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Fri, 19 April 2024
読書の秋到来! 英語でペーパーバックに挑戦!

英国に居ながらにして、日本語メディアへのアクセスがとても簡単に出来てしまうインターネット全盛の今。しかしそんな時代だからこそ、この秋、あえて英語の本に挑戦してみませんか?物語の展開を楽しみながら、英語そして英国文化に浸れるのが読書の良い所。今回の特集では、英国への理解が深まるペーパーバックなどを英語レベル別に並べてみました。秋の夜長の読書タイムをお楽しみあれ。(本誌編集部: 筒井和美)

英語で本を読むコツ

英国に暮らしている以上避けて通れないのが英語。日常生活や友人との会話などに困らないレベルに達していても、英語の本となるとなぜか避けてはいませんか?「日本語で読んだ方が速い」「なんとなく取っ付きづらい」などと思っているあなたに、「英語で読書」のコツを教えます。

その1)読みやすい本を選ぶ
日本語の読書にも言えることですが、読書を楽しむためにはある程度のスピードが必要です。数行進む度に、辞書を引かなくてはならないようだと、読書が嫌になるのも納得。自分の文法力や語彙力に合わせた本を選びましょう。話全体に影響を与えないレベルの単語なら、分からなくても辞書に頼らずそのまま読んでしまうのも、スピードを落とさないという点からいうと◎。

その2) 自分の興味にあった本を選ぶ
全く興味を持てない分野の話は、日本語で読んでも理解がイマイチだったりします。 何より、つまらないと思いながらページをめくるのは苦痛以外の何物でもありません。自分の趣味に関する本や、日本語で読んで感動した本の原作など、心からワクワクする本を選びましょう。どうしても面白くないと思った本は、思い切って読むのを止めてしまうのも手。

その3) 読み切れる厚さの本を選ぶ
たとえ興味のある話でも、小さい文字の詰まった分厚い本にアレルギー反応を示す人も多いはず。まずは、視覚的に読みやすそうな本(文字が大きくて薄い)を選んで、読破感を得るようにしましょう。「読み終えた!」という自信が、次の1冊へのステップになりますよ。

初級最も取っ付きやすい本と言えば、絵本。しかしながら、大人になってから「本当の絵本」を読むのはちょっと恥ずかしい……。そんな人には、子供向けに出版されているペーパーバックをおすすめ。ただし子供向けと言っても、文章にボリュームがあったり、言い回しが古く分かり難いものもあるのでよく吟味して。

 

おすすめ作家

Roald Dahl (1916-1990)
ロアルド・ダール

Roald Dahl風刺やブラック・ユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で有名なウェールズ出身の作家。第二次大戦では英国空軍のパイロットとして従軍したが、乗っていた飛行機がリビアで墜落し重症を負う。その後、アフリカで聞いた不思議な話やパイロット時代の経験を元に小説を書くようになった。

代表作は、近年映画化もされた「Charlie and the Chocolate Factory(チョコレート工場の秘密)」。ちょっとねじまがった空間で展開される子供向けのストーリーでよく知られているが、作家としての名声を確立したのは、優れたウィットと最後のどんでん返しで読者を引き付けた大人向けの短編集「Someone like you(あなたに似た人)」だった。子供向けストーリーは、主に孫たちのために書いていたと言われている。ちなみに、彼の孫の1人はモデルのソフィー・ダール。

ダールの子供向けシリーズがすらすら読めるよ うになったら、大人向け短編に挑戦してみよう。

これに挑戦!

