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Mon, 21 October 2019

第142回 イースター・エッグと啐啄同時(そったくどうじ)

「随分と日が長くなりましたね。近くの森ではキツツキのドラミングが鳴り響いて春を感じます」とロンドン郊外に住む友人から便りをもらいました。確かに毎日グングンと日が長くなる印象があります。考えてみれば秋分から春分まで179日間、春分から秋分まで186日間。つまり、冬は夏より早めに通り過ぎて行きます。それは地球の公転が冬場に太陽に近く、夏場に遠い楕円軌道のため、公転スピードが冬場に速く、夏場に遅くなるからです。

楕円軌道と節気の日数
楕円軌道と節気の日数

今は復活祭のシーズン。楕円形のイースター・エッグが店に並んでいます。卵は豊穣や復活のシンボルとして復活祭に不可欠なアイテムですが、一説によれば、マグダラのマリアがローマ皇帝に卵を捧げてキリストの復活を報告したら、その卵が赤色に変化したのが由来とか。そこで不思議に思ったのが、卵の色と形。現在、色付きの卵や尖った楕円の卵を産むのは、鳥類だけと言われます。

陳列されたイースター・エッグ
陳列されたイースター・エッグ

鳥は外敵から守るため卵に斑点模様や色をつけて擬装したと考えられます。カメのように地中に卵を埋めるだけなら色も模様も不要ですから。また卵の形は、楕円の方が球体よりも転がりにくく、転がっても元の場所に戻ってきます。抱卵する際にも球体より隙間が少なくて効率的に温めることが出来るのが、楕円になった理由のようです。

楕円状なら隙間なく温められる
楕円状なら隙間なく温められる

高木の上にある鳥の巣
高木の上にある鳥の巣

さらに最近の研究では、鳥の飛行能力が卵の形に強く影響していることが分かったそうです。一般に渡り鳥の卵は細長く尖った楕円で、地上を走るニワトリの卵は球体に近い。飛行能力の差が長い年月をかけて卵の形状を変えてきたということです。飛行に適した流線形の体型になるために卵の形を変化させたわけです。つまりは、いかに生き延びるか、次の世代に伝えるか、その試行錯誤の結果、卵に色や斑点が付いたり、尖った楕円の形状なったりと進化してきたのでしょう。

冒頭のキツツキで思い出した言葉があります。禅の専門用語の啐啄同時(そったくどうじ)です。「啐(そつ)」とは卵の中の雛がもうすぐ生まれるよと内側から殻をつつく音。「啄(たく)」はそんな卵の変化に気付いた親鳥が、ここから出なさいと外側から殻をつつく音。禅では「悟りを開こうとしている弟子に、師がすかさず教示を与えて悟りの境地に導くこと」の意ですが、殻を破る者とそれを導く者の絶妙なタイミングを指す言葉でもあります。自然界にはそんな絶妙な啐啄同時が何世代にもわたって受け継がれ、現在の姿があるのだと改めて思いました。

キツツキは春を告げる森の大工さん
キツツキは春を告げる森の大工さん

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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