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ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Thu, 29 October 2020

英国の口福こうふくを探して

「英国料理はまずい」だなんて、言い古された悪評など何のその。おなじみのものから、意外と知られていないメニューまで、英国の伝統料理やお菓子には、舌が悦ぶものが色々あります。ぜひ一度ご賞味を。


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住の編集&ライター。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年渡英。以降、英国を拠点に、ライフスタイル、ガーデニング、食などの取材、執筆を行う。英国料理の師は義母。
mamimcguinness.com
No. 113

ポーチト・ルバーブ
Poached Rhubarb

Poached Rhubarb

「マミ、どうしてそこにゴミ箱が置いてあるの?」
久しぶりに我が家に遊びに来てくれた友人Rが、ダイニング・ルームの窓から庭を見て言いました。というのも、Rの言う通り、野菜を植えるスペースの隅っこには、古くなった30リットル・サイズのプラスチックのゴミ箱が上下逆さにして置いてあるからです。
「ルバーブだよ。ああしておけば、茎が鮮やかなピンク色になったルバーブが育つんだって」

「え、『フォースト・ルバーブ』のこと? 自分の庭で作っている人を見たのは初めて!」英国人のRが驚いたような、呆れたような口調で言いました。たしかにゴミ箱をかぶせてフォースト・ルバーブを作っている人はあまりいないかもしれません。英国にはフォースト・ルバーブを作るための「ルバーブ・フォーサー」と呼ばれる、釣鐘型をしたテラコッタ製の鉢が売られています。なので、大抵の人はそれを使っているはずだからです。でも、「遮光さえできれば、大きなポリバケツでも作れるわよ」と、3年前にルバーブの株を分けてくれた義母の言葉にしたがって、私はちょうど手元にあったゴミ箱を使ってみたのです。

ルバーブはとても育てやすい野菜で、どんどん株が増えていくのですが、フォースト・ルバーブ作りに挑戦したのは、この冬が初めて。結果ですか? うれしいことに、パール入りの赤いルージュのような、スリムで艶やかな茎がすっくと伸びて、今では25センチくらいまで大きくなりました。

ルバーブは本来、春から夏にかけてが旬で、英国では、もともとは薬用として17世紀ごろから利用されていました。フォースト・ルバーブと呼ばれる鮮紅色のものは、冬の一時期だけ出回ります。これは、路地植えではなく、真っ黒な部屋の中で促成栽培されたもので、発祥は19世紀前半。ロンドンにあるチェルシー薬草園で、偶然に育ったものだと言います。それが1870年代に入り、主にヨークシャー地方で栽培が行われるようになりました。

鮮やかな色のためか、酸味の効いた味のせいか、赤いルバーブは人気。マーケットなどでもすぐに売り切れてしまいます。クランブルに入れたり、砂糖たっぷりのシロップで煮た「ポーチト・ルバーブ」を、アイスクリームやヨーグルトに添えるのが英国人のお気に入り。またはポーチト・ルバーブにクリームをかけただけのものを、デザートとして食べる人もいます。

ポーチト・ルバーブの作り方
(4~6人分)

材料

  • フォースト・ルバーブ...500g
  • カスター・シュガー...200g
  • 水...200ml

作り方

  1. 鍋にカスター・シュガーと水を入れてよく混ぜて煮立たせる。
  2. ❶に3センチほどの長さに切ったフォースト・ルバーブを入れ、弱火にして3分ほど、ルバーブが軟らかくなるまで煮たら出来上がり。
memo
 

アイスクリームやヨーグルト、パンナコッタなどに添えていただくと、色味も美しいデザートになります。煮崩れを防ぎたい場合には、鍋で煮ずに、オーブンでローストしても。

フォースト・ルバーブの産地であるウェイクフィールドでは、毎年ルバーブ・フェスティバルが行われています。今年の開催は2月17〜23日です。

 
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