（ロンドン 5月17日 時事）スターマー首相は16日、英紙「タイムズ」（電子版）とのインタビューで、19日に控える欧州連合（EU）との首脳会談について、若者が最長2年間、両国・地域を移動できる相互協定の締結で合意するとの見通しを明らかにした。このほか、貿易や安全保障、防衛など広範な分野で合意する見通しという。EU離脱後に悪化した関係の改善を目指す。

「タイムズ」によると、スターマー氏はこの合意は、EU域内と同様の国境管理を行わない「移動の自由」の復活には当たらないと強調。前政権の保守党が「無制限の移民制度」に等しいと批判するなか、「国益のために行動し、立場を堅持してきた」と述べた。

両政府は19日、若者の移動協定に関する計画の概要を発表する見込み。スターマー氏はタイムズに対し、同協定が「企業や労働者にとって、あらゆる分野で国を前進させる非常に重要な機会だ」と語った。欧州の若者が英国で就労できるようにすることで、雇用見通しの改善や生活水準の向上につながると見ている。

「タイムズ」によると、19日に向けた担当者間での交渉では、フランスが英国産食品に対する検査の緩和と引き換えに、長期的な漁業権について英国にさらなる譲歩を要請。EUは若者の移動協定を巡り、欧州の学生に対する授業料引き下げも求めているという。一方、英国はEUに対し、欧州大陸で活動するミュージシャンらに対する制限を解除するよう望んでいる。