ロンドンのゲストハウス
Wed, 21 February 2018

税年度末前のマネー・チェック事項

もうすぐ税年度末(4月5日)です。節税の機会などを逃さないよう、やり残したことはないかチェックしてみましょう。今回は税年度前のチェック事項について解説します。

多くの税金を払っています。節税する方法を教えてください。

最も簡単な方法の一つは年金に拠出することです。本人の年金拠出金は最高税率での税額控除が可能なので、拠出金の分、払った税金が戻ってきます。拠出は本人独自の個人年金や勤務先の企業年金どちらにでもできます。現在、年金拠出金の限度額は年4万ポンド(約608万円)です。今年使用しなかった枠は3年のみ繰り越しできます。

年金拠出金の不利な点は何でしょう。

年金受け取り最少年齢の55歳まで資金にアクセス権がないので、それまでに資金が必要になりそうな場合は利用しない方が良いと思います。加えて、高所得者の年金拠出金は制限されています。年4万ポンドの限度額は年収と雇用者の年金拠出金の合計額が15万ポンドを超えると徐々に減額され、21万ポンドを超えると、一律、年1万ポンドとなってしまいます。

そのほかに節税方法はありますか。

高リスク投資をお好みの方はVenture Capital Trust(ベンチャー・キャピタル・トラスト: VCT)を検討できるかもしれません。成長のために資金が必要な小さい会社に投資する会社(VCT)の上場株式に投資します。VCTの運用者は投資家から資本を集め、小規模ですが将来性のある企業を調査・発掘し、多数の企業に資本を供給します。投資家はVCTに投資することにより成長性のある企業に分散投資でき、30%の所得税控除が得られ、また受け取る配当や株式売却後の譲渡益は非課税です。限度額は20万ポンドと年金より多いです。

税額控除の仕組みを教えてください。

例えば、本税年度1万ポンドをVCTに投資すると、本税年度の所得税額から3000ポンドが相殺されます(少なくとも所得税義務が1万ポンドある場合)。ただしVCT株を5年間保有することが条件です。

保有義務期間は年金より短いですね。不利な点はどんなことですか。

高リスクな投資という点です。小規模な未上場会社はもしかしたら急成長し、株価も急上昇するかもしれませんが、大幅に急落する場合もあり得ます。また、これらの株式は流動性がなく、売りたいときに現金化できない可能性があります。

本税年度のISA限度額はいくらですか。

今年は1人2万ポンドまで、預金型ISA(Cash ISA)か投資型ISA (Stock & Shares ISA)のどちらかに投資できます。合計額が2万ポンドまでであれば、CashとStock & Sharesの比率に制限はありません。また本税年度分のISA枠は来年度に繰り越すことはできません。

Cash ISAは金利が低く、一方でStock & Share ISAはリスクが高過ぎませんか。

投資=株式と思われている方が多いようですが、株式より安定性のある国債、社債、そして不動産なども投資対象です。例えば、株式に加えこれらの資産で分散投資をしているミックス投資信託は、100%株式で投資されている投資信託よりリスクは低くなります。下記は株式の比率が20%から60%に限定されているミックス投信の表です。リスクを数式化し、英国大手100社の株式の変動率を100、銀行預金を0とした場合のリスク・スコアが掲載されています。(独立系投信データ会社Financial Express社による)株式以外の資産に分散投資することにより、変動率、つまりリスクが下がることが分かると思います。

株式比率が20%~60%のミックス投資信託の過去3年間運用成績トップ3

投資信託名FE Risk Score1年間上昇率*3年間上昇率*5年間上昇率*
Artemis Monthly Distribution I Inc 56 7.9% 38.5% 74.1%
Invesco Perpetual European High Income Z Acc 63 9.7% 33.9% 57.3%
AXA Global Distribution Z Acc 70 7.2% 33.5% 57.4%

Data: Trustnet *16.1.2018までの上昇率
投資元本は保証されず資産価値は上下します。
過去の運用成績は将来のそれを保証するものではありません。

Junior ISAについて教えてください。

18歳未満の子供対象の非課税口座です。親などの大人が子供のために資金を出し、当口座で子供が18歳になるまで投資します。それまでは引き出し不可ですが、18歳以降は大人のISAに移行され引き出しが自由になります。今年は一人4128ポンドまで利用できます。

私が息子のJunior ISAにお金を振り込むと、譲渡したことになり相続税がかかりませんか。

相続税がかからずに譲渡できる金額は、譲渡する人1人につき年3000ポンドです。この金額を超える場合は、譲渡してから7年経過すると相続税の対象外となります。また通常、子供に資金を譲渡した場合、それにより受け取る利子所得が年100ポンドを超えると親に所得税がかかりますが、Junior ISAに親が直接振り込めばこのルールは適用されません。

駐在員はISAに申し込めますか。

残念ながら大多数のISAを提供する金融機関はISA開設に国民保険(NI)番号を要求しています。駐在員はNI保険料が免除されているためNI番号がなく、難しいと思われますが、NI番号なしでも開設できる口座もあるようですので、専門のアドバイザーに打診されるといいかもしれません。

※ 次回のマネー教室は2018年4月19日に掲載致します。
当コラムは2018年2月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。

 
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和枝ドゥルーリー APFS© 和枝ドゥルーリー APFS
日本人ファイナンシャルアドバイザー(CFP)。十数年間の米英系投資銀行勤務を経て、FAとして独立。日英両方の資格を有する。大手独立系FA会社に所属。
E-mail: info@kazuedrury-ifa.co.uk
Web: www.kazuedrury-ifa.co.uk

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