ペーパーバック初心者にはこれ!
Fantastic Mr Fox (すばらしき父さん狐)
£4.99
Fantastic Mr Fox キツネと人間の知恵比べを描いた寓話。丘の上で暮らすキツネ一家の父さんを仕留めようと、ニワトリを飼っているデブ、アヒルを飼っているチビ、七面鳥を飼っているヤセの3人の農場主は様々な知恵を絞る。しかし、3人がどんなに頭を絞って出した作戦も、父さんギツネは痛快に切り抜けてゆく。そんな父さんギツネの大奮闘が痛快!薄い上、文法も単語も簡単なので挫折せずに、ドキドキ、ワクワクしながら読めること請け合い。

奇想天外な工場へ侵入してみよう
Charlie and the Chocolate Factory
(チョコレート工場の秘密)
£5.99
Charlie & the Chocolate Factory 近年映画化され話題になったので、知っている人も多いはず。チョコレート工場を経営している変わり者のウィリー・ワンカは、工場に5人の子供を招待することを決めた。招待券は、ワンカ社特製チョコレートの包装紙の中。チョコの中に金色の招待券を見つけた幸運な者だけが、ワンカの工場を見学できるという。貧しいチャーリー少年は、この夢のような招待券を偶然にも手にすることが出来た。チャーリー少年がチョコレート工場で見たものとは……。

「チョコレート工場」にハマった人は是非
Charlie and the Great Glass Elevator
(ガラスの大エレベーター)
£5.99
Charlie and the Great Glass Elevator 先に紹介した「Charlie and the Chocolate Factory」の続編。今回は、チャーリー少年の家族をも巻き込んで思いも寄らぬ話が展開される。ある日、チャーリー少年とその家族は、ウィリー・ワンカと共に行き先不明のガラスのエレベーターに乗り込む。そのエレベーターが空高く舞い上がったまでは良かったが……。前作に引き続き、またしてもありえないハプニングの連続で、ページをめくるのが待ち遠しくなる。

こんなのもおすすめ

おとぼけキャラがキュート
Winnie-the-Pooh(くまのプーさん)

by AA Milne  £29.99(写真のもの)
Winnie-the-Pooh 作者AAミルンが、自分の子供であるクリストファー・ロビ ンに語り聞かせた物語。ハチミツを食べ過ぎて、木に出来た 穴を抜けられなくなってしまうほど、おっちょこちょいだけど憎めないプーさんが、年老いたロバのイーヨーやこぶたのピグレット、いつも元気一杯なトラのティガーと一緒に素敵な物語を繰り広げる。
Winnie the Pooh: Complete Collection of Stories and Poems

夢溢れるウサギのお話
The Tale of Peter Rabbit (ピーター・ラビット)

by Beatrix Potter  £29.99(写真のもの)
The Tale of Peter Rabbit 湖水地方を舞台に、動物たちの触れあいが描かれた秀作。第1話では、母の言いつけを破りマクレガーさんの農場へ遊びに行ったウサギのピーターが、マグレガーさんに追いまわされ、上着と靴をなくしてしまう。その他、アヒルやカエルなどのキャラクターが登場する様々な話がシリーズ化されている。
Beatrix Potter Complete Tales: The 23 Original Peter Rabbit Books and 4 Unpublished Works

ある少女の不思議なアドベンチャー
Alice's Adventure in Wonderland
(不思議の国のアリス)

by Lewis Carroll £2.12~
Alice's Adventure in Wonderland 夏の昼下がり、目の前を走り去っていった奇妙な白ウサギを追いかけることから始まる不思議な物語。オックスフォード大学で数学を教えていたドッジソン教授(ルイス・キャロル)が、知人の娘のために作った「世界でたった1冊の本」が元となっている。ルイスの巧みな言葉遊びが幾重にも交錯し、読む度に新しい発見があるはず。


中級ヤング・アダルトという出版分野が確立している英国では、大人でも十分楽しめるティーン向け文学作品を見つけるのは簡単。ここでは、数あるヤング・アダルト文学の中でも、英国人にも人気のある作家とその代表作品などを紹介します。

 

おすすめ作家

Terry Pratchett (1948- )
テリー・プラチェット

Terry Pratchett日本では「知る人ぞ知る」といった存在だが、英国では彼の本が出版されると必ずベストセラーになるぐらい非常に著名なファンタジー作家。英国で子供時代を過ごした人なら、1度ぐらいは彼の本を手に取ったことがあるはず。特に1987年から続いている大人向けファンタジー、ディスクワールド・シリーズが有名。

13歳で初めて本が出版されるなど、少年時代に物語を何本か書き上げたプラチェットだが、そのまま作家になる道へは進まなかった。趣味として物語を書き、ジャーナリストや電力会社の広報官として働いていたプラチェットが作家を本業とするようになったのは、後の代表作となるディスクワールド・シリーズの1作目「The Colour of Magic」を書き上げてからのこと。ちなみに「ディスク」とは宇宙を漂う巨大亀の背に乗った4頭の像が支える円盤世界のことで、同シリーズは、この世界で繰り広げられる物語を描いている。現在では30巻を超える大作となったこのシリーズは、全体的に大人向けだが、子供向けに書かれた作品もいくつかある。

これに挑戦!

