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Mon, 18 December 2017

第111回 馬車と鉄道の深いつながり

シティには石畳の歩道がたくさんありますが、通勤途中のデボンシャー・ロウには道の両脇に黄色い二重線が引かれています。駐車禁止の意味だけではなさそうで、二重線の内側の石畳の幅が約1.07メートル、線の両端が約1.4メートルあり、現在の鉄道のレールの間隔、狭軌(1067ミリ)と標準軌(1435ミリ)とほぼ同じです。古い道の幅と鉄道の軌間には何か関係があるのでしょうか。それを解くヒントがロンドン南部クロイドンにありました。

黄色線
デボンシャー・ロウの黄色線

クロイドンにはロンドン唯一の路面電車が走っています。実はこの路線、1803年に開業した世界初の鉄道会社、サリー鉄道(クロイドンとワンズワースを結ぶ馬車鉄道)の路線の一部を引き継いでいます。この馬車鉄道では敷石の上に鋳鉄製のレールを敷き、1頭の馬が4両貨車をけん引しました。荷馬車の轍の幅が馬車鉄道の軌間になったと言われます。「同じ轍(てつ)を踏まない」ということわざがありますが、荷馬車は同じ轍を踏んだのです。

路面電車
ロンドン唯一の路面電車は馬車鉄道から始まった

荷馬車の轍が固定化→荷馬車の車輪の輪距(りんきょ)もそれに合わせて標準化→轍は悪天候だとぬかるむので車石を敷き、その上に鉄製レールを敷く。こうして産業革命初期の英国には幾つもの馬車鉄道が出現。市内では1頭立ての、鉱山ではそれより軌間の広い2頭立ての馬車鉄道が出来て、それぞれが狭軌と標準軌の由来というわけです。そしてナポレオン戦争のころに馬の価格が高騰すると、馬に代わり「鉄馬」と呼ばれる蒸気機関車が登場します。

ロバート・スチーブンソン像
ユーストン・スクエア駅に 立つロバート・スチーブンソン像

蒸気機関車による旅客鉄道を世界で初めて敷設したのがスチーブンソン父子。2頭立て馬車鉄道のキリングワース炭鉱鉄道に蒸気機関車を走らせたのが、成功物語の始まりでした。1830年、蒸気機関車ロケット号がけん引したリバプール & マンチェスター鉄道が繁盛し、息子のロバートが全国に鉄道を敷設。彼らの蒸気機関車に合わせた軌間が英国全土に広まり、それが線路の標準軌になりました。今や標準軌の世界シェアは6割だそうです。

ロケット号
鉄馬と呼ばれたロケット号(サイエンス・ミュージアム蔵)

一方、日本では多くの在来線が狭軌を使っています。国内初の蒸気鉄道を英国から輸入した際、土地が平坦でない日本ならば狭軌が低コストと明治政府が考えたのです。また、民家が集中する都心部では東京馬車鉄道が開業。英国から客車を輸入し、標準軌より狭い馬車軌間(1372ミリ)を導入しました。これが都電や一部の私鉄に変わっていきます。標準軌を使う新幹線や私鉄もあるので、1846年に標準軌に統一した英国と違い、日本の線路は今も複雑なままです。

馬車
標準軌の由来は2頭立て馬車だそう

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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