(ロンドン 5月23日 時事)スターマー首相は22日、インド洋のチャゴス諸島をモーリシャスに返還する協定に署名した。同諸島最大のディエゴガルシア島は米英軍の基地がある戦略的要衝。協定は99年間、基地の使用を継続すると定めた。
スターマー氏は記者会見で、ディエゴガルシア島の基地によってインド太平洋地域における軍事的優位を保っていると指摘。その上で「英国の安全を守るために(基地の存続が)不可欠だ」と強調した。また「トランプ米大統領も協定を歓迎している」と述べた。
英国は島の賃貸料として年間1億100万ポンド(約195億円)をモーリシャスに支払う。スターマー氏は空母1隻の年間運用コストよりも少ないと指摘した。
チャゴス諸島は1965年、インド洋に基地を確保したい米国の意向を受け、英国の植民地支配下にあったモーリシャスから分離された。基地の建設が始まり、モーリシャスが独立した68年以降も英領とされた。
国際司法裁判所(ICJ)は2019年、英国の統治を違法と認定。英政府は昨年10月、チャゴス諸島をモーリシャスに返還すると発表した。
Mon, 02 June 2025