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Fri, 19 April 2024

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結婚ビザに関する問題点

今回は、移民への締め付けが強化されていく一方の英国において、とりわけその影響が顕著に見られる結婚ビザの取得に関する問題点について説明したいと思います。英国では現在、欧州経済領域(EEA)以外の国の出身者が滞在許可を取得するのが非常に難しい状況にあります。その結果、外国人配偶者がいる家族が、離ればなれの暮らしを余儀なくされるという事態を生み出しているのです。

英国では2012年7月に、英国人とEEA以外の国の出身者が結婚する場合に必要となる結婚ビザについての新規則が導入されました。この新規則とは、外国人配偶者を持つ英国人が一定の経済的条件を満たさなければ、その外国人配偶者に対する英国での滞在許可が下りないという非常に厳しいものです。具体的には、申請時から過去6カ月の間に、年収1万8600ポンド(約323万円)に相当する給与を受け取っていることを証明する必要があります。この額は、子供がいる家族に対しては同2万2400ポンドに引き上げとなり、2人以上の子供がいる場合は一人につき2400ポンドがさらに課されます。

現在6.31ポンドに設定されている英国の最低賃金でフルタイム勤務した際に受け取ることができる給与よりはるかに高額であるため、この経済的条件を満たすことができず、滞在許可を取得できない外国人配偶者が多くいると伝えられています。オックスフォード大学の調査機関の調べによると、英国で働く女性の61%、男性の32%が、外国人配偶者や子供を英国に連れてくることができない状況に置かれていることになります。

こうした現状から、英国内ではこの経済的条件をめぐる法的妥当性をめぐって様々な議論が交わされてきました。2013年7月には、高等法院が経済的条件が厳しすぎるとの判断を発表。しかし、英国の控訴院は7月11日付でこの判断を覆し、同条件の法的妥当性を認めました。移民とその家族は、英国民による税負担に頼ることなく生活を送るべきというのがその理由です。この決定を受けて、7月28日より、これまで保留扱いとなっていた4000件に上る関連の申請案件に決定が下される見込みです。

結婚ビザの問題点は、経済的要件に関するものだけに留まりません。当局による杜撰(ずさん)な対応や、偽装結婚の取り締まり強化に伴い、正式な手続きを経て結婚した夫婦までもが警察による捜査の対象になるなどの事例が次々と報告されているのです。

「イブニング・スタンダード」紙によると、昨年11月にロンドンのカムデン地区で行われたイタリア人男性と中国人女性の結婚式に、偽装結婚との疑いを持った警察が突入するという事件が発生。しかもこの2人は偽装結婚ではなかったことが判明したため、この事件は大きな注目を集めました。

このように、現在、日本人を始めとするEEA以外の国の出身者が英国での滞在許可を取得するのは非常に困難な状況となっています。これまで比較的容易に取得することができるとされてきた英国人との結婚に伴う結婚ビザについても例外ではありません。適切な申請作業を行わなければ、配偶者や子供たちと長期にわたり離ればなれになってしまう場合もあります。家族との生活を守るためにも、手続きは専門家と二人三脚で、そして早い段階で準備を始めることをお勧めします。

 
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参照:「サン」紙、「デーリー・メール」紙ほか

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