Bloomsbury Solutions
Sat, 09 November 2024

異文化相互理解を深めるための ビジネス文化塾

日本人と英国人が、一つの職場で働く際の問題点とその解決方法を指南する

グレアム・ロレンス グレアム・ロレンス Graeme Lawrence 30年間の日系企業勤務、異文化コンサルタントを経て、現在社内通訳者・翻訳者。静岡県立大学国際関係学部卒。2019年のSOASビジネス日本語スピーチ・コンテスト優勝。
www.graemelawrence.com

第6回 損しないための行動:マナーの注意点

私が日系メーカーの若手社員だったとき、顧客である英系企業の手ごわい購買担当と頻繁に打ち合せをしていました。ある日、日本人の上司を先方のオフィスへ初めて連れて行った際、その上司はお客さんの話に一所懸命耳を傾けていましたが、目を閉じて聴いていました。商談が終わり、皆が帰ろうとするとき、お客さんは私にこう注意しました。「〇〇さんが会議中に寝るなら、二度と連れてくるな」と。私はどうやって自分の上司にそれを伝えればよいか困ってしまいました。

異文化相互理解ワークショップに参加する欧州人も日本人が会議中に目を閉じることをよく指摘します。それに対して私は「大丈夫。いびきをかいていない限り真剣に聴いています。話し手の英語をきちんと理解するために集中しているのです」と弁護しますが、その説明に納得しない欧州人もいます。

この経験を踏まえ、今回は日本人が自分では気が付かないかもしれない、欧州で働く際に注意すべき行動に焦点を当てたいと思います。

以前の記事では、同僚の週末の予定について尋ねると好感を持たせると述べましたが、同様に朝出社したら顔見知りであるかどうかにかかわらず、会社にいる全員にあいさつすることをお勧めします。廊下でフレンドリーに「Morning!」と声を掛けるだけで全く違います。そうしないと横柄な印象を与えてしまいます。

当たり前な仕事でも、部下に何かお願いする際にPleaseを、何かをしてもらった際にThank youを付けると好感度は一層増し、部下のやる気を導き出せます。これを意識していない上司は現地社員との良い関係を築きあげるのに大変苦労する様子を見てきました。

また、話をするときにアイ・コンタクトを取るよう、心掛けましょう。もちろんじろじろと見るべきではありませんが、アイ・コンタクトを避けることで相手に自信が無い人だと誤解されてしまいます。

アイ・コンタクトについてもう一点。仕事上の会食の際、飲食店で追加注文や会計を頼みたい場合などに、スタッフをなかなかつかまえられないときはありませんか。コツはまずアイ・コンタクトを取ることです。スタッフがこちらを振り向こうとする瞬間を見計ってアイ・コンタクトを取り、軽く微笑みながら人差し指を低い位置で挙げれば、問題ないでしょう。ただし、手を大きく振るとスタッフを混乱させるからダメですよ。指をスナップする仕草も無礼な行為です。「Excuse me!」と大きな声で呼ぶのではなく、アイ・コンタクトを試してみてください。このアプローチがスマートな作法です。下手に呼ぶとぶっきらぼうな顧客と思われ、飲食店スタッフだけでなく、同席の欧州人や顧客、周囲の方をも不愉快な思いにさせることにもなりかねません。飲食店スタッフとのやりとりでは、前述のPlease/thank youも忘れずに。

会食といえば、ある日同席していた日本人がRump(steak)を注文したつもりが、Lambが出てきました。同じように、日本人がCappuccinoを注文したのに、Cup of teaが出てくる場面も数回見ていますので、現地スタッフを戸惑わせる日本人の英語についても折を見て取り上げたいと思います。

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