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Tue, 13 May 2025
1 May 2025 vol.1674

英、貿易交渉加速へ「国益」維持へ連携拡大 
貿易摩擦は「一過性ではない」

4月24日、首相官邸前のスターマー首相(写真左)とフォンデアライエン欧州委員長(同右)4月24日、首相官邸前のスターマー首相(写真左)とフォンデアライエン欧州委員長(同右)

(ロンドン 4月20日 時事)政府は、自由貿易の価値観を共有する国・地域との連携強化へ交渉を加速させる。スターマー首相はトランプ米政権の高関税政策が引き起こした世界的な貿易摩擦は「一過性ではない」と警告。自由貿易の旗振り役としての存在感を示すとともに、英経済の成長につなげたい考えだ。

「貿易戦争は誰の利益にもならない」。スターマー氏は英国が自由貿易の大きな恩恵を受けてきたと訴え、この価値観を守ることは「国益」と強調。自由貿易協定(FTA)の締結拡大に強い意欲をのぞかせた。

重視するのが欧州連合(EU)との協調。英国は2020年にEUを離脱したことでEU市場への自由なアクセスを失い、貿易が低迷した。

英政府は来月のEU首脳会議を関係改善の機会ととらえ、貿易や投資の活性化につなげたい考えだ。

英国は日本と経済連携協定(EPA)を締結したほか、昨年末には日本も加盟する環太平洋連携協定(TPP)に加わった。スターマー氏は4月10日に石破茂首相と電話会談し、自由で公平な貿易の重要性を確認した。インドや韓国、湾岸諸国とも貿易を軸とした経済関係を深める方針だ。

こうしたなかで深刻な問題として浮上したのが米高関税政策。英政府は「経済に深刻な影響を及ぼす」(リーヴス財務相)と懸念を強めている。

大手会計事務所KPMGは、広範な関税適用で25、26両年の経済成長率はそれぞれ0.8%まで押し下げられると予測する。

スターマー氏とトランプ米大統領は同18日、電話会談し、止まっていた貿易交渉を再開することで一致した。自由貿易を共通の価値観とする国・地域との関係拡大を推進しつつ、農産物などの市場開放を強く迫る米国とどう向き合うか。スターマー政権は課題を突き付けられている。

 
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