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Sun, 16 June 2019

第136回 赤いポインセチアと緑のモミの木

先日、日本から来た甥を大英博物館に連れて行きました。最も印象に残ったのはアステカ文明のトルコ石の仮面だそうです。生贄の儀式で使う仮面を見て、どうやらそれが皆を死に追いやったと考えたようです。「アステカ文明が滅びたのは生贄のせいではなく、上陸したスペイン人が持っていた病原菌の免疫を住民が持たず病死したからだよ。アステカ文明で生贄は、生と死のサイクルを繋ぐ大切な儀式だったんだ」と説明しました。

生贄の儀式に使われた仮面(大英博物館蔵)
生贄の儀式に使われた仮面(大英博物館蔵)

師走に入ると真っ赤なポインセチアが店の軒先に並びますが、この植物の原産国はメキシコです。アステカ文明では「Cuetlaxochitl」(クェトゥラソチツル)と呼ばれ、戦争で死んだり、生贄で亡くなった人の血の色を表わす「純粋のシンボル」とされていました。ポインセチアは花の受粉活動を助けるため、赤色を好む昆虫の目を引くように、葉を真っ赤にさせます。葉はかつて染料に使われ、白い樹液は解熱剤としても利用されたそうです。

ポインセチアはメキシコ原産
ポインセチアはメキシコ原産

19世紀半ば、米国人ジョエル・ポインセット氏が初代メキシコ公使として赴任しましたが、ポインセット氏はメキシコ内乱の責任を取らされ(内乱に乗じて米国が軍事介入する計画だったそうです。でも公使はメキシコを支援したため解任され)帰国。その際に持ち帰った植物が公使の名前からポインセチアと命名されました。ベツレヘムの星の形に似た赤い葉はクリスマスにピッタリですし、誠実なポインセット氏の性格と「純粋のシンボル」を重ね合わせてのことかもしれません。

ジョエル・ポインセット氏
ジョエル・ポインセット氏

クリスマスに欠かせない植物がもう一つありました。常緑樹のモミの木です。実は「永遠のシンボル」として飾られるクリスマス・ツリーにも生贄に関連した話があります。ツリーを飾る習慣が英国の一般家庭に普及したのは18世紀半ば、ヴィクトリア女王とアルバート公がウィンザー城でのクリスマス行事を紹介してからですが、もともとはアルバート公の祖国ドイツの習慣でした。

ヴィクトリア女王と一家のクリスマス
ヴィクトリア女王と一家のクリスマス

一説によれば、北方ドイツには冬至の日に太陽の再生を祝って樫の木に生賛の子供を捧げる習慣があったとされます。8世紀に宣教師ボニファティウスが住民たちをキリスト教に改宗させるため、樫の木を切り倒し代わりにモミの木を使い、キリストに祈りを捧げたのがクリスマス・ツリーの始まりと言われています。赤いポインセチアにも緑のモミの木にも深い歴史があり、クリスマス行事は様々な文化の結晶体のようです。皆様、メリー・クリスマス、どうぞ良いお年を。

トラファルガー広場のツリーは21メートル
トラファルガー広場のツリーは21メートル

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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