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Sun, 10 August 2025

英国発ニュース

英政権がガザ人道状況悪化で方針転換―パレスチナ国家承認、与党内圧力も

(ロンドン 7月29日 時事)スターマー政権は29日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザの「悲惨な状況に終止符を打つ実質的な措置」を講じなければ、9月にパレスチナを国家承認すると発表した。スターマー首相はもともと承認に否定的だったが、イスラエル軍の攻撃によるガザの死者が6万人を超えたことに加え、餓死者が相次ぐなど人道状況が著しく悪化していることを踏まえ、方針転換に踏み切った。背景には、与党労働党を含む英政界からの圧力も大きかったとされる。

ロイター通信などによると、スターマー氏は、マクロン仏大統領が24日にパレスチナの国家承認方針を公表した際、英国は追随しない姿勢を表明。労働党内で失望の声が広がった。同党議員の中には、イスラエルを支持する米国とのスタンスの違いが際立つことを懸念し、スターマー氏が承認を渋っているとの観測も出ていた。

しかし、25日に同党を含む約220人の国会議員が、首相に国家承認を要求する書簡を発表。スターマー氏は今週に入り、ガザが「破滅的状況」にあると危機を強調するようになった。 

スターマー氏は野党時代、親イスラエルの立場だった。しかし、昨年7月の首相就任後は、国際刑事裁判所(ICC)による同国のネタニヤフ首相の捜査に批判的だったスナク前政権と一線を画すなど、徐々に姿勢をパレスチナ寄りに変えてきた。それでも、今回の国家承認方針は衝撃が大きく、「英国の外交方針の大転換」(BBC放送)と受け止められている。

国連安保理常任理事国の中で、承認意向を示していないのは米中ロ3カ国になった。英政府の方針は、今後、他国追随の呼び水となる可能性がある。ロイターは日本やドイツ、オーストラリア、カナダなどが続きうると伝えている。

ただ、独政府は先週、「近いうちにパレスチナを国家承認する予定はない」と発表。イタリアのタヤーニ外相は、新たにパレスチナ国家ができた場合、その国が同時にイスラエルを承認しなければ「問題は解決しない」との見解を表明した。
 
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