6章から成る本作は、リットンがその田舎の駅に到着するところから始まります。こちら撮影はノース・ヨークシャーの「Goathland Station」で行われました。またベル夫妻の家には、オックスフォードシャー州のHenley-on-Thamesにある「Turville Lodge」が使われています。
  • 少年たちに混じって庭でサッカーをしていたキャリントンを見て、リットンは男の子だと勘違いし、興味を抱きます。
  • 近くで見たら女でガッカリしたものの、やっぱり何か惹かれるものがあって、後日、2人で海辺を散歩していたときに、彼女に思わずキスしようとするのね。
  • その場面はノース・ヨークシャーのWhitbyにある「Robin Hood's Bay」という海岸で撮られていますね。とっさのことに驚き、怒り、拒絶するキャリントン。罰として彼の寝ている間に髭を切ってやろうと、こっそり部屋を訪れますが、寝顔を眺めているうちにそんな気も失せ……。
  • それが恋、もとい愛の始まりね。
  • しかし2人の間に何ら進展はなく、キャリントンはスレード美術学校の同窓生で画家のマーク・ガートラーと付き合うんですが、いまだ性体験のない彼女は、マークが血走った目で迫ってくるたびに「この人はカラダが目当てなのでは」と疑い、ギリギリまで拒み続けます。
  • そんな折にリットンが田舎での共同生活を提案したため、キャリントンは田舎の一軒家を借りて、彼と住み始めてしまうんですね。こちらイースト・サセックス州のBolebrokeMillにある古民家が使われてます。
  • その後、キャリントンの夫となる戦争帰りのレイフや、彼の友人でキャリントンの愛人となるジェラード、船乗りのビーカス、リットンの恋人ロジャー、レイフの愛人フランシスと、愛に迷走する人々の複雑な関係と心理が描かれるわ。まあ、迷走の主な原因は、精神的には100%、でも肉体的には0%というリットンとキャリントンの関係にあるんだけど。罪深い2人ね。
  • ちなみに後にリットンが購入した家には、サリー州のShacklefordにある「Norney Grange」という邸宅が使われていますね。

サユリ、物申す
リットン・ストレイチーは、以前捜査した「モーリス」に出てくるリズリー卿のモデルにもなった人よ。本作で彼を演じたジョナサン・プライスは、カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞してるわ。それにしても精神的な結びつきと肉体的な結びつきは、やっぱり切り離せないのかしら。「愛」と「自由」って近そうで遠いわよね。愛に「縛り」は付き物だし……。と、いろんな意味で愛について改めて考えさせられる一本よ。

 
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