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ロンドンのゲストハウス
Sat, 20 July 2019

ロンドン五輪代表候補にインタビュー

フェイ・ホワイト選手女子サッカー 英国統一チーム代表候補 フェイ・ホワイト

ロンドン五輪が開催される2012年が明けた。そこで新春第1号では、同五輪での活躍が期待される、欧州各国の注目選手へのインタビューを実施。英国からは、2011年に開催されたサッカーのワールド・カップ(W杯)で日本女子代表を下したイングランド代表の主将を務め、ロンドン五輪では女子サッカー史上初となる英国統一チームの主将候補と目されるフェイ・ホワイト選手に話を聞いた。

Faye White
1978年2月2日生まれ。ロンドン郊外サリー州出身。ポジションはセントラル・ディフェンダー。10歳のときに兄弟が所属するサッカー・クラブで本格的にサッカーを始める。96年に女子サッカーのセミプロ・クラブであるアーセナル・レディースに加入し、後に主将に。旧女子プレミア・リーグでは7連覇を達成し、昨季は新設されたイングランドの女子スーパー・リーグの優勝ほか3冠を獲得した。97年にイングランド代表デビュー。2002年より同代表の主将を務める。11年に開催されたドイツW杯では、PK戦の末に準々決勝で敗退した。06年に大英帝国勲章MBEを受勲。ロンドン五輪で編成される英国統一チームの主将に任命されることが有力視されている。
www.faye-white.co.uk

サッカーにおいては、五輪よりもW杯の方がより注目を集める傾向にあるように思いますが、五輪代表に選ばれたいという気持ちは持っていますか。

もちろんですよ!女子サッカーにとっては、オリンピックはW杯と同じくらい大きな意義を持つ大会です。世界の強豪チームが一同に集い、優勝を争う機会はそう多くはありませんからね。しかも、イングランドは2007年のW杯本選で準々決勝に進出して08年の北京五輪への出場権を得たにもかかわらず、イングランド単体での五輪出場が認められず、英国統一チームとしての出場機会もなかったため、我々はせっかくのチャンスをふいにすることになり、悔しい思いをしました。だからこそ、英国統一チームとしての参加が認められた今大会の代表メンバーにはぜひ加わりたいと思っています。しかも、その貴重な機会を生まれ育った地で得ることができるなんて、まるで夢のようです。試合会場には私たちがこれまで目にしたことのないほど多くの観客が集うことを期待しています。

選手であれば誰でも、
五輪でプレーする喜びを噛み締めるはずです

これまでライバル同士だった北アイルランド、スコットランド、ウェールズといった他国の代表選手たちと一緒に英国統一チームとして戦うことに違和感を覚えませんか。

いざ五輪の舞台に立って、他国の代表と一緒にプレーするのが気まずいだなんて思う選手はいませんよ。サッカー選手であれば誰でも、ロンドン五輪のような大きな大会でプレーする喜びをひたすら噛み締めるはずです。ただ、召集される選手が変われば、戦術が大きく変更されるということはあるでしょうね。

女子サッカーの英国統一チームを率いるホープ・ポーウェル監督はどのような方ですか。

ポーウェル監督は長年にわたるイングランド代表監督在任中に、強固な指導体制を築き上げました。それこそ何年もかけてイングランドの女子サッカーを変革し、成長させていったのだと思います。現在、我々が世界の第一線でプレーできているのは、彼女の貢献によるところが大きいでしょう。それだけに、彼女は各選手そしてチーム全体にかなり多くのことを要求します。世界で戦えるだけの水準を維持するためには必要なことです。

2011年のW杯で初優勝を遂げた日本女子代表が唯一苦杯をなめたのが、ホワイト選手が主将を務めたイングランド代表でした。

正しい戦術を取ることができたというのが、イングランドの勝因だと思います。日本はパスを多用することで最大の強みを発揮するチームです。もし彼らのパスを追い掛け回していたら、私たちの守備陣は日本代表に脆くも切り裂かれてしまっていたでしょう。だから私たちはできるだけ守備をコンパクトにまとめました。攻撃を上手く封じ込めることさえできれば、日本代表を打ち負かすだけの実力を備えていると思っていましたから。

日本代表に対しては、ほかにどのような印象を持っていますか。

日本代表の最大の脅威は、ボールを保持する能力と、パスを使ってそのボールを素早く動かすことができるという点でしょう。全選手がボールの扱いに長けていて、足元で自在にコントロールする印象があります。だから、個々の選手は的確な判断をするための時間をきちんと確保できる。チーム全体としても非常に良く機能しています。全選手が止めどなく動くことで、一人ひとりのプレーの選択肢を広げている。ただ体のぶつけ合いとなったら、イングランドに強みがあると思っていました。言い換えれば、体のぶつけ合い勝負となれば日本は苦戦するだろうと。

