第31回: 2012年税制改正案
2013年4月から個人所得税の基礎控除額がさらに引き上げられますが、一方で2012年4月からは基本税率が適用される課税所得の下限が引き下げられます。これは私たちにとって朗報なのか、その逆なのか、どちらでしょうか。
残念ながら両方ですね。2012年度から、65歳未満の人は基礎控除額が630ポンド引き上げられて8105ポンドになります。また調整後のネットの所得が10万ポンドを超える場合には、所得が2ポンド増えるごとに基礎控除額は1ポンドずつ減ります。このため2012年度では、調整後のネットの所得が11万6210ポンドを超えれば基礎控除額はなくなります。
現在の所得税の基本税率は20%です。4月からこの税率が適用される課税所得の下限が引き下げられて3万4370ポンドになります。40%の税率が適用される課税所得は4万2475ポンドのままです。
2012年4月から、法人税の標準税率は引き下げ幅が1%増えて24%になりますね。非常に助かるように見えますが、これには何か裏があるのですか。
当初は2012年4月から1%を引き下げる計画でしたが、これが2%となり、税率は26%から24%に下がります。2013年4月1日からは1%引き下げられて23%となり、2014年4月にはさらに1%下がって22%になります。残念ながら小企業に適用される税率は20%のままで変更はありません。
何か裏があるとしたら、減価償却控除(WDA)の償却率が2012年4月1日から引き下げられることでしょうか。通常の償却率は20%から18%になり、一体型付属設備や長期耐用資産に適用される特別償却率は10%から8%に引き下げられます。
所得税の50%の追加税率が2013年4月から45%に引き下げられますが、ほかにも朗報はありませんか。
ありますよ。2013年度は基礎控除額も9205ポンドに引き上げられます。
年間投資償却(AIA)は2012年4月から引き下げられると聞きましたが。
AIAは、設備や機械、長期耐用資産、一体型付属設備の購入の大部分について、多くの企業が利用できるキャピタル・アローワンスです。年間の上限額までなら全費用について償却できます。既に発表されているように、この償却額の上限が2012年4月1日からは現行の10万ポンドから2万5000ポンドに引き下げられます。会計年度がこの改正日をまたぐ場合には、償却額を期間に応じて配分する必要があります。
法定居住調査(SRT)と「通常の居住者」という概念の導入について、私たち在英邦人にはどういった影響がありますか。
政府はSRTを2013年4月から導入することを提案しています。一連の検証項目を確認することで、「税務上の意味において英国の居住者と見なされるか否か」について各個人が判断できることを目的とするものです。
また政府は、税務上の「通常の居住者」という考え方を2013年4月6日から撤廃することを提案しています。現在は、英国外で働く一部の従業員は通常の居住者として扱われないことがあり、その場合は英国で働いた日数から得た給与所得に対してだけ英国で課税されます。つまり、英国内と国外の両方で任務を果たす人は、国外で働いた日数に対応した収入分を控除することが認められています。これは「国外勤務日数控除」と呼ばれますが、現在のところ法的裏付けはありません。しかし、この控除が法規に盛り込まれる予定です。
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トニー・サイアン
パートナー
監査パートナー。日系企業など国際ビジネスの監査を長年にわたり担当。日本カルチャーへの理解から、迅速かつきめ細かい対応とアドバイスに定評がある。アーセナルの大ファン。



ジェリー アクアリスタ