賢い猫のモーリスにハラハラ、ドキドキ
The Amazing Maurice and His Educated Rodents
(天才ネコモーリスとその仲間たち)
£6.99
The Amazing Maurice and His Educated Rodents 2001年度のカーネギー賞(英国図書協会から優れた文学に贈られる賞)を受賞した子供向けディスクワールド・シリーズ。「マジック・ラット」を食べ、素晴らしい知能を獲得した猫モーリスは、魔法使い大学から出されたゴミを食べこちらも賢くなった12匹のネズミたちを引き連れ、町から町を移動し「ハメルーンの笛吹き男」よろしく荒稼ぎを繰り返す。しかし、知性と共に倫理感も身につけたネズミたちは、自分たちの行動に疑問を持ち始め……。思わずニヤっとさせられるような風刺が随所に散りばめられた良書。

魔女ティファニーの勇気に脱帽
The Wee Free Men
(魔女になりたいティファニーと奇妙な仲間たち)
£5.99
The Wee Free Men こちらも子供向けに書かれたディスクワールド・シリーズ。魔女になる訓練をしている9歳のティファニー。ある日、教師であるミス・ティックが目を離した隙にティファニーの弟が、魔の女王にさらわれてしまう。ティファニーは弟を救い出すために、ミス・ティックから借りたしゃべるカエルや辛らつで 好戦的なウィー・フリー・メンを従えて、女王の世 界へと乗り込んで行く。ティファニーは無事に弟を救い出せるのだろうか? 「スパイダー・マン」のサム・ライミ監督による映画化の話も出ている作品。

魔女ティファニーの冒険は続く
A Hat Full of Sky
(邦訳なし)
£6.99
A Hat Full of Sky 前作で魔の女王と戦ったティファニーの2年後を描くシリーズ続編。11歳になったティファニーは、さらなる魔法の勉強のために家を出る計画を立てていた。そんなある日、不可思議な物体がティファニーの体内に侵入し、今まで覚えた魔法を濫用し始めた。ティファニーの行動を不審に思った仲間の魔女たちは、ティファニーを救うため彼女の体内に入り込み……。ちなみに今年9月には、このティファニー・シリーズの更なる続編「Wintersmith」が出版されたばかり。

こんなのもおすすめ

飼い猫はストリートで生き残れるのか?
Varjak Paw(邦訳なし)

by SF Said  £5.99
Varjak Paw 黒猫のヴァージャック・パウが主人公のファンタジー・シリーズ第1弾。過保護に育てられた家猫のヴァージャック・パウは、今まで一度も外の世界に出たことがない。しかし、平穏な家にやってきた不気味な男性と2匹の意地悪な猫たちのために、ヴァージャックは1人で街に引っ越さなくてはいけなくなり……。1匹の猫が、外の世界での友情や争いに触れ、困惑するなかで成長してゆく姿を描いている猫好き必読の書。続編の「The Outlaw Varjack Paw」もおすすめ。シャープなイラストにも注目したい。

少女ライラの冒険がここに始まる
Northern Lights(黄金の羅針盤)

by Philip Pullman  £6.99
Northern Lights ライラの冒険シリーズ3部作の1話目。おてんばな11歳の少女ライラは、両親を事故で亡くし、オックスフォード大学で教 鞭をとる叔父と共に暮らしている。そんなある日、ライラの親友ロジャーが突然消え、子供の誘拐事件が多数起きていることに気付く。どうやら北極で子供たちが何らかの実験に使われているらしい。ライラは、ロジャーを救うために、世界に6つしかない黄金の羅針盤を手に北極へと向かう……。第2部「The Subtle Knife (神秘の短剣)」第3部「Amber Spyglass (琥珀の望遠鏡)」も続けて読んでみよう。

