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Tue, 21 May 2019

第19回 メキシコ料理店でたこ酢をどうぞ

人間は間違う。完璧無比な人などいない。だから仕事にもミスは付きものだ。どうしてこんな間違いをしでかしたのか、どうにも説明できないケースも少なくない。

新聞も、しばしばミスを犯す。間違いは無い方が良いに決まっているが、人がつくっている以上、どこかでミスは起きる。

で、今回は新聞の笑えるミスを集めてみた。私が見聞きしたもの、記者仲間に教えてもらったものなどい ろいろ含まれている。

今の会社に入ったばかりのころだから、20年前の話だ。こんなレストラン紹介の記事が某紙に出た。

「メキシコ料理店で、たこ酢が評判」

メキシコ料理店で、たこ酢? 聞くと、記者はちゃんと「タコス」と書いたのに、年配デスクが「たこ酢」と書き直したらしい。パソコンもワープロもなく、ザラ紙の原稿用紙に手書きの時代。「あいつも修業が足りんな」とぼやきながら、自信たっぷりに赤ペンで「たこ酢」と修正する白髪混じりのデスクが目に浮かぶ。世代間ギャップ、恐るべし。

バレーボールの実業団リーグで、かつて、日本鋼管(NKK)が強豪だった時代がある。

校閲担当者がスポーツ面のバレーボール記事の見出しに重大ミスを発見した。「たいへんだ! NKKになってるぞ」と彼は叫び、印刷部に駆け込んだ。締め切り寸前だったという。 この時間帯の新聞社は秒刻みの作業が続き、大声が飛び交い、いつも修羅馬になる。

「印刷さーん、大至急、大至急。ここの見出し、NHKに修正です」「えっ、NHK?」「そうです、そうです」「でも君、NHKって……」「早く早く、時間ないですよ、直してくださいよ」「バレーボールだよ、これ」「分かってます、早く早く」「……よっしゃあ!」

想像するに、後から思えば理解不能な、こんなやりとりの末、翌日の紙面では、日本放送協会が勝利チームに輝いたのだ。

伝説のミスは、1998年4月の記事だ。1面だったという。

「純白の船体に青いストライプが鮮やかな優美な客船・ぱしふぃっくびいなす(26,000トン)が9日、処女公開を前に横浜港大桟橋に接岸、客船ファンに船内が公開された」

変換ミスで「航海」が「公開」になったのだと思われるが、訂正記事は出なかったらしい。恥ずかしすぎて、おそらく、訂正記事も書きようがなかったのだ。

次の話。

日本の新聞各社は合同で「教育に新聞を」(NIE, Newspaper in Education)という運動を進めている。学校教育の現場で、新聞をもっと活用してもらう試みだ。ある新聞がその紹介記事をこう書き出した。

「新聞を生きた教材として利用するNIE(新聞に教育を、の略)運動を進めている日本新聞教育文化財団は ……」

マルカッコの中が逆さまなのである。「教育に新聞を」が正しいのに、「新聞に教育を」。もっとも、最近は「新聞はもっと勉強せい。記者をもっと教育せい」という指摘も多いから、この間違いはブラック・ユーモアっぽくてなかなか良いぞ。

データベースを使って、日本全国の新聞を検索したところ、最近1カ月分だけでも、数えれないほどの訂正記事がヒットした。たとえば、
*「企業売上高ランキング」の表で、「平成07年」とあるのは「2007年」の誤りでした
*「JR都城西駅」とあるのは「JR西都城駅」の誤りでした
*山の高さが362メートルとあるのは632メートルの誤りでした

一番多いのは、たぶん、電話番号の誤りである。私もかつて、何度か間違った電話番号を活字にし、痛い目に遭った。その後はしばらく、資料やメモと原稿を対比させて、にらみ、「ゼロォ、ニィ、ニィの、ゴオー、サァン、サァンのぉ」などと大きな声で確認するようにしていた。それでもミスは生じるから、恐ろしいのだが。

英国の新聞も頻繁に間違いを犯している。例えば「ガーディアン」紙は毎日、ざっと5件ほどの訂正が出る。ミス防止は洋の東西を問わぬ、永遠の課題なのだ。

そこで問題。この文章中、明らかな変換ミスが1カ所あります。分かりますか?

 
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高田 昌幸:北海道新聞ロンドン駐在記者。1960年、高知県生まれ。86年、北海道新聞入社。2004年、北海道警察の裏金問題を追及した報道の取材班代表として、新聞協会賞、菊池寛賞、日本ジャーナリスト会議大賞を受賞。
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