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Fri, 29 March 2024

第188回 カプチーノとポシャるの語源

ロンドン中心部セント・ジェームズ通りにある1676年創業の「ジェームス・ロック」は現存する世界最古の帽子店といわれます。この店は19世紀半ばにボウラー・ハット(山高帽)を初めて販売したことでも有名です。また、トップ・ハット(シルク・ハット)は1797年1月15日に小間物商のジョン・ヘザリントンがロンドンで初めて披露した際、その奇抜なデザインで周囲を混乱させたそうです。1月15日が米国の「帽子の日」となったのもその逸話に由来するとか。

最古の帽子屋「ジェームス・ロック」最古の帽子屋「ジェームス・ロック」

帽子の総称はハットですが、ブリム(つば)が周囲にない場合にキャップ、あればハットを使うと中学時代に習った記憶があります。ただ実はどちらの単語も欧印祖語のCaput(頭)から派生しているそうです。英語はケルト語、ラテン語、ゲルマン語などから多くの単語を借用しており、キャップはラテン語から、ハットはゲルマン語から派生しているそうで、そこには外見上だけでなく歴史的な意味の違いがあります。

ブリムが周囲にあるのがハットブリムが周囲にあるのがハット

ラテン語由来の英単語はかつてローマ帝国の母国語だったためか、上流階級や聖職者の用語に多く残っています。キャップ=頭の意味から首都Capital、班長Captainのほか、礼拝堂Capella や簡素化された教会音楽のA Capella、修道士の着るマントCappa(日本語の合羽と同じ)が生まれました。また、Capuccio(頭巾、フード)の付いたカプチン会修道士の服が茶色のところから、コーヒーのカプチーノが命名されたと言われます。

ブリムが周囲にないのがキャップブリムが周囲にないのがキャップ

一方のゲルマン語由来の英単語はローマ帝国を戦争で倒したゲルマン民族の言葉でしたから、戦闘の用語や兵士の使っていた言葉に多く残っています。To throw a hat in the ring=競争に加わる、To take off my hat=脱帽する、To wear two hats=二足の草鞋を履く、などがあり、ハットは自分の存在や役割、責任を示すための機能や道具と考えられているようです。

カプチン会の修道服カプチン会の修道服

ちなみに日本では古くから冠や頭巾、烏帽子(えぼし)がありましたが、西洋の帽子が流行したのは明治時代です。文明開化の際、特に1871年の散髪脱刀令でまげが禁止されると、頭髪のない頭上を隠すために山高帽をかぶることが流行しました。なお、帽子はフランス語でシャポーといいますが、何か失敗したときは脱帽して帽子を逆さまに置きます。この逆さまのシャポーから「ポシャる」=ダメになる、という用語が生まれたそうです。

まげを切り、帽子をかぶった日本人まげを切り、帽子をかぶった日本人

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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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