自閉症児が挑む謎
The Curious Incident of the Dog in the Night-Time: Children's Edition
(夜中に犬に起こった奇妙な事件)

by Mark Haddon  £6.99
夜中に犬に起こった奇妙な事件 ずば抜けた数学的能力を持っているが、他人とのコミュニケーションが下手な自閉症のクリストファー。ある日、近所の犬が殺され、その濡れ衣を着せられた彼は、憧れのシャーロック・ホームズを真似て、犯人探しを始める。事件を追う内に、やがて驚くべき事実が明らかになり……。クリストファーが事実を発見する過程が、自閉症の彼の視点、独特の語り口で書かれた感動作。1章の分量も少なく読みやすい。同ストーリーの大人版もあり。



上級いよいよ上級。ここまでくると、本屋で好きな本を選んで読めるレベル。小説の他にも、論評やノン・フィクションなどバラエティーも豊富になって、読書がますます楽しくなりそう。たくさんあってどれが良いのか分からないという人のために、英国人の大人が読む一般書の中から、比較的読みやすいものや英国文化への理解が深まる作品を紹介します。

 

おすすめ作家

Nick Hornby (1957-)
ニック・ホーンビー

Nick Hornby教師、ジャーナリストといった職を経て、1992 年にサッカー・チームのアーセナル狂の男性を描いた「Fever Pitch(ぼくのプレミア・ライフ)」で 作家デビューしたニック・ホーンビー。その処女作はニック・ホーンビーの自叙伝と言われる通り、 自身もかなりのフットボール狂(ちなみに後の「High Fidelity」に至っては、音楽オタクの一面を披露する)。この「Fever Pitch」はミリオン・セラーとなり、ブックメーカー(賭け元)のウィリアム・ヒルがスポーツをテーマとした優れた文学に贈るウィリアム・ヒル・スポーツ・ブック・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した。

元々は劇作家を目指していたというホーンビー が得意とするのは、英国のさりげない日常を人間味豊かに切り取ること。登場人物に思わず共感を覚えてしまうのは、こんな彼の得意技のせいだろう。また、難しい言葉を使わずにユーモアの効いた洒落た言い回しをする天才なので、思わず真似したくなる表現に作品中至る所で出会えるのもうれしい。英語での表現力を高めたい人は必読。

1993年に誕生した長男が自閉症だったため、自閉症児を助けるチャリティー、トゥリー・ハウスの創設に積極的にかかわり、自身が編集した短編集「Speaking with the Angel」の売上のほとんどを寄付したという一面も。

これに挑戦!

サッカーに人生を賭ける男の物語
Fever Pitch (ぼくのプレミア・ライフ)

£7.99
Fever Pitch アーセナル・ファンを自認するニック・ホーンビーの自伝的小説。11歳の時に父親に連れられサッカー観戦に行ってからというもの、寝ても覚めてもアーセナル一色となってしまった男性が綴ったサッカー試合の記録。出てくる試合は、もちろんホーンビー自身が観戦したもの。ユーモアと情熱を持って詳細に記録されているので、英国サッカー史としても貴重な文献となっている。1968年から1992年までの英国サッカー事情に詳しくなること請け合い。
*英国ではコリン・ファース主演で映画化されたが、米国版映画では野球狂の話となった。

音楽オタクの恋愛小説
High Fidelity (ハイ・フィディリティ)

£7.99
High Fidelity ロンドンでマニア向けレコード店を経営する30代半ばのロブが、長年付き合ってきたガールフレンドのローラに振られる場面から物語は始まる。変わり者のオタク生活を続けてきたロブだが、どうやら本物の大人になる時期が来たようだ。そんなロブが、恋愛を通して成長してゆく過程がコミカルに、そしてたくさんの音楽情報と共に描かれているポップ・ミュージック好きにはたまらない1冊。ちなみに同名タイトルの映画は、ロンドンではなく、米シカゴが舞台となっている。

