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Wed, 23 October 2019

第75回 お散歩編:夏至とライオンの像

聖ポール大聖堂の南側広場。噴水をよく見れば、ライオンの口から勢いよく水が出ています。子供のころに行った銭湯の湯船でもライオンの口からお湯が出ていました。なぜライオンから水が出るのでしょう? この由来をさかのぼっていくと古代エジプト文明までたどりつきます。夏になるとアフリカ大陸の中央部は雨季に変わり、大量の雨水がナイル川に流れ込みます。そして夏至のころ、ナイル河口では氾濫が起きるのです。

ライオンの口から噴水
ライオンの口から噴水

この氾濫を予知できれば、洪水の危険を避けて豊かな収穫だけ手に入れられます。古代エジプト文明で天文術が発達したのもそれが背景。夏至のころ、太陽が南中するのは黄道上で獅子座の位置だったので(地球には歳差運動があるので紀元前2000年ごろの夏至では獅子座に位置し、現在の双子座と異なります)、水源のそばにライオンの像を据え、夏至が近付き川の水位が上昇すると口から水が出て、住民に氾濫時期を報知したのです。

なるほど深い意味があったのですね。さて、ライオンの像といえばトラファルガー広場。探究心の強い寅七は実地見学したくなりました。この広場、元々王家の厩でしたが1840年代に広場に変わり、ネルソン提督記念塔が1849年、4頭のライオン像が1867年に加えられました。記念塔の台座の東西南北の各面には提督がナポレオンと対戦した4大海戦のレリーフが飾られ、その角に座る4頭のライオンの表情も各々異なっているようです。

ネルソン提督記念塔
ネルソン提督記念塔の台座にご注目

まずは4つの海戦のレリーフをよく見てください。東面にはコペンハーゲンの海戦(1801年)に勝利して喜ぶ提督の姿。北面にはナイルの海戦(1798年)で負傷した提督が怒った姿。西面のセント・ビセンテの海戦(1797 年)ではスペイン船で提督が楽にくつろぐ姿。そして南面のトラファルガーの海戦(1805年)では、勝利したものの提督が被弾して死にゆく表情がとても哀しい。つまり、喜怒哀楽を示す4つの場面を読み取れるのです。

次にライオンの表情をよく見てみましょう。それぞれのライオンから「喜怒哀楽」の表情がうかがえるではないですか。現世の喜怒哀楽の上に救国の悲運のヒーロー、ネルソン提督がそびえ立つなんて、とても意味深。

ライオン喜
「喜」の表情は東北角

ライオン怒
「怒」の表情は北西角

ライオン哀
「哀」の表情は東南角

ライオン楽
「楽」の表情は西南角

余談ですが、どのライオンも犬みたいに口を開けて舌を出しています。ライオンは滅多に舌出し呼吸をしません。実は銅像の図案は犬を描かせたら世界一と言われたエドウィン・ランドシーア画伯の作。まあ、そこはご愛嬌ということで。

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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