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ロンドンのゲストハウス
Fri, 20 September 2019

英国の口福こうふくを探して

「英国料理はまずい」だなんて、言い古された悪評など何のその。おなじみのものから、意外と知られていないメニューまで、英国の伝統料理やお菓子には、舌が悦ぶものが色々あります。ぜひ一度ご賞味を。


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住の編集&ライター。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年渡英。以降、英国を拠点に、ライフスタイル、ガーデニング、食などの取材、執筆を行う。英国料理の師は義母。
mamimcguinness.com
No. 32

サンデー・ロースト
Sunday Roast

Sunday Roast

特に肉好きでない方にも、英国でぜひ一度は試してもらいたいのが、肉がメインの英国伝統料理「サンデー・ロースト(ロースト・ディナーとも呼ばれます)」です。英国でローストと言うとビーフが有名ですが、実際にはポーク、ラム、チキン、ターキーと、たくさんの種類があります。

料理法はいたって簡単。名前の通りオーブンでじっくり焼き上げるだけ。メインの肉に、ロースト・ポテトや茹でたり蒸したりした人参と、さやいんげん、グリーンピースやブロッコリーなどの緑野菜が添えられます。そして、忘れてはならないのがヨークシャー・プディング。以前「トード・イン・ザ・ホール」の回でもご紹介しましたが、これは、卵、小麦粉、ミルクを混ぜ合わせたタネを熱々のオーブンで焼き上げたシュークリームの皮のようなもの。これがなくては本物のサンデー・ローストとは言えない、という英国人もいるほど重要な存在です。パブなどではポークでもチキンでもこれが添えられていることが多いのですが、本来はロースト・ビーフにしか添えてはいけない、と主張する人もいます。

日本のように一つひとつのおかずを別々の器に盛り付けることをしない英国では、メインの肉も付け合わせの野菜もヨークシャー・プディングも、すべて一つのお皿に一緒に載せてしまいます。そして、ローストした際に出た肉汁から作ったグレービーと呼ばれるソースをかけていただきます。

サンデー・ローストの起源については、中世の時代に日曜日だけ休みの取れる農奴たちに対して、午前中の教会での礼拝を終えた後、地主が丸焼きにした牡牛をふるまったという説があります。また、産業革命期にヨークシャー地方のある家族が、教会の礼拝に出掛ける前にオーブンに肉を入れて外出すると、戻ってきたころにちょうど良い具合に肉が焼き上がっていることを発見。そのことが日曜日に一家そろって食べるサンデー・ローストの習慣につながったとも言われています。

ところでローストする肉には色々種類があると言いましたが、それぞれの肉に合わせる薬味的なものも様々です。

一般的にロースト・ビーフにはホース・ラディッシュ。これは色は白く、味はわさびや大根にも似た辛みがあります。または辛みが強く黄色が鮮やかなイングリッシュ・マスタードを合わせる人もいます。ロースト・ポークには何と言ってもアップル・ソース。ロースト・ラムにはミント・ソースが定番です。また、チキンやターキーにはブレッド・ソースやクランベリー・ソースなどを好む人が多いようです。

これらの組み合わせを一度に色々試したい方には、「カーバリー(carvery)」と看板の出ているビュッフェ形式のレストランがお勧め。ここではロースト肉を目の前で切ってサーブしてもらえます。ビーフ、ポーク、ラム、チキンなど、並んでいる全種類の肉を選んでも良いという店がほとんどなので、胃に自信のある方は全種類制覇を目指しても?

グレービーの作り方(4〜6人分)

材料

  • ローストした後の残りの肉汁 ... 適量
  • 小麦粉 ... 大さじ1杯
  • ストック(各ローストした肉の味のもの) ... 1パイント分(約570ml)
  • 醤油 ... 大さじ1杯
  • レッド・カラント・ジェリー ... 大さじ1杯
  • 塩・胡椒 ... 適量

作り方

  1. 肉を焼いた後にロースト用トレイから肉を取り出し、残った肉汁の上澄みの脂分を少し取り除く。
  2. ❶をトレイのまま直接火にかけながら水で溶いた小麦粉を加え、木べらでよく混ぜながら煮立てる。
  3. ❷がペースト状になったら少しずつストックを加えて、そのつどよく混ぜる。
  4. 醤油とレッド・カラント・ジェリーを加え、塩・胡椒で味を調えて、さらによく混ぜながら好みのとろみ具合になるまで煮詰めて出来上がり。
memo

グレービーは市販のインスタント品「BISTO」などを使えば手軽に作れます。英国人はこのグレービーをロースト・ディナーの全体にたくさんかけていただく人が多いです。

 
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