ロンドンのゲストハウス
Sun, 22 July 2018

第125回 シティに流れる新しい風

ロンドン西部に高級住宅街、東部に労働者街が形成されたのは、テムズ川が西から東に流れ、貧しい移民が下流の港湾地区に住んだためと寅七は考えていました。パリやニューヨークなどの大都市にも東部に貧困地区がありますが、街を流れる川の方向に関係ありません。一説によればこれは、風向きが影響したとのこと。それらの北半球の中緯度に位置する都市は、偏西風が西から東に吹きます。都市の工業化が進み人々に所得格差が広がると、裕福層は風下の大気汚染を避けて風上に住んだからと。

霧の都と言われたロンドンはいまや、石炭のすすや煙から発生するスモッグからも解放され、高層ビル建設が進むシティの東部リバプール・ストリート駅周辺の空には、摩天楼が突き刺す青雲が更に高く流れています。英国のEU離脱で多くの金融機関が欧州大陸に移り、シティが空洞化する懸念はどこにいったのでしょう。シティは誘致産業の多様化、就労人口の増大を目指し、13の高層ビルが数年内に竣工されるそうです。

シティに高層ビルの建築ラッシュ
シティに高層ビルの建築ラッシュ

この背景にあるのが、今年12月に一部開通予定の新高速地下鉄エリザベス線。ヒースロー空港とシティが直接結ばれます。現在のリバプール・ストリート駅は地上のオーバーグラウンド鉄道、半地表の地下鉄、深層の地下鉄の3層構造ですが、このエリザベス線(地下40メートル)の開通で、4階層の駅になります。地下のネットワーク構築には風上も風下も関係ないようです。

リバプール・ストリート駅
開発でにぎわうリバプール・ストリート

同駅北側に建つエクスチェンジ・ハウス。その建物の下にはオーバーグラウンドが走ります。つまり、地上を走る鉄道の上に巨大な陸橋をかけ、そこにオフィス・ビルを建てたのです。線路の真上にあるため地下に杭を打てません。ですので四隅に杭を打ち、鉄橋構造を造ってその上に軽量鉄筋ビルを乗せました。更にその北にデッキ鋼板を伸ばし、米アマゾン欧州本部ビルの広場になりました。地上も地下もハイテク建築です。

エクスチェンジ・ハウスの下は、オーバグラウンドが走っています
エクスチェンジ・ハウスの下は、オーバグラウンドが走っています

超高層ビルとアマゾン本部
超高層ビルとアマゾン本部

また最近は鉄筋コンクリートではなく、新しい木製構造材、直交集成板(CLT)を使う高層建築が増えています。CLTはコンクリートより軽量ですが強度は同じ。断熱性が高く、鉄やコンクリートを作る際のCO2排出がなくなります。シティ北部、ダルストンには、世界最大容積の木造高層建築が昨年末に完成しました。ロンドン大火で木造建築が禁止されて400年。建築の素材にも新しい風が吹いています。

世界最大規模、10階建ての木造建築
世界最大規模、10階建ての木造建築

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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