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Sun, 24 September 2017

育自の時間。親と子を育てる英国の学校

2002年に画家の夫とともに当時7歳の息子を連れてイングランド南西部コッツウォルズ郊外に移住。現地の小学校から大学受験までを実体験した母親の目から英国教育を見つめます。


第15回 英国式お受験事情 その1

息子の学校生活を通じて、英国で「真の学力」が身に着くのは、「考える力」を育成する初等教育で、そしてそれらの成果が見えるのは中等教育になってからだと感じましたが、日ごろの授業ばかりではなく、お受験事情もまた、日英では大きな違いがありました。

今回は英国式お受験事情について、いま話題となっている未来の英国王ジョージ王子を例にとって、小学校受験からみていきましょう。

ジョージ王子がこの秋から入学する予定なのがThomas's Battersea。王室直系男子初の男女共学校への入学ということで話題になっています。英国では一般的に私立の小学校は「プレパラトリー・スクール」、略して「プレップ・スクール」と言われます。このプレップは直訳すると「予備」。つまり、私立校へ入学させる理由はただ一つ。将来、11歳もしくは13歳になった時点でいよいよ入学が許される、英国が世界に誇るエリート養成校パブリック・スクールへ入学させる目的なしにはあり得ないと言っても過言ではありません。

そのため、どこのプレップ・スクールへ入れるかを決める上で、各校の進学率や進学先を十分に調べ、吟味する必要があります。当然ですが、小学校や中学校の受験では、親が主体となって挑まなければならないので大変です。近年は日本でも様々な受験方式が取り入れられ、受験はまさに「情報戦」だと言われますが、英国のお受験事情も全くもって同じ。いえ、同じというより、日本よりももっと時間的にも計画的にも緻密な作戦と粘り強い気持ちがないと厳しいかもしれません。なぜなら、プレップ・スクールやその前段階のプレ・プレップにしろ、最終目的でもあるパブリック・スクールにしろ、子供の誕生直後、もしくは誕生一年以内にお目当ての学校へ「登録手続き」をすべきだと言われているからです。ジョージ王子の入学が決まった学校でも、「登録は誕生時から受け入れます」と明記されています。

この、子供が生まれてすぐの「登録手続き」は、ロイヤル・ファミリーを始めとする英国の上流階級の「お受験」において、欠かすことのできない必須事項の一つのようです。

例えば、映画「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」の中で、妊娠の可能性があるブリジットと法廷弁護士で彼氏のマークが、将来生まれてくる子供をパブリック・スクールの最高峰、イートン・カレッジへ入れるか入れないかで言い争う場面があります。そう、英国のお受験は子供の誕生と同時に、というよりも妊娠が分かった時点か、もしくは結婚が決まった時点から始まると言っても間違いではないのです。

イートン・カレッジ
イートン・カレッジ。同じ私立校でも、日本と英国ではその意味合いが大きく異なります

 
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小野まり小野まり NPO法人ナショナル・トラストサポートセンター代表。2002年、画家で夫の小野たくまさ氏とともに当時7歳の一人息子を連れコッツウォルズ郊外へ移住。現地の小・中・高等学校、大学受験を母親の立場として体験。教育関連の連載エッセイやナショナル・トラスト関連の著書多数。最新刊に「図説 英国ナショナル・トラスト (河出書房新社)」がある。
英国王室流教育の極意「英国王室流教育の極意」(河出書房新社)ビクトリア女王からジョージ王子まで、英国王室の子育てや教育を語る一冊。憧れのプリンス、プリンセスが受けた教育とは? 英国のパブリック・スクールや筆者が体験した公立校の教育システム及びその現状が網羅されている。
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