澤選手は掛け値なしに素晴らしい選手です。2007年のW杯でも対戦した大野選手も偉大な選手ですし、セット・プレーのスペシャリストとして知られる宮間選手は、フリー・キックやコーナー・キックの機会に脅威となります。やはりチーム全体としての強さを感じますね。

W杯終了後、日本代表の選手と話す機会はありましたか。

残念ながら私自身はそのような機会を持てなかったのですが、所属クラブのアーセナル・レディースが昨年末に実施した日本ツアー中、日本の国立競技場でなでしこリーグ覇者のINAC神戸と対戦した際に、私のチームメイトの何人かが会話を交わしたそうです。INAC神戸の選手たちは、私たちのチームのストライカーでスコットランド代表でもあるジェニファー・ビーティーを見て、その身長の高さに唖然としていたそうですよ!

イングランド代表として外国を転戦する際は、日程が厳しく、また常に大きな試合が控えていますから、サッカー以外のことに関心を払うことがあまりできません。ただ先に述べたアーセナル・レディースの日本ツアーでは、日本の伝統的な食事を楽しみ、畳の上に敷かれた布団の上で寝て、京都のお寺を回るといった時間を持つことができました。そして、他人に敬意を払う文化、歓待の精神、細部へのこだわり、清潔さ。ツアーを準備してくれたベアーフット・コミュニケーションズという会社のスタッフたちの助けもあって、日本のあらゆる文化を堪能することができました。

男兄弟よりも私の方が上手いと気付いたら、
やる気が出てきました

昨年のW杯準々決勝でPK戦の末にフランス代表に敗れた直後、「スポーツを通じて経験し得る中で最悪の感情」を経験したと発言されていました。その後、どのように立ち直りましたか。

ワールド・カップでのホワイト選手
2011年にドイツで開催されたサッカーのワールド・カップの準々決勝で、PK戦の末にフランスに敗れ、肩を落とすホワイト選手(写真右)

あのような出来事を乗り越えるためには、多くの時間を必要としますし、きっと今後もあのとき感じた苦しみを抱えながら生きていくのだと思います。ただ競技人生においてはいくつもの「最高」と「最悪」を経験しますし、どちらも受け入れなければなりません。両方とも、競技の一部なのです。

また敗北こそが気力の源泉となり、より高い地点へと上り詰めようと自身を駆り立てるきっかけになることを私は知っています。私個人としても、チーム全体としても、敗戦から多くのことを吸収しましたし、あの経験を経てより強い存在になることができれば、と思います。

イングランド代表では長らく主将を務めてきました。主将の役割について教えてください。

他の選手の良き手本になるということだけです。できる限りプロらしく振る舞い、そして目標に向かって率先して熱心に取り組むよう努力しています。私はあまり発破をかけるタイプではありませんが、他選手が望むのであれば話し合いの場を持つようにしていますし、必要と判断すれば肩に腕を回したりしてチームメイトを励ますこともあります。また自分では決してしないことを他人に求めたりしません。あとは全員と公平に接すること。私が心掛けていることは、そんなところでしょうか。またサッカーを離れたところでは、メディア対応や、チームのいわば親善大使として活動することなどが含まれます。

サッカーは男性が行うスポーツであるという見方が今でも根強く残っています。女子サッカーに興じていた幼少時にそうした偏見の対象になったことはありましたか。

「サッカーは男がするスポーツ」という偏見に直面する度に、サッカーをプレーしたいという決意はより強まりました。だから私のサッカー人生は、むしろ偏見に後押しされたと言ってもいいのかもしれません。

幼いころは陸上競技やネットボールなど一通りのスポーツを嗜みましたが、サッカーが最も身近な存在でした。いつも自宅の裏庭で練習していたような気がします。サッカーに関しては男兄弟よりも私の方が上手いと気付いたときには、さらなるやる気が出てきました。ロンドン五輪出場を通じて、サッカーに限らず、女子スポーツ全体の認知度を高めていくことができたら、と思っています。

競技解説
女子サッカーイングランドでは古くから各地で女子サッカーの試合が行われていたが、「女性の健康を損なう」ことなどを理由に、同サッカー協会が1921年に女子チームに対してのグラウンドの貸し出しを禁止。71年にこの禁止令が破棄され、96年のアトランタ五輪より五輪正式種目となった。W杯などではイングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズとして各国が出場を果たす一方で、これまで英国代表チームとしての五輪参加は実現していない。ロンドン五輪において、女子サッカーはその歴史上初めての英国統一チームを形成することになる。


 
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