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日経電子版Pro
Thu, 26 November 2020

Finding Neverland / ネバーランド

映画の舞台裏を捜査する!特捜シネマ刑事
第9回

Finding Neverland(2004 / 英・米)
ネバーランド

劇作家J・M・バリーが世界的名作「ピーター・パン」を生むに至る経緯を描いた感動ドラマ。

今週のロケ地
Alex.muller
監督 Marc Forster
出演 Johnny Depp, Kate Winslet, Freddie Highmoreほか
ロケ地 Kensington Gardens, London W2 2UH
アクセス 地下鉄 Lancaster Gate / Queensway / Bayswater / High Street Kensingtonから徒歩

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  • 今週は私が大好きな一本、「ネバーランド」だ。ああ、いつ見ても染みるなあ。
  • ピーター・パン症候群ですか。
  • 大人になりたくなぁーい……って、ちと違うわい。この映画は人が人として成長する過程を見つめているのだ。子供はもちろん、子供によって成長させられる大人についても同様にな。
  • スコットランド出身の劇作家、J・M・バリーが、児童文学の傑作「ピーター・パン」のモデルとなった少年と出会い、物語を完成させるに至る経緯を追っているわけですが、僕も本当に美しい作品だと思います。
  • ピーター・パンと言えばロンドンのケンジントン・ガーデンズにある彫像が有名だが、バリーがシルヴィアとその子供たちに出会う公園ももちろん……。
  • はい、ケンジントン・ガーデンズですね。Lancaster Gate方面から園内に入り、そのままLancaster Walkを直進すると、彫刻家ジョージ・フレデリック・ワッツによる「フィジカル・エナジー」という勇ましい騎馬像がありますが、この像の手前にある右手のベンチがその撮影現場であります。
  • ベンチの下から末っ子のマイケルが顔を出すシーンだね。デップ扮するバリーとのやりとりが微笑ましいんだよなあ。
  • そう言えばジョニー・デップは見事なスコットランド訛りの英語を披露していますね。 J・M・バリー役には当初、ジム・キャリーも候補に挙がっていたようですが、僕はデップで正解だったように思います。
  • シルヴィア役のケイト・ウィンスレットも好演しているが、病気の設定の割には血色が良く、健康的すぎやしないか、というのが引っかかる点ではある(笑)。
  • それで思い出しましたが、1904年当時に「ピーター・パン」が初演を迎えた時、実際のところシルヴィアはまだ元気だったそうですよ。ちなみに夫のアーサー氏も存命中で、初舞台を観に来たんだそうです。
  • 事実と異なる部分は他にもあります。例えば、物語の冒頭でバリーはスランプに陥っており、興行主のチャールズ・フローマンは当初、新作に懐疑的な態度を示しますが、実際バリーの作品は常に好評を博していたそうです。バリー本人は自身の方向性を模索していたようですが。
  • ちなみに映画内で使用された劇場は、リッチモンドにある1899年創業の老舗「Richmond Theatre」で撮影されています。
  • それから、映画ではデイヴィス家の子供は4人ですが、実際には5人いたそうです。しかもバリーがデイヴィス一家に初めて会った時、マイケルは生まれていなかった。さらには、バリーがピーター・パンのモデルとしたのはピーターではなく、マイケルだったらしいですよ。バリーはマイケルのことを大層気に入っていて、彼から随分インスピレーションを得たようです。
  • にもかかわらず、主人公に「ピーター」という名前を付けたのはなぜか。それは、ピーターが兄弟の中で最も大人びていたからという説があります。バリーはピーターに、もっと子供ならではの時間を楽しんでほしいと願っていた。それで物語の主人公にピーターと名付けた、と。
  • なるほどね。まあ、多少の脚色はありかなと思うね。この映画が伝えたいのはバリーという人の生き様ではなく、人々にとっての「ネバーランド」とは一体何か、という部分なわけだから。

デカ長、もの申す
自分にとってあまりに悲しい出来事が起こると、極端なリアリストになるか、現実逃避型の人間になるかのどちらかなんじゃないかと思うんだが、ピーターはまさに前者のパターンで、胸が痛くなる。バリーはそんな繊細な少年に自身の少年時代を投影させながら、悲しい現実と向き合ったうえで、人生を豊かにする手段、強く優しい人間になるための手段を伝えようとしていたように見えるんだ。物語を信じることは人を信じることに似ている——そんなことを思ったよ。

 
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