年齢を超えた友情、そして愛
About a Boy (アバウト・ア・ボーイ)

£7.99
About a Boy 父親の遺産で悠悠自適な生活を送る30代半ばでコミットメント・フォビアの独身男、ウィルは、シングル・マザーとの後腐れない関係に味を占めていた。そんな時ひょんなことから、いじめられっこの12歳の少年マーカスと出会い、彼の母親でシングル・マザーであるフィオナの自殺場面に出くわしてしまう。各々との交流の中で、ウィル、マーカス、フィオナは、それぞれの強さを取り戻していく……。少年マーカスの目から見た、母親フィオナの鬱状態の描写も素晴らしい。一見暗い話が、ホーンビーの手にかかると軽やかで爽やかな話になるから不思議。

こんなのもおすすめ

日本人女子留学生とのほろ苦い恋も
One for My Baby (そして愛する彼女のために)

by Tony Parsons  £6.99
One for My Baby 家族をテーマにした作品が多いトニー・パーソンズが現代の男性像を描いた作品。香港で語学教師をしていた英国人男性のアルフィーは、最愛の恋人ローズの死をきっかけに英国に戻り、新しい生活を始める。しかしそこにあるのは、ローズのことを思いながらも、生徒の日本人留学生に手を出すようなフラフラした毎日。そんなある日、シングル・マザーのジャッキーが現れ、アルフィーの生活に変化が訪れる。アルフィー自身の冴えない生活に、両親の離婚や祖母の病気を取り混ぜながら、家族というテーマを軽やかに描いた秀作。

登場人物の共通点は白い歯
White Teeth (ホワイト・ティース)

by Zadie Smith  £7.99
White Teeth 様々な人種と文化が入り混じり共存している現代のロンドンを舞台に、人種、階級といった深遠なテーマをユーモラスに描いた1975年生まれの新進気鋭の女性作家のデビュー作。半世紀以上も前に戦場で出会ったロンドン下町育ちのアーチーと、バングラデシュ出身のサマードの厚い友情に、イスラム原理主義、動物愛護などの現代英国社会の問題を絡めた作品で、リアルな英国を知るのにもってこい。ウィットブレッド賞処女長篇賞、ガーディアン新人賞、英国図書賞新人賞、コモンウェルス作家賞最優秀新人賞などを受賞。

イシグロ文学の最高峰
Never Let Me Go (わたしを離さないで)

by Kazuo Ishiguro   £7.99
Never Let Me Go 「Remains of the Day(日の名残り)」で伝統的な英国社会を描き出し喝采を浴びた著者の最新作。全寮制施設ヘールシャムに生まれ育ったキャシーは、自他共に認める優秀な介護人だ。そんな彼女が介護するのは「提供者」と呼ばれる人々。しかし、亡き友人とのヘールシャムでの青春の日々を思い返している内に、奇妙な授業内容、教師たちの不思議な態度、自分たちがたどった皮肉な運命に疑問を抱くようになり……。純文学風の作品が多いイシグロには、珍しくミステリー仕立てなので読みやすい。

英国人の本音が満載
The World According to Clarkson(邦訳なし)

by Jeremy Clarkson   £7.99
The World According to Clarkson 車を扱った人気テレビ番組「Top Gear」の司会を務めるジェレミー・クラークソンが、「サンデー・タイムズ」紙に寄稿したエッセイを収録。掲載当時に話題になった時事問題を、クラークソンが鋭い視点で、かつユーモアたっぷりに斬って行く。1つのエッセイが4ページに収まっているので、手をつけやすく、興味のある話題から読み進められるのがグッド。英国ミドル・クラスの考え方を知るのにももってこい。

思わず頷く場面もたくさん
Watching English(邦訳なし)

by Kate Fox   £8.99
Watching English 文化人類学者のケイト・フォックスが英国人の習性について筆を取った、ウィット溢れるエッセイ集。天候についての話の決まりごと、携帯電話の決まりごと、Eメールの決まりごと、ドレス・コードなどといった英国生活の不文律から、パブ文化、競馬、ドラッグ、犯罪、暴力に至るまで、英国文化の様相が事細かに記されている。「へぇ」と唸ったり、「そうそう!」 と膝を打つシーンに多く出くわすに違いない。


