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青青葉が目にまぶしく、風薫る初夏。市街地にいても緑の多さに目を奪われることの多いこの季節、英国最大のフラワー・ショーがロンドンで開催される。それが、チェルシー・フラワー・ショーだ。例年通り、女性の心をくすぐる色とりどりの花が集合するが、「花なんて女の子の見るもの」と思っている男性諸君、このショーの見どころは花だけではない! 綿密に計算された庭園作りの髄に触れることで、新たな驚きを発見できるかも。もちろん、緑の中で自然の息吹を感じれば、気分もリフレッシュ。今回は、2007年のショーの見どころをたっぷりと紹介しよう。
(本誌編集部: 竹内詠味子)

チェルシー・フラワー・ショーの歴史

今年、第85回を迎えるチェルシー・フラワー・ショーは、実は、140年という長い歴史を持っている。その起源は、1862年にケンジントンで開かれた「Royal Horticultural Society's GreatSpring Show」。1888年にはエンバンクメント近くのTemple Gardenへ移動し、1913年から現在のRoyal Hospitalで開催されるようになった。日本の盆栽は、何とこの時から展示されていたそう。第一次・第二次世界大戦中など、開催がキャンセルされた時期もあったが、人々がこのショーにかける思いは熱い。1928年には、開催日の前日に大嵐に見舞われたが、壊された会場はスタッフの尽力で翌朝までに元通りにされた。そんな歴史にも、英国人の草花への情熱を感じ取ることができる。

RHSとは

Royal Horticultural Society(王立園芸協会)の略。1804年に、人々の園芸に対する情熱を喚起し、園芸の進歩を促す目的で設立された。会員は、世界中になんと37万人。44ポンドの会費を支払って個人会員になると、英国にある4つのRHS庭園に無料で入場できるほか、月刊の冊子が無料で送付されたり、協会が主催するフラワー・ショーで優待されるなどの特典がある。

チェルシー・フラワーショー
開催日時:5月24日(木)~26日(土)
(RHSメンバーは22日、23日から)
木・金8:00-20:00、
土8:00-17:30 (入場は16時まで)
開催場所:Royal Hospital,Chelsea, London SW3
アクセス:Sloane Square駅から徒歩5分
チケット:終日券£40、半日券(15:30-20:00有効)£22.50、夕方券(17:30-20:00有効)£17.50
コンタクト:Tel: 0870 950 0925 www.rhs.org.uk
2007年の見どころ① グレート・パビリオン

チェルシー・フラワー・ショーの最大の見所は、やはり、色とりどりの花々が揃う広大なグレート・パビリオンだろう。ダブルデッカーが500台も駐車できるほどのスペースに、世界的に活躍するフロリストや造園家、苗木職人など、植物の専門家たちの作品が一堂に会し、訪れる人々の目を楽しませてくれる。花だけではなく、樹木や果実を利用したフローラル・アートも見ごたえ満点。その中で、花好きが楽しみにしているのが、「ニュー・プラント」と呼ばれる新種の花々だ。


今年の新種たち
バラ - Harkness Roses -
ハークネス・ローゼズは、デービッド・オースチンに並び英国のバラ栽培をリードしてきた歴史あるブリーダー。今年の新種は、かすかにシトラスの香りがする真珠色のバラ「ベルモンテ」、美しい紅色の「カリス」、スパイシーな香りの「ヘンリエッタ・バーネット」と、TV司会者のマイケル・パーキンソンにちなんで付けられた白いバラ、「パーキー」などを出展する。
ゼラニウム - Brian & Pearl Sulman -
今年で出展20周年記念を迎えるブライアン&パール・サルマン。ゼラニウム「ロイヤル・プリンス」は、ラズベリーのような深い色合いの花びらとほのかなピンクの花びらの対比が美しい作品。中心は白く、上品な新種だ。また「コットナム・チアー」と名づけられたゼラニウムは、花びらの滑らかな曲線と鮮やかなピンク色が可愛らしい。
クレマチス - Raymond J Evison Ltd -
レイモンド・L・イヴィジョンが出展するクレマチスは、今年、なんと1500鉢にも上るそう。その中で、新作の「キングフィッシャー」は、コバルトブルーの羽を持つ野鳥にちなんで付けられた名前。その名の通り、紫と青を掛け合わせたような濃いブルーが鮮やか。また、艶やかなピンクのクレマチス「バーボン」は、外側が濃くふちどられ、深みのある色合い。
ユリ - H W Hyde & Son -
ユリを中心に栽培しているH・W・ハイド&サンは、昨年の展示で金賞を受賞した実力派。今年出展する新種のユリ「レディ・アナベラ」は、純白の花びらがまぶしく、気品に満ちている。ユニークなのは、花びらが二重になっていること。そしてなんと、花粉が出ないこと。この季節、くしゃみに悩まされている人にも嬉しい新種だ。
アイリス - Cayeux Iris -
30年以上もアイリスの交配研究を続けてきたフランスのブリーダー、カユー・アイリスは、透き通るような単色の花から2色使いのものまで、今年も様々な花景色を見せてくれる。「クラウネリー」は、紫色に縁取られた淡いラベンダー・ピンクの花びらが印象的な花。
葉植物 - Knoll Gardens -
葉ものと多年植物を専門とするノル・ガーデンズは、2002年から5年連続でメダルを獲得しているという、輝かしい受賞歴を持っている。今年の新種は、シャープな葉がまっすぐに空へと伸びた「ミスカンサス・ゴールド・バー」。みずみずしい緑が、どんな花をも生かしてくれる。

2007年の見どころ② ガーデン部門
造園建築のプロたちが、自らのオリジナル・アイデアを展示するガーデン部門。お城の中庭のような豪華なものから、「こんな庭が自宅にあったら」と思わせる素朴なものまで、アーティストたちが独自のコンセプトを盛り込んで生み出す空間は、とても刺激的だ。ガーデン部門は、「庭園」と呼ぶにふさわしい豪華なショー・ガーデン部門と、限られた空間の中で展開される4種のスモール・ガーデン部門に分かれている。




~ショーガーデン

今年のショー・ガーデン部門には、20作品が集合。昨年のゴールド・メダルを受賞したクリス・ベアードショーさんや「ブラッドストーン」のサラ・エバールさんを始め、多くのメダル獲得アーティストが参加している。図案を見るだけでも、その凝ったデザイン性を感じ取れるが、実際に出来上がった庭を目にすれば、その美しさに感激するはず。





~スモール・ガーデン~



毎年、チェルシー・フラワー・ショーには日本人アーティストが出品し高い成績を収めている。今回、シティ・ガーデン部門にエントリーしたのが、ランドスケープ・アーキテクト、関晴子さん。昨年、ロンドンに自分の事務所を設立し、独自の活動を展開している関さんにとって、チェルシー・フラワー・ショーへの出展は今年が初めて。そんな彼女にお話を聞いてみた。

- チェルシー・フラワー・ショーに出品するのは初めてとのことですが、出品してみようと思った動機、また経緯を教えてください。-

私は英国の永住権を取得したのを機に昨年春にデザイナーとして独立し、現在、国内外のアーティストや建築家とのコラボレーションという形で活動しています。チェルシーには、今回力試しのつもりで初めて応募してみたのですが、幸運にもスペースを確保することができました。

- 出品作は「Garden of Transience」と名付けられていますが、テーマを「静けさ」や「うつろい」に置いたのはなぜですか。-
日本の空間構成における「間」=静寂の捉え方や、光と影の扱いによって生み出される「うつろい」の感覚は、日本独自の感受性に根ざしたものであるように思います。このような感覚が見る人の心の底に眠る何かを呼び覚まし、詩的な空間を創出することができたらと考えています。

- フラワー・ショーで関さんの作品を見る鑑賞者の人に、この作品のどんな点に注目してもらいたいですか。-
私が英国で10年間生活する中で再発見した日本の文化の特異性、素晴らしい美意識や感性というものを、チェルシーの舞台を借りて、英国人のみならず日本の方々にプレゼンテーションすることができたらとても嬉しいことです。

- 英国で日本の美や感覚をデザインする上で、難しいことは?-
海外に存在する日本庭園の多くは、「かたち模して心入らず」というものになっているのが現状です。チェルシーのガーデンでは、日本庭園のエレメントを一切使わずに「日本人の美意識を反映した現代の庭」を創出することを意図しました。これは、自分なりに長い間考えてきたテーマに対する、ひとつの実験であり、挑戦であると思っています。

- ロンドンにお住まいですが、市内で気に入っている公園や庭、創作活動の刺激となる場所はありますか? -
ロンドンのロイヤル・パークの中では、リージェンツ・パークが特に気に入っています。また、RIBA(王立英国建築協会)では常に時代の先端を行くデザイナーの展覧会が行われ、ブック・ショップやライブラリーも充実しています。1階のカフェもお気に入りの場所です。

関晴子
STUDIO LASSO www.studiolasso.co.uk
日本で9年間景観設計の仕事に関わり、1997年渡英。2001年グリニッジ大学ランドスケープ・アーキテクチャー修士課程を卒業後、ロンドンのランドスケープ事務所に勤務。2006年自らのスタジオSTU-DIO LASSOを設立。国内外のデザイナー、アーティスト、建築家とのコラボレーションを数多く手がけ、空間デザイナーとして幅広く活躍している。

Studio Lasso, 'Garden of Transience’Designer: Haruko SekiSponsors: Green and Arts Co.,Ltd www.gaa.co.jpUrban Regenerate Association of NiigataContractors: Makoto Tanaka Landscape with Toshiki Motosugiwwww.sekiteiuk.comKenzo Yamakoshi Design Studiowww.kenzoyamakoshi.comMusic: Motoki Hirai / Pianist & Composer www.motokihirai.com
花のある風景を求めて
誰もが自宅の裏に欲しいと思うのが、自分だけの小さな庭。スモール・ガーデン部門では、シック・ガーデン、シティ・ガーデン、コートヤード・ガーデン、そして今年から新設されたルーフ・ガーデンという4種類のテーマに基づき、様々なガーデニングの形を見せてくれる。


1811年にデザインされたリージェンツ・パークは、166ヘクタールという広大な敷地内で、一年中、季節の花々を楽しめるスポット。中でも、初夏に咲き誇る見事なバラは、見ごたえたっぷりだ。公園内にあるQueen Mary'sGardensには、400種類ものバラが観賞できるローズ・ガーデンがあり、訪れる人を甘い香りに包み込んでくれる。また、公園内には動物園「London Zoo」もあり、観光客にとっても見逃せないスポットだ。


The Regent's Park
開園5:00-夕方
Regent's Park駅/Baker Street駅/Great Portland Street駅
Tel: 020 7486 7905
www.royalparks.gov.uk


バッキンガム宮殿と国会議事堂に挟まれたセント・ジェームズ・パークは、ロンドンっ子や観光客はもちろん、王室の人々や政治家たちをも楽しませている。敷地面積は23ヘクタールで、リージェンツ・パークに比べると小ぶりだが、初夏に咲き誇る黄色の水仙など、多くの花々が緑の多い公園を華やかに彩っている。また、ペリカンやアヒルなどの動物たちにも出会うことができる、愉快な公園だ。


St James's Park
開園5:00-深夜
St James's Park駅/Westminster駅
Tel: 020 7930 1793
www.royalpark.gov.uk


ただ見るだけは物足りない、自宅で花を生けてみたい、鉢植えを育ててみたい! という人は、ロンドン随一のフラワー・マーケット、コロンビア・ロードを訪ねてみよう。19世紀から続いているというこのマーケットでは、毎週日曜、50店以上のストールが出店し、花や鉢植えを販売できる。人気のバラはもちろん、スーパーの花コーナーでは見られないエキゾチックな植物も、手軽な値段で手に入れることができる。お昼過ぎからは安売りも始まり、20本の新鮮なバラが5ポンドで手に入ることも。

Colombia Road Flower Market
Colombia Road, E8
日曜のみ 8:00-15:00
Shoreditch駅
Tel: 020 7377 8963
www.eastlondonmarkets.com

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