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日経電子版Pro
Sun, 07 March 2021

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして17年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。日本での雑誌編集を経て2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して

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キャッシュレス社会の英国

キャッシュレス社会の英国

「わざわざたくさんの現金をポンドに両替して持ってくる必要はないからね」。

日本から家族や友人が訪ねてくれるときには、必ずこう伝えるようにしています。それはある出来事があったから。

6年ほど前、学生時代からの友人がロンドンに遊びに来てくれたときのことです。財布の中に現金、それも、英国内ではほとんど流通していない50ポンド札が、はちきれそうなほどぱんぱんに入っていたのを見ました。友人はフォートナム・アンド・メイソンで、お土産用の紅茶や缶入りビスケットを大きな袋二つ分ほど買い、レジで支払いをしようとしていました。人のお財布の中身をのぞき見るだなんて、普段はしませんが、この時は友人がどのコインを出したらいいかと聞くので、小銭入れの部分を見たついでに、札入れのパートにも目が入ったのです。

「そんなにたくさん現金もってきたの!?」思わず声を上げてしまいました。「残りの分は、ホテルのセーフティー・ボックスに入れてあるよ」、そう話す友人に「英国では現金はほとんど必要ないって、事前に言えばよかったね。ごめん」と、その場で謝りました。犯罪に遭う危険性を下げるためにも、英国では極力現金は持たないというのが常識です。友人は幸い大丈夫でしたが、以来、日本から人が来る前には、必ず「大量の現金必要なし」のメッセージを伝えています。

実際、日本と違い、普段の生活で現金を使う必要はほとんどありません。どんなに少額の支払いであろうと、大抵のお店でカードが使えます。レストランにグループで行ったときにワリカンにする場合でも、一人ずつ別々のカードで自分の分だけ支払いしても嫌がられることはありません。街で見掛けるアイスクリーム屋台ですら、カードを受け付けてくれます。

あまりにみんなが現金を持ち歩かないので、ストリート・パフォーマーたちへ投げ銭する人が激減しました。そのため、ロンドンでは路上のバスカーの中にも2018年から非接触型決済のできるカードリーダーを携帯するようになった人たちがいると、ニュースになりました。


一方、同じキャッシュレスといっても、古風(?)なのが小切手。テレビの影響か、私には大富豪が支払いに使うもの、というイメージでした。それが英国では銀行口座を作れば誰でも使えて、ありがたみはありません。ただ、カードとは逆に、近年、スーパーなどでは受け付けてもらえなくなり、出番はほとんどありません。今ではピラティスの先生に授業料を払うときしか利用しないため、つい書き方を忘れてしまいます。そして、毎回夫に書き方を確認しては面倒くさがられています。

 
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