番外編

「おいしい」英語をどうぞ - 料理本
英語が苦手でも取り組みやすい分野と言えば、料理本。セレブ・シェフと呼ばれる有名シェフがたくさんいる英国では、 眺めているだけで満足できるような綺麗な料理本が多数発行されている。これを「読書」というにはズルした気分になるけれど、英語で書かれているのは紛れもない事実。料理を覚えながら英語も上達するなんて、正に一石二鳥!?
料理本 左「Funky Food」by Jaimie Oliver
右「Kitchen Heaven」by Gordon Ramsey

日本語で読んだあの話をもう一度 - 日本人作家の翻訳本
夏目漱石、谷崎潤一郎といった大御所はもちろんのこと、最近では村上春樹、吉本ばなな、宮部みゆきなどといった現代作家の小説がどんどん英訳されている。特に、村上春樹はここ英国でも大人気なので、かなりの数の作品が翻訳済み。すでに展開がわかっているストーリーなら、多少英語が分からなくでもすいすい読めそう。
料理本 表紙にオリエンタリズムが漂う、村上春樹の翻訳本

すぐ読めるから自信がつく - ポケット・ペンギンズ・シリーズ
出版社ペンギンの創設70周年を記念して作られた70冊の短編集。ホーマーといった超古典から、ニック・ホーンビーなどの現代作家まで様々な作家の珠玉の短編が並ぶ。全冊64ページからなる極薄の本なので、読破感を得るのにピッタリ。ただし、短くても語彙が難しいものもあるので、選択は慎重に。移動中にチョコチョコと読むのにも向いている。
1冊£1.50~
全巻ボックス・セット£105
*ペンギン社のウェブサイトwww.penguin.co.ukで購入すると、£50

耳から学ぶ英語 - 読書でクィーンズ・イングリッシュを習得
子供向けの本やベスト・セラーなどは、オーディオ・ブックとしてCD化されていることがほとんど。リスニングを強化したい人は、オーディオ・ブックを利用しない手はない!


憧れのあの作家に会える! サイン会情報

ウォーターストーンズやボーダーズなどといった大手書店では、有名作家を招いたサイン会を頻繁に行っている。本にサインしてもらうだけでなく、読書会的に著者と本について語り合う機会が設けられていることもあるので、足を運ぶ価値大。情報は、各書店のウェブサイトや、作家自身のウェブサイトで確認できる。近日中に行われる大物サイン会はこちら。

講演会

Jeremy Paxman 「On Royalty」
どんな相手もタジタジにさせるBBCのニュース司会者・インタビュアーのジェレミー・パックスマンが、王室について書いた新刊「On Royalty」の発売を記念して、講演を行う。チャールズ皇太子の卵論争*の真相が明らかになるか!?
*パックスマンは、チャールズ皇太子は「完璧」なゆで卵を望む余り、ゆで加減の異なる7つの卵を用意させると叙述したが、皇室関係者はこれを否定した。
10月31日(火)20:00~
チケット£8(前売有)
Blackheath Halls, 23 Lee Road, London SE3 9RQ
Tel: 020 8853 8530

サイン会

Ian Rankin 「The Naming of the Dead」
英国の刑事物を書かせれば、右に出るものがいないイアン・ランキンが新刊本の発売を記念して、サイン会を行う。
11月1日(水)12:30~ 
無料
Waterstone's Leadenhall Market
1-3 Whittington Avenue, London EC3V 1PJ
Tel: 020 7220 7882

Stephen King 「Lisey's Story」
「キャリー」などを生み出した米国きってのホラー作家、スティーブン・キングが、英国での新刊プロモーションのために、サイン会を行う。
11月7日(火)13:00-14:00
無料
Borders Oxford Street
203 Oxford Street, London W1D 2LE
Tel: 020 7292 1